伯爵代理なんてやりたくないので、私を捨てた夫を見つけてください。

シンさん

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下弦の月2

「……?」

 ここはどこ?
 目を覚ますと真っ暗で、窓から月と綺麗な星が見える。

 ――そうだっ!!
 リアムは!?どうして私がベッドに寝てるの!?

 慌てて部屋を出ると、薄暗い中で皆が何か話していた。

「何で起こしてくれなかったの……?」
「クレア、具合は?」
「大丈夫っ――!?」

 返事をするとすぐにギュっと抱きしめられた。
 人前で何をしてるの、この人……。

「リアム、心配しすぎです……」
「すまない」

 イエナから大丈夫だって聞いてるはずだよね。何でこんなに心配してるの。家族の感情が芽生え始めたとか?リアムってよく解らない男だわ。

「それより、お兄様は大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫だ」
「そう、良かったわ。お兄様にはここに住む村民を助けて貰わないといけないから」
「勿論、何とかする」

 まともな貴族は、ちゃんと平民を人間として扱うのね。実家うちは領民が飢えてても放置してたし、自分達と平民は違う生き物だって考える馬鹿集団だった。何1つ尊敬できる所のない一族。
 ハリーもリアムのような性格だったのかしら。……それは無いわね。子供を捨てて平気な男が、国民の事に気を使えるはずがないもの。私を無視し続けていた父親より、よっぽど下劣だよね。

「クレア?本当に大丈夫か?」
「ええ」

 まだ事件は何も解決してないのに、つまらない事を考えてしまったわ。

「リアムお兄様、子爵の罪を言及出来る証拠はあるの?」
「今集めてる所だ」
「証明出来なかった場合、子爵は野放し状態だよね……」

 ここに住んでる村人達は、骨と皮のようになってる人もいる。反乱が起きないように武器を取り上げられてるから、狩りもできない。お爺さんは『これが最後』だと覚悟を決めてるんだから、絶対に解決するわ。

「何が解れば、ヤコブを確実に失墜させられるかしら」
「――自白させる」

 それって、短時間で確たる証拠は掴めないと予想してるって事だよね。誘拐に失敗しているのを既に知っているなら、ヤコブが所持している書類なんかは全て燃やされるわ。

「大丈夫なの?」
「クレアが『リアム大好き』って言ってくれれば、絶対に勝てる」

 リアム、何を言ってるの……。部屋にいる皆がポカンとしてるじゃない。場を和ませたいから言ってるのだと思うけど、斜め上過ぎてびっくりするわ。
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