上 下
28 / 77

 参・閑話の刻 おでん屋さんにて

しおりを挟む
  
「間違い無くもめるわ」
「私は間違いなく一致するするものが頭に浮かんだ」
「マリも」
「マリとハルに聞いておきますが、それは全国どこのコンビニでも売り上げ一位の物かしら」
「たぶんな」
「いちい!」
「マリ、自信ありそうね」
「たまご!」
「惜しい、二位だわ」
「ざんねん!」
「何言っている、じゃが芋に決まっている」
「ありえん!」
「いってー!」
「ランク外ですわ、それと、じゃが芋は汁が濁るから在庫が少なくて、品切れが多いの」
「私、じゃが芋潰して汁と一緒に飲むの大好きなんだけどな」
「わふう、ぽたーじゅ!」
「お下品だわ!」
「そんなことない! マリもたまごでやる」
「いったーい!」
「おい、マリ、串で突くのはやり過ぎだ」
「リコ、ごめんなさい」
「正解は大根よ」
「あの、やらずぶったくり野郎か」
「おいしいとこひとりじめ、ずるい」
「本当に、自分では何もせずに吸い上げるだけ吸い上げる、極悪非道な資本主義者だわ」
「大将、大根二つ」
「マリ、ひとつ」
「私も、二つ」
「リコ、三位って何なんだ」
「こんにゃくよ」
「へぇー意外だな」
「だいえっと!」
「あぁ、そういう事ね、女性客も多いだろうしな」
「白滝の方が汁が絡んで美味しいと思うわ」
「白滝と糸こんにゃくって何が違うんだ」
「細いのが白滝、太いのが糸こんにゃく、だと思ってたわ」
「いっしょ! よびかたがちがうだけ」
「そうなのか知らなかった、あ、ちくわぶ頂戴」
「でたわ、関東ローカル」
「え! そうなのか初めて知ったぞ、黒はんぺん、赤てん、みたいなものか」
「うん!」
「私、牛筋」
「マリ、とまと!」
「それこそ邪道の極みだろ!」
「おでんはあい!」
「マリ、なんじゃそりゃ」
「すべてを優しく受けいれるという事だわ」
「おうどうもたのむー!」
「王道ってなんだ」
「こんぶ、と、たこー!」
「それは王道とは言わないぞ、魚の練り物こそ王道だ」
「さつま揚げ、つみれ、はんぺん、焼きちくわ、とかかしら」
「ハルとリコは、なにがすき?」
「汁」
「辛子ね」


「りょうりは、むずかしい」
しおりを挟む

処理中です...