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涙のマールくん
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翌朝。
イヤリングとハンカチとお金だけポケットに入れて準備完了。
「皆、また来るから、それまで元気にしててね。あと、勉強もね。」
「ぜったいだよ…」
「来なかったら怒るからな!」
「『来るな』と言われても来るわよ。」
「いっちゃやだぁ~あ…」
リカちゃんが泣いて離れてくれる様子がない。
「リカ、また来るって言ってるだろ。そうだよな?」
そういって、リト君がリカちゃんを引き離した。
「もちろんよ。」
「ならいけど。気を付けろよな。」
彼だけは私がここに来た理由も知ってるし、心配してくれてるんだよね。
「ええ。じゃあ皆またね。」
「院長、ミラノさん、突然押しかけてすみませんでした。迷惑をかけましたが、懲りずにまた来ます。」
「ああ、皆で待っているよ。」
「次来た時までに、じゃが芋の皮くらいむけるようにね。」
「はい。」
皆に手をふって、そして馬車で伯爵邸にむかった。
服は院長に渡してきたけど、女の子は着てくれるかしら…。
手紙を書こうと思ったけれど、別れの言葉のような物は書き残したくなかったので止めた。
誰に何を言われようと会いにくるもの。
1時間ほどで邸に着いた。
庭で剪定をしていたロンは私に気が付いていない。
「ロン!久しぶりね。」
「ニナ…?」
「申し訳ないのだけど、誰かに私が来た事を伝えてくれるかしら?」
「…ああっ、ちょっと待っててくれ!」
物凄いスピードでいなくなってしまったわ。
最初に誰が出てくるかと思えば、マール君だった。
「マール君、ただいま。」
屈んで目を合わせると、涙がポロポロ溢れてギュッと抱きついてきた。
「黙っていなくなってごめんね。」
「ニナ!お帰り。疲れただろう。早く中へ入りなさい。」
今日は伯爵が家にいたみたいで、すぐに出迎えてくれた。
「はい。」
マール君は大泣きし始めてるので、そのまま抱っこして連れていった。
ソファーに座っても、まだ私から離れようとしない。それを見ていると、何の別れもしないまま姿を消した事を後悔した。
「突然連絡もせずいなくなってしまって申し訳ありません。」
「かまわんよ。エドワード殿下が、『少し仕事を頼んだ』と言いに来てくれた。」
「殿下…が、ですか?」
「そう直々にね。泣いてるマールにも優しく声をかけてくれたよ。子供は好きみたいだね。」
あの薄情者が直々に……マール君と話まで…しかも子供好き…。ありえない。
何を企んでいるの…。まさかマール君を味方に取り込もうなんて考えてないわよね。
…やりかねない。
「殿下はニナの事がかなり気に入っているようだね。」
冗談はよしてください…
「そうでしょうか。」
「そうでなければ、自ら来たりはしないよ。」
ただ見張られてるだけ…です。逃げないように。
イヤリングとハンカチとお金だけポケットに入れて準備完了。
「皆、また来るから、それまで元気にしててね。あと、勉強もね。」
「ぜったいだよ…」
「来なかったら怒るからな!」
「『来るな』と言われても来るわよ。」
「いっちゃやだぁ~あ…」
リカちゃんが泣いて離れてくれる様子がない。
「リカ、また来るって言ってるだろ。そうだよな?」
そういって、リト君がリカちゃんを引き離した。
「もちろんよ。」
「ならいけど。気を付けろよな。」
彼だけは私がここに来た理由も知ってるし、心配してくれてるんだよね。
「ええ。じゃあ皆またね。」
「院長、ミラノさん、突然押しかけてすみませんでした。迷惑をかけましたが、懲りずにまた来ます。」
「ああ、皆で待っているよ。」
「次来た時までに、じゃが芋の皮くらいむけるようにね。」
「はい。」
皆に手をふって、そして馬車で伯爵邸にむかった。
服は院長に渡してきたけど、女の子は着てくれるかしら…。
手紙を書こうと思ったけれど、別れの言葉のような物は書き残したくなかったので止めた。
誰に何を言われようと会いにくるもの。
1時間ほどで邸に着いた。
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「ロン!久しぶりね。」
「ニナ…?」
「申し訳ないのだけど、誰かに私が来た事を伝えてくれるかしら?」
「…ああっ、ちょっと待っててくれ!」
物凄いスピードでいなくなってしまったわ。
最初に誰が出てくるかと思えば、マール君だった。
「マール君、ただいま。」
屈んで目を合わせると、涙がポロポロ溢れてギュッと抱きついてきた。
「黙っていなくなってごめんね。」
「ニナ!お帰り。疲れただろう。早く中へ入りなさい。」
今日は伯爵が家にいたみたいで、すぐに出迎えてくれた。
「はい。」
マール君は大泣きし始めてるので、そのまま抱っこして連れていった。
ソファーに座っても、まだ私から離れようとしない。それを見ていると、何の別れもしないまま姿を消した事を後悔した。
「突然連絡もせずいなくなってしまって申し訳ありません。」
「かまわんよ。エドワード殿下が、『少し仕事を頼んだ』と言いに来てくれた。」
「殿下…が、ですか?」
「そう直々にね。泣いてるマールにも優しく声をかけてくれたよ。子供は好きみたいだね。」
あの薄情者が直々に……マール君と話まで…しかも子供好き…。ありえない。
何を企んでいるの…。まさかマール君を味方に取り込もうなんて考えてないわよね。
…やりかねない。
「殿下はニナの事がかなり気に入っているようだね。」
冗談はよしてください…
「そうでしょうか。」
「そうでなければ、自ら来たりはしないよ。」
ただ見張られてるだけ…です。逃げないように。
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