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57・つまみ食いにも限度があります。

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 さて、他に何をつくりましょうか? 

 レバーがありますので、お次はレバーペーストでも作りましょう。

「リコ、レバーを軽く浄化してくれる」 「はーい」

 レバーは通常血抜きと臭み消しに、1日位牛乳や、白葡萄酒に漬け込みますが、リコに頼めば一瞬ですから便利です。

 人参、ポロ葱、玉葱、セロリを微塵切りにしてオリーブオイルでしんなりするまで炒めたら、レバーを加えて炒めて、火が通ったら甘口の葡萄酒ヴィーノパッシートと香草加えて、煮込んだら、滑らかになるまですり潰します。 

 スプーンで掬って一口お味見。
 ん~良い出来です。
 甘口の葡萄酒の香が鼻腔をくすぐったかと思うと、レバーの濃厚な味わいが舌の上に広がりました。

 3人娘が口を開けてジタバタして煩いので、ひな鳥に餌をあげる親鳥ように、スプーンで掬ったものを入れてあげて黙らせました。

 更にもう1品、内臓の各部位が少しずつありますので、全部使って洋風のモツ煮込みにします。
 モツは本来下処理に大変手間が掛かるのですが、リコに頼めば簡単です。
 牛の第2胃で作るトリッパでお馴染みですが、それ以外にもコラテッラやランブレドットなど、使う部位や調理法で様々な種類があります。。
 作る手順はレバーペーストと変わりありません。
 甘口の葡萄酒の代わりに辛口の白葡萄酒を使って、最後のすり潰す工程を除けば、ほぼ同じです。
 レバーペーストを煮込んでいる時よりも、様々な部位の複雑な香りが立ち昇り、食欲を刺激します。
 モツ煮込みは、じっくり煮込んで1日寝かせて柔らかく、味が染み込んだ物が美味しいと思うのですが、さほど煮込まなくても、しっかりとした食感のあるモツも別の味わいがあって、それはそれで美味しく頂けます。

 3人娘が鍋を取り囲むようにして、お尻を並べて灰汁取りをしています。
 なにも3人でやる事では無いのですが妙に真剣で……おかしいですね?……迂闊でした! 慌てて3人の許へ、いいえ、鍋の許へ向かいました。

 やられた!

 鍋の中を覗き込むと半分位しか残っていません。
 しかも勝手にニンニクと赤唐辛子まで入れているではありませんか!

 赤牛料理をお出しするのは吸血鬼さんなのに、ニンニク入れてどーするのですか。
 しかも、お年を召した方ですから、柔らかく、刺激の少ない物をと気を使っているのに赤唐辛子まで入れてしまって。

 3人娘、揃って『てへ!ペロ』したって許せるはずが……。


 まあ~、可愛いですから許してあげましょう。

 
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