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63・嘘泣きなんて何処で覚えた。
しおりを挟む失敗しました。
余計な事を言ってしまったのです。
「一晩冷蔵庫で寝かせると酸味が全体に馴染んで美味しくなるよ、お酒のアテにはその方が良いかもね」
リコの眼がマリに負けないくらい真ん丸になりました。
「良い事を聞きました、冷たくした物を『おさけ』で頂きたいですわ」
いそいそと冷蔵庫に残りのエスカベッシュを仕舞おうとする姿が、どこぞの小料理屋さんの若女将に見えたのは、私の気の所為ではありません。
リコが扉に手を掛けた、その時、ホールからハルの声がしました。
「エスカベッシュのお替わりを頼む。バケット多めで」
「え!………」
リコの身体が硬直したのが傍目からも分かりました。
「あ~残念、リコ、それ戻してくれる」
リコが振り向きさま鬼の形相で、『顔、顔、顔近すぎ!』私に詰め寄ります。
「おかしいですわ! 納得できませんわ! 日向は私より先生やあのやぶ蚊が大事だとでも仰りたいのですか」
いや、そんな問題じゃねーだろ。
「分かりましたわ、日向がそう仰るなら……」
いや、別に何も言ってないけど。
「私にも覚悟が、邪魔者は……」
何すんだー!
いけません、リコが『ぼんよよよ~ん』に手を差し込むやいなやロザリオを取り出すではありませんか。
「あーもう、エスカベッシュは白身魚なら何でも美味しくなるから、明日にでも作ってあげるから落ち着きなさい!」
「本当ですの? 神に誓って?」
神なんて信じてもいないくせに。
「分かったわよ」
「日向! ひとつお伺いしたいのですが、白身魚だけなのですか? 私、イワシとかアジの光り物も頂いてみたいのですが」
「はい、はい、良いのが入ったらね」
「それと、漬け込むときに赤唐辛子も忘れずに入れて頂けます?」
いちいち注文が多いです。
「分かったから……ひいやぁあ!」
妙な声を上げてしまいました。
マリが、お尻をつついたのですが、変な事を覚えて困ったものです。
振り返るとマリが独鈷を素振りしているではありませんか。
「ふすん! ふすん!」
マリ、鼻息荒いよ!
しかも素振りをしながらチラチラと私に視線を投げかけてきます。
わざとらし過ぎますので、ちょっと意地悪をしたくなりましたので無視します。
「え~い! とうりゃあ!」
何を気の抜けきった掛け声を上げているのですか。
「え~い、え~……え~ん!」
泣き出しやがった!
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