BLゲームの悪役令息に異世界転生したら攻略対象の王子に目をつけられました

ほしふり

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【第五章】サイラス・フォン・ウォレンス

(5)悪役令息の攻防戦

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そのままフェラを続けた。
わざと水音が聞こえるように響かせる。
部屋に響く水音。
身体の中央から響く音に合わせてサイラスは腰を震わせた。

「っ、あ、ぅぐっ、ぅ」

永遠と前の刺激を受け止めながら、サイラスが呻きとも喘ぎともつかない声を漏らす。
二度目の絶頂が近づくのが手にとるようにわかる。

「我慢しなくてもいい。出せ」

そこから口を放して、俺は台詞で促しながら竿を両手で握った。

「も、むりっ、ですってば!」

半泣きになっているサイラスを見上げながら、俺は口元に笑みを浮かべた。

「こんなに前をいじられて、みっともなく喘いだ感想を聞きたいものだな」
「ぅあっ!?ぁ、あぁっ、あッ」
「気持ちよさそうでなによりだ」

滑りがよければこっちのものだ。
後は手だけでも十分に行うことができる。
呆気なく二回目の射精を終えると、サイラスは肩で息を繰り返していた。

「はぁ、はぁ、はぁっ」

吐精はまだ続いている。
俺の黒手袋が白い白濁で汚れるのも無視して、長く吐き出されるそれを受け止めながら指先でつまみ上げた。

「女を抱き慣れているとは聞いていたが、こんなに早漏で大丈夫か?」

親指と人差指で先っぽをつまみ上げる、それだけの刺激でまた芯が固くなっていた。

「ほら?なんとか言ったらどうだ?」

俺は口元に笑みを浮かべて、呼吸が乱れているサイラスを追い詰める。

「っ…ベリル様」

震える声音で名前を呼ばれて俺はとっさに反応できなかった。
サイラスの両手が伸びてくると、俺の身体を持ち上げてぐるりとベッドを背にして押し倒された。
突然のことで俺が目を丸くしていると、上から押し倒してきたサイラスと目が合う。
彼のエメラルドグリーンの瞳は熱に浮かされていた。

(ひっ)

やばいと直感する。
俺は思わず身じろぎした。

「おい…サイラス…やらないとは最初に言ったぞ?」
「えぇ、わかってますよ」

肩で息をするサイラスは俺から目線をそらさない。
獣に注目された草食動物のごとく俺は動けなくなる。

「でもベリル様が乱れるところはちょっと見たいなぁなんて」

さっきやりすぎた事を根に持ったのか?
俺はおずおずと口を開く。

「話が違うぞ」
「大丈夫です。入れないだけの理性はありますので」

服は脱がないと事前に言っていたのだが、サイラスの右手が伸びると俺のズボンをあっさり脱がした。

「やっ!」

その動作だけで手慣れているのがわかる。
形勢を逆転されて俺の背中には冷や汗が流れていた。
真っ白のフリルとガーターベルトに目線が絡みついてくる。
今日も今日とて白い紐パンです。
俺は居心地の悪さで顔をそらした。

「正直、違和感がなくて驚いてますよ」
「違和感ってなんだよっ!」

ショートブーツは履いたままだ。
俺は片足でサイラスの腹を蹴ろうとしたがあっさりとかわされる。

「暴れないでくださいよ」

そんな事を言うが、俺からしてみれば保健室のデジャヴだった。
その時もこうやって蹴ろうとした足を掴まれて…

「おい!やめろっ!!」

俺が講義するのも気に留めず、サイラスは俺の両足を閉じさせる。

(ん?)

なぜ閉じさせる?
俺は意図がわからずサイラスを見つめる。
サイラスは足の付根である太腿の間に自らの性器を捩じ込んだ。
世に言う素股である。

(入れないとは言ったけれど!入れないとは言ったけれどもっ!!)

下着越しに屹立したサイラスのものを感じる。
ドクドクと脈打つ熱いそれに触れている。
俺の両足を束ねて腰を前に動かし、奥にそれを進める。
サイラスのものが俺の萎えている性器を下着越しに押し上げた。

「っ!」

直接触っているわけではない。
だが、性交渉を想像させる動きと視界いっぱいに広がる光景に思わず腰が逃げた。
どんな表情を浮かべているのかわからなくて怖くなり、サイラスの顔が見れない。
興奮した男性器が奥に押し込まれる。
ズルリと股の内側を擦って引き抜かれると、また戻って奥に打ち込まれる。
何度もそうするとサイラスの先走りが下着に滲んできた。

萎えていた俺の前を後ろからトントンと押し上げて擦り、体の中央が熱を持つ。
下着越しとはいえ、尻の割れ目をなぞる熱から逃げられない。
素股なんてただの自慰行為だ。
わかっている。
わかっているはずなのに、相手が性的興奮により俺を求めている事が伝わってくる。
やり場のないこの感覚に困惑しながらも、場の空気に飲まれていた。

「ぅ、ぁっ、うっ!」

腰を打ちつけられる反動で思わず声を漏らす。
サイラスの目線が痛いほど突き刺さってくるせいで、両手で顔を隠したまま俺は呻く。
さっさと終われと心の中で繰り返す。
俺の前も臨戦状態になってきた。
片手で俺の両足を束ねていたサイラスは、もう片手で俺の身体の中央に手を伸ばす。

「ひっ!やめ、やめっ、ぅっ!」

焦れるようにサイラスの手が俺の股間を撫でたため、思わず裏返った声を吐き出す。
それに気を良くしたのか、何度も撫でながら腰を打ち付けてきた。

「さわるなっ!ばかっ!!」

俺のものが下着を押し上げてテントを張っている。

「やっ、ぁぅっ!」
「ベリル様」

低い声音で名前を呼ばれて腰が砕けそうになる。

「そろそろ出します」
「っぅ、っ…んっ、っ!」

俺は下半身の刺激に耐えながら唇をかみしめていた。
声を我慢すれば鼻にかかる甘ったるい吐息が漏れる。
太腿の内側に反り上がった性器の圧迫感がある。
それをぶつけられる俺の前も限界が近い。
そろそろくるというのを覚悟して、俺は両目をぎゅっと閉じて耐えた。
股の奥に打ちつけて入れられると、ぐっと距離を詰めてきた。

「っ、っぅ!…」
「ベリル様、声我慢しないでくださいよ。俺もさっき聞かせたでしょ?」

猫を撫でるような優しい声音でサイラスは囁く。

「やっ」
「聞かせてくださいよ」

俺の前を撫でていたサイラスの手が、不意に下着の中に滑り込んできた。
そして俺を前を握る。

「あぅっ!?」

腰を打ち付ける動きは止めることなく、同じリズムで前を扱いた。

「やだっ!でるっ!!ぅ、んぅ、ぃくぅッ!」

与え続けられる刺激に体の芯が弾けた。

「ひぅっ!?!?ぁ、ぁあっ!あひっ!?」

前から勢いよく精液を吐き出し、下着を濡らしながら俺は達した。
サイラスも腰を打ち、白濁を放つ。
俺の白い下着が二人分の精液を受け止めて濡れた。

「ぅ、はぁ、はぁ、はぁ…」

達した後の感覚に俺は肩で息をする。

「ベリル様、顔見せてくださいよ」
「っ!」

両足を開放し、その手で俺の両手をサイラスは退けた。
半泣きで俺が睨みつけるとサイラスは微かに目を丸くする。

「見るなっ!!」

すぐに両手を突き出してサイラスの顔に押し当てる。
俺は無我夢中でサイラスの下から這いつくばって抜け出した。

「はぁ…はぁ…あぁ、もう…ぐちゃぐちゃで最悪だっ!」

こんな下着のままで帰ることは出来ない。
俺は悪態を吐きながら、下着の紐を解いてその場で脱いだ。
ノーパンでズボンを履くのは複雑な気分だが仕方ない。
下着を脱ぐ動作にしても一々サイラスの目線が絡みついてくるのが鬱陶しい。
ベッドサイドに脱ぎ捨てられたズボンを拾うと足を通す。

「…。」
「おい。見るな」

下着を脱ぎ捨て、俺がたしなめてもサイラスは目線を反らすことなく釘付けのままだった。
ベルトもしっかり身につけたが、下半身は涼しくて違和感がある。

「あの、ベリル様」
「サイラス、次はないからな」

俺は強かに言い放ち、部屋を去るべく出口へ向かった。
少し腰が震えて、足取りがよたよたしているのは無視する。

(最悪だ最悪だ最悪だ!!)

それでもあの場から逃げられただけでも救いだったのかもしれない。
あんなヤリチンにそのまま掘られるのなんてごめんだ。
もし、そのまま逃げなかったら…
そう考えた瞬間、背筋に悪寒が走る。
俺は速歩きで廊下を抜けて階段へ向かった。

「ベリル様、どうかされたのですか?」

階段から一階のホールに降りると、エリオットと出会った。
丁度、舞台で行われていたショーの時間の区切りだったのかもしれない。

「…別に」

俺がその場を足早に去ろうとしたら、エリオットが片眉をつり上げて俺を凝視した。
そして訝しげに口を開く。

「ベリル様…下着はどうされました?」
「っ!?」

なんでこいつはそんな事がわかるんだ!?
…と、俺は内心で動揺したが、そういえばエリオットはノーパン族だった事を思い出す。
いくらズボンを穿いているからといっても、わかることがあるのかもしれない。
……うん。たぶん。
俺はなんと説明するべきか考える。

「…さっきまで客の相手をしていたのだが」
「ベリル様が!?」
「あー…まぁ、そうだが…」

相手は誰だと聞いてくるところ…だとは思ったが、そこはプロ根性らしく、エリオットはしつこく問い質しはしなかった。
正直、とても助かる。

「とりあえず俺は帰る。以上だ」

金を払った以上、もっと相手をするべきなのはわかっているが、あのまま部屋に残っていたら何が起こるかわからない。
俺は我が身可愛さで逃げ出した。
エリオットに言い残すと、後を任せて俺は足早に秘密倶楽部を去った。

秘密倶楽部からの帰り道。
暗い夜道の中で見慣れた寮の建物を見つけると、道なりに進む。
入り口にたどり着くと建物の明かりになぜかホッとした。
それほどまでに不安になっていたということを改めて理解すると、複雑な心境になる。
あまりにも心に余裕がない。

(そういえば、前に俺が帰ってきた時はここにフランツがいたんだよなぁ)

なんでお前が出待ちしているんだよ!?って、あの時は思ったけれど。
そこにいるかもしれないなぁと思いながら帰ってきたけれど。

「…。」

確かに、そこにいてくれたら安心できたかもしれない。
などと…俺はふと思った。
別に寂しいわけではない!
俺は思考を振り払うと自室へ向かった。
今日の夜はやけに長く感じた。



第五章、おわり。
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