侯爵夫人は子育て要員でした。

シンさん

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本編後ストーリー

本音2

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 辛そうなミランダの表情は見たくなかったし、これ以上心配かけたくなくて黙っていたけど、それが逆に迷惑になるよね。

「ミランダ、別室に片眼鏡モノクルがあるから、使いやすそうな物を選んで持ってきてくれる?」
「はい」
「部屋を出たらレオンがいるから、案内させればいいわ。」
「畏まりました。」

 ミランダが頭を下げて部屋から出ていってしまった。

「うちの馬鹿息子とミランダの邸内デート、少しくらい許してくれるわよね?ルーナちゃん。」
「……」

 私の体の事も、ミランダをレオン様と2人きりにしないようにしてた事も、全部お見通しだったんだわ。
 この家族は本当に手強い……。

「ミザリー様、正直に伺います。レオン様の結婚はこの作戦の為ではないのですか?」
「どちらにしても、それを私が答えるとは思っていないでしょう?」

 そうだよね。作戦だったら話せない事もあるし、レオン様が本気だとしたら邪魔するはずがない。

 本当の自分を隠さないでいられる相手って、簡単に出会えるものじゃない。レオン様がミランダと結婚して幸せになりたいと願ってるなら、母親として反対はしないと思う。

 この家は、貴族社会の序列とは少し離れた所にある。王妃様がミランダとの結婚に許可を出すのは、王家にとっても結婚は有益だからだよね。

 ミランダの結婚を邪魔するのは、人体実験組織を捕まえるよりも難題かもしれない。ううん、絶対にこっちの問題の方が難しい。
 けど、私は絶対に負けないわ。

「ルーナちゃんが私の敵になる時が来るかしら?」
「ふふ、そんな事はありません。」
「そう?よかった。ルーナちゃんには勝てる気がしないもの。」
「私なんて、ミザリー様の足元にも及びません。」

 今までで、最強の相手になりそうだわ。



 20分ほどして、ミランダとレオン様が部屋に戻って来た。

 ミランダの様子に変わった所はないし、結婚の話はされてないよね。
 私がレオン様と二人きりになれる時なんてないし、本音を聞くのは骨が折れそう。

「ルーナちゃん、これを着けてみて」

 ミザリー様にすすめられた片眼鏡のレンズは凄く分厚い。

「見えやすくなりましたが、少し重いです…」
「ずっと着けておく必要はないけれど、必ず持って出掛けなさい。」
「はい。」

 これ、きっと高価な物だよね。

「片眼鏡《モノクル》とドレスの代金はトーマに請求してください。」
「必要ないわ。データ収集として、これらは全て経費で落とすから。」

 データって、私で何かを試そうとしてるのかしら。まぁ、強くなれるならそれでもいいけど。

「ミザリー様のお持ちの扇は、『人を殺せる扇』と聞いたのですが、本当ですか?」
「ええ。毒針が仕込んであるから、首に射せば即死よ。他の場所だと筋肉の硬直から始まって5分くらいはかかるけど、足止めにはなるでしょう。」

 ……想像以上に凄い扇だわ。

「安心して、ルーナちゃんの扇には毒針は仕込まないから。」
「何を仕込むのですか?」
「手軽に人を殺せる物を選ぶから、敵が来ても怖がらなくて大丈夫よ。」

 可愛く笑うミザリー様に、私もミランダも返す言葉が見付からなかった。

 採寸を終えてレオン様と話をしたかったけれど、いつの間にかいなくなっていた。


 伯爵邸を出て、帰るのは王都にある侯爵邸。

 邸に入ると、皆が私を迎えてくれた。メリッサは号泣してるし、後でゆっくり挨拶に行こう。

「ルー!!」
「イーサン、久しぶりね。」
「ルー、足うごかないのか?」
「うん。怪我をしたから。」
「よし!じゃあオレがおんぶしてやるぞ!」

 背中におぶさるようイーサンが促してくる。気持ちは嬉しいけど、さすがに乗れない。

「イーサン、ルーは俺が抱っこするから。」
「あっ!トーマおじさん!じゃあ、オレも抱っこ!!」

 トーマに抱っこして貰おうとしていたイーサンを、ミランダが軽々と担いだ。

「イーサンは私で我慢しなさい。」

 さすがミランダ、力持ち……
 そんな事を考えていると、トーマにひょいと抱えられた。

 ダイニングに行くと、テーブルに沢山のお菓子が並んでいる。

「ルーナが帰ってくるから、お菓子パーティーをしようと思って。」
「私を太らせたいの?ドレスが入らなくなったらどうするのよ。」
「ルーナはもう少し太った方がいい。本当に小枝みたいだから。」

 小枝……
 私って自分で思ってる以上に貧相な体なのかな。……トーマに見られたくない。
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