88 / 187
王子様の脱走3
「やぁ、早かったね。」
エドワードは私達が来るのがわかっていたのかも。さっきまでは無かった机と椅子が用意されてるんだもの。
「結論から言わせて頂きます。ニーナを連れて帰る、以上です。」
「えっ!?」
『話が違う』…って言うのを何とか我慢した。今はニナなのよ。
「…断る。」
「そんな選択肢は殿下にはない。」
「何とかすればいい話だ。」
「出来るんですか。第3者がいる、問題はそこでしょう。」
第3者…?
「そうだ。ニーナの特徴と存在を知っているのが面倒だ。」
「普通なら貴方が『ご令嬢との婚約は嘘だった』と言えば済む話ですが、ニーナを危険な目にあわせるつもりはない。」
「最悪は暗殺だってされかねないしね。」
「え?あんさつ?」
ちょっと待ってよ…。エドワードが他の女性と婚約して、何故殺されるのは私なの。冗談じゃないわ!帰ろう…死んだら楽しい暮らしとか言ってられないわ。
「まぁ、そんな事はさせないよ。命をかけてでもね。」
「盾になるとでも?王太子である貴方が。」
「婚約者を守って死んだ。綺麗に収まる。」
エドワードが死んだら…?
「…っそんなの嫌よ!何故貴方が死ななきゃいけないの!」
「……」
「……」
「どうして、婚約でそんな話になるの?まずお互い話し合いなさいよ!コソコソ話さず!最初からニーナを迎えるリスクがあるのは承知の上ならそれを何とかする!ニーナへの
誠意ってそういう事でしょ!」
私のせいで誰かが死ぬなんて絶対嫌よ。それなら今すぐにでも帰るわ。
「こういう馬鹿みたいな事が本当にいや。」
「…どんなに言っても、ニーナは1度連れて帰る事にしている。」
今私はニナ。けれどニーナとしてクール様が言ってる。
「…はい。そうするのがいいと思います。」
私が我が儘言わなければ、全て丸く収まる話なのに、また偉そうに言ってしまったわ。
友達の喧嘩じゃないもの。簡単に仲良くなんてできないよね。
「本当に馬鹿みたいに考えすぎたよ。公爵に直接会いに行こうか。何度か話したいと遣いを出してるが、いい返事が貰えないし。このさい乗り込んでみるのも楽しいかもしれない。」
「…っ何をいってるんだ!」
「クリフ、やられたままで黙ってるなんて、らしくなかった。それに俺を好きなだけかもしれないし。」
なんて気の抜けた声のトーンなの。私が
一生懸命に怒鳴ったのは何だったのかしら…。
チラっとクール様に目を向けると、頭を抱えている。
「ニーナは俺の所へくるように、伝えておいてくれるかな。ニナ」
…今日はあまり胡散臭く笑わないのね。
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
夫は私を愛していないそうなので、遠慮なく離婚します。今さら引き止められても遅いです
藤原遊
恋愛
王妃付き護衛騎士である夫に、「お前を愛したことはない」と告げられた。
理由は単純。
愛などなくても、仕事に支障はないからだという。
──そうですか。
それなら、こちらも遠慮する必要はありませんね。
王妃の機嫌、侍女たちとの関係、贈り物の選定。
夫が「当然のように」こなしていたそれらは、すべて私が整えていたもの。
離婚後、少しずつ歯車は狂い始める。
気づいたときにはもう遅い。
積み上げてきた信用は、静かに崩れていく。
一方で私は、王妃のもとへ。
今さら引き止められても、遅いのです。
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
幼馴染しか見えない婚約者と白い結婚したので、夜明け前にさよならしました
ゆぷしろん
恋愛
公爵令嬢レティシアは、家同士の都合で伯爵アルフレッドに嫁ぐ。
けれど夫は結婚後もずっと幼馴染のシルヴィばかりを優先し、婚礼の夜から夫婦として触れ合おうともしなかった。名ばかりの妻として伯爵家を支え、領地経営まで立て直しても、彼にとってレティシアは“都合のいい伯爵夫人”でしかない。
やがて結婚一周年の夜、アルフレッドが自分を手放す気はない一方で、幼馴染を屋敷に迎え入れようとしている会話を聞いてしまったレティシアは、ついに決意する。
――もう、この結婚には見切りをつけよう。
夜明け前、彼女は離縁の準備を整え、伯爵邸を出奔。
身を寄せた北の港町で薬舗を手伝いながら、自分の力で生きる穏やかな日々を手に入れていく。そこで出会ったのは、身分ではなく一人の女性として彼女を尊重してくれる青年医師ノアだった。
一方、都合よく尽くしてくれる妻を失ったアルフレッドは、ようやく自分が何を失ったのかを思い知ることになる。
幼馴染ばかりを優先する婚約者との白い結婚に終止符を打ち、傷ついた公爵令嬢が新天地で本当の幸せを掴む、離縁から始まる逆転ラブストーリー。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
必要ないと言われたので、私は旅にでます。
黒蜜きな粉
ファンタジー
「必要ない」
墓守のリリアはある日突然その職を失う。
そう命令を下したのはかつての友で初恋相手。
社会的な立場、淡い恋心、たった一言ですべてが崩れ去ってしまった。
自分の存在意義を見失ったリリアに声をかけてきたのは旅芸人のカイだった。
「来る?」
そうカイに声をかけられたリリアは、旅の一座と共に世界を巡る選択をする。
────────────────
2025/10/31
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞をいただきました
お話に目を通していただき、投票をしてくださった皆さま
本当に本当にありがとうございました