伯爵代理なんてやりたくないので、私を捨てた夫を見つけてください。

シンさん

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 クレアとお茶を楽しんだた思しきライリーが、俺の部屋に満面の笑みでやってきた。

「マロンちゃんはリアムと違って、とっても良い子だね」
「彼女と何を話した?」
「狩猟大会の勝負に俺も参加するって話」
「何故、勝負にライリーが参加するんだ?」
「だって、俺が優勝したらどうするのさ?」
「どうするって、その時は現状を維持するだけだ」

 俺が言うと、ライリーがわざとらしく溜息をついた。

「俺が優勝しちゃったら、マロンちゃんはハリーと離婚出来ないんだよ。それって大惨事だよね」
「そんな事はない」
「そんなリアムとマロンちゃんの為に、俺は救いの手を差し伸べる事にしたんだ」
「ライリー、俺の話を聞いてるか?」

 俺の話は全く聞かず、ライリーが胡散臭い笑顔で続けた。

「俺が優勝したら『リアムとマロンちゃんの結婚』を条件にしたよ。どう?最高でしょ?」
「何を馬鹿な……」

 ライリーに狩りで勝てる女性がいるはずがない。

「そんな勝負、認められない」
「マロンちゃんは納得してるから、リアムの意見は聞かないよ」
「……」
「そもそもさぁ、『優勝したら俺と結婚してほしい』って、マロンちゃんに伝えきれなかったリアムが悪いんでしょ。そんな度胸の無い子に育てた覚えはないよ」
「育てられた覚えもない」

 勝負に勝って、無理矢理にでも結婚したい。卑怯ではあるが、俺なりに勇気を出した。
 あれで通じないという事は、端から俺は彼女の眼中にないんだ。それを思い知らされて、俺が落ち込んでるのを解ってるはずなのに…この男、本当に腹が立つ。

「今のままのリアムじゃ、マロンちゃんに好きになって貰うなんて無理だと思うよ」
「うるさい」
「まぁ、リアムが動かないのは解ってたから、マロンちゃんに動いて貰うんだけどね」

 動いて貰う?……狩猟勝負だけの話じゃないのか?

「何をさせるつもりだ?」

 胸ポケットに入れてある丸い眼鏡をかけて、ライリーがわざとらしく真面目な顔をした。

「俺とマロンちゃんで、ハリーを伯爵家から追い出す事にしたよ」
「ハリーの事はクレアには関係ない」
「いやいや、関係あるでしょ。マロンちゃんは伯爵夫人なんだから」
「……そうだが、この件には関わらせたくない」
「解るよ。兄を家から追い出したくない気持ちはね。でも、ハリーに子供がいるって知っても、そんな呑気な事を言ってられる?」
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