逢魔が刻の料理店/『双剣の陰陽師』『聖なる祓魔師』『厄災の魔導師』『ただの?調理師』ごきげんなスタッフが、皆様のご来店をお待ちしております!

ペンギン饅頭

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47・女子会とは違うと思います。

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 衝撃の事実発覚です。

 カウンターの上には純米酒の一升瓶が置いてあります。
 
 食事が済み、マリがおねむのようなので、ハルが抱きかかえて先に帰った後の事です。
 場所を変えてカウンターに移り、咲ちゃんが用意してくれるお酒を飲みながらの、女子夜会と相成りました。

「びっくりだよ、リコが私と同い年だなんて。制服着ているから、てっきり高校生だと思っていたよ」

「えぇ、国では真っ当に学校行っていませんでしたので、高校生活を満喫していますの」

「へぇ~、あ! お燗が良い加減についた、あちち、はいリコ」

「ありがとう、あ~~良い香りですわ」

「ご飯党のリコが日本酒好きなのは分かるけど、アンも好きだとは意外」

 さすが咲ちゃん、大物です!
 
 リコが学校へ行っていなかった事など、気にも留めませんし、アンともすっかり馴染んでしまっています。

「う~ん、私は日本酒好きと言うより、食事に合わせてお酒を選ぶの。今日のお料理は日本酒一択でしょ?」

 そう言ってアンは美味しそうに残り物のアサリを口に含んで、コップ酒をあおります。

「ん~おいし。例えば英国人なら生ガキにスコッチ、仏蘭西人ならシャブリ、悪くは無いけど違うやろって。貝類には日本酒以外考えられないわ」

「でもカキフライならビール一択?」

「そのとーり! 咲はどうなの」

「私は余りこだわらないかな。何でも好きだから相手に合わせるだけ」

 おどけて肩をすくめる咲ちゃんの姿を、アンがで見つめました。
 
「先生、咲もだけど、私、納得いかない事がありますの。『日本酒』と言う呼び方ですわ。気品も情緒もありません『おさけ』と言ったら日本酒に決まっていますわ」

「あー分かる分かる『おさけ』と言ったら燗酒、『お酒』と言ったら冷や酒のイメージだよね」

「さすが咲! イントネーションの違いが良く分かっていますわ」

「私、『冷や』下さいと言ったら『冷酒』出されて困ったことがあった」

「ははは、でも無理ないよ。アンのイメージは良く冷やした大吟醸をシャンパングラスでっていう感じ。まさかコップ酒とは思いもよらないよ」

「先生はお燗は召し上がらないですの?」

「寒いときは最高だけど、香りが華やか過ぎて、お料理に勝ち過ぎるような気がするの、私、が無いと飲めないから『上善水の如し』が良いの」

 そう言ってアンが一息でコップ酒を飲み干すと、すかさず咲ちゃんが一升瓶を手にします。



 長い夜になりそうです。 
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