伯爵代理なんてやりたくないので、私を捨てた夫を見つけてください。

シンさん

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ヤコブ

 日が暮れる頃、リアムと村長達は木材を運んできた。

「お帰りなさい。それは資材置き場の材木?」
「ああ、全部燃える前に何本か移動させておいた。これを木材商に見てもらえば、強度や値は大体解る」
「その商人は、いつ来るのですか?」
「明日の昼過ぎには着く予定だ」

 この材木の値が解れば、提出されてる書類で予算と合致するか確認出来るのね。

「他に、村人達を苦しめていたのがヤコブだって、その証拠は掴めましたか?」

 私の質問に、リアムがゆるく首を横に振った。

 やっぱり、簡単ではないよね。

「とりあえず、夕食にしましょう」

 夕食と言っても、パンと具の殆どないスープのみ。『今日はパンがある!』って、子供達が喜んでいるのを見るのは辛い。いつも何を食べていたんだろう。

「クレア」
「はい」
「これが、俺達が仕事をしなかった結果だ。代理である間、大変だとは思うが仕事は」
「解っています。リアムお兄様が結婚するまでは真面目にやります」

 私だって鬼ではないのよ。苦しんでる人を見捨てたりしないわ。

「俺と結婚する事になったら、クレアはどうする?」
「狩りで優勝するのは私なので、心配ありません」
「1つ助言しておくが、俺はライリーに1度しか勝った事がない」
「それは、お兄様の腕が悪いだけでしょう」
「クレアになら勝てる」
「どうして解るんですか?」
「毎年、狩猟大会を見に行ってたから」
「……うちの領内で行われる、あの地元民参加の小さな大会を?」
「ああ」
「何のために?」
「それを考えて欲しいから、こうやって教えたんだよ」

 考えて欲しい……?

「『俺には勝てない』と言いたいのですか?」
「考えて欲しいのは、見に行った理由だ」

 今回の狩り勝負は偶然だし、狩りを見に来る理由にはならないよね。だったら、リアムは何を見に来ていたのかしら。

 もしかして、子爵家の領土の状況をチェックしていたのかも。それしかない!

「お兄様って、若い頃から仕事を頑張っていたんですね」
「……うん。俺の意図が全く通じていないって事は解ったよ。」
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