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逃亡します
「着きましたよ」
「……ん?……っ!?はいっ!!」
やってしまった。
移動中に居眠りするなんて、怒られる。
「ここで休んでください。そんな寝惚け顔で隣に立たれても困りますので」
人を不快にしない喋り方を、伯爵家では学ばないのかしら……。
「お言葉に甘えて、ここで休ませていただきます」
仕事をしなくて良いと許可がでたし、堂々と休めるわ。
「私が帰ってくるまで、必ず馬車で待っていてください」
「はい」
私に厳しく言い聞かせて、リアムは従者と出ていった。――私の隣には不機嫌な侍女が座ってる。
「貴女も、リアム様に着いて行きたいなら行って良いわよ」
居なくなって欲しい。そうすれば逃げられるし。
「……」
無視ですか。
この人、ハリーが駆け落ちしてなくても、私にはこういう態度をとっていたのかしら。もうすぐ私はいなくなるので、楽しく過ごしてください。
相手をするのも面倒だし、寝たふりでもしよう。
寝たふりだったはずが、次に目を覚ました時は馬車は動いていて、景色は変わっていた。
「ここはどこですか?」
「王都です」
「視察は……」
「終わりました。貴女が寝ている間に」
「そうですか……」
私が付いて来た意味はあるの……?他に目的でもあるのかしら。
「今日は王都の邸に泊まるのですか?」
「はい。明日は国王陛下と謁見の予定なので」
「そうですか」
「他人事ではありませんよ。会うのは貴女で、私は付き添いです」
「……」
何故、私が国王と会う事になるの?
「冗談ですよね?」
「冗談は嫌いです」
好きとか嫌いとか、そんな問題じゃないでしょ……。この兄弟は私を何だと思ってるの。
「陛下には伯爵夫人ではなく、伯爵本人が行く方がいいと思います」
「体調不良でそれが出来ないから、貴女を連れて来たのです。それくらい、理解できませんか」
決めた。
今日の夜、絶対に逃げ出してやる!
暫くして王都にある伯爵邸に着いたけど、案内された部屋は、どう見てもゲストルーム。私を伯爵夫人として扱いたくないって事だよね。
もうすぐ私は消えるので、安心してください。
さて、どうやって逃げ出そうかな。
壁を登って出ていくにしても、夜中に馬もなく出歩くのは危険だし。出ていくとしたら夜明け直前がいいよね。
コンコン
「はい」
ドアを開けると不機嫌な侍女が立っていた。
「リアム様がお呼びです」
「そう、では案内してくれる」
私の事が好きでも嫌いでもいいけど、返事くらいすればいいのに。まぁ、実家でも大差無かったから、この対応に悲しくとか悔しいとかいう感情は一切ないけどね。
廊下を歩きながら、邸を覆う壁の高さをチェック。高い木と壁が近い箇所があるから、そこからなら逃げ出せそう。
コンコン
「クレア様をお連れしました」
侍女が言うと、中から部屋の扉が開いた。
「義姉さんだけ入ってください」
「はい」
多分、明日の謁見の事だよね。
話し出すのを待っているけど、リアムは何も話さない。
沈黙されると不安になるじゃない。私がハリーの駆け落ちに気付いてる事も、逃げ出そうとしてる事も気付いてるんじゃないよね……
この空気、耐えられないわ。こちらから聞いてみよう。
「明日のお話ですか?」
「いいえ、1つ質問があるんです」
「何でしょうか?」
「兄との結婚は、断れなかっただけですよね?」
全くもってその通りだけど『そうです』って言える立場にない事くらい、解らないのかしら。
「私の気持ちは夫にだけ伝えます」
「そうですか……」
「はい」
「……」
「……」
会話が続かない!居心地が悪すぎる!!
「リアム様は結婚のご予定はあるのですか?」
「ありませんが、それが何か?」
「例え姉弟でも、二人きりになるのは余り良い事ではないですし、婚約者がいれば申し訳ないので……」
「いません」
何故か解らないけど、リアムが物凄く怒ってる……。
べつに怒るような質問じゃないと思うんだけど、この人の思考回路が読めない。
「夕食の時間ですね。行きましょう」
「はい」
この話をするためだけに呼ばれたの?
二人きりで話さなきゃいけない内容じゃないと思うのだけど、何か意味があるのかしら。
「……ん?……っ!?はいっ!!」
やってしまった。
移動中に居眠りするなんて、怒られる。
「ここで休んでください。そんな寝惚け顔で隣に立たれても困りますので」
人を不快にしない喋り方を、伯爵家では学ばないのかしら……。
「お言葉に甘えて、ここで休ませていただきます」
仕事をしなくて良いと許可がでたし、堂々と休めるわ。
「私が帰ってくるまで、必ず馬車で待っていてください」
「はい」
私に厳しく言い聞かせて、リアムは従者と出ていった。――私の隣には不機嫌な侍女が座ってる。
「貴女も、リアム様に着いて行きたいなら行って良いわよ」
居なくなって欲しい。そうすれば逃げられるし。
「……」
無視ですか。
この人、ハリーが駆け落ちしてなくても、私にはこういう態度をとっていたのかしら。もうすぐ私はいなくなるので、楽しく過ごしてください。
相手をするのも面倒だし、寝たふりでもしよう。
寝たふりだったはずが、次に目を覚ました時は馬車は動いていて、景色は変わっていた。
「ここはどこですか?」
「王都です」
「視察は……」
「終わりました。貴女が寝ている間に」
「そうですか……」
私が付いて来た意味はあるの……?他に目的でもあるのかしら。
「今日は王都の邸に泊まるのですか?」
「はい。明日は国王陛下と謁見の予定なので」
「そうですか」
「他人事ではありませんよ。会うのは貴女で、私は付き添いです」
「……」
何故、私が国王と会う事になるの?
「冗談ですよね?」
「冗談は嫌いです」
好きとか嫌いとか、そんな問題じゃないでしょ……。この兄弟は私を何だと思ってるの。
「陛下には伯爵夫人ではなく、伯爵本人が行く方がいいと思います」
「体調不良でそれが出来ないから、貴女を連れて来たのです。それくらい、理解できませんか」
決めた。
今日の夜、絶対に逃げ出してやる!
暫くして王都にある伯爵邸に着いたけど、案内された部屋は、どう見てもゲストルーム。私を伯爵夫人として扱いたくないって事だよね。
もうすぐ私は消えるので、安心してください。
さて、どうやって逃げ出そうかな。
壁を登って出ていくにしても、夜中に馬もなく出歩くのは危険だし。出ていくとしたら夜明け直前がいいよね。
コンコン
「はい」
ドアを開けると不機嫌な侍女が立っていた。
「リアム様がお呼びです」
「そう、では案内してくれる」
私の事が好きでも嫌いでもいいけど、返事くらいすればいいのに。まぁ、実家でも大差無かったから、この対応に悲しくとか悔しいとかいう感情は一切ないけどね。
廊下を歩きながら、邸を覆う壁の高さをチェック。高い木と壁が近い箇所があるから、そこからなら逃げ出せそう。
コンコン
「クレア様をお連れしました」
侍女が言うと、中から部屋の扉が開いた。
「義姉さんだけ入ってください」
「はい」
多分、明日の謁見の事だよね。
話し出すのを待っているけど、リアムは何も話さない。
沈黙されると不安になるじゃない。私がハリーの駆け落ちに気付いてる事も、逃げ出そうとしてる事も気付いてるんじゃないよね……
この空気、耐えられないわ。こちらから聞いてみよう。
「明日のお話ですか?」
「いいえ、1つ質問があるんです」
「何でしょうか?」
「兄との結婚は、断れなかっただけですよね?」
全くもってその通りだけど『そうです』って言える立場にない事くらい、解らないのかしら。
「私の気持ちは夫にだけ伝えます」
「そうですか……」
「はい」
「……」
「……」
会話が続かない!居心地が悪すぎる!!
「リアム様は結婚のご予定はあるのですか?」
「ありませんが、それが何か?」
「例え姉弟でも、二人きりになるのは余り良い事ではないですし、婚約者がいれば申し訳ないので……」
「いません」
何故か解らないけど、リアムが物凄く怒ってる……。
べつに怒るような質問じゃないと思うんだけど、この人の思考回路が読めない。
「夕食の時間ですね。行きましょう」
「はい」
この話をするためだけに呼ばれたの?
二人きりで話さなきゃいけない内容じゃないと思うのだけど、何か意味があるのかしら。
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