66 / 306
トーマオジサンの兄ちゃん3
しおりを挟む
「マーフィー様、ぜひ娘のエミリーを見てください。」
とりあえず、態勢を立て直すのよ。この話を続けられたくないもの。
「うん、そうさせて貰おうかな。」
「どうぞ、こちらです。」
せっかく部屋に案内したけれど、エミリーはお腹がいっぱいでスヤスヤ寝ていた。
「…私達がお昼を食べた後でもいいですか?」
「ふふ、そうしよう、起こしたら可哀想だしね。」
作戦失敗…。
結局私達は、今来た廊下を引き返した。
客間には私達4人、それからドアの横にひっそりとマイセンさんが立っている。
「マーフィー様。お茶、お酒、白湯を用意してますが、何をお飲みになりますか?」
マーフィー隊長は紅茶が苦手で、いつも白湯を飲んでるらしい。けれど侯爵邸で客人に白湯を出すなんて、本人からの希望がなければさすがに出来ない。かといって、飲めないものも出せないので、素直に聞く事にした。
「お昼からお酒を飲んでも差し支えなければ、ブランデーも用意してありますので召し上がり下さい。」
この親子はザルらしくて、どれだけ飲んでも酔わない…とミランダからは聞いているけれど、それでも一応トーマは確認している。休みだとしても緊急事態は起こるし、当然よね。
「気を使わせてしまったね。では、お言葉に甘えてブランデーを。」
「はい。すぐに用意しますね。」
会話を聞いていたマイセンさんは、指示するまでもなく『ご用意しますのでお待ち下さい。』と綺麗に頭を下げて部屋を出ていった。
私はアルコールは得意じゃないので、マーフィー様が持ってきてくれた葡萄のジュースを飲む事にした。
「珍しいですね、白葡萄のジュースだなんて。」
「うちの国ではあまり出回ってないかな。アッサリしてて飲みやすいよ。」
少し口に含むと、渋みがなくて本当に飲みやすい。
「美味しい。」
「それは良かった。ところで、ルーナ。産後はどう?もう具合は大丈夫?」
「はい。もうかなり回復しています。」
「それは良かったね。母親は元気なのが一番だよ。」
「はい。」
ランスロット様もマーフィー隊長も心配してくれてる。嘘をつくのは心苦しいわ。
「そういえば侯爵、ルーナが辺境伯と一悶着あったと聞いたけど、大丈夫だったかい?」
「少し口論になった程度で、大した事はありません。ね、ルーナ。」
「はい。」
銃を向けられたなんて絶対に言えないわ。
「ルーナ、これからは辺境伯にはかかわらないようにね。」
マーフィー隊長の言い方は優しいけど、少し圧を感じるのは気のせいかしら…。
「わかりました。」
「うん、約束だよ。あの家系にいい噂は聞かないからね。今度再婚するらしいけど、それも少し問題になってるし。」
「再婚?あのダサいオ……辺境伯がですか…?」
あぶない…。『ダサいオジサン』って言いきってしまいそうになったわ。
「ルーナ…、お前いま『ダサいオジサン』って言いかけただろ…。」
「…そんな失礼な呼び方はしないわ。」
ヘンリーはすぐに突っ込んでくる!『ダサいオジサン』って有名なんだから、流してくれてもいいのに。
「まぁ俺は『変態ジジィ』って呼んでるけどな。56才にもなって、34も年下の女と再婚て…。」
「凄い年の差ね。けど変態は言い過ぎなんじゃ…」
「いや、あれはかなり変態だ。」
「ヘンリー、頼むからルーナにあまり変な事は言わないでくれ…。」
「…だな。」
トーマも知ってるのね。
今までヘンリー相手でも丁寧に『様』を付けてたのに、それを忘れるほど聞かせたくないのかしら。
気になる…。
ダサくて短気で、おまけに変態…。
未来の辺境伯夫人にはさすがに同情するわね。
「ルーナは知らないかな。相手はアダムス伯爵のご息女だよ。」
「っっ!?…ゴホッゴホッッ!!ケホケホッ…」
ちょうどジュースを口にした時に護衛長からその言葉が出て来て、私は思いっきりむせてしまった。
とりあえず、態勢を立て直すのよ。この話を続けられたくないもの。
「うん、そうさせて貰おうかな。」
「どうぞ、こちらです。」
せっかく部屋に案内したけれど、エミリーはお腹がいっぱいでスヤスヤ寝ていた。
「…私達がお昼を食べた後でもいいですか?」
「ふふ、そうしよう、起こしたら可哀想だしね。」
作戦失敗…。
結局私達は、今来た廊下を引き返した。
客間には私達4人、それからドアの横にひっそりとマイセンさんが立っている。
「マーフィー様。お茶、お酒、白湯を用意してますが、何をお飲みになりますか?」
マーフィー隊長は紅茶が苦手で、いつも白湯を飲んでるらしい。けれど侯爵邸で客人に白湯を出すなんて、本人からの希望がなければさすがに出来ない。かといって、飲めないものも出せないので、素直に聞く事にした。
「お昼からお酒を飲んでも差し支えなければ、ブランデーも用意してありますので召し上がり下さい。」
この親子はザルらしくて、どれだけ飲んでも酔わない…とミランダからは聞いているけれど、それでも一応トーマは確認している。休みだとしても緊急事態は起こるし、当然よね。
「気を使わせてしまったね。では、お言葉に甘えてブランデーを。」
「はい。すぐに用意しますね。」
会話を聞いていたマイセンさんは、指示するまでもなく『ご用意しますのでお待ち下さい。』と綺麗に頭を下げて部屋を出ていった。
私はアルコールは得意じゃないので、マーフィー様が持ってきてくれた葡萄のジュースを飲む事にした。
「珍しいですね、白葡萄のジュースだなんて。」
「うちの国ではあまり出回ってないかな。アッサリしてて飲みやすいよ。」
少し口に含むと、渋みがなくて本当に飲みやすい。
「美味しい。」
「それは良かった。ところで、ルーナ。産後はどう?もう具合は大丈夫?」
「はい。もうかなり回復しています。」
「それは良かったね。母親は元気なのが一番だよ。」
「はい。」
ランスロット様もマーフィー隊長も心配してくれてる。嘘をつくのは心苦しいわ。
「そういえば侯爵、ルーナが辺境伯と一悶着あったと聞いたけど、大丈夫だったかい?」
「少し口論になった程度で、大した事はありません。ね、ルーナ。」
「はい。」
銃を向けられたなんて絶対に言えないわ。
「ルーナ、これからは辺境伯にはかかわらないようにね。」
マーフィー隊長の言い方は優しいけど、少し圧を感じるのは気のせいかしら…。
「わかりました。」
「うん、約束だよ。あの家系にいい噂は聞かないからね。今度再婚するらしいけど、それも少し問題になってるし。」
「再婚?あのダサいオ……辺境伯がですか…?」
あぶない…。『ダサいオジサン』って言いきってしまいそうになったわ。
「ルーナ…、お前いま『ダサいオジサン』って言いかけただろ…。」
「…そんな失礼な呼び方はしないわ。」
ヘンリーはすぐに突っ込んでくる!『ダサいオジサン』って有名なんだから、流してくれてもいいのに。
「まぁ俺は『変態ジジィ』って呼んでるけどな。56才にもなって、34も年下の女と再婚て…。」
「凄い年の差ね。けど変態は言い過ぎなんじゃ…」
「いや、あれはかなり変態だ。」
「ヘンリー、頼むからルーナにあまり変な事は言わないでくれ…。」
「…だな。」
トーマも知ってるのね。
今までヘンリー相手でも丁寧に『様』を付けてたのに、それを忘れるほど聞かせたくないのかしら。
気になる…。
ダサくて短気で、おまけに変態…。
未来の辺境伯夫人にはさすがに同情するわね。
「ルーナは知らないかな。相手はアダムス伯爵のご息女だよ。」
「っっ!?…ゴホッゴホッッ!!ケホケホッ…」
ちょうどジュースを口にした時に護衛長からその言葉が出て来て、私は思いっきりむせてしまった。
59
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~
雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。
突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。
多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。
死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。
「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」
んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!!
でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!!
これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。
な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる