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お約束
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会場に戻ると、トーマがすぐに私の側に来た。
「大丈夫だったか?」
「ええ、大した事は聞かれなかったわ。それより、私はお腹が空いたわ。何か食べましょう!美味しそうな物が沢山あるしね。」
「ルーナ…、ここにある料理はほんの少し口にするくらいで、夕食として置いてあるわけじゃない。」
「…え?」
「皆、飲み物くらいしか手をつけないんだ。」
「こんなに美味しそうな料理が山ほどあるのに?」
「ああ…」
この人達は、料理人や農家をなめているのかしら…。皆が一生懸命作ってるものを、飾りのように扱って塵にするの?
「皆が食べなくても私は食べるのよ。」
「ルーナ、陛下に挨拶したらすぐに邸へ戻るから、我慢しなさい。」
「…そうね、こんなに沢山の人に見られてたら食べた気がしないもの。」
皆の視線がこっちを向いているのがわかる。
「私達ってやっぱり目立つのね。」
「まぁ、丁度いいんじゃないか?」
「何が?」
「だからアピール出来るだろ。」
「っ!?」
トーマが何を言うのか続きを待っていると、頬に口づけされた。
「…なに……?」
「噂を払拭させるなら、仲の良いところを見せて上書きする方が早い。」
「け…けいやくしょ……」
触れないって約束したのに!
「自分で言った事、覚えていないのか?」
…自分で言った事……?
考えていると、不意に耳元で言われた。
「『外では妻を演じる』って。」
「…っ」
誰にも聞こえないようにするためだったとしても、近すぎるわよ!
「ルーナはいつも都合の良い事だけしか覚えてないな。」
それは…否定でないわ。
「陛下主催のパーティーなのよ。なのに人前でこんな事…」
「若いから許してくれるだろ。」
「若くても、貴方は侯爵家の当主なの。」
顔が熱い。
口づけなんて結婚式でもする事は無かったのよ。なのに今さらここまでアピールする必要はないでしょ!
って、帰ったら二の腕を殴ってから言ってやるわ!
「相変わらず仲がいいですね。お二人とも。」
私達に声をかけてきたのはアーロだった。
「アーロ、久しぶりだな。今日は伯爵の代理で?」
「はい。父は腰痛が悪化して医者からストップがかかりまして。」
「そうか。」
何だか王都で会った時より2人の仲がよさそうに見えるのは気のせいかしら。
「ねぇ、アーロは私達に話しかけて問題ないの?」
辺境伯と私の喧嘩を見ていた1人で、トーマを呼びに行った人物だし、接触するのは禁止されてるかもしれないよね。
「ああ、俺は大丈夫。うまくすっとぼけたから。ところでヘンリー、お前何でそんなに機嫌悪そうなんだ?」
今も私の側にいるヘンリーに、アーロがニヤニヤして言った。
「目の前でベタベタしてる侯爵夫妻に呆れてるだけだ。」
「なるほど、焼きもちか。まぁ、見た目だけなら綺麗な方だしな、ルーナは。」
見た目だけ…、なのに『綺麗』と言い切ってくれないなんて酷すぎるわ。
「クククっ…」
「……トーマ、夫が笑う所じゃないでしょ。」
「俺も、ルーナは綺麗な方だと思うぞ。」
仲の良さを見せつけて上書きするつもりなら褒めなさいよ。
「大丈夫だったか?」
「ええ、大した事は聞かれなかったわ。それより、私はお腹が空いたわ。何か食べましょう!美味しそうな物が沢山あるしね。」
「ルーナ…、ここにある料理はほんの少し口にするくらいで、夕食として置いてあるわけじゃない。」
「…え?」
「皆、飲み物くらいしか手をつけないんだ。」
「こんなに美味しそうな料理が山ほどあるのに?」
「ああ…」
この人達は、料理人や農家をなめているのかしら…。皆が一生懸命作ってるものを、飾りのように扱って塵にするの?
「皆が食べなくても私は食べるのよ。」
「ルーナ、陛下に挨拶したらすぐに邸へ戻るから、我慢しなさい。」
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皆の視線がこっちを向いているのがわかる。
「私達ってやっぱり目立つのね。」
「まぁ、丁度いいんじゃないか?」
「何が?」
「だからアピール出来るだろ。」
「っ!?」
トーマが何を言うのか続きを待っていると、頬に口づけされた。
「…なに……?」
「噂を払拭させるなら、仲の良いところを見せて上書きする方が早い。」
「け…けいやくしょ……」
触れないって約束したのに!
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…自分で言った事……?
考えていると、不意に耳元で言われた。
「『外では妻を演じる』って。」
「…っ」
誰にも聞こえないようにするためだったとしても、近すぎるわよ!
「ルーナはいつも都合の良い事だけしか覚えてないな。」
それは…否定でないわ。
「陛下主催のパーティーなのよ。なのに人前でこんな事…」
「若いから許してくれるだろ。」
「若くても、貴方は侯爵家の当主なの。」
顔が熱い。
口づけなんて結婚式でもする事は無かったのよ。なのに今さらここまでアピールする必要はないでしょ!
って、帰ったら二の腕を殴ってから言ってやるわ!
「相変わらず仲がいいですね。お二人とも。」
私達に声をかけてきたのはアーロだった。
「アーロ、久しぶりだな。今日は伯爵の代理で?」
「はい。父は腰痛が悪化して医者からストップがかかりまして。」
「そうか。」
何だか王都で会った時より2人の仲がよさそうに見えるのは気のせいかしら。
「ねぇ、アーロは私達に話しかけて問題ないの?」
辺境伯と私の喧嘩を見ていた1人で、トーマを呼びに行った人物だし、接触するのは禁止されてるかもしれないよね。
「ああ、俺は大丈夫。うまくすっとぼけたから。ところでヘンリー、お前何でそんなに機嫌悪そうなんだ?」
今も私の側にいるヘンリーに、アーロがニヤニヤして言った。
「目の前でベタベタしてる侯爵夫妻に呆れてるだけだ。」
「なるほど、焼きもちか。まぁ、見た目だけなら綺麗な方だしな、ルーナは。」
見た目だけ…、なのに『綺麗』と言い切ってくれないなんて酷すぎるわ。
「クククっ…」
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「俺も、ルーナは綺麗な方だと思うぞ。」
仲の良さを見せつけて上書きするつもりなら褒めなさいよ。
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