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奪還
クレア様が酒場に入ってすぐ、私は見張りの男の首をへし折った。
さて、馬を殺すとは言ったものの、一撃で殺すのは困難だし、馬具を切っておけば良いか。要は逃げる手段として使えなくすれば良いわけだし。
手綱を切って裏口をそっと開けると、奥から談笑が聞こえる。
最低でも4人……それ以上はいる。最初に銃を使えば確実に2人殺せるけど、クレア様が足止めしてくれている男4人がこっちに来たら不利になる。
戦わずにリアム様を助けられたら、それが1番楽だけど、まぁ無理ね。逃げられたら困るから、目の届く範囲置いてる可能性は高いし。
ここでリアム様が殺されたら、生きて帰れたとしても私の首はとぶ。伯爵夫人の侍女だっていうから引き受けたのに、割に合わない。
『じゃあ、また僕が先に飲むね』
クレア様の声が聞こえる。
この扉の向こうが店なら、もう少し奥に見える部屋にいるはず。
廊下を進んで行くと、予想通りその部屋から声が聞こえてくる。
ん?
剣を抜いてドアノブに手をかけた時、廊下の突き当りに正方形に隙間が空いているのが見えた。
最近開け形跡があるわね。ここから調べた方がよさそう。
隙間にナイフを刺して、ゆっくり床板を外すと、予想通り地下に繋がっていた。
酒樽の裏には、猿轡を噛まされ縄で縛られたリアム様が、意識を失って倒れている。
「リアム様」
頬を軽く叩いてみたけど、意識は戻らない。
簡単に見つけられたけど、気を失ってる男を担いで階段を上るのはキツいわね。まぁ、廊下に窓があったから、そこまでならいけるか……
そう考えていると、ガシャーンと大きな音がした。
「…――っ」
クレア様に何かあったのかもしれない。
けど、作戦はそのまま遂行する。彼女には銃を持たせてるし、危険な時は一発撃って合図するよう決めてある。それがないのに動くと全滅する可能性の方が高い。
頭上でコツコツと足音がする。今の音を、誰かが確認しに行ったんだわ。これで、奥の部屋にいる人間は1人減った。逃げ出すなら今だ。
リアム様を担いだ状態で、地下へのドアを押し上げるのはキツい。バランスを崩せば、受け身を取れないリアム様は大怪我か、下手をすれば死ぬ。リスクは高いけど、ドアを開けたままにするしかないわね。
ゆっくりドアを開け、辺りをうかがってから、リアム様を担いで一階へ。窓からリアム様を外に出したまでは上手くいったけど、まだ作戦成功とまではいかないみたい。男が1人、部屋から出てきた。
「テメ…ううっ」
大きな声をあげられる前に、私は男の首をはね、窓から飛び出た。
「リアム様、リアム様」
駄目、全然目を覚まさない。どれだけ薬を飲まされてるの……。
リアム様さえ生きて戻れば、王子は文句は言わない。リアム様が伯爵家を継ぐよう進められるなら問題ない。
けど、その着火剤はクレア様。彼女がいないと、リアム様は伯爵家を継ぐ決断は絶対にしない。下手をすれば、自分のせいでクレア様が殺されたと、自死してしまうかもしれない。それじゃ、助けた意味がない。
本当に厄介だわ。
クレア様を迎えにいくために、茂みにリアム様を隠していると、ガヤガヤと店の方が騒がしくなった。
建物の影から覗くと、店に大量に村人が押し寄せている。
大した戦力にはならないけど、数で何とかなりそう。
・・・・
私が2杯目のウォッカを飲み干したあとすぐ、入口から聞き覚えのある声がした。
「マロン、何やっとるんじゃ?」
振り返ると、私を助けると言って服を貸してくれたお爺さんや、その他に沢山の男の人が一緒にいる。
「ご飯を食べに来たんだよ」
「金は?」
「無いから、この人達と飲み比べをしてるんだよ。買ったら無料!」
「何が飲み比べじゃ。チビっ子がいっちょ前に……」
「だって、お腹が空いたんだもん」
私と飲み比べしていた男達が、少し後ろに退いた。
普段お店に来ない村人が大量に押し寄せて来てるんだもの、この男達が焦るのも当然だよね。食べる物がないから、空腹で店を襲いに来たとも考えられるし。
これで、少しは時間を稼げるし、村人達がイエナと協力してくれれば、リアムを連れて帰れるわ。
さて、馬を殺すとは言ったものの、一撃で殺すのは困難だし、馬具を切っておけば良いか。要は逃げる手段として使えなくすれば良いわけだし。
手綱を切って裏口をそっと開けると、奥から談笑が聞こえる。
最低でも4人……それ以上はいる。最初に銃を使えば確実に2人殺せるけど、クレア様が足止めしてくれている男4人がこっちに来たら不利になる。
戦わずにリアム様を助けられたら、それが1番楽だけど、まぁ無理ね。逃げられたら困るから、目の届く範囲置いてる可能性は高いし。
ここでリアム様が殺されたら、生きて帰れたとしても私の首はとぶ。伯爵夫人の侍女だっていうから引き受けたのに、割に合わない。
『じゃあ、また僕が先に飲むね』
クレア様の声が聞こえる。
この扉の向こうが店なら、もう少し奥に見える部屋にいるはず。
廊下を進んで行くと、予想通りその部屋から声が聞こえてくる。
ん?
剣を抜いてドアノブに手をかけた時、廊下の突き当りに正方形に隙間が空いているのが見えた。
最近開け形跡があるわね。ここから調べた方がよさそう。
隙間にナイフを刺して、ゆっくり床板を外すと、予想通り地下に繋がっていた。
酒樽の裏には、猿轡を噛まされ縄で縛られたリアム様が、意識を失って倒れている。
「リアム様」
頬を軽く叩いてみたけど、意識は戻らない。
簡単に見つけられたけど、気を失ってる男を担いで階段を上るのはキツいわね。まぁ、廊下に窓があったから、そこまでならいけるか……
そう考えていると、ガシャーンと大きな音がした。
「…――っ」
クレア様に何かあったのかもしれない。
けど、作戦はそのまま遂行する。彼女には銃を持たせてるし、危険な時は一発撃って合図するよう決めてある。それがないのに動くと全滅する可能性の方が高い。
頭上でコツコツと足音がする。今の音を、誰かが確認しに行ったんだわ。これで、奥の部屋にいる人間は1人減った。逃げ出すなら今だ。
リアム様を担いだ状態で、地下へのドアを押し上げるのはキツい。バランスを崩せば、受け身を取れないリアム様は大怪我か、下手をすれば死ぬ。リスクは高いけど、ドアを開けたままにするしかないわね。
ゆっくりドアを開け、辺りをうかがってから、リアム様を担いで一階へ。窓からリアム様を外に出したまでは上手くいったけど、まだ作戦成功とまではいかないみたい。男が1人、部屋から出てきた。
「テメ…ううっ」
大きな声をあげられる前に、私は男の首をはね、窓から飛び出た。
「リアム様、リアム様」
駄目、全然目を覚まさない。どれだけ薬を飲まされてるの……。
リアム様さえ生きて戻れば、王子は文句は言わない。リアム様が伯爵家を継ぐよう進められるなら問題ない。
けど、その着火剤はクレア様。彼女がいないと、リアム様は伯爵家を継ぐ決断は絶対にしない。下手をすれば、自分のせいでクレア様が殺されたと、自死してしまうかもしれない。それじゃ、助けた意味がない。
本当に厄介だわ。
クレア様を迎えにいくために、茂みにリアム様を隠していると、ガヤガヤと店の方が騒がしくなった。
建物の影から覗くと、店に大量に村人が押し寄せている。
大した戦力にはならないけど、数で何とかなりそう。
・・・・
私が2杯目のウォッカを飲み干したあとすぐ、入口から聞き覚えのある声がした。
「マロン、何やっとるんじゃ?」
振り返ると、私を助けると言って服を貸してくれたお爺さんや、その他に沢山の男の人が一緒にいる。
「ご飯を食べに来たんだよ」
「金は?」
「無いから、この人達と飲み比べをしてるんだよ。買ったら無料!」
「何が飲み比べじゃ。チビっ子がいっちょ前に……」
「だって、お腹が空いたんだもん」
私と飲み比べしていた男達が、少し後ろに退いた。
普段お店に来ない村人が大量に押し寄せて来てるんだもの、この男達が焦るのも当然だよね。食べる物がないから、空腹で店を襲いに来たとも考えられるし。
これで、少しは時間を稼げるし、村人達がイエナと協力してくれれば、リアムを連れて帰れるわ。
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