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王子に会いたくない2
「私にも言えないそうです。サカヨタは閉鎖的な部族が多いようですから、こんな事はよくある事です。私が言わなくても殿下なら
ご存知ですね。失礼しました。」
「そうですね。それくらいなら知ってますよ。私でもね。」
言い方がいちいち腹が立つわね…。
シャロンの事は公爵から守るようにしていたのに、私への扱いは2ヶ月放置。そんな男だもの、性格が悪くないはずがないよね。
「よかった。ではご理解いただけた…という事ですね。」
これ以上は何も言えないでしょう。
「では、本題に入って頂けますか。『オリビアが犯人かもしれないから話がしたい』と言われて来たのですから。」
「……」
「……」
簡単には聞けないよね。
別邸の事を言ってしまえば、放置していた
事実が伯爵に伝わってしまうかもしれないもの。
最初から目的は『私が誰なのか』を知りたかった。もうひとつは伯爵に聞けない事を聞きたかった。
どちらも出来なかった今、肝心のオリビアがいなきゃ話は進まないよね。
放置されてた婚約者本人に勝てるわけないのよ。
潮時ね。
「お話も無いようですし、お先に失礼します。私をニーナ様と間違える前に、本物を探してくださいね。迷惑ですので。」
「ちょっと待っ」
まだまだ疑ってるけど、話し合うならクリフ 1人の時にしたほうがいいよね。
「エドワード殿下、クリフ様、私はこれで
失礼致します。」
店を出るまで、店内の皆が私を目で追っていた。王子がいるなら周りは全部騎士ね。
帰りはつけられるはず…気を付けないと!
はぁ…
今日は無事やり過ごせたけど、ニーナだって疑惑もオリビアの事も、しっかり訂正出来たとは思えないし…。
徐々に外堀を埋められてニーナだと気が付かれたら…監禁………
ううん
前向きに生きなきゃ駄目よ!
楽しく暮らす未来だけ見つめないと!
早く仕事を探して逃げないとね!
次の日
「ニナ、君宛に手紙が届いているよ。」
「私に?ありがとうございます。」
たぶんクール様…だよね。
『ニナ、元気か?また伯爵と会う事になっている。俺と知り合いだという事は誰にも悟られないように。俺と知り合いだと気付かれてしまっては、言い訳は難しくなる。』
たしかにそうだよね。
ニーナだと疑いのある侍女が、クール様と仲がいい…なんて知られてしまえばクール様に矛先がいくもの。
『それから、リード公爵でのパーティーの事は俺にまで届いてる。よくやった!それでこそ俺の弟っ!10日後ステーシーの店で。そこで渡したいものがある。』
またしても弟…
妹と呼んでもらえる日はくるのかしら…。
・・・・
「クリフ…おそらくあれがニーナだ。」
「情報ではブロンドだ…と。」
「鵜呑みにしなければいい。それに、ほんの少しだが、訛りがある。どんなに教育をうけても、それを消すのは難しい。」
「訛り…あまり感じなかったが。なら捕まえるか?」
「それは出来ない。本人の意思なく連れていけば、それこそ伯爵に気がつかれる。」
「なら見張りを。」
「それはもっと良くない。伯爵を馬鹿にしているように思われかねない。伯爵と公爵はセットだと考えた方がいい。」
「……はぁ、全部お前の身勝手で起きた事だ。さっさと報告に行け。ニナがニーナだろうと99%当たっていたとしても、1%でも違うかもしれない…という気持ちがあれば、もうそれは正解じゃない。」
「わかっている。今から行くつもりだ。」
「…あの女とまだ付き合うつもりか…?」
「俺は彼女と別れる気はない。」
「っっいい加減にしろっ!!ニーナがいなくなったのに、それでも一緒にいるだと!?」
「……」
「『窶れて泣いていた。婚約者に会いに来て貰えないのは、女として自信もなくすし、私なら耐えられずに死ぬ』オリビアは言っていた。彼女が存在するかどうかの問題じゃない!俺とお前はそこまで追い詰めるような行動をとっているんだぞっ!!…もう、俺は知らん!!」
バタンッ!
クリフは勢いよく部屋を出ていった。
・・・・
「ニーナがいなくなった?…どういう事だ。」
ニーナをこの国に連れてきた男に俺は報告した。
「彼女には、南の別邸に住んで貰ってたのですが、何かの事件に巻き込まれたようです。」
「…それはいつの話だ…」
「1ヶ月以上前から…と、聞いています。」
「わかった時に何故すぐ報告に来なかったんだ!」
「申し訳ありません。こちらでも捜索はしていたのですが…。このままでは見つかりませんので、大々的に捜索してもらえませんか。」
「なっ!出来るわけがないだろうっ!!理由は教えては貰えなかったが、『ニーナを絶対エドワードの婚約者に迎えたい』そう言って陛下はサナス伯爵に頭を下げたんだぞ…それが…いなくなったで済むはずがないっ!ニーナがいなくなったと知られれば、どんな事になるかわかったもんじゃないっ!」
「……」
「力は貸す。必ず見つけろ…彼女が20才になるまでにだっ!!」
「特徴を…教えて頂けませんか?」
「は?特徴?何を言っている。私はこの国に来るまでの数時間しか顔は見ていない。殿下の方が詳しいだろう。姿絵でも描いて、捜索隊に渡してるのだろう?」
「…姿を見た事がないんです」
「は…?見た事がない?」
「1度も会っていない。」
「………っもういい!!絵師を呼べ!お前はもう下がれ!!」
「はい、申し訳けありません。失礼します。」
「どうだった?」
俺の部屋の前でクリフとレオンが待っていた。
「捜索隊は増やして貰えるはずだ。姿絵も描いてくれる。それでニナだとわかるはずだ。」
「とりあえず、行方不明に関しては落着か。だがどういう処罰をうけるか…」
「わかっている。どうなっても仕方がない。」
数日後
「クリフ…これは誰だ…」
届いた姿絵を見て俺は言った。
「ニーナ様?…です…ね」
髪の色と眼の色は確認できた。
ニナと一緒ではある。
「顔が全くちがうぞ……」
「ああ…」
結局惑わされるだけだった。
ご存知ですね。失礼しました。」
「そうですね。それくらいなら知ってますよ。私でもね。」
言い方がいちいち腹が立つわね…。
シャロンの事は公爵から守るようにしていたのに、私への扱いは2ヶ月放置。そんな男だもの、性格が悪くないはずがないよね。
「よかった。ではご理解いただけた…という事ですね。」
これ以上は何も言えないでしょう。
「では、本題に入って頂けますか。『オリビアが犯人かもしれないから話がしたい』と言われて来たのですから。」
「……」
「……」
簡単には聞けないよね。
別邸の事を言ってしまえば、放置していた
事実が伯爵に伝わってしまうかもしれないもの。
最初から目的は『私が誰なのか』を知りたかった。もうひとつは伯爵に聞けない事を聞きたかった。
どちらも出来なかった今、肝心のオリビアがいなきゃ話は進まないよね。
放置されてた婚約者本人に勝てるわけないのよ。
潮時ね。
「お話も無いようですし、お先に失礼します。私をニーナ様と間違える前に、本物を探してくださいね。迷惑ですので。」
「ちょっと待っ」
まだまだ疑ってるけど、話し合うならクリフ 1人の時にしたほうがいいよね。
「エドワード殿下、クリフ様、私はこれで
失礼致します。」
店を出るまで、店内の皆が私を目で追っていた。王子がいるなら周りは全部騎士ね。
帰りはつけられるはず…気を付けないと!
はぁ…
今日は無事やり過ごせたけど、ニーナだって疑惑もオリビアの事も、しっかり訂正出来たとは思えないし…。
徐々に外堀を埋められてニーナだと気が付かれたら…監禁………
ううん
前向きに生きなきゃ駄目よ!
楽しく暮らす未来だけ見つめないと!
早く仕事を探して逃げないとね!
次の日
「ニナ、君宛に手紙が届いているよ。」
「私に?ありがとうございます。」
たぶんクール様…だよね。
『ニナ、元気か?また伯爵と会う事になっている。俺と知り合いだという事は誰にも悟られないように。俺と知り合いだと気付かれてしまっては、言い訳は難しくなる。』
たしかにそうだよね。
ニーナだと疑いのある侍女が、クール様と仲がいい…なんて知られてしまえばクール様に矛先がいくもの。
『それから、リード公爵でのパーティーの事は俺にまで届いてる。よくやった!それでこそ俺の弟っ!10日後ステーシーの店で。そこで渡したいものがある。』
またしても弟…
妹と呼んでもらえる日はくるのかしら…。
・・・・
「クリフ…おそらくあれがニーナだ。」
「情報ではブロンドだ…と。」
「鵜呑みにしなければいい。それに、ほんの少しだが、訛りがある。どんなに教育をうけても、それを消すのは難しい。」
「訛り…あまり感じなかったが。なら捕まえるか?」
「それは出来ない。本人の意思なく連れていけば、それこそ伯爵に気がつかれる。」
「なら見張りを。」
「それはもっと良くない。伯爵を馬鹿にしているように思われかねない。伯爵と公爵はセットだと考えた方がいい。」
「……はぁ、全部お前の身勝手で起きた事だ。さっさと報告に行け。ニナがニーナだろうと99%当たっていたとしても、1%でも違うかもしれない…という気持ちがあれば、もうそれは正解じゃない。」
「わかっている。今から行くつもりだ。」
「…あの女とまだ付き合うつもりか…?」
「俺は彼女と別れる気はない。」
「っっいい加減にしろっ!!ニーナがいなくなったのに、それでも一緒にいるだと!?」
「……」
「『窶れて泣いていた。婚約者に会いに来て貰えないのは、女として自信もなくすし、私なら耐えられずに死ぬ』オリビアは言っていた。彼女が存在するかどうかの問題じゃない!俺とお前はそこまで追い詰めるような行動をとっているんだぞっ!!…もう、俺は知らん!!」
バタンッ!
クリフは勢いよく部屋を出ていった。
・・・・
「ニーナがいなくなった?…どういう事だ。」
ニーナをこの国に連れてきた男に俺は報告した。
「彼女には、南の別邸に住んで貰ってたのですが、何かの事件に巻き込まれたようです。」
「…それはいつの話だ…」
「1ヶ月以上前から…と、聞いています。」
「わかった時に何故すぐ報告に来なかったんだ!」
「申し訳ありません。こちらでも捜索はしていたのですが…。このままでは見つかりませんので、大々的に捜索してもらえませんか。」
「なっ!出来るわけがないだろうっ!!理由は教えては貰えなかったが、『ニーナを絶対エドワードの婚約者に迎えたい』そう言って陛下はサナス伯爵に頭を下げたんだぞ…それが…いなくなったで済むはずがないっ!ニーナがいなくなったと知られれば、どんな事になるかわかったもんじゃないっ!」
「……」
「力は貸す。必ず見つけろ…彼女が20才になるまでにだっ!!」
「特徴を…教えて頂けませんか?」
「は?特徴?何を言っている。私はこの国に来るまでの数時間しか顔は見ていない。殿下の方が詳しいだろう。姿絵でも描いて、捜索隊に渡してるのだろう?」
「…姿を見た事がないんです」
「は…?見た事がない?」
「1度も会っていない。」
「………っもういい!!絵師を呼べ!お前はもう下がれ!!」
「はい、申し訳けありません。失礼します。」
「どうだった?」
俺の部屋の前でクリフとレオンが待っていた。
「捜索隊は増やして貰えるはずだ。姿絵も描いてくれる。それでニナだとわかるはずだ。」
「とりあえず、行方不明に関しては落着か。だがどういう処罰をうけるか…」
「わかっている。どうなっても仕方がない。」
数日後
「クリフ…これは誰だ…」
届いた姿絵を見て俺は言った。
「ニーナ様?…です…ね」
髪の色と眼の色は確認できた。
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「顔が全くちがうぞ……」
「ああ…」
結局惑わされるだけだった。
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2025/10/31
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞をいただきました
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