伯爵代理なんてやりたくないので、私を捨てた夫を見つけてください。

シンさん

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貧乏人

 この辺りは繁華街と違って木造の家が多いし、それにもし畑に火が燃え広がったりしたら……。

「クレアは村民と避難を」
「私も消火を手伝うわ!」
「足手まといだ」
「――っ」

 そんなの解ってるけど……

「動ける人間が火を消さないと、大変な事になるじゃない!」
「……すまない。言葉を間違えた。クレアが心配なんだ。俺はクレアを気にして、消火に専念できなくなるから、安全な所にいて欲しい」
「……」

 私がいたらリアムの気が散る、そらならいない方がいいよね……。男手が減るのは良くないし。

「解ったわ。火に近付かないと約束するわ。だから、イエナと一緒に早く行って」

 リアムが頷いて、イエナと一緒に資材置き場に走って行った。

 火には近付かないけど、出来る事をしよう!消火をするだけが手伝いじゃないよね。この村には体が弱ってる人も沢山いるんだし、その人達の逃げる手伝いをしよう。

 怪我人や病人は荷台に乗せて、消火に向かった村人達以外は風上の村へ向かう事になった。

「これで一先ず安心ですね」
「いいや、問題はここからじゃよ」

 村長が難しい顔をしてるけど、何が問題なのかしら。

 隣の村の入口には男が1人立っていて、疎ましそうに私達を見た。
 
「何か用か?」
「資材置き場が火事になってるのは知っているでしょう?私達の村は風下だったから、逃げてきたの」
「好きな所に逃げりゃいいさ。だが、この村は駄目だ。よそへ行きな」

 こんな時なのに、何故助け合おうとしないの。

「あなたはこの村の村長?」
「いいや」
「なら、村長を連れて来て」
「ペイレスの貧乏人と話す事なんかないね」
「……」

 なるほど。
 村長はこうなるのを解ってたのね。そして、言い返せないのは、今まで平等とは言えない扱いを受けてきたからだよね。

 へぇ……。平民は平民で、上下関係を築いてたりするのね。みんな仲が良いものだと思っていたけど。何だかガッカリだわ。


「あなたももれなく貧乏人に見えるけど、私達と何が違うの?」
「お前らなんかと一緒にするな!」
「困ってる人間を助ける事も出来ない、貧相な心しか持ち合わせてないのでしょう?ある意味、真の貧乏人じゃない。違うかしら」
「何だとっ!!」
「ねぇ、もし私が金貨50枚持っていたら、あなたはどうするの?お金持ちの私にひれ伏す?少なくとも『貧乏人とは話さない』という理屈は通用しないわよ」
「金もねぇくせに、何言ってやがる。考えるだけ無駄だ」
「それはどうかしら」
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