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貧乏人4
「貴方は、何を目にすれば納得するの?今のままじゃ、伯爵がここへ来ても『偽物だ』と言って、聞く耳をもたないでしょう?」
「こんな辺鄙な所へ、伯爵が来るわけがない。それに、ヤコブを放置して、金だけ届けてご機嫌とってるだけの男に何ができる」
それを聞いて、私の頭の中でプツンっと何かがキレた。
村人のために、ここは冷静に話し合うべき……なのは解っているけど、馬車を襲われてからのこの流れ、疲れているし休みたいし、精神的にいっぱいいっぱいだし、もう我慢できないわ!!
「失礼を承知で言うけれど、あなた達のご機嫌を伺った所で、ハンストン家が得をする事なんて何一つないのよ」
現に、ここへ視察に来なければ、私達は襲われる事もなかったし、御者が殺される事もなかった。
「貴方が一番に怒るべき相手はヤコブよね。何故それが出来ないのに、支援してくれたハンストン家に偉そうな事を言うの?」
「俺達がヤコブに逆らえる訳がないたろ」
もちろん、貴族に逆らえる貧乏人なんていないのは解っている。私だって、権力に逆らえないから伯爵代理なんてやらされてるわけだしね。なんの見通しも立たないまま、逃げたり出来なかった。環境が整わないと、戦うことすら出来ない。それはこの人達だって同じ。
けど、人を信じない事とそれは別問題よね。
「周辺の村人を厄介者扱いして、見下している今の貴方は、ヤコブの思考回路と大差ないわよ」
「何だとっ!!」
「違うと言うなら、反論すればいいわ。でも、出来ないでしょう?貴方はヤコブが怖くて逆らえない小心者。だから、近隣の村々で助け合うという考え方が出来ないのよ。自分より下を作ることで、村人達の不満を逸らしてる。『あいつらよりマシだ』ってね」
「黙れ!とっとと出ていけっ!!」
「とんだ負け犬ね。図星を突かれて言い返せないから、会話を放棄するの?」
この男に村長は不向きね。優先するべきは、自分の感情より村民の利益でしょう。
「今貴方がすべき事は、ペイレスの村民を追い出すよりも、この金貨50枚の取り分の交渉だと思うわよ。もしリアムが村に来ていなかったとしても、金貨50枚は間違いなくあるんだから」
これで話が進まないなら、村人には申し訳ないけど別の村へ移動してもらおう。
「私は気が長い方ではないの。建設的な話が出来ないなら、ここで失礼するわ」
テーブルにある革袋を持って帰ろうとすると、手首を掴まれた。
「40枚だ、こっちに金貨40枚渡すなら、村においてやる」
ふっかけてくるわね。まぁ、ここからが交渉なのだから、最初は大きく設定するのは当然だけど。
「25枚なら応じるわ」
「40枚以下なら出ていけ」
「村人達が1ヶ月生活するのに、金貨10枚では難しいわ。問題は食べ物だけじゃない、家が燃えれば何も残らないから、必要最低限は買い揃えなきゃいけないのよ」
「切り詰めればやっていける」
「限界があるでしょ」
「嫌なら出ていけ」
「もしかして、お金がなくなった時点で村人達を追い出すつもり?」
「文句を言うな。村に置いてやるだけでもありがたく思え」
「……わかった。それで構わないわ」
こちらに残る金貨10枚だったとしても、後からハンストン家が負担するし、ずっとこの村にとどまらなきゃいけない訳でもない。だから、素直に40枚渡してもいいのよ。私は、村長がどういう対応をするか見たかっただけだしね。
案の定、上から目線でまともな交渉は出来ない。
貧しくて追い詰められると、他人を心配していられないのはわかるけど、この村だって『明日は我が身』なのにね。
「村長、村人達の所へ向かいましょう。お金は払ったし、ありがたく堂々とね」
皆の所へ戻ると、近所の住民がシーツや水を配ってくれていた。
「ゴードン村長みたいな人ばかりじゃなくて、安心しました」
「ゴードンの考え方を悪く思わんでくれ。村長としては、一時的な金を貰ったからといって、簡単に村に人を増やせない。わしも同じ選択をしたかもしれん」
「どうしてですか?」
「もし、相手が約束を守らなかったらどうする?いつまでたっても出ていかないかもしれんじゃろ。長い目で見れば、金貨40枚よりも何倍も損をする可能性もある。出ていかない村人に腹を立てて対立でもしだしたら、手がつけられなくなる」
確かに、その通りだわ。
「自分の考えが正論で、相手を短慮だと思ってしまいました。後でお詫びに行きます。けど、あの人は相手の気分を害さない喋り方を勉強したほうがいいと思います」
「そりゃ、お互い様じゃな」
「……」
その通りだけどさ……。
「こんな辺鄙な所へ、伯爵が来るわけがない。それに、ヤコブを放置して、金だけ届けてご機嫌とってるだけの男に何ができる」
それを聞いて、私の頭の中でプツンっと何かがキレた。
村人のために、ここは冷静に話し合うべき……なのは解っているけど、馬車を襲われてからのこの流れ、疲れているし休みたいし、精神的にいっぱいいっぱいだし、もう我慢できないわ!!
「失礼を承知で言うけれど、あなた達のご機嫌を伺った所で、ハンストン家が得をする事なんて何一つないのよ」
現に、ここへ視察に来なければ、私達は襲われる事もなかったし、御者が殺される事もなかった。
「貴方が一番に怒るべき相手はヤコブよね。何故それが出来ないのに、支援してくれたハンストン家に偉そうな事を言うの?」
「俺達がヤコブに逆らえる訳がないたろ」
もちろん、貴族に逆らえる貧乏人なんていないのは解っている。私だって、権力に逆らえないから伯爵代理なんてやらされてるわけだしね。なんの見通しも立たないまま、逃げたり出来なかった。環境が整わないと、戦うことすら出来ない。それはこの人達だって同じ。
けど、人を信じない事とそれは別問題よね。
「周辺の村人を厄介者扱いして、見下している今の貴方は、ヤコブの思考回路と大差ないわよ」
「何だとっ!!」
「違うと言うなら、反論すればいいわ。でも、出来ないでしょう?貴方はヤコブが怖くて逆らえない小心者。だから、近隣の村々で助け合うという考え方が出来ないのよ。自分より下を作ることで、村人達の不満を逸らしてる。『あいつらよりマシだ』ってね」
「黙れ!とっとと出ていけっ!!」
「とんだ負け犬ね。図星を突かれて言い返せないから、会話を放棄するの?」
この男に村長は不向きね。優先するべきは、自分の感情より村民の利益でしょう。
「今貴方がすべき事は、ペイレスの村民を追い出すよりも、この金貨50枚の取り分の交渉だと思うわよ。もしリアムが村に来ていなかったとしても、金貨50枚は間違いなくあるんだから」
これで話が進まないなら、村人には申し訳ないけど別の村へ移動してもらおう。
「私は気が長い方ではないの。建設的な話が出来ないなら、ここで失礼するわ」
テーブルにある革袋を持って帰ろうとすると、手首を掴まれた。
「40枚だ、こっちに金貨40枚渡すなら、村においてやる」
ふっかけてくるわね。まぁ、ここからが交渉なのだから、最初は大きく設定するのは当然だけど。
「25枚なら応じるわ」
「40枚以下なら出ていけ」
「村人達が1ヶ月生活するのに、金貨10枚では難しいわ。問題は食べ物だけじゃない、家が燃えれば何も残らないから、必要最低限は買い揃えなきゃいけないのよ」
「切り詰めればやっていける」
「限界があるでしょ」
「嫌なら出ていけ」
「もしかして、お金がなくなった時点で村人達を追い出すつもり?」
「文句を言うな。村に置いてやるだけでもありがたく思え」
「……わかった。それで構わないわ」
こちらに残る金貨10枚だったとしても、後からハンストン家が負担するし、ずっとこの村にとどまらなきゃいけない訳でもない。だから、素直に40枚渡してもいいのよ。私は、村長がどういう対応をするか見たかっただけだしね。
案の定、上から目線でまともな交渉は出来ない。
貧しくて追い詰められると、他人を心配していられないのはわかるけど、この村だって『明日は我が身』なのにね。
「村長、村人達の所へ向かいましょう。お金は払ったし、ありがたく堂々とね」
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「ゴードンの考え方を悪く思わんでくれ。村長としては、一時的な金を貰ったからといって、簡単に村に人を増やせない。わしも同じ選択をしたかもしれん」
「どうしてですか?」
「もし、相手が約束を守らなかったらどうする?いつまでたっても出ていかないかもしれんじゃろ。長い目で見れば、金貨40枚よりも何倍も損をする可能性もある。出ていかない村人に腹を立てて対立でもしだしたら、手がつけられなくなる」
確かに、その通りだわ。
「自分の考えが正論で、相手を短慮だと思ってしまいました。後でお詫びに行きます。けど、あの人は相手の気分を害さない喋り方を勉強したほうがいいと思います」
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