【完結】前世は魔王の妻でしたが転生したら人間の王子になったので元旦那と戦います

ほしふり

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十七年間、王城の片隅に設えられた小屋で細々と暮らしていた私の人生。
転機が訪れたのはそれから一週間後のことだった。

「…へ?」

私は聞き間違いかと思って面食らった。
目の前のリシャも困ったように眉根をよせながら手元の手紙を私に差し出している。

「国王陛下からリグレット様へ…書状です」
「なぜ父上が私に?…とりあえず読ませてもらおうか」

書状の内容を読み込むと、私の疑問はさらに深まった。
その内容は、私が魔王討伐の前線に出るように命令するものだったのだから。

(ただの捨て駒にしても理解に苦しむ内容だな)

忌み子の第三王子の末路としても…戦闘訓練を経験したことがない人間を前線送りにするなんて、とてもじゃないが正気の沙汰とは思えない。
とりあえず書状の内容をかいつまんでリシャに伝えると、彼女は顔を真っ青にした。

「こんなの、こんなのっ…あんまりです…!」

泣きそうな顔でリシャが声を吐き出した。

「私の所属は第十三小隊か」
「リグレット様…その…十三小隊というのは…」
「どうせろくな隊ではないのだろう」
「…はい」

王族の忌み子を処分するとはいえ、十七年間も王宮の端で飼っていたのだからもっと有益な方法で使い捨てる事はできなかったのだろうか?
己の人生に対して、同情よりも呆れが勝る。
まるで他人事のように状況を受け入れた。

(魔王討伐の前線か)

ふとベルの顔が脳裏をよぎる。
最後に会ったは私が死ぬ間際だった。
あれから五百年以上経った今、彼は何をしているのだろうか?

噂通り、前世の私を殺した人間たちに対して復讐する日々を送っているのだろうか?

それともそんな噂はただの言いがかりに過ぎず、また今日もあの頃のように中庭で花を愛でながら紅茶でも飲んでいるのだろうか?

(私は知りたい)

前世の私はすでに亡くなっているため、当時のベルとの婚姻はすでに解消されている。
婚姻とは死が二人を分つまでの契約なのだから。
魔族ではなく人間として転生してしまった今の私では、ベルと共に生きることは叶わない。
それに、前世の話を語りながら魔族の王にすり寄ることなど、恐れ多くて今の私にはきないことだった。

私は魔王ベルグラとの接点を完全に失っていた。

だが、それでも知りたい。

たとえこれが自己満足だったとしても真実を知りたい。
この戦いはリアーネが亡くなったことによる事件が発端なのか?

それは気がかりだった。

今のベルと会い会話することができれば、少なくともいくつかの謎は解けるだろう。
私は思考を逡巡させながら口を開く。

「父上に返事の手紙を書こう」
「リグレット様…っ」

その場で泣き崩れてしまったリシャの頭を優しく撫でると、私は羊皮紙に羽ペンを走らせた。


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