侯爵夫人は子育て要員でした。

シンさん

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思い通り

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「エリーゼ様、少し落ち着いて下さい。」
「お願いっ!陛下とお話するんでしょう!?殺されそうになったって言えば、あの男は捕まるかもしれないじゃない!だからそう言ってよ!」
「ありもしない事を申し上げる事は出来ません。それに、話は既に済んでおります。『そのような事はなかった』と、陛下は納得してくださいました。」

辺境伯の事、やっと解放されたのよ。ここで台無しにされたくないわ。
何とかしないと、このままじゃ私の未来はエリーゼと辺境伯とトーマに完全に潰される。

「ルーナ、何をやってるんだい?」

聞こえてきたのは護衛長の声だった。静かで落ち着いてるけど、何故か怖いわ…。

「護衛長…、私は少し気分が優れなかったので、外の空気を吸いに。」

そして運悪くエリーゼに絡まれてるのよ。護衛長はトーマからエリーゼの話を聞いてるし、助けてくれるかもしれないわ。

「風邪をひいてはいけないから会場に戻った方がいい。私も戻るところだから、一緒に行こうか。」

よかった!これで逃れられるっ!

「はい、ご一緒いたします。では皆様、私はこれで失礼致しますね。」

護衛長が偶然通りかかって良かったわ。
辺境伯の話を、あの噂好きの女3人の前で続けられたらどうしようかと思った。

「護衛長、ありがとうございます。」

私がお礼を言うと、護衛長は大きくため息をついた。

「ルーナ、君はもう少し色々考えてから行動しようか。」
「すみません。ミランダが帰ってくるまでのつもりだったんですが、見つかってしまって。」
「そうじゃない。君はさっきの話で侯爵のご両親の事は察しがついただろう?」
「はい…」
「なら、1人でいるのは危険かもしれないと予想出来たはず。なのに1人で出歩いている。」
「……」

私は軍人でもなければ領を統べる者でもない。ただの騙されて結婚した馬鹿な女よ。
そんな女が何かを察したって、上手く立ち回れるわけないわ。

それでも私は頑張ったと思うの。

…さっきの質問、『辺境伯に殺されそうになった』と言えば、分が悪くなるのは陛下だったはずよ。
『辺境伯はがあってラッセン家の者を狙ってる』って、そんな構図を誰かが作りたかった。ううん、誰かじゃなくて、あの3本皺のタヌキジジィよ。
もし陛下もタヌキジジィと同じ意見だったなら、あの場を設ける事なく辺境伯を責めていたはずだもの。

…話し合いが終わってから、エリーゼは私に会いに来た…。何故、私がここに着いた時に、すぐ捕まえなかったのかしら。

「……護衛長、貴方は昔から自分の思い通りに事が進むようにする人だわ。」

思い出した。
ヘンリーは虫が嫌いだと教えてくれたのは、護衛長だった。
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