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9・お宝みつけました。
しおりを挟む「よ~し、マリが殺っちゃる」
マリちゃんに下品な言葉は使って欲しくありません。
「ん~ん~」
マリちゃんが胸元に手を差し込み、何か取り出そうとしてもがき始めましたが、なかなか取り出せないようで、困った顔が可愛いです。
「ん~ん~んー!」
あ! 出てきました。
黒光りして禍々しい意匠で、両端が鋭く尖った20センチほどの棒状の、あれは知っています。
修学旅行の時に行った、奈良東大寺南門の金剛力士像が持っている、独鈷と呼ばれる武器に似ています。
―――ッ!
マリちゃんは無言の気合を独鈷に籠めます。
なんと濃紫色の煙のような物が滲み出るように、渦を巻いて立ち昇って来るではないですか。
独鈷で勢いよくニジマスに斬りつけます。
すると何という事でしょうか、剥がれた無数のウロコが乱雑に光の弧を描いて、マリちゃんに一斉に襲い掛かるではありませんか!
危なーい!
と、思う間もなく、晴美さんの短剣が白銀の閃光を放ち、幾重にも弧を描きます。
無数のウロコが散り散りに、光を失い粒子となって落ちて行きます。
晴美さんとマリちゃんが目を合わせて『フッ』と、微笑みながら一つ息を吐きましたが、『やるな、お主』と、言う台詞が聞こえてきそうな雰囲気でした。
「きゃあ~! お宝発見ですわ!」「な、なんと! これは凄いぞ!」「すごい! すごい!」
3人が手を取り合って、大喜びで飛び跳ねています。
何が出て来たのでしょうか、お宝と言っていますから金銀財宝ですか? 興味津々です。
って、白子じゃねえか!
まあ、確かに立派な白子です。
しかし、白子で大喜びする少女達って、どーなんですか。
「日向、最高級品だ。蒸してポン酢で和えても良いが、何か美味しく料理できないか?」
晴美さんが何というか、おっさん臭いです。
もしかしたら、これが彼女の本性かもしれません。
「そうですね。普通の白子なら表皮と血管を丁寧に取って、白ワインを浸した綿布に包み込み、軽く重しをしておいて、余分な水分が抜けたら、塩胡椒に打ち粉をしてソテーにすると、表面はカリッと歯触り良く、香ばしく、中からトロリと濃厚でクリーミィーな味わいが蕩け出して美味しいですよ」
何を私は語っているのでしょうか、言ってから気付きます。
「じゅる」「じゅる」「じゅる」
はい、3人綺麗にハモりました。
これは作らなければ収まりがつかなそうです。
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