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一つになる意味
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4節 「一つになる意味」
山の麓(ふもと)。
口を開けるかの様に遺跡の入り口があった。
それを見てちくびは言葉を発した。
「いかにもやばい雰囲気めっちゃ出てるんですが…。」
洞窟の中を会長を筆頭に進む。
出口が明るく見えるのを発見し、リタが言葉を口にした。
「この通路は安全ポイントなんですかね?HPの残量次第ではここに逃げれば態勢を立て直せるんじゃ?」
それについて会長が言葉を口にする。
「そうじゃとしたらロストはでん。」
「たしかに。」
出口を出るとドーム状に広い空間が広がっていた。
シンメトリーに設置された門番の様な鬼の石造が左右に配置され、綺麗なイメージの遺跡だった。
それについてリタが口を開いた。
「なんか、もうこれからボスの勢いのグラフィックじゃない?」
ちくびがそれに反応した。
「え!?やめてよ!それフラグ立つじゃん!」
その会話に会長が入る。
「大丈夫じゃて。最初は雑魚と決まっておる。」
そんな会話をしながら中央部まで来た時、入ってきた後ろの洞窟は魔法の様に石で埋められた。
「やはり掃除せんことには休みはなさそうじゃの。」
その言葉に皆は改めて認識した。
その時、目の前に時空の歪みが現れた。
すかさず会長の激声が飛んだ。
「戦闘準備っ!ちゃま!後方から援護!ちくは中衛!リタはちくを守れ!為心は左から旋回!」
歪みの目の間に会長は構え、全員は配置についた。
息を殺しその時を待つ。
あたりは静まりかえり歪みの音だけが響く。
その刹那、歪みの奥から光が見えた。
「絶っ!!」
陽刀 防御スキル
無数に連なる六角形のシールド。
会長がシールドを展開したほぼ同時だった。
雷炎(らいえん)の様なライトエフェクトの玉が歪みから放たれ、シールドに衝突し、凄まじい音を立てた。
「くっ!これはちときついのう…ちくよ!!ワシをブーストさせるのじゃっ!」
「はいっ!…水浄化(すいじょうか)!!」
魔氣 回復スキル
魔法陣を生成し、回復、そして、一時的にステータスを二倍にする。
「クッソ!!これでギリじゃと!?」
会長が持ち堪える。
その間に歪みから脚、腕、そして、1匹の鬼が出て来たのを全員が目視した。
その風貌は、歪な石の鎧に、中に見える筋肉組織は赤く光り、非対称な歪な角。
「コイツこの間の奴じゃないか!?」
為心が鬼を見て言葉を発した。
ちくびがそれに答える。
「やばいって!もうただのボスじゃん!!この間は何十人で倒したのにっ!!」
ちゃまが鬼に向い矢を放った。
「一旋(いっせん)!!」
皇矢 攻撃スキル
風を使い渦巻く強力な矢を放つ。
ドリルの様に渦巻く矢が鬼目掛けて凄まじい勢いで飛ぶ。
その時。
「ぅぅううううりゃゃゃゃあああああ!!!」
会長の叫びと共に耐え続けていた鬼の咆哮を真上に吹き飛ばした。
そして一旋が着弾。
間髪を入れずにちくびがスキルを使う。
「水幻(すいげん)。」
魔氣 サポートスキル
霧を発生させ、仲間を敵から隠す。
「サンキューっ!!」
為心が攻撃態勢に入る。
「閃光っ!!」
双月 回避&攻撃スキル
雷を纏(まと)い、加速する。
為心は霧の中を鬼目掛けて斬り込み、手応えを感じたと同時にもう一つのスキルを発動した。
「乱舞(らんぶ)。」
双月 攻撃スキル
凄まじい速度で回転しながら斬りつける。
閃光でブーストされた速度に乱舞の乱撃が重なり凄まじい速度での斬撃を為心は繰り出した。
しかし。
「うわっ!!」
声とともに霧から為心が吹き飛び、十数メートルの壁に叩きつけられた。
「いっ、てぇー....。」
そして。
「ウォォォォォオオオオオオオオオ!!!!!」
鬼の雄叫びで周りの霧が消しとんだ。
すかさず、会長が声を上げる。
「ちくよ!為心をかいふっ…」
指示を出す前に会長は一瞬で鬼に距離をつめられた。
「ぜっ…」
鬼の右手の大振りが会長目掛けて振り抜かれた。
「グッハッ!」
会長は防御スキル「絶」が間に合わず、見事に鬼の攻撃で吹き飛んだ。
鬼の標的が目の間にいるリタにうつり、鬼の手のひらが光輝(ひかりかがや)き始めた。
「絶対絶命じゃん。」
苦笑いしながらリタは鬼に向け構えをとる。
すると鬼がリタに向けて腕に溜めた雷炎のエフェクト放った。
「絶っ!!」
着弾と同時にリタが吹き飛び、転がった。
「リタっ!!」
ちくびが叫ぶ。
「大丈夫っ…あれでギリかよ。会長はあれ以上を止めてたとかマジバケモン。」
冗談が言えるほど軽傷だった。
鬼は脚に力を入れる態勢になり、ちくびに向かい一直線に飛び、長く伸ばした爪をちくび目掛けて攻撃をした。
「やばっ!!」
為心がそれに気づいた。
「閃光っ!」
鬼の伸ばされた爪目掛けて双剣をクロスした状態で滑らせ、軌道をずらすことに成功した。
鬼はそのまま遺跡の壁に音をたてて衝突し、遺跡の瓦礫に埋まった。
「危なかったー!為心ありがとう。」
ちくびが為心に礼を言う。
「ちくちゃん回復して!」
「わかった!…水浄化!」
為心の足元に魔法陣が浮き上がり為心は回復した。
「いたたた…油断してもうたの。」
瓦礫から会長が起き上がった。
それを見てちくびが声をかける。
「会長回復は?」
「まだ大丈夫じゃ。主ら体勢を立て直すぞ。」
「了解!」
「了解!」
「了解!」
「了解!」
ちゃまがスキルを使った。
「浮遊。」
皇矢 サポートスキル
浮遊
自分の周りに風を起こし自由自在に空を飛ぶ事が可能。
そして鬼がいる瓦礫に向かって攻撃をした。
「時雨っ!!」
皇矢 攻撃スキル
時雨(しぐれ)
雨の様に光の矢を降らす広範囲攻撃。
すかさず、ちくびも攻撃をする。
「水光弾(すいこうだん)っ!!」
魔氣 攻撃スキル
水光弾(すいこうだん)
魔力を凝縮した水の玉を凄まじい速度で数多く放つ広範囲攻撃。
ちゃまとちくびは広範囲攻撃スキルで瓦礫の一掃と鬼の目視を図った。
「まだ怯まないのかよ!」
リタが攻撃をされている鬼のHPゲージを確認するが、半分にも満たない状態だった。
「そろそろ怯んでもらうとするかの。」
会長の一言に合わせて鬼が一直線に飛び、長く伸ばした爪を会長目掛け攻撃を繰り出した。
「この程度ならワシが止める。…絶っ!!」
シールドに鬼の爪が衝突し、衝撃音と共にジリジリと火花を放ち、会長は受け止め続けた。
「ちょうどよい。主らに心魂は変化したかと聞いたな?」
この状況で会長が会話を始めた。
「主らがアバターと意識のズレを感じているのは、まだ主らがプレイヤーのままが原因じゃ。」
「会長大丈夫?いまそれ必要!?…水浄化!!」
ちくびが会長に、向けて水浄化を使用した。
「問題ない。陽刀の心魂は光剣じゃ。しかしのう。この世界(ゲーム)を受け入れ、この世界で生きると腹をくくり、このアバターがアバターではなく自分自身だと認めた時に心魂がもう一つ増える…。…見ておれ…。」
会長が意識を集中する。
そして。
「心魂…挽回(ばんかい)っ!!」
その刹那、激しい衝撃音と共に眩(まばゆ)い光に包まれ、鬼が凄まじい速度で吹き飛び、壁に当たり、瓦礫の下に埋まった。
「なにそれっ!?カウンターだよね?そんなスキルこの世界(ゲーム)には存在しなかったでしょ?」
為心が驚いた。
「おそらく各個人出てくるスキルが違うのじゃ。自分だけの本当の固有スキル。ワシはカウンターじゃった。ワシは会長だからの。皆を護ると強い決心した時解放した。それからワシはリアルの自分では無く、結晶華の会長じゃ。意味はわかるな?」
為心が答える。
「いや!ごめん!わかんない!」
しかし、リタが誰にも聞こえない声で口遊む(くちずさ)。
「なるほどね。そういうことか。」
その時。
「ギュゥゥゥゥィィイイイイ…」
耳が痛くなる程の低い音から高い音へ変わる音が瓦礫から聞こえてきた。
「またあれか。芸のない奴め。…リタっ!ワシと絶を組むのじゃ!」
「あいよっ!溜めモーションだから準備できて助かる。」
「ちくよ!ブーストじゃ!」
「水浄化!!」
リタと会長が太刀を構え、ちくびは足元に魔法陣を出した。
「絶っ!!」
「絶!!」
シールドを展開と同時に瓦礫が吹き飛ばされ、雷炎の玉が飛んできた。
そして着弾。
「2人だとらくぅー!」
リタが余裕そうにテンションが上がってくる。
すかさず会長が指示を出す。
「ちゃまっ!」
「はいっ!…時雨っ!!」
「ちくよ!霧じゃっ!」
「あっ!はい!…水幻!」
「為心っ!」
「わかってるっ!!…閃光乱舞っ!!」
パーフェクトな連携を取り、為心が合わせ技で斬り刻む。
「リタっ!真上に弾くのじゃっ!」
会長が雷炎をリタと一緒に真上に弾いた。
そして、為心のモーションが終わる間際、鬼が態勢を崩し片膝を地面に落とした。
為心はそれを見逃さなかった。
「心魂…鳴神(なるかみ)…夢幻刹那(むげんせつな)っ!!」
双月心魂
鳴神(なるかみ)
斬りつける度に雷撃が落ちる。
双月 攻撃スキル
夢幻刹那(むげんせつな)
自分を光の速度に置き換え、空中に磁場を生成し、足場にし、全ての方位から斬撃をする。
為心はこの世界(ゲーム)に設定されていた心魂、鳴神を使い、合わせ技の夢幻刹那を使用した。
「うぉぉぉおおおおおおおっ!!!!!」
為心の激声は聞こえるが姿は見えないほど速く、光が閃光の様に当たりを明るくし、斬りつける度に凄まじい速度で雷が落ちていた。
「閃光っ!!」
モーションが終わり、その言葉を発して為心が距離を取った。
「やったかっ!」
「それ言っちゃダメっ!!」
ちくびが為心の言葉に物申した。
「ギャァァァアアアアアアアァァァァっ!!!!」
鬼の激声が耳を打った。
「ほらっ!為心の所為(せい)フラグ立ったじゃんかよっ!!」
「いやっ!私の所為じゃなくてっ!そう言うシステムだからっ!!」
「2人とも気を付るのじゃっ!!何かおかしいっ!!」
会長は何かを考えていた。
そして、鬼にこびり付く鎧の間から見える赤く発光していた筋肉が更に赤く発光した。
まるで燃えているかの様にも伺え、そして鬼が空中に浮き始める。
まるで胎児の様に膝を抱えて空中で丸く屈み込んだ瞬間、鬼の体全体は赤く光輝(ひかりかがや)いた。
「眩しっ!」
「何も見えないっ!」
為心たちは目視することすらできなかった。
そして光が落ち着き、鬼を確認する。
するとそこには。
「まさか、あれが…鬼…?」
為心の目の前には、歪な石は洋服の様に所々残り、その間からは人間に似た皮膚、長い尻尾と非対称の角を生やした、裸の幼女がいた。
さらに、減らしたHPも回復していた。
「名無しの童(わっぱ)。これを知っててあの時、瞬殺したようじゃの。」
会長があの時のノーネームの事を思い出していた。
「情報ぐらい教えて欲しかったのう。もしもの時は怨むぞ名無しよ。」
鬼の目が為心を向く。
標的にされたと認識し、閃光スキルを発動する。
「せんっ…。」
数メートルの距離を目に見えない速さで詰められ、脇腹に蹴りを食らった。
そのまま壁に衝突し瓦礫の下敷きになった。
「為心っ!!」
ちくびが回復しに行こうにも鬼はこちらを見ていた。
「僕が引き受けるよ。」
リタが軽々しく、そして余裕そうに言葉を口にした。
「主だけじゃ不可能じゃ。2人で行くのじゃ。」
会長がリタを止めた。
「いやいや、まー、見てなって!」
「リタよ。命を落とすぞ。」
「その時は助けてよ。」
リタは鬼に向かって歩きだす。
無謀にも似た光景だった。
会長は話を聞かないリタに何も言わずただリタの背中を見ていた。
「会長!いいんですか?」
ちゃまが心配そうに聞いた。
「最善は尽くす。ちくよ!為心は無事と仮定し、リタにブーストを!ちゃまは壁を作ってやるのじゃ!」
「水浄化っ!!」
「風壁(ふうへき)!!」
足元に魔法陣と風の膜がリタにバブとして使用された。
「いらないのになー。」
「まーそういうでない。お手並拝見といこうかの。」
「認めればいいんだよね?僕そう言うの得意だからさ。」
「ほう。自分の意思で解放すると?」
「試して見る価値はあるよね。」
リタは鬼に向かい歩いて行く。
鬼も少しずつリタに近づく。
『認めるねー。どちらかと言うと受け入れると言った方が正しいのかな。…このリタが僕の物に成るって最高じゃん。…僕は…今まで異世界(こういう)のを求めていたんだ。…鬼説(ここ)が僕の現実(リアル)になるなら何だってくれてやるよ。』
「…僕は……リタだっ!!」
すると、リタの周りに凄まじい風圧と青いライトエフェクトが螺旋状に舞った。
「ふーん。…これが僕の力か…良いじゃん。」
鬼は何かを察したのか腰を深く落とし、手は広げて、戦闘態勢に入った。
「心魂…鷹の目。」
リタがスキルを発動した瞬間。
瞳が蒼(あお)く光り、陽気が淡(あわ)く立っていた。
そして。
2人は数メートルあけて戦闘態勢に入ってから少しばかり沈黙がつづいた。
そして。
動き出したのは鬼だった。
しかし、あまりの速度の速さに消えたと誰しもが認識した。
そして、気づけば鬼はリタの心臓目掛けて爪を突き出していた。
「彼奴(あやつ)!!失敗(しくじ)りおったかっ!?」
そこに居る会長も含め、全員が死んだと思った。
しかし。
「少し危なかったねー。まだ慣れるまで時間かかりそうだ。」
笑うリタがそこにはいた。
鬼の攻撃を間一髪ギリギリの所で交(か)わしていた。
「今度は、こっちの番だよっ!…刻爆炎(こくばくえん)…十火炎斬(じゅうかえんざん)っ!!」
陽刀 攻撃スキル
十火炎斬(じゅうかえんざん)
遠心力を利用し、炎を纏い十連斬りする。
刻爆炎(こくばくえん)
斬りつけた度に爆発を起こす。
リタの猛攻が始まった。
凄まじい斬撃と鳴り響く爆発音。
しかし、鬼もただ攻撃を受けてるだけではなかった。
鬼も見えない速度で攻撃を繰り出してはいるものの、リタに全て避けられ、回復したはずのHPは徐々に減る一方だった。
「ちゃまとちくよっ!リタが引きつけてる間に為心の救出じゃっ!ワシはリタのサポートに回るっ!」
会長が指示をだす。
ちゃまとちくびは為心のところへと走り、瓦礫を退け、為心の無事を確認した。
「為心大丈夫かっ!?」
ちくびが呼びかける。
「HPレッド…ギリギリ。」
「すぐに回復するっ!…水浄化っ!」
「ちゃま、今どうなってる?」
為心がちゃまに戦況をきいた。
「リタくんが心魂を解放して一人であれと戦ってる。」
「リタがっ!?一人で?すげーな。私は鬼の攻撃も見えなかったのに。あの鬼本当にバケモン。」
「よしっ!為心回復したっ!体勢を立て直すよっ!」
ちくびが為心の回復を終わらせた。
「わかったっ!リタ筆頭に陣営を作る!リタの猛攻が終わり次第また水幻で隠してくれ!次は終わらせる!
」
為心達は配置についた。
「為心よっ!無事で何よりじゃっ!」
会長が為心を確認した。
「まだ眠っててよかったのにっ!」
リタが鬼と対峙しながら会話をする余裕もあった。
「すげーな。リタの奴本当に優勢で戦ってる。」
為心が改めてリタの戦いに目を引かれていた。
その時、鬼の片膝が地面へ落ちた。
「とどめっだっー!心魂…光剣(こうけん)っ!!」
陽刀 心魂スキル
光剣(こうけん)
纏(まと)わせた炎の温度が高すぎる為、太陽と同じ輝きを放ち、一刀両断する。
「ギャァァァァァアアアアアアアァァァァア!!!」
悲鳴と共に鬼は炎で包まれた。
しかし、燃ながら鬼は右手に雷炎を作っていた。
「会長っ!スイッチっ!」
リタから直ぐに指示が出た。
「リタよっ!御苦労じゃったっ!…絶っ!!」
リタと会長は入れ替わり、会長がシールドを展開後、雷炎は着弾し、要領を掴んだのか、真上へ跳ね上げた。
そしてすぐに指示が飛ぶ。
「ちゃまとちくよっ!援護じゃっ!」
「時雨一旋(しぐれいっせん)っ!!」
「水幻っ!!為心頼むっ!!」
ちくびとちゃまの連携に合わせて為心が動く。
「心魂…鳴神(なるかみ)。」
為心が持つ双剣に雷が纏う。
「閃光(せんこう)。」
今度は為心自身が雷を纏った。
「夢幻刹那(むげんせつな)っ!!」
為心が発光し、目に見えない速度で消え、霧の中、猛烈な勢いで全ての方位から斬り刻み、雷撃の落ちる音が瞬く間に鳴り響く。
「うぉぉぉおおおおおおっ!!!」
霧が晴れたと同時に為心が空高々に飛ぶ。
「終わりだっぁぁぁぁあああああああ!!」
遥か上空から螺旋の様に回転し、凄まじい速度で雷と共に落ち、鬼を頭頂部から地面まで斬り抜いた。
「…。」
「…。」
「…。」
「…。」
「…。」
一時(いっとき)の沈黙が続いた。
その時、鬼はゆっくりと倒れ、ポリゴンになり、散乱した後、消えた。
為心達の視界にはクリアの文字が浮かんだ。
「結構やばかったー。」
その場で為心が崩れる様に尻餅をついた。
続けて愚痴が溢れる。
「誰だよ!最初は雑魚と相場が決まってるって言った奴はっ!もはやこれボスでしょっ!」
全員が会長を見た。
「まー、まー、全員無事なら良いではないか!!」
会長が開き直る。
「ところでリタよ。主の心魂あれはなんじゃ?」
「心魂、鷹の目。相手の一歩先が見えるスキルだってさ。」
「ほう。次はもっといいフォーメーションができそうじゃの。ところでリタよ。」
「ん?」
「お主は誰じゃ?」
「僕はリタだよ。」
「そうじゃない。現実(リアル)の名前じゃ。」
「…。」
リタは驚きの表情を隠せず、言葉も出なかった。
「思い出せんじゃろう。この鬼説(せかい)に生きると言うことはそういうことじゃ。」
そして、この二人の会話は周りには聞こえていなかった。
山の麓(ふもと)。
口を開けるかの様に遺跡の入り口があった。
それを見てちくびは言葉を発した。
「いかにもやばい雰囲気めっちゃ出てるんですが…。」
洞窟の中を会長を筆頭に進む。
出口が明るく見えるのを発見し、リタが言葉を口にした。
「この通路は安全ポイントなんですかね?HPの残量次第ではここに逃げれば態勢を立て直せるんじゃ?」
それについて会長が言葉を口にする。
「そうじゃとしたらロストはでん。」
「たしかに。」
出口を出るとドーム状に広い空間が広がっていた。
シンメトリーに設置された門番の様な鬼の石造が左右に配置され、綺麗なイメージの遺跡だった。
それについてリタが口を開いた。
「なんか、もうこれからボスの勢いのグラフィックじゃない?」
ちくびがそれに反応した。
「え!?やめてよ!それフラグ立つじゃん!」
その会話に会長が入る。
「大丈夫じゃて。最初は雑魚と決まっておる。」
そんな会話をしながら中央部まで来た時、入ってきた後ろの洞窟は魔法の様に石で埋められた。
「やはり掃除せんことには休みはなさそうじゃの。」
その言葉に皆は改めて認識した。
その時、目の前に時空の歪みが現れた。
すかさず会長の激声が飛んだ。
「戦闘準備っ!ちゃま!後方から援護!ちくは中衛!リタはちくを守れ!為心は左から旋回!」
歪みの目の間に会長は構え、全員は配置についた。
息を殺しその時を待つ。
あたりは静まりかえり歪みの音だけが響く。
その刹那、歪みの奥から光が見えた。
「絶っ!!」
陽刀 防御スキル
無数に連なる六角形のシールド。
会長がシールドを展開したほぼ同時だった。
雷炎(らいえん)の様なライトエフェクトの玉が歪みから放たれ、シールドに衝突し、凄まじい音を立てた。
「くっ!これはちときついのう…ちくよ!!ワシをブーストさせるのじゃっ!」
「はいっ!…水浄化(すいじょうか)!!」
魔氣 回復スキル
魔法陣を生成し、回復、そして、一時的にステータスを二倍にする。
「クッソ!!これでギリじゃと!?」
会長が持ち堪える。
その間に歪みから脚、腕、そして、1匹の鬼が出て来たのを全員が目視した。
その風貌は、歪な石の鎧に、中に見える筋肉組織は赤く光り、非対称な歪な角。
「コイツこの間の奴じゃないか!?」
為心が鬼を見て言葉を発した。
ちくびがそれに答える。
「やばいって!もうただのボスじゃん!!この間は何十人で倒したのにっ!!」
ちゃまが鬼に向い矢を放った。
「一旋(いっせん)!!」
皇矢 攻撃スキル
風を使い渦巻く強力な矢を放つ。
ドリルの様に渦巻く矢が鬼目掛けて凄まじい勢いで飛ぶ。
その時。
「ぅぅううううりゃゃゃゃあああああ!!!」
会長の叫びと共に耐え続けていた鬼の咆哮を真上に吹き飛ばした。
そして一旋が着弾。
間髪を入れずにちくびがスキルを使う。
「水幻(すいげん)。」
魔氣 サポートスキル
霧を発生させ、仲間を敵から隠す。
「サンキューっ!!」
為心が攻撃態勢に入る。
「閃光っ!!」
双月 回避&攻撃スキル
雷を纏(まと)い、加速する。
為心は霧の中を鬼目掛けて斬り込み、手応えを感じたと同時にもう一つのスキルを発動した。
「乱舞(らんぶ)。」
双月 攻撃スキル
凄まじい速度で回転しながら斬りつける。
閃光でブーストされた速度に乱舞の乱撃が重なり凄まじい速度での斬撃を為心は繰り出した。
しかし。
「うわっ!!」
声とともに霧から為心が吹き飛び、十数メートルの壁に叩きつけられた。
「いっ、てぇー....。」
そして。
「ウォォォォォオオオオオオオオオ!!!!!」
鬼の雄叫びで周りの霧が消しとんだ。
すかさず、会長が声を上げる。
「ちくよ!為心をかいふっ…」
指示を出す前に会長は一瞬で鬼に距離をつめられた。
「ぜっ…」
鬼の右手の大振りが会長目掛けて振り抜かれた。
「グッハッ!」
会長は防御スキル「絶」が間に合わず、見事に鬼の攻撃で吹き飛んだ。
鬼の標的が目の間にいるリタにうつり、鬼の手のひらが光輝(ひかりかがや)き始めた。
「絶対絶命じゃん。」
苦笑いしながらリタは鬼に向け構えをとる。
すると鬼がリタに向けて腕に溜めた雷炎のエフェクト放った。
「絶っ!!」
着弾と同時にリタが吹き飛び、転がった。
「リタっ!!」
ちくびが叫ぶ。
「大丈夫っ…あれでギリかよ。会長はあれ以上を止めてたとかマジバケモン。」
冗談が言えるほど軽傷だった。
鬼は脚に力を入れる態勢になり、ちくびに向かい一直線に飛び、長く伸ばした爪をちくび目掛けて攻撃をした。
「やばっ!!」
為心がそれに気づいた。
「閃光っ!」
鬼の伸ばされた爪目掛けて双剣をクロスした状態で滑らせ、軌道をずらすことに成功した。
鬼はそのまま遺跡の壁に音をたてて衝突し、遺跡の瓦礫に埋まった。
「危なかったー!為心ありがとう。」
ちくびが為心に礼を言う。
「ちくちゃん回復して!」
「わかった!…水浄化!」
為心の足元に魔法陣が浮き上がり為心は回復した。
「いたたた…油断してもうたの。」
瓦礫から会長が起き上がった。
それを見てちくびが声をかける。
「会長回復は?」
「まだ大丈夫じゃ。主ら体勢を立て直すぞ。」
「了解!」
「了解!」
「了解!」
「了解!」
ちゃまがスキルを使った。
「浮遊。」
皇矢 サポートスキル
浮遊
自分の周りに風を起こし自由自在に空を飛ぶ事が可能。
そして鬼がいる瓦礫に向かって攻撃をした。
「時雨っ!!」
皇矢 攻撃スキル
時雨(しぐれ)
雨の様に光の矢を降らす広範囲攻撃。
すかさず、ちくびも攻撃をする。
「水光弾(すいこうだん)っ!!」
魔氣 攻撃スキル
水光弾(すいこうだん)
魔力を凝縮した水の玉を凄まじい速度で数多く放つ広範囲攻撃。
ちゃまとちくびは広範囲攻撃スキルで瓦礫の一掃と鬼の目視を図った。
「まだ怯まないのかよ!」
リタが攻撃をされている鬼のHPゲージを確認するが、半分にも満たない状態だった。
「そろそろ怯んでもらうとするかの。」
会長の一言に合わせて鬼が一直線に飛び、長く伸ばした爪を会長目掛け攻撃を繰り出した。
「この程度ならワシが止める。…絶っ!!」
シールドに鬼の爪が衝突し、衝撃音と共にジリジリと火花を放ち、会長は受け止め続けた。
「ちょうどよい。主らに心魂は変化したかと聞いたな?」
この状況で会長が会話を始めた。
「主らがアバターと意識のズレを感じているのは、まだ主らがプレイヤーのままが原因じゃ。」
「会長大丈夫?いまそれ必要!?…水浄化!!」
ちくびが会長に、向けて水浄化を使用した。
「問題ない。陽刀の心魂は光剣じゃ。しかしのう。この世界(ゲーム)を受け入れ、この世界で生きると腹をくくり、このアバターがアバターではなく自分自身だと認めた時に心魂がもう一つ増える…。…見ておれ…。」
会長が意識を集中する。
そして。
「心魂…挽回(ばんかい)っ!!」
その刹那、激しい衝撃音と共に眩(まばゆ)い光に包まれ、鬼が凄まじい速度で吹き飛び、壁に当たり、瓦礫の下に埋まった。
「なにそれっ!?カウンターだよね?そんなスキルこの世界(ゲーム)には存在しなかったでしょ?」
為心が驚いた。
「おそらく各個人出てくるスキルが違うのじゃ。自分だけの本当の固有スキル。ワシはカウンターじゃった。ワシは会長だからの。皆を護ると強い決心した時解放した。それからワシはリアルの自分では無く、結晶華の会長じゃ。意味はわかるな?」
為心が答える。
「いや!ごめん!わかんない!」
しかし、リタが誰にも聞こえない声で口遊む(くちずさ)。
「なるほどね。そういうことか。」
その時。
「ギュゥゥゥゥィィイイイイ…」
耳が痛くなる程の低い音から高い音へ変わる音が瓦礫から聞こえてきた。
「またあれか。芸のない奴め。…リタっ!ワシと絶を組むのじゃ!」
「あいよっ!溜めモーションだから準備できて助かる。」
「ちくよ!ブーストじゃ!」
「水浄化!!」
リタと会長が太刀を構え、ちくびは足元に魔法陣を出した。
「絶っ!!」
「絶!!」
シールドを展開と同時に瓦礫が吹き飛ばされ、雷炎の玉が飛んできた。
そして着弾。
「2人だとらくぅー!」
リタが余裕そうにテンションが上がってくる。
すかさず会長が指示を出す。
「ちゃまっ!」
「はいっ!…時雨っ!!」
「ちくよ!霧じゃっ!」
「あっ!はい!…水幻!」
「為心っ!」
「わかってるっ!!…閃光乱舞っ!!」
パーフェクトな連携を取り、為心が合わせ技で斬り刻む。
「リタっ!真上に弾くのじゃっ!」
会長が雷炎をリタと一緒に真上に弾いた。
そして、為心のモーションが終わる間際、鬼が態勢を崩し片膝を地面に落とした。
為心はそれを見逃さなかった。
「心魂…鳴神(なるかみ)…夢幻刹那(むげんせつな)っ!!」
双月心魂
鳴神(なるかみ)
斬りつける度に雷撃が落ちる。
双月 攻撃スキル
夢幻刹那(むげんせつな)
自分を光の速度に置き換え、空中に磁場を生成し、足場にし、全ての方位から斬撃をする。
為心はこの世界(ゲーム)に設定されていた心魂、鳴神を使い、合わせ技の夢幻刹那を使用した。
「うぉぉぉおおおおおおおっ!!!!!」
為心の激声は聞こえるが姿は見えないほど速く、光が閃光の様に当たりを明るくし、斬りつける度に凄まじい速度で雷が落ちていた。
「閃光っ!!」
モーションが終わり、その言葉を発して為心が距離を取った。
「やったかっ!」
「それ言っちゃダメっ!!」
ちくびが為心の言葉に物申した。
「ギャァァァアアアアアアアァァァァっ!!!!」
鬼の激声が耳を打った。
「ほらっ!為心の所為(せい)フラグ立ったじゃんかよっ!!」
「いやっ!私の所為じゃなくてっ!そう言うシステムだからっ!!」
「2人とも気を付るのじゃっ!!何かおかしいっ!!」
会長は何かを考えていた。
そして、鬼にこびり付く鎧の間から見える赤く発光していた筋肉が更に赤く発光した。
まるで燃えているかの様にも伺え、そして鬼が空中に浮き始める。
まるで胎児の様に膝を抱えて空中で丸く屈み込んだ瞬間、鬼の体全体は赤く光輝(ひかりかがや)いた。
「眩しっ!」
「何も見えないっ!」
為心たちは目視することすらできなかった。
そして光が落ち着き、鬼を確認する。
するとそこには。
「まさか、あれが…鬼…?」
為心の目の前には、歪な石は洋服の様に所々残り、その間からは人間に似た皮膚、長い尻尾と非対称の角を生やした、裸の幼女がいた。
さらに、減らしたHPも回復していた。
「名無しの童(わっぱ)。これを知っててあの時、瞬殺したようじゃの。」
会長があの時のノーネームの事を思い出していた。
「情報ぐらい教えて欲しかったのう。もしもの時は怨むぞ名無しよ。」
鬼の目が為心を向く。
標的にされたと認識し、閃光スキルを発動する。
「せんっ…。」
数メートルの距離を目に見えない速さで詰められ、脇腹に蹴りを食らった。
そのまま壁に衝突し瓦礫の下敷きになった。
「為心っ!!」
ちくびが回復しに行こうにも鬼はこちらを見ていた。
「僕が引き受けるよ。」
リタが軽々しく、そして余裕そうに言葉を口にした。
「主だけじゃ不可能じゃ。2人で行くのじゃ。」
会長がリタを止めた。
「いやいや、まー、見てなって!」
「リタよ。命を落とすぞ。」
「その時は助けてよ。」
リタは鬼に向かって歩きだす。
無謀にも似た光景だった。
会長は話を聞かないリタに何も言わずただリタの背中を見ていた。
「会長!いいんですか?」
ちゃまが心配そうに聞いた。
「最善は尽くす。ちくよ!為心は無事と仮定し、リタにブーストを!ちゃまは壁を作ってやるのじゃ!」
「水浄化っ!!」
「風壁(ふうへき)!!」
足元に魔法陣と風の膜がリタにバブとして使用された。
「いらないのになー。」
「まーそういうでない。お手並拝見といこうかの。」
「認めればいいんだよね?僕そう言うの得意だからさ。」
「ほう。自分の意思で解放すると?」
「試して見る価値はあるよね。」
リタは鬼に向かい歩いて行く。
鬼も少しずつリタに近づく。
『認めるねー。どちらかと言うと受け入れると言った方が正しいのかな。…このリタが僕の物に成るって最高じゃん。…僕は…今まで異世界(こういう)のを求めていたんだ。…鬼説(ここ)が僕の現実(リアル)になるなら何だってくれてやるよ。』
「…僕は……リタだっ!!」
すると、リタの周りに凄まじい風圧と青いライトエフェクトが螺旋状に舞った。
「ふーん。…これが僕の力か…良いじゃん。」
鬼は何かを察したのか腰を深く落とし、手は広げて、戦闘態勢に入った。
「心魂…鷹の目。」
リタがスキルを発動した瞬間。
瞳が蒼(あお)く光り、陽気が淡(あわ)く立っていた。
そして。
2人は数メートルあけて戦闘態勢に入ってから少しばかり沈黙がつづいた。
そして。
動き出したのは鬼だった。
しかし、あまりの速度の速さに消えたと誰しもが認識した。
そして、気づけば鬼はリタの心臓目掛けて爪を突き出していた。
「彼奴(あやつ)!!失敗(しくじ)りおったかっ!?」
そこに居る会長も含め、全員が死んだと思った。
しかし。
「少し危なかったねー。まだ慣れるまで時間かかりそうだ。」
笑うリタがそこにはいた。
鬼の攻撃を間一髪ギリギリの所で交(か)わしていた。
「今度は、こっちの番だよっ!…刻爆炎(こくばくえん)…十火炎斬(じゅうかえんざん)っ!!」
陽刀 攻撃スキル
十火炎斬(じゅうかえんざん)
遠心力を利用し、炎を纏い十連斬りする。
刻爆炎(こくばくえん)
斬りつけた度に爆発を起こす。
リタの猛攻が始まった。
凄まじい斬撃と鳴り響く爆発音。
しかし、鬼もただ攻撃を受けてるだけではなかった。
鬼も見えない速度で攻撃を繰り出してはいるものの、リタに全て避けられ、回復したはずのHPは徐々に減る一方だった。
「ちゃまとちくよっ!リタが引きつけてる間に為心の救出じゃっ!ワシはリタのサポートに回るっ!」
会長が指示をだす。
ちゃまとちくびは為心のところへと走り、瓦礫を退け、為心の無事を確認した。
「為心大丈夫かっ!?」
ちくびが呼びかける。
「HPレッド…ギリギリ。」
「すぐに回復するっ!…水浄化っ!」
「ちゃま、今どうなってる?」
為心がちゃまに戦況をきいた。
「リタくんが心魂を解放して一人であれと戦ってる。」
「リタがっ!?一人で?すげーな。私は鬼の攻撃も見えなかったのに。あの鬼本当にバケモン。」
「よしっ!為心回復したっ!体勢を立て直すよっ!」
ちくびが為心の回復を終わらせた。
「わかったっ!リタ筆頭に陣営を作る!リタの猛攻が終わり次第また水幻で隠してくれ!次は終わらせる!
」
為心達は配置についた。
「為心よっ!無事で何よりじゃっ!」
会長が為心を確認した。
「まだ眠っててよかったのにっ!」
リタが鬼と対峙しながら会話をする余裕もあった。
「すげーな。リタの奴本当に優勢で戦ってる。」
為心が改めてリタの戦いに目を引かれていた。
その時、鬼の片膝が地面へ落ちた。
「とどめっだっー!心魂…光剣(こうけん)っ!!」
陽刀 心魂スキル
光剣(こうけん)
纏(まと)わせた炎の温度が高すぎる為、太陽と同じ輝きを放ち、一刀両断する。
「ギャァァァァァアアアアアアアァァァァア!!!」
悲鳴と共に鬼は炎で包まれた。
しかし、燃ながら鬼は右手に雷炎を作っていた。
「会長っ!スイッチっ!」
リタから直ぐに指示が出た。
「リタよっ!御苦労じゃったっ!…絶っ!!」
リタと会長は入れ替わり、会長がシールドを展開後、雷炎は着弾し、要領を掴んだのか、真上へ跳ね上げた。
そしてすぐに指示が飛ぶ。
「ちゃまとちくよっ!援護じゃっ!」
「時雨一旋(しぐれいっせん)っ!!」
「水幻っ!!為心頼むっ!!」
ちくびとちゃまの連携に合わせて為心が動く。
「心魂…鳴神(なるかみ)。」
為心が持つ双剣に雷が纏う。
「閃光(せんこう)。」
今度は為心自身が雷を纏った。
「夢幻刹那(むげんせつな)っ!!」
為心が発光し、目に見えない速度で消え、霧の中、猛烈な勢いで全ての方位から斬り刻み、雷撃の落ちる音が瞬く間に鳴り響く。
「うぉぉぉおおおおおおっ!!!」
霧が晴れたと同時に為心が空高々に飛ぶ。
「終わりだっぁぁぁぁあああああああ!!」
遥か上空から螺旋の様に回転し、凄まじい速度で雷と共に落ち、鬼を頭頂部から地面まで斬り抜いた。
「…。」
「…。」
「…。」
「…。」
「…。」
一時(いっとき)の沈黙が続いた。
その時、鬼はゆっくりと倒れ、ポリゴンになり、散乱した後、消えた。
為心達の視界にはクリアの文字が浮かんだ。
「結構やばかったー。」
その場で為心が崩れる様に尻餅をついた。
続けて愚痴が溢れる。
「誰だよ!最初は雑魚と相場が決まってるって言った奴はっ!もはやこれボスでしょっ!」
全員が会長を見た。
「まー、まー、全員無事なら良いではないか!!」
会長が開き直る。
「ところでリタよ。主の心魂あれはなんじゃ?」
「心魂、鷹の目。相手の一歩先が見えるスキルだってさ。」
「ほう。次はもっといいフォーメーションができそうじゃの。ところでリタよ。」
「ん?」
「お主は誰じゃ?」
「僕はリタだよ。」
「そうじゃない。現実(リアル)の名前じゃ。」
「…。」
リタは驚きの表情を隠せず、言葉も出なかった。
「思い出せんじゃろう。この鬼説(せかい)に生きると言うことはそういうことじゃ。」
そして、この二人の会話は周りには聞こえていなかった。
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