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43・サングラスは海辺で掛ける物だと思っています。
しおりを挟む「え!?」
いや、そんな驚かれても困るのですが。
「そんな話聞きたくも無いって事。あの娘たちがどんな『力』を持っていようがいまいが私には関係ないから、勿論、アンもね」
「………………」
どうしたのでしょうか? アンが俯き身を縮こませ、少し震えているようです。
「その、言葉。信じて……いいの?」
うつむいたまま、言葉を途切らせながら、絞り出すようにアンが言いました。
私は軽い気持ちで、当たり前の事を言ったつもりなのですが、重要な事とでも受け止めているのでしょうか?
それにしても『信じる、信じない』という話では無いと思うのですが、微妙な感覚のズレがあるようです。
私のちょっとした蟠りを、不服の表れとでも勘違いしたのでしょうか、アンが慌てふためいて身を乗り出すようにして、手を振りかざして言います。
「日向、ごめんなさい。疑うような、念を押すような聞き方をしてしまって」
私の方が動転してしまいます。
「い、いや、べ、別に気にしてないわよ」
「私を含めてだけど、あの娘たちに接する大人達は2通りしかいないの、利用しようとして近づくか、恐れ遠ざけるか」
「ちょっと待って、それこそ偏見じゃ無いの?」
アンは力無く首を横に振ります。
「それが現実。あの娘たちの『力』は強大過ぎるのよ」
確かにあの娘たちの超常的な『力』は目の当たりにしていますから疑う余地もありませんが、それほどの物なのでしょうか。
「あの娘たちの獲って来る、美味しい食材が何か問題にでもなるの?」
「ぷっ!」
アンが今度は臆面もなく笑い転げだしました。
「え! 私、可笑しい事言った? あれだけ美味しい食材だからあの娘たちから、略奪しようと利用する人はいるでしょうし、見た目の不気味さに遠ざける人もいるでしょ?」
「せやね、日向の言う通りやわ」
アンが関西弁丸出しです。
「なんや、うじうじ考えとるのが、阿保らしゅう成ってきたわ」
アンが剥き出しの感情を、初めて見せてくれたのでしょうか。
襟を正し、居住いを正し、真正面から私を見据え、アンが言います。
「どうか、どうか、私を含め、あの娘たちの事を、今後とも暖かく見守って頂けるよう、伏してお願いいたします」
押し止める間もなく、アンがテーブルの上に頭を付け、深々とお辞儀をします。
「止めてよ、当たり前の事でしょ」
「うん、ありがとう!」
頭を上げたアンの笑顔!
ま、まぶしい!
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