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洗礼
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5節「洗礼」
鬼を倒した事で次へ進む閉ざされていた洞窟が開いた。
為心達は準備を整え直し、その道に進む。
「フォーメーションを変えるとするかのう。」
会長がリタの心魂を入れた新しいフォーメーションを相談する。
それについてリタが言葉を口にする。
「言っときますけど、会長さん?僕の心魂は一対一用ですからね?」
「なんじゃと!?多数はいけんのか!?」
「いや、やってみてないからなんとも言えないけど、さっきの鬼の速度で多数だと多分、抜け道ない。」
「ワシが考えてるよりその心魂は複雑じゃのう。じゃが、一対一なら最強のスキルなのは間違いない。フィニッシュで使えるし、体勢を立て直すのにも使える。なんて便利なんじゃ。」
会長は感心していた。
「というか、次もさっきの鬼なのかなー?」
ちくびが不安そうに言う。
「かもしれんなっ!じゃが次は雑魚と相場が…」
「それ言っちゃダメっ!!」
会長が言い終える前にちくびが遮(さえぎ)った。
その会話に為心が入ってきた。
「会長わざとやってない?」
「ワシはいつだって本気じゃ!」
そこにちゃまが話を戻す。
「でも、本当にさっきと同じ鬼だったら消耗が激しすぎる。あの形態に変わる前に倒さないと。」
それについてリタが口を挟む。
「そもそもあの形態何?今までにあんな鬼なんていた?」
会長が予測の範囲で言葉を口にする。
「恐(おそ)らくワシらが変わってる様に向こう側も変わっておるのじゃ。最早(もはや)ゲームの設定をベースに考えていてはロストしかねんのう。」
すると目の前に出口が見えた。
「とりあえずじゃ。次のフォーメーションはまず、ワシが盾になり状況を把握し、一対一ならリタをメインで行く。しかし多数ならワシとリタでオトリをし、外側から掃除じゃ。…そして…もしもあの鬼が複数の場合は1匹を為心一人で牽制(けんせい)しつつ、後の四人で早急に対処じゃな。」
それについて為心が言葉を口にする。
「いや、…わかるけど…エグイ。」
そして全員は出口を出ると同じ光景が広がっていた。
それを見てちくびが口を開く。
「え?これって同じところ?ループしてる?」
しかし、為心が否定する。
「いや、途中に抜け道は全く無かった。違うはずだ。」
リタが言葉を挟む。
「きっと、運営側はコピーして作ってるんだよ。その方が楽だろうしね。要するにこれは手抜きだな。」
ちゃまが少し心配そうに言う。
「そうだと…良いんだけどね。」
そのまま全員は歩き続け、真ん中まで到着し、入ってきた入り口は閉ざされ、目の前に時空の歪みが発生した。
会長が指示をだす。
「何にせよ。出てきた敵によってそれはわかるじゃろうて。戦闘準備っ!!全員構えるのじゃっ!!」
その時。
目の前にあった時空の歪みが地面へと落ち、フィールド一面に一瞬で広がった。
それを見てちくびが驚いた。
「さっきと違うっ!!」
会長から激声が飛ぶ。
「全員警戒っ!囲まれるぞっ!!」
体格は小柄、鋭い爪を生やし、目元は石のお面で覆われ、口元には鋭い牙、非対称の角、筋肉組織は青色に発光してる様に伺えた。
そして、何十匹の鬼が下から幾度となく這い上がる様に現れ、為心達は囲まれた。
「袋叩き状態かよ。さっきの予定してた作戦には無かった!会長どうする?」
リタが指示を求めた。
リタは理解していた。
この場合、独断での行動は隊列を乱し、混乱し、致命的に陥(おちい)ると。
「ちゃまとちくよっ!突破口を開くのじゃっ!そして為心につづけっ!」
「時雨っ!!」
「水光弾っ!!」
光の矢が激しく突き刺さり、水の玉は幾度となく鬼を貫通し、鬼が青黒く液体の様に弾けた。
「ポリゴンにならないっ!?」
ちくびが叫んだ。
会長がさらに指示をだす。
「構わんっ!今はこの状況を優勢にすることが先決じゃっ!為心よっ!やるのじゃっ!ワシが右側のケツを持つっ!」
「閃光!乱舞っ!!」
開いた突破口から為心が左へ斬り刻む。
刃(やいば)を一太刀(ひとたち)いれる度に1匹づつ液体になり、散乱していく。
「手数が足りないっ!ちくちゃん!加勢してっ!」
為心が加勢を求めた。
「了解っ!…水刃槍連斬(すいばそうれんざん)」
魔氣 攻撃スキル
水刃槍連斬(すいばそうれんざん)
杖の両端に水でできた刃を生成し、両刃槍として攻撃を繰り出す。
ちくびが加勢したことによってスムーズに進行し始めた。
「結構片付いたかっ!?」
為心がちゃまに聞く。
「粗方(あらかた)ねっ!」
会長の指示が飛ぶ。
「残りは各自掃滅(そうめつ)じゃ!」
決して、強くはない敵だった。
しかし、何かがおかしいと誰しもが思っていた。
最後の1匹を会長が討ち取り、指示を出す。
「必ず何か起こるっ!ちくを中心に円を張るのじゃ!」
為心達は円を張り、その何かに警戒し、沈黙がつづく。
「…。」
その時、液体が動き出し、1箇所に移動していた。
「集まる方向に合わせて陣形を変えるのじゃ。リタよ!何が起こるかわからないこの状況…主のスキルがあって助かるっ!」
リタを筆頭に陣形が形成された。
そして、全ての液体が集まったことでかなりの大きさが伺えた。
「心魂…鷹の目っ!!」
リタの瞳が蒼(あお)く発光し、陽気が立つ。
その間に液体は徐々に大きく形を変え、左腕を形成していく。
「…っ!! 絶っ!!」
リタがシールドを展開した直後、液体の固まりは形状途中だが、作り終わっていた大きい左腕だけで攻撃をし、鬼の大き過ぎる拳とシールドから火花が飛び散っていた。
リタは鷹の目のスキルで、一歩先を見ていた為、防御を取ることが出来た。
「リタよっ!なんくるないかっ!?」
会長がリタに確認する。
「こんな時に沖縄の方言持ってこないでよっ!でも、大丈夫っ!さっきの奴程じゃないっ!」
「鬼のHPゲージが表示されたっ!まだ次のモーションまでの今のうちに出来るだけ攻撃をぶち込むのじゃっ!」
「了解っ!」
「了解っ!」
「了解っ!」
リタ以外がスキルを一斉(いっせい)発動した。
「時雨一旋っ!」
ちゃまは光の矢を降らせ、さらに凄まじい一撃の矢を放った。
「水光弾っ!」
ちくびは光の水を凄まじい速度で飛ばした。
「閃光…乱舞っ!!」
為心は一瞬で後方へ回り込み斬撃を繰り出した。
「刻爆炎…十火炎斬っ!!」
会長は正面から猛烈な十連撃と爆発音を幾度と無く繰り返した。
その間に右脚、左脚と形状を完成させ、右腕まで完成した時。
「会長っ!危ないっ!」
リタが声を荒げた。
「絶っ!」
鬼の右拳が会長めがけ振り下ろされた。
「心魂…挽回っ!!」
凄まじい光と共に鬼の右腕が吹き飛んだ。
それと同時にリタが耐えていた鬼の左拳をシールドの角度をつけ滑らせ、後方へ流した。
鬼の拳は地面へと攻撃する形になり、バランスを崩した。
「チャンスじゃっ!ぶち込めぇっ!!!」
会長の指示の元、全員が技を繰り出した。
「一旋っ!!」
「水刃槍連斬っ!!」
「光剣っ!!」
「鳴上…乱舞っ!!」
「刻爆炎…十火炎斬っ!!」
自分のポジションからの攻撃、仲間の位置など、全員は理解しているスキルの使い方だった。
未来を見ていたリタは最後の一撃をとっていた。
「終わりだっ!光剣っ!!」
凄まじい光の攻撃により、鬼は不完成のままポリゴンになり、弾けて消えた。
太刀を戻しながらリタが口を開く。
「やっぱり普通はこれぐらいじゃない?やっぱり最初の鬼がおかしいよね?」
それについて為心が答える。
「どうだろうな、根こそぎHPを持って行けたからよかったけど、もしかしたら今倒した鬼も形態変化してたかもな。その条件がなんなのかはわからないけど。」
「確かにのう。ただ、タンクが2人にこのメンバーのステータスは強い部類じゃ。それにリタの心魂があってこそじゃし、今回は相性がよかのう。」
会長が言葉を口にし、全員は消耗することなく次に行くことができた。
同じくして、新しい扉が開き、会長を筆頭に歩き出す。
「今半分ぐらいかな?」
ちくびが口を開く。
ちゃまが答えた。
「んー、今までのゲーム時のクエストと考えても3分の1か半分って感じはするよね?」
「後、半分かー。しかもこれからボスってなると本当に骨折れそう。」
その時。
「シッ!!」
会長が人差し指を口に当てた。
「…。」
全員の顔つきが変わった。
周りにだけ聞こえる声で会長が言う。
「何か聞こえる。」
恐る恐る全員が出口より先の音の正体を見た。
そこは縦に長い長方形の大きな通路。
おそらく1番奥にはボスであろう扉が構えられていた。
しかしその扉に向かうにはこの通路を抜けなければならない。
「あ、あたし、結構苦手かも。」
ちゃまはそれを見てひとこと呟いた。
色白に足が4本の尻尾を生やした大きい昆虫のような者たちが何千匹と床が見えないほど徘徊し、天井には卵があり、定期的に羽化していた。
「俺も結構きついかも。」
ちくびもそれを見て背筋が凍った。
そして会長が指示を出す。
「壁を背にして戦うしかないのう。ちゃまは天井を、他はちくびを中心に乱戦じゃ。」
準備が整った。
「水浄化っ!!」
ちくびは全員にバフをかけた。
「浮遊。……心魂…巻龍(かんりゅう)っ!!」
ちゃまは敵の群れ目掛けて超大型の竜巻を起こした。
「水光弾っ!!」
ちくびはスペースを作る。
「いくぞっ!……閃光っ…乱舞っ!!」
為心を筆頭に乱戦が始まった。
「リタよっ!光剣じゃっ!!」
「はいよっ!!…心魂っ…光剣っ!!」
「水刃槍連斬っ!!」
出たしは非常に良好だった。
しかし。
「くっそっ!!フォーメーションもクソねぇなっ!!全然数が減らない。」
為心から疲れが伺えた。
「会長っ!これってもしかて?」
リタが会長に聞く。
「ワシもそう思った!」
ループの可能性。
全員がそう思った。
「主ら赤生水はまだあるか!?底尽きても困るぞ!」
「ボス一戦ぐらいはギリってとこかな?!」
会長の言葉に為心が答える。
「同じく。」
リタも言葉を返す。
「わたしもそのぐらい!」
ちゃまも返事をした。
「俺はまだ大丈夫だけど、みんながやばいっ!」
ちくびも返事を返した。
「全員消耗が激しいか…。」
会長は考えた末に言葉を続けた。
「…主らよっ!!賭けに出ても良いか!?」
「問題ないっ!」
その質問にリタが答え。
「わたしはついて行くよっ!」
ちゃまが答え。
「行こう会長っ!」
ちくびが答え。
「今更なにいってんだか!」
為心が答えた。
その答えに会長は。
「良く出来た奴らじゃ。……っ突破口開けっ!!全員突っ込むのじゃっ!!!」
もう一度スキルの嵐が舞った。
ちゃまの巻龍が一掃し、ちくびの水光弾が流れ、為心の凄まじい速度での乱舞が道を切り開き、リタと会長の十火炎斬が音を立て、全員が突き進む。
「あと少しっ!」
誰しもが思った。
「扉までもうすぐっ!」
全員が思った。
「あともうちょっとっ!」
為心が激声をあげる。
「邪魔だぁぁぁああああああ!!!!」
凄まじい斬撃にの末に為心が扉までたどり着いた。
「うらっぁぁあ!!」
乱舞の回転を利用し、扉を蹴り破り、全員が雪崩込んだ。
「閃光っ!」
為心が閃光を使って切り返し、全員が入ったことを確認して扉を閉めた。
その時。
「少し遅過ぎるんじゃないか?退屈で死にそうだったよ。」
最初とは打って変わって神殿のような空間が広がり、壇上の真ん中に高級そうな赤いソファーがある。
そこに座る長い白髪を結んだ全身を白のスーツで合わせ、綺麗な顔立ちの男が言葉を口にしていた。
「ん…?プレイヤー?」
為心がその男を見て疑問に思った。
リタが答える。
「いや、違う。プレイヤーHPゲージもゲームネームも乗ってない。プレイヤーではなさそうだ。」
「じゃーあれが鬼か?というか、今喋ってたよね?」
ちくびが困惑する。
「あれが?ボス?任務のタイトルって眠る鬼じゃなかった?…起きてんじゃん!」
そんな中、会長が聞く。
「主は一体なんなんじゃ?」
彼が答える。
「私の名前かい?…君たちに分かりやすく言うならヴァイラスかな。」
「ところでそのヴァイラスさんはここで何をやってるのじゃ?」
「んー…実験ってところかな。」
「ほう。なんの実験じゃ?」
「君たちを消す為の実験さ。」
「要するにヴァイラスさんはワシらの敵なのじゃな?……じゃが、話が出来るなら敵にならない方法があるのではないか?」
「それは無理な話だ。」
「何故じゃ?」
「例えば、君たちは家に入ってきたゴキブリが会話が出来たとして、家の中で共存を選択することが出来るのか?」
「ま、無いじゃろうな。」
「それと一緒さ。」
「そうか。ちなみにじゃがもう一つ、この世界の状況は何故こうなっているのか知っておるか?」
「それは私が聞きたい所さ。君たちの中にそれを知っている人物が居る筈なんだ。そいつを探している。…しかし、その様子だと君たちは知らないみたいだね。」
「知らなかったらどうするのじゃ?」
「君たちに用は無い。」
その時、全員が凄まじい悪寒を感じた。
その言葉を言い終えたと同時にヴァイラスの姿が消えた。
「全員戦闘態勢っ!!……っ絶っ!!」
会長は防御に入った。
「ヴグゥハァっ!!」
気づけばヴァイラスは会長の目の間に移動し、絶のシールドに向かって蹴りを放った。
シールドが凄まじい音を立てて割れ、会長は蹴りを顔面で食い、吹き飛び壁に埋まった。
「会長っ!!」
為心が叫ぶ。
「心魂……鷹の目っ!!」
ヴァイラスはまた消えた。
それをみてリタが心魂を使った。
「…。」
一時沈黙が流れた。
「っ!!」
リタがヴァイラスの攻撃を避けた。
「君凄いね?これを避けられるんだ?…じゃーこれは?」
ヴァイラスはまた消え、リタの後ろに現れ、右手の攻撃が飛ぶ。
しかし、リタはそれも避けた。
ヴァイラスはまた消え、現れては攻撃をしてくる。
「くっそっ!!」
ヴァイラスの消えて現れるスピードが徐々に速くなる。
リタはもはや鷹の目のスキルに合わせて感で避けていた。
しかし。
「ぐぅっ!!」
ヴァイラスの左の払い手での攻撃を食い凄まじい勢いで吹き飛びリタも壁に埋まった。
「ちくちゃんとちゃまは下がってて、こっちから攻める。」
為心が構える。
「心魂…鳴上…」
双剣に雷が纏う。
「…閃光…」
自分に雷を纏う。
「…夢幻刹那っ!!」
為心が消えたと同時にヴァイラスも消えた。
空中で斬撃の音だけが幾度となく鳴り響く。
「うらっ!!」
「こな程度なのか君たちは。」
為心の攻撃は弾かれ、そして避けられ、一向に当たらない。
「つまらないな。」
「ガッハッ……!!!!」
ヴァイラスの踵(かかと)落としを食い、地面に叩きつけられ、為心は跳ね上がった。
「死ね。」
「せん…こう……グッハッ!!!」
跳ね上がった為心をヴァイラスが回し蹴りでとどめを刺そうとしたが、為心は閃光を使いダメージは少し流され、床に転がった。
「ほう。今のはいい判断だった。しかし、君はもう飽きた。」
ヴァイラスはちくびとちゃまの方を見た。
「や…め……ろ……。」
為心は起き上がれないながらに地面を這(は)った。
ヴァイラスは消え、気づけばちゃまの後ろにいた。
「君の中身は女か……。」
ヴァイラスはアバターの中身を知っていた。
そして、ちくびが遅れて気づく。
「やめろっ!水刃槍連斬っ!!」
一太刀目で柄(つか)を掴まれ止められた。
「私はこの女と話してる…君は邪魔だ。」
「ウッ……!!」
ちくびは蹴り飛ばされた。
ちゃまは恐怖のあまり震え、声も出せずにいた。
そしてヴァイラスが口を開く
「よし。今日は君にしよう。」
そう言葉を口にしつつヴァイラスはちゃまの顔を撫でた時、ちゃまの意識がなくなった。
崩れ落ちるちゃまを人差し指で操作し空中に浮かせた。
「やめろって言ってんだろぉぉぉ!!!」
為心が赤生水を全部使い、ある程度回復し、攻撃に転じた。
しかし。
「…!?」
為心の一太刀は空を斬りヴァイラスとちゃまは移動していた。
「もう君たちに用は無いのだよ。」
ヴァイラスが指を鳴らした。
すると、ヴァイラスの背後に時空の歪みが現れた。
「今の君たちには私がわざわざ手をくだす必要もない。」
そして、時空の歪みから鬼が出てきた。
歪な石で洋服を着飾り、非対称の角、長い尻尾の今度は女性型が現れた。
「さらばだ。」
ヴァイラスはそう言い残し、ちゃまを連れて時空の歪みに入ろうとした。
「いかせるかぁぁぁあああっ!!!」
為心が急に青緑の光を纏い、閃光より速い速度でヴァイラスのすぐ側に移動した。
「何!?」
ヴァイラスもその速さに驚いた。
しかし。
鬼が後ろで右手を振り上げていた。
「光剣っ!!」
更にその鬼の後ろで会長がスキルを発動していた。
「遅くなってすまぬっ!」
鬼の右手は吹き飛び、攻撃は為心に届かなかった。
「雷炎。」
ヴァイラスは為心に手を翳(かざ)し速いモーションで放つ。
「っ絶っ!!為心頼むっ!」
その雷炎にリタが防御した。
「くっそっ!!ゔぁっ!!」
しかし威力に耐えきれずリタは吹き飛んだ。
「うらぁああっ!!」
二人からの援助を受けつつ為心の下から振り上げる一太刀に対しヴァイラスも攻撃に転じた。
「チッ。くれてやる。」
ヴァイラスの突き抜く攻撃で出した左腕を為心の一太刀が吹き飛ばした。
その勢いのまま為心は遠心力を使い二撃目に入る。
しかし。
ヴァイラスの右手側からの攻撃が始まっていた。
「殺してやる。」
「うぉおおおおっ!!!!」
攻撃は紙一重の差だった。
その一時が2人にとってとても長い時間に感じていた。
その中で為心は。
『もっと早くっ!』
『…もっと早くっ!!』
『…とどけぇぇぇえええええっ!!』
しかし。
ヴァイラスの方が速く、為心への攻撃が迫る。
『…クッソっ……。』
しかし、その時だった。
急に目の前に黒い影が現れた。
「為心っ!」
ちくびがヴァイラスの攻撃に身を乗り出していた。
そして、ヴァイラスの右手がちくびの胸を貫き、反対側まで手が抜けた。
それを見て手を止める事を許されない為心は剣に感情を乗せた。
「っ!!……う、うぁぁああああああ!!!!!!」
為心は怒りの余り激声を上げ、剣を力一杯振り上げた。
剣はヴァイラスの脇腹から顔にかけて為心の一太刀が入った。
しかし。
その攻撃は浅かった為に為心は右脚の蹴りをもらった。
「ウッ……!!」
為心は吹き飛ばされてしまった。
「お前たちは必ず私が殺す。必ずだ。」
ヴァイラスはそう口にしつつ、腕に貫いたままになったちくびをゴミの様に振り払った。
「おい待てよっ!ねぇちゃんを離せよっ!」
リタの声も届かず、ヴァイラスはちゃまと共に時空の歪みへと消えた。
「………………ちくちゃん……。」
為心は胸に大きく穴が開いた仲間を見て唖然とした。
「絶っ!」
為心の近くで衝撃音が鳴り響いた。
鬼が為心に向かって雷炎を放ったのを会長が受け止めてた。
「うりゃっ!!…為心よっ!大丈夫かっ?!」
会長は雷炎をはね返し、為心を心配した。
「…ち…くちゃん…ちくちゃん……」
為心には会長の声が聞こえていなかった。
這いつくばり、ちくびのところへ向かう。
「リタよっ!頼む加勢してくれっ!」
会長は1人で鬼と対峙していた。
「…ねぇちゃん……ねぇちゃん…うぁあああああっ!!!」
リタは怒りのあまりスキルを使わずに、ただ鬼を斬った。
「なんでだよっ!なんで守れなかったぁぁああ!!」
リタは力いっぱい鬼に太刀を振るった。
しかし。
「うわっ!!」
鬼の振り払いに耐えきれず吹き飛び転がった。
「ねぇちゃん……ねぇちゃん…。」
リタは動く気力を無くしていた。
そして、為心がちくびにたどり着いた。
上体だけ少し起こし、今にも眠りそうな顔を覗き、震える声で呼んだ。
「…ちく…ちゃん…?」
「ご…ごめん…為心…か…勝手な事して…。」
ちくびのHPはもう無かった。
「ちくちゃん……いやだよ…いやだ………。」
震える手で仲間を必死で支えた。
「ごめんね…俺は…ここまでみたい。」
「ちくちゃん…。」
今だからこそ話したい言葉はたくさんあった。
しかし、哀しさの余り為心は名前を呼ぶことしかできなかった。
「せっかく助けたんだから…為心は…生きて…。」
「いやだよ…ちくちゃんが居ないとっ!!隣にちくちゃんがいないじゃ……嫌なんだよっ!!」
為心は声と手の震えが止まらく、仲間の意識を繋ぎ留めようと必死に名前を呼んだ。
「…ぢくぢゃんっ!!!」
「たのし…か…た……よ……あり…が………」
言葉を言い終える事も出来ず、ポリゴンになり、弾け、為心の腕の中で消えた。
「…ちく…ちゃん…。」
「………ブ…………ブブ……。」
為心の体が歪んだ。
「う……うぁぁぁぁあああああああああああっ!!!!!」
為心の号哭(ごうこく)に合わせて体は更に歪み、ライトエフェクトに似た発光する青緑の電気が帯(お)びた。
その光は徐々に強まっていき、丸く為心を包みこんだ。
「為心っ!くっそっ!1人じゃちときついのう。」
その間、会長は為心の状況を心配しつつも鬼から手が離せなかった。
「絶っ!!心魂…挽回っ!!」
鬼の攻撃にカウンターを使い、鬼をいったん吹き飛ばした。
「為心っ!!いさねぇーっ!!」
会長は夥(おびただ)しい青緑の丸い光に呼びかけた。
「あああぁぁぁぁぁぁぁあ、あ゛ああ゛あ゛あ゛!!!!!」
為心の号哭(ごうこく)な激声にノイズが混じる。
光が更に一層強くなった。
その時。
会長に向けられ鬼は雷炎の咆哮を放っていた。
会長は遅れて雷炎(それ)に気づいた。
「くそッ!間に合わないっ!」
会長は目を瞑(つぶ)った。
その時だった。
「グギャァッ!!」
奇声と共に凄まじい衝撃音が響いた。
会長が目を開けるとそこには…
「お…ぬし…いさ…ね…なのか…?」
目の前にはたしかに長い白髪の女性が立ち、雷炎を片手で受け止めていた。
しかし。
洋装は遥かに変わっていた。
手は無くなり双剣と融合し、ライトグリーンだった目は赤く染まり、綺麗に武装された青緑の筋が流れるモノリスが体を補強するかのように配置され、尻尾までもが生えていた。
その姿はまるで。
「…鬼…なのか……?」
その時、為心に対し鬼が威嚇した。
「グヴァァァアアアアアッ!!!!!」
為心は雷炎を吹き飛ばし、瞬間的に鬼の目の前に移動した。
そして、鬼が右手を振り上げた時、気づけば鬼の右腕は無くなっていた。
その次に左腕、右脚、左脚、次々と消えていく。
「な…何が……起きているのじゃ。」
為心の斬撃が速すぎるあまり誰も目で捉えることは出来なかった。
転がった胴体に為心は融合した腕の剣先を向け、ライトグリーンの稲妻の玉を生成した。
そして、放った。
凄まじいら衝撃音とあまりの光の量と爆風に会長は目を背けた。
そして、光が鎮圧(ちんあつ)し、会長が目を開けた時クリアの文字が浮かんだ。
「……。」
為心が会長を見る。
会長はすぐ様、刀を構えて言った。
「主は為心か?それとも鬼か?」
「……。」
しばらく沈黙が続いた後に為心が倒れ、元の姿へと戻った。
会長は一つため息をつき、その場で崩れる様に座り込んだ。
「……すまなかった。」
怒り狂うことが出来ればどれだけ心が楽になれただろうと思いつつ、会長は怒りと無気力と悲嘆を抑え、転送コマンドを選択した。
この日ロスト1名、行方不明1名が出た。
鬼を倒した事で次へ進む閉ざされていた洞窟が開いた。
為心達は準備を整え直し、その道に進む。
「フォーメーションを変えるとするかのう。」
会長がリタの心魂を入れた新しいフォーメーションを相談する。
それについてリタが言葉を口にする。
「言っときますけど、会長さん?僕の心魂は一対一用ですからね?」
「なんじゃと!?多数はいけんのか!?」
「いや、やってみてないからなんとも言えないけど、さっきの鬼の速度で多数だと多分、抜け道ない。」
「ワシが考えてるよりその心魂は複雑じゃのう。じゃが、一対一なら最強のスキルなのは間違いない。フィニッシュで使えるし、体勢を立て直すのにも使える。なんて便利なんじゃ。」
会長は感心していた。
「というか、次もさっきの鬼なのかなー?」
ちくびが不安そうに言う。
「かもしれんなっ!じゃが次は雑魚と相場が…」
「それ言っちゃダメっ!!」
会長が言い終える前にちくびが遮(さえぎ)った。
その会話に為心が入ってきた。
「会長わざとやってない?」
「ワシはいつだって本気じゃ!」
そこにちゃまが話を戻す。
「でも、本当にさっきと同じ鬼だったら消耗が激しすぎる。あの形態に変わる前に倒さないと。」
それについてリタが口を挟む。
「そもそもあの形態何?今までにあんな鬼なんていた?」
会長が予測の範囲で言葉を口にする。
「恐(おそ)らくワシらが変わってる様に向こう側も変わっておるのじゃ。最早(もはや)ゲームの設定をベースに考えていてはロストしかねんのう。」
すると目の前に出口が見えた。
「とりあえずじゃ。次のフォーメーションはまず、ワシが盾になり状況を把握し、一対一ならリタをメインで行く。しかし多数ならワシとリタでオトリをし、外側から掃除じゃ。…そして…もしもあの鬼が複数の場合は1匹を為心一人で牽制(けんせい)しつつ、後の四人で早急に対処じゃな。」
それについて為心が言葉を口にする。
「いや、…わかるけど…エグイ。」
そして全員は出口を出ると同じ光景が広がっていた。
それを見てちくびが口を開く。
「え?これって同じところ?ループしてる?」
しかし、為心が否定する。
「いや、途中に抜け道は全く無かった。違うはずだ。」
リタが言葉を挟む。
「きっと、運営側はコピーして作ってるんだよ。その方が楽だろうしね。要するにこれは手抜きだな。」
ちゃまが少し心配そうに言う。
「そうだと…良いんだけどね。」
そのまま全員は歩き続け、真ん中まで到着し、入ってきた入り口は閉ざされ、目の前に時空の歪みが発生した。
会長が指示をだす。
「何にせよ。出てきた敵によってそれはわかるじゃろうて。戦闘準備っ!!全員構えるのじゃっ!!」
その時。
目の前にあった時空の歪みが地面へと落ち、フィールド一面に一瞬で広がった。
それを見てちくびが驚いた。
「さっきと違うっ!!」
会長から激声が飛ぶ。
「全員警戒っ!囲まれるぞっ!!」
体格は小柄、鋭い爪を生やし、目元は石のお面で覆われ、口元には鋭い牙、非対称の角、筋肉組織は青色に発光してる様に伺えた。
そして、何十匹の鬼が下から幾度となく這い上がる様に現れ、為心達は囲まれた。
「袋叩き状態かよ。さっきの予定してた作戦には無かった!会長どうする?」
リタが指示を求めた。
リタは理解していた。
この場合、独断での行動は隊列を乱し、混乱し、致命的に陥(おちい)ると。
「ちゃまとちくよっ!突破口を開くのじゃっ!そして為心につづけっ!」
「時雨っ!!」
「水光弾っ!!」
光の矢が激しく突き刺さり、水の玉は幾度となく鬼を貫通し、鬼が青黒く液体の様に弾けた。
「ポリゴンにならないっ!?」
ちくびが叫んだ。
会長がさらに指示をだす。
「構わんっ!今はこの状況を優勢にすることが先決じゃっ!為心よっ!やるのじゃっ!ワシが右側のケツを持つっ!」
「閃光!乱舞っ!!」
開いた突破口から為心が左へ斬り刻む。
刃(やいば)を一太刀(ひとたち)いれる度に1匹づつ液体になり、散乱していく。
「手数が足りないっ!ちくちゃん!加勢してっ!」
為心が加勢を求めた。
「了解っ!…水刃槍連斬(すいばそうれんざん)」
魔氣 攻撃スキル
水刃槍連斬(すいばそうれんざん)
杖の両端に水でできた刃を生成し、両刃槍として攻撃を繰り出す。
ちくびが加勢したことによってスムーズに進行し始めた。
「結構片付いたかっ!?」
為心がちゃまに聞く。
「粗方(あらかた)ねっ!」
会長の指示が飛ぶ。
「残りは各自掃滅(そうめつ)じゃ!」
決して、強くはない敵だった。
しかし、何かがおかしいと誰しもが思っていた。
最後の1匹を会長が討ち取り、指示を出す。
「必ず何か起こるっ!ちくを中心に円を張るのじゃ!」
為心達は円を張り、その何かに警戒し、沈黙がつづく。
「…。」
その時、液体が動き出し、1箇所に移動していた。
「集まる方向に合わせて陣形を変えるのじゃ。リタよ!何が起こるかわからないこの状況…主のスキルがあって助かるっ!」
リタを筆頭に陣形が形成された。
そして、全ての液体が集まったことでかなりの大きさが伺えた。
「心魂…鷹の目っ!!」
リタの瞳が蒼(あお)く発光し、陽気が立つ。
その間に液体は徐々に大きく形を変え、左腕を形成していく。
「…っ!! 絶っ!!」
リタがシールドを展開した直後、液体の固まりは形状途中だが、作り終わっていた大きい左腕だけで攻撃をし、鬼の大き過ぎる拳とシールドから火花が飛び散っていた。
リタは鷹の目のスキルで、一歩先を見ていた為、防御を取ることが出来た。
「リタよっ!なんくるないかっ!?」
会長がリタに確認する。
「こんな時に沖縄の方言持ってこないでよっ!でも、大丈夫っ!さっきの奴程じゃないっ!」
「鬼のHPゲージが表示されたっ!まだ次のモーションまでの今のうちに出来るだけ攻撃をぶち込むのじゃっ!」
「了解っ!」
「了解っ!」
「了解っ!」
リタ以外がスキルを一斉(いっせい)発動した。
「時雨一旋っ!」
ちゃまは光の矢を降らせ、さらに凄まじい一撃の矢を放った。
「水光弾っ!」
ちくびは光の水を凄まじい速度で飛ばした。
「閃光…乱舞っ!!」
為心は一瞬で後方へ回り込み斬撃を繰り出した。
「刻爆炎…十火炎斬っ!!」
会長は正面から猛烈な十連撃と爆発音を幾度と無く繰り返した。
その間に右脚、左脚と形状を完成させ、右腕まで完成した時。
「会長っ!危ないっ!」
リタが声を荒げた。
「絶っ!」
鬼の右拳が会長めがけ振り下ろされた。
「心魂…挽回っ!!」
凄まじい光と共に鬼の右腕が吹き飛んだ。
それと同時にリタが耐えていた鬼の左拳をシールドの角度をつけ滑らせ、後方へ流した。
鬼の拳は地面へと攻撃する形になり、バランスを崩した。
「チャンスじゃっ!ぶち込めぇっ!!!」
会長の指示の元、全員が技を繰り出した。
「一旋っ!!」
「水刃槍連斬っ!!」
「光剣っ!!」
「鳴上…乱舞っ!!」
「刻爆炎…十火炎斬っ!!」
自分のポジションからの攻撃、仲間の位置など、全員は理解しているスキルの使い方だった。
未来を見ていたリタは最後の一撃をとっていた。
「終わりだっ!光剣っ!!」
凄まじい光の攻撃により、鬼は不完成のままポリゴンになり、弾けて消えた。
太刀を戻しながらリタが口を開く。
「やっぱり普通はこれぐらいじゃない?やっぱり最初の鬼がおかしいよね?」
それについて為心が答える。
「どうだろうな、根こそぎHPを持って行けたからよかったけど、もしかしたら今倒した鬼も形態変化してたかもな。その条件がなんなのかはわからないけど。」
「確かにのう。ただ、タンクが2人にこのメンバーのステータスは強い部類じゃ。それにリタの心魂があってこそじゃし、今回は相性がよかのう。」
会長が言葉を口にし、全員は消耗することなく次に行くことができた。
同じくして、新しい扉が開き、会長を筆頭に歩き出す。
「今半分ぐらいかな?」
ちくびが口を開く。
ちゃまが答えた。
「んー、今までのゲーム時のクエストと考えても3分の1か半分って感じはするよね?」
「後、半分かー。しかもこれからボスってなると本当に骨折れそう。」
その時。
「シッ!!」
会長が人差し指を口に当てた。
「…。」
全員の顔つきが変わった。
周りにだけ聞こえる声で会長が言う。
「何か聞こえる。」
恐る恐る全員が出口より先の音の正体を見た。
そこは縦に長い長方形の大きな通路。
おそらく1番奥にはボスであろう扉が構えられていた。
しかしその扉に向かうにはこの通路を抜けなければならない。
「あ、あたし、結構苦手かも。」
ちゃまはそれを見てひとこと呟いた。
色白に足が4本の尻尾を生やした大きい昆虫のような者たちが何千匹と床が見えないほど徘徊し、天井には卵があり、定期的に羽化していた。
「俺も結構きついかも。」
ちくびもそれを見て背筋が凍った。
そして会長が指示を出す。
「壁を背にして戦うしかないのう。ちゃまは天井を、他はちくびを中心に乱戦じゃ。」
準備が整った。
「水浄化っ!!」
ちくびは全員にバフをかけた。
「浮遊。……心魂…巻龍(かんりゅう)っ!!」
ちゃまは敵の群れ目掛けて超大型の竜巻を起こした。
「水光弾っ!!」
ちくびはスペースを作る。
「いくぞっ!……閃光っ…乱舞っ!!」
為心を筆頭に乱戦が始まった。
「リタよっ!光剣じゃっ!!」
「はいよっ!!…心魂っ…光剣っ!!」
「水刃槍連斬っ!!」
出たしは非常に良好だった。
しかし。
「くっそっ!!フォーメーションもクソねぇなっ!!全然数が減らない。」
為心から疲れが伺えた。
「会長っ!これってもしかて?」
リタが会長に聞く。
「ワシもそう思った!」
ループの可能性。
全員がそう思った。
「主ら赤生水はまだあるか!?底尽きても困るぞ!」
「ボス一戦ぐらいはギリってとこかな?!」
会長の言葉に為心が答える。
「同じく。」
リタも言葉を返す。
「わたしもそのぐらい!」
ちゃまも返事をした。
「俺はまだ大丈夫だけど、みんながやばいっ!」
ちくびも返事を返した。
「全員消耗が激しいか…。」
会長は考えた末に言葉を続けた。
「…主らよっ!!賭けに出ても良いか!?」
「問題ないっ!」
その質問にリタが答え。
「わたしはついて行くよっ!」
ちゃまが答え。
「行こう会長っ!」
ちくびが答え。
「今更なにいってんだか!」
為心が答えた。
その答えに会長は。
「良く出来た奴らじゃ。……っ突破口開けっ!!全員突っ込むのじゃっ!!!」
もう一度スキルの嵐が舞った。
ちゃまの巻龍が一掃し、ちくびの水光弾が流れ、為心の凄まじい速度での乱舞が道を切り開き、リタと会長の十火炎斬が音を立て、全員が突き進む。
「あと少しっ!」
誰しもが思った。
「扉までもうすぐっ!」
全員が思った。
「あともうちょっとっ!」
為心が激声をあげる。
「邪魔だぁぁぁああああああ!!!!」
凄まじい斬撃にの末に為心が扉までたどり着いた。
「うらっぁぁあ!!」
乱舞の回転を利用し、扉を蹴り破り、全員が雪崩込んだ。
「閃光っ!」
為心が閃光を使って切り返し、全員が入ったことを確認して扉を閉めた。
その時。
「少し遅過ぎるんじゃないか?退屈で死にそうだったよ。」
最初とは打って変わって神殿のような空間が広がり、壇上の真ん中に高級そうな赤いソファーがある。
そこに座る長い白髪を結んだ全身を白のスーツで合わせ、綺麗な顔立ちの男が言葉を口にしていた。
「ん…?プレイヤー?」
為心がその男を見て疑問に思った。
リタが答える。
「いや、違う。プレイヤーHPゲージもゲームネームも乗ってない。プレイヤーではなさそうだ。」
「じゃーあれが鬼か?というか、今喋ってたよね?」
ちくびが困惑する。
「あれが?ボス?任務のタイトルって眠る鬼じゃなかった?…起きてんじゃん!」
そんな中、会長が聞く。
「主は一体なんなんじゃ?」
彼が答える。
「私の名前かい?…君たちに分かりやすく言うならヴァイラスかな。」
「ところでそのヴァイラスさんはここで何をやってるのじゃ?」
「んー…実験ってところかな。」
「ほう。なんの実験じゃ?」
「君たちを消す為の実験さ。」
「要するにヴァイラスさんはワシらの敵なのじゃな?……じゃが、話が出来るなら敵にならない方法があるのではないか?」
「それは無理な話だ。」
「何故じゃ?」
「例えば、君たちは家に入ってきたゴキブリが会話が出来たとして、家の中で共存を選択することが出来るのか?」
「ま、無いじゃろうな。」
「それと一緒さ。」
「そうか。ちなみにじゃがもう一つ、この世界の状況は何故こうなっているのか知っておるか?」
「それは私が聞きたい所さ。君たちの中にそれを知っている人物が居る筈なんだ。そいつを探している。…しかし、その様子だと君たちは知らないみたいだね。」
「知らなかったらどうするのじゃ?」
「君たちに用は無い。」
その時、全員が凄まじい悪寒を感じた。
その言葉を言い終えたと同時にヴァイラスの姿が消えた。
「全員戦闘態勢っ!!……っ絶っ!!」
会長は防御に入った。
「ヴグゥハァっ!!」
気づけばヴァイラスは会長の目の間に移動し、絶のシールドに向かって蹴りを放った。
シールドが凄まじい音を立てて割れ、会長は蹴りを顔面で食い、吹き飛び壁に埋まった。
「会長っ!!」
為心が叫ぶ。
「心魂……鷹の目っ!!」
ヴァイラスはまた消えた。
それをみてリタが心魂を使った。
「…。」
一時沈黙が流れた。
「っ!!」
リタがヴァイラスの攻撃を避けた。
「君凄いね?これを避けられるんだ?…じゃーこれは?」
ヴァイラスはまた消え、リタの後ろに現れ、右手の攻撃が飛ぶ。
しかし、リタはそれも避けた。
ヴァイラスはまた消え、現れては攻撃をしてくる。
「くっそっ!!」
ヴァイラスの消えて現れるスピードが徐々に速くなる。
リタはもはや鷹の目のスキルに合わせて感で避けていた。
しかし。
「ぐぅっ!!」
ヴァイラスの左の払い手での攻撃を食い凄まじい勢いで吹き飛びリタも壁に埋まった。
「ちくちゃんとちゃまは下がってて、こっちから攻める。」
為心が構える。
「心魂…鳴上…」
双剣に雷が纏う。
「…閃光…」
自分に雷を纏う。
「…夢幻刹那っ!!」
為心が消えたと同時にヴァイラスも消えた。
空中で斬撃の音だけが幾度となく鳴り響く。
「うらっ!!」
「こな程度なのか君たちは。」
為心の攻撃は弾かれ、そして避けられ、一向に当たらない。
「つまらないな。」
「ガッハッ……!!!!」
ヴァイラスの踵(かかと)落としを食い、地面に叩きつけられ、為心は跳ね上がった。
「死ね。」
「せん…こう……グッハッ!!!」
跳ね上がった為心をヴァイラスが回し蹴りでとどめを刺そうとしたが、為心は閃光を使いダメージは少し流され、床に転がった。
「ほう。今のはいい判断だった。しかし、君はもう飽きた。」
ヴァイラスはちくびとちゃまの方を見た。
「や…め……ろ……。」
為心は起き上がれないながらに地面を這(は)った。
ヴァイラスは消え、気づけばちゃまの後ろにいた。
「君の中身は女か……。」
ヴァイラスはアバターの中身を知っていた。
そして、ちくびが遅れて気づく。
「やめろっ!水刃槍連斬っ!!」
一太刀目で柄(つか)を掴まれ止められた。
「私はこの女と話してる…君は邪魔だ。」
「ウッ……!!」
ちくびは蹴り飛ばされた。
ちゃまは恐怖のあまり震え、声も出せずにいた。
そしてヴァイラスが口を開く
「よし。今日は君にしよう。」
そう言葉を口にしつつヴァイラスはちゃまの顔を撫でた時、ちゃまの意識がなくなった。
崩れ落ちるちゃまを人差し指で操作し空中に浮かせた。
「やめろって言ってんだろぉぉぉ!!!」
為心が赤生水を全部使い、ある程度回復し、攻撃に転じた。
しかし。
「…!?」
為心の一太刀は空を斬りヴァイラスとちゃまは移動していた。
「もう君たちに用は無いのだよ。」
ヴァイラスが指を鳴らした。
すると、ヴァイラスの背後に時空の歪みが現れた。
「今の君たちには私がわざわざ手をくだす必要もない。」
そして、時空の歪みから鬼が出てきた。
歪な石で洋服を着飾り、非対称の角、長い尻尾の今度は女性型が現れた。
「さらばだ。」
ヴァイラスはそう言い残し、ちゃまを連れて時空の歪みに入ろうとした。
「いかせるかぁぁぁあああっ!!!」
為心が急に青緑の光を纏い、閃光より速い速度でヴァイラスのすぐ側に移動した。
「何!?」
ヴァイラスもその速さに驚いた。
しかし。
鬼が後ろで右手を振り上げていた。
「光剣っ!!」
更にその鬼の後ろで会長がスキルを発動していた。
「遅くなってすまぬっ!」
鬼の右手は吹き飛び、攻撃は為心に届かなかった。
「雷炎。」
ヴァイラスは為心に手を翳(かざ)し速いモーションで放つ。
「っ絶っ!!為心頼むっ!」
その雷炎にリタが防御した。
「くっそっ!!ゔぁっ!!」
しかし威力に耐えきれずリタは吹き飛んだ。
「うらぁああっ!!」
二人からの援助を受けつつ為心の下から振り上げる一太刀に対しヴァイラスも攻撃に転じた。
「チッ。くれてやる。」
ヴァイラスの突き抜く攻撃で出した左腕を為心の一太刀が吹き飛ばした。
その勢いのまま為心は遠心力を使い二撃目に入る。
しかし。
ヴァイラスの右手側からの攻撃が始まっていた。
「殺してやる。」
「うぉおおおおっ!!!!」
攻撃は紙一重の差だった。
その一時が2人にとってとても長い時間に感じていた。
その中で為心は。
『もっと早くっ!』
『…もっと早くっ!!』
『…とどけぇぇぇえええええっ!!』
しかし。
ヴァイラスの方が速く、為心への攻撃が迫る。
『…クッソっ……。』
しかし、その時だった。
急に目の前に黒い影が現れた。
「為心っ!」
ちくびがヴァイラスの攻撃に身を乗り出していた。
そして、ヴァイラスの右手がちくびの胸を貫き、反対側まで手が抜けた。
それを見て手を止める事を許されない為心は剣に感情を乗せた。
「っ!!……う、うぁぁああああああ!!!!!!」
為心は怒りの余り激声を上げ、剣を力一杯振り上げた。
剣はヴァイラスの脇腹から顔にかけて為心の一太刀が入った。
しかし。
その攻撃は浅かった為に為心は右脚の蹴りをもらった。
「ウッ……!!」
為心は吹き飛ばされてしまった。
「お前たちは必ず私が殺す。必ずだ。」
ヴァイラスはそう口にしつつ、腕に貫いたままになったちくびをゴミの様に振り払った。
「おい待てよっ!ねぇちゃんを離せよっ!」
リタの声も届かず、ヴァイラスはちゃまと共に時空の歪みへと消えた。
「………………ちくちゃん……。」
為心は胸に大きく穴が開いた仲間を見て唖然とした。
「絶っ!」
為心の近くで衝撃音が鳴り響いた。
鬼が為心に向かって雷炎を放ったのを会長が受け止めてた。
「うりゃっ!!…為心よっ!大丈夫かっ?!」
会長は雷炎をはね返し、為心を心配した。
「…ち…くちゃん…ちくちゃん……」
為心には会長の声が聞こえていなかった。
這いつくばり、ちくびのところへ向かう。
「リタよっ!頼む加勢してくれっ!」
会長は1人で鬼と対峙していた。
「…ねぇちゃん……ねぇちゃん…うぁあああああっ!!!」
リタは怒りのあまりスキルを使わずに、ただ鬼を斬った。
「なんでだよっ!なんで守れなかったぁぁああ!!」
リタは力いっぱい鬼に太刀を振るった。
しかし。
「うわっ!!」
鬼の振り払いに耐えきれず吹き飛び転がった。
「ねぇちゃん……ねぇちゃん…。」
リタは動く気力を無くしていた。
そして、為心がちくびにたどり着いた。
上体だけ少し起こし、今にも眠りそうな顔を覗き、震える声で呼んだ。
「…ちく…ちゃん…?」
「ご…ごめん…為心…か…勝手な事して…。」
ちくびのHPはもう無かった。
「ちくちゃん……いやだよ…いやだ………。」
震える手で仲間を必死で支えた。
「ごめんね…俺は…ここまでみたい。」
「ちくちゃん…。」
今だからこそ話したい言葉はたくさんあった。
しかし、哀しさの余り為心は名前を呼ぶことしかできなかった。
「せっかく助けたんだから…為心は…生きて…。」
「いやだよ…ちくちゃんが居ないとっ!!隣にちくちゃんがいないじゃ……嫌なんだよっ!!」
為心は声と手の震えが止まらく、仲間の意識を繋ぎ留めようと必死に名前を呼んだ。
「…ぢくぢゃんっ!!!」
「たのし…か…た……よ……あり…が………」
言葉を言い終える事も出来ず、ポリゴンになり、弾け、為心の腕の中で消えた。
「…ちく…ちゃん…。」
「………ブ…………ブブ……。」
為心の体が歪んだ。
「う……うぁぁぁぁあああああああああああっ!!!!!」
為心の号哭(ごうこく)に合わせて体は更に歪み、ライトエフェクトに似た発光する青緑の電気が帯(お)びた。
その光は徐々に強まっていき、丸く為心を包みこんだ。
「為心っ!くっそっ!1人じゃちときついのう。」
その間、会長は為心の状況を心配しつつも鬼から手が離せなかった。
「絶っ!!心魂…挽回っ!!」
鬼の攻撃にカウンターを使い、鬼をいったん吹き飛ばした。
「為心っ!!いさねぇーっ!!」
会長は夥(おびただ)しい青緑の丸い光に呼びかけた。
「あああぁぁぁぁぁぁぁあ、あ゛ああ゛あ゛あ゛!!!!!」
為心の号哭(ごうこく)な激声にノイズが混じる。
光が更に一層強くなった。
その時。
会長に向けられ鬼は雷炎の咆哮を放っていた。
会長は遅れて雷炎(それ)に気づいた。
「くそッ!間に合わないっ!」
会長は目を瞑(つぶ)った。
その時だった。
「グギャァッ!!」
奇声と共に凄まじい衝撃音が響いた。
会長が目を開けるとそこには…
「お…ぬし…いさ…ね…なのか…?」
目の前にはたしかに長い白髪の女性が立ち、雷炎を片手で受け止めていた。
しかし。
洋装は遥かに変わっていた。
手は無くなり双剣と融合し、ライトグリーンだった目は赤く染まり、綺麗に武装された青緑の筋が流れるモノリスが体を補強するかのように配置され、尻尾までもが生えていた。
その姿はまるで。
「…鬼…なのか……?」
その時、為心に対し鬼が威嚇した。
「グヴァァァアアアアアッ!!!!!」
為心は雷炎を吹き飛ばし、瞬間的に鬼の目の前に移動した。
そして、鬼が右手を振り上げた時、気づけば鬼の右腕は無くなっていた。
その次に左腕、右脚、左脚、次々と消えていく。
「な…何が……起きているのじゃ。」
為心の斬撃が速すぎるあまり誰も目で捉えることは出来なかった。
転がった胴体に為心は融合した腕の剣先を向け、ライトグリーンの稲妻の玉を生成した。
そして、放った。
凄まじいら衝撃音とあまりの光の量と爆風に会長は目を背けた。
そして、光が鎮圧(ちんあつ)し、会長が目を開けた時クリアの文字が浮かんだ。
「……。」
為心が会長を見る。
会長はすぐ様、刀を構えて言った。
「主は為心か?それとも鬼か?」
「……。」
しばらく沈黙が続いた後に為心が倒れ、元の姿へと戻った。
会長は一つため息をつき、その場で崩れる様に座り込んだ。
「……すまなかった。」
怒り狂うことが出来ればどれだけ心が楽になれただろうと思いつつ、会長は怒りと無気力と悲嘆を抑え、転送コマンドを選択した。
この日ロスト1名、行方不明1名が出た。
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