異なる世界、鬼説

伽藍 瑠為

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まだ見ぬ変化

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3節「まだ見ぬ変化」




NPCが運営するカフェで、為心、ちくび、ちゃま、リタが食事中だった。
ゲームの設定でキャラクターは空腹状態だとデバフが付き、ステータス値が低下してしまう。
その為、彼らは食事を取らなければならない。
その中でちくびが為心に声をかけた。

「為心?…?おーい!為心さーん?」

「あ!ごめん!なに!?」

為心は呼ばれてることに気付いてなかった。

「どしたの?」

「いやーなんか、いまだにこのキャラが人事(ひとごと)に感じるんだよね。まるで自分じゃないみたいな。なんていうんだろう、違和感みたいな?」

それを聞き、ちくびも言葉を口にする。

「わかる気がする。やっぱり本名じゃないからかな?なんか、定着してない感じがするよね。」

「お前が言うと説得力あるわ。」

それに続きリタが言葉を発した。

「本名とかそう言うのじゃないと思う。」

「リタくんどういこと?」

否定したリタに対し、ちゃまは疑問を聞いた。

「理論的に考えたんだ。僕たちがどのようにしてここに来たかはわからないけど、あくまでここは数字の羅列で出来たデータの世界だ。そのデータの世界に僕たちの意識が入ってきてる。そもそも僕たちの脳はデータじゃない。でも、僕たちの脳には活動電位(インパルス)が存在する。それを数値化したものならパソコンで処理できるレベルじゃない。そのキャパが違うからアバターと僕たちの中でズレがでてるのかもって思うんだけど…。」

「化学的な話しなのはわかるけど、脳波を測定する機器も付けてないし、それにこの状況ってもう化学じゃなく、御伽噺(おとぎばなし)や、それこそ創作物の話しにならないか?」

為心が根本的な話をした。
それについてリタが口を開く。

「非化学的な話しの方がどちらかと言うと話したいんだよね。そっちの方が専門だし。」

リタが待ってましたと言わんばかりに目を輝かせた。

「きっと鬼説(ここ)には終焉(クリア)がある。どの現実の創作物でも最終的な目標は存在したからね。だからそれを例えるなら鬼説(ここ)にも無いはずがない。何かしらの事件(ストーリー)があってそれをクリアすればこの世界から出られると思う。まー、僕はできればこのままがいいけどね。」

リタの話には信憑性があった。
そして、さらに言葉は続いた。

「今噂になってる任務がそれな気はするけど。まー、ここでこんな話をしても答えは出ないけど。そんなことより、結晶華(うち)の会長ってなんで名前を会長にしたんだろうね。ちょっとややこしくない?」

それについて為心が言葉を口にする。

「会長をやりたかったから会長って名前をつけたんじじゃない?現実(リアル)であの喋り方もしてないだろうし、ちょっと成り切り過ぎで、やり過ぎな気はするけど。」

「やめなよ。他の人が会長にちくったらどうするの?」

ちゃまが2人を止めに入った。
しかし。

「もう遅いじゃがのう。」

「!?」

為心の座席の後ろに会長がいた。

「…ご本人様いた…。」

為心は固まった。

「ちょうどよい。さっきの続きを話そう。結晶華(うち)にも任務が入った。おそらくこの状況(ゲーム)が動き始めてきてるようじゃ。そこで主らに任務を頼みたい。」

会長の言葉に為心たちの顔つきが真剣な表情に変わった。
そして、会長の言葉は続く。

「先日、他のクランの行ってきた任務があったのじゃが…。」

「そのチームはどうなったんですか?」

リタが疑問を投げかけた。

「1人ロスト。そして数名が行方不明で帰ってきたらしい。」

一時的に沈黙が続いた。
その沈黙に為心が口を開く。

「どうして私たちに?」

「ほかのメンバーだとまだロストを経験してないものも多い。主らの方が1番適正じゃ。」

「会長。わかるけど、そんな危険な所に行きたいと思うか?佐藤さんの枠がなくなってフォーメーションも今じゃ取れない。」

「そこにワシが入る。メインタンクとしてな。それに、もしもの際はワシが犠牲なろう。」

「いや!それはダメだ!会長いなくなったらやばいじゃん!」

「そうならぬよう、頑張ろうではないか。」

為心たちは押し切られた。

「明朝に出発だ準備しておけ。」



✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎


為心達は装備を整え、クランホームへ向かった。
部屋に入ると上座に会長が座っていた。

「来たか。では簡単な内容を説明しとこうかの。まず、詳細はほとんど無い。遺跡に眠る鬼を討伐せよとのお達しじゃ。ワシらが準備しておかなければならないのが、確認事項じゃ。」

「確認事項?」

為心が呟く。

「うむ。まず、HPがバイオレットまでくると回復できないと言われている。レッドで危険区域だと認識しとくのじゃ。それと、昨日の会話から察するに主ら心魂に変化はまだないな?」

心魂(しんこん)

  陽刀 光剣(こうけん) 光の剣で一刀両断する。

  双月 鳴神(なるかみ) 斬る度に雷が落ちる。

  皇矢 巻龍(かんりゅう) 竜巻を起こす。

  魔氣 閼伽(あか) 全てのプレイヤーを回復する

各役職で使える決められたスキル、それを心魂と呼んでいる。
ちくびが聞き返した。

「心魂に変化?と、いうのは?」

「まだならよいのじゃ。向こうで説明することになるじゃろう。」

「わ、わかりました。」

「では、行こうかの。」

思考視点でチーム作成ウィンドウを開き、パーティーメンバーを結成し、全員は転送した。

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