逢魔が刻の料理店/『双剣の陰陽師』『聖なる祓魔師』『厄災の魔導師』『ただの?調理師』ごきげんなスタッフが、皆様のご来店をお待ちしております!

ペンギン饅頭

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26・美談というのは余り現実的ではありません。

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「偶然か、必然か」

「ぶーぶー!」

 私がハルに問いかけると、マリが怒り出したのは、何故?

「マリのラッパー魂に火が付いたのよ、日向ひなたが韻を踏んだから悔しいみたいだわ」

 なんだそりゃ、リコが変な風におだてるからいけないという事ですね。

「しかし、随分と哲学的な事を言い出したな」

 ハルが少し困惑したような苦笑いを浮かべながら言いました。

「あら、私にとっては切実な問題よ。『結界の力が弱まった』のも『相位の亀裂が走った』のも、それこそハルが私の店で半ば強引に食事をしたのも、偶然だとしても、ハルは言ったわよね『迷惑かけた』って、つまり、あの黒い影の化け物は『ハルが引き寄せた必然』という事では無いの?」

「日向にしては的確にして論理的な考えだ」

 は余計ですが、ハルの言葉は何一つ皮肉めいた口調ではありません。

「結界が破られた所に百鬼夜行が顕現するだけならまだ良いが、それに引き寄せられるように妖魔が集まってくるというのが問題なのだ。しかも西お構いなし、次元相位がでたらめになっているのだろう。何が奴らを引き寄せるのか、或る程度の推測はできない事も無いが、憶測の域を越えられず、断言することが出来ないのだ」

 ひどく持って回った言い方です。

「断言できない?」

「情けないことにな……」

 ハルが初めて見せる苦渋の表情でした。

「一族総出で千年以上の時を超えて関わっているというのに、分かった事と言えば『あれは美味い、あれは食べれない』と、どれだけ食いしん坊の集まりだ」

 うつむき、自虐的な笑みをこぼしながら、テーブルを叩くハルの手に、そっと手を重ね合わせてリコが言います。

「ハル、私のところだって……何処も同じだわ」

 リコが重ねた手を強く握り締めると、マリがいたたまれなく成ったのでしょうか、武者ぶりつく様にして、リコの胸に顔をうずめてしまいました。

 3人とも他人にはうかがい知れないような、深い闇の奥に沈んだ、ごうのようなものを背負っているに違いありません。
 
「マリ、大丈夫だ。心配かけて済まんな」

 マリがほんの少しだけ顔を上げ、盗み見るようにハルの視線を受け止めました。

「だいじょうぶ?」

「あぁ、勿論さ、どんなことがあっても、私にはマリが付いて居てくれる。リコも居てくれる」

「私もですわ、マリが支えてくれますし、ハルも傍にいてくれます」

「よかった!」

 マリが重なり合った手に頬ずりするように身を寄せました。
 最近、涙もろくなっていますので、仲間との絆を確かめ合う場面に、ウルッと来てしまいます。

「さあ、もう今日は日も沈んだし、何事も起こらないでしょうから、帰りますわ」

「うむ、日向、また来る」

「お邪魔しました、また寄らせて頂きますわ」

「日向、ばいばい!」

 何やら美談の様にまとめて帰っていきましたが。


 お代金はー!
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