公爵令嬢走る!/恋の闘争・正義は我にあり 序章

ペンギン饅頭

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13・こうしちゃいられませんわ!

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 この『想い』は何なのでしょうか。

 …………私には正直良く分かりません。

 子供の頃の楽しい思い出は数多とありますが、ほんの少し大人になって、男と女として、そしてお互いの立場を意識し始めた頃には、別々の生きる道をを歩み始めてしまったのです。
 
 自惚れかもしれませんが、私の事を好ましく思って頂いている……のかな?
 少なくとも私とリリアに対しては、格別の思い入れを抱いて頂いているのは確かですから、女としての幸福を望むのであれば、余計な思案をせずに、いっそ、その優しさに身を委ねてしまって……。

(ん゛ぐっふ)

 そんな『想い』を強引に振り払うように、手にした串焼き肉を噛み千切り、口一杯に頬張りました。

 私には私の進むべき道があります。
 ただただ感情に流されてしまっては、最愛のお母さまに申し訳が立ちません。
 
 私自身の事よりも、御家という組織そのものを上位概念として宿命さだめられた、いいえ、自ら宿命さだめたのですから、たとえそれが打算的と言われようが、本当の幸福とは程遠いと言われようが、もっと酷く、最愛のお母さまにとらわれているだけだと言われようが、御家を守り抜き、次代へと繋ぐ事こそが私の意志こころざしであり、生きる意味なのですから。
 
 我が身を武器とした『切り札』の使いどころを間違えてはいけません。

 女が戦場に赴いた例が無い訳ではありませんが、戦場に身をさらす事だけが戦いでは無く、この戦乱の世を生き抜く為に女にしかできない戦いもあるのです。

 御家よりも強大な武力を持つ領主に嫁ぎ、その庇護下につくも良し、逆に攻めたてられる場合もあるでしょう。
 何しろ争いを始めるのは容易たやすいですが、例え、お父様の外交手腕をもってしても、燎原の炎の如く燃え広がった争いをしずめる事ほど、難しい事はありません。
『切り札』を使い、万が一の時には、我が身をにえとして差し出せばそれも可能なのです。
 
 私は長椅子から立ち上がり、手を伸ばし串焼き肉を勢いよく高く掲げてから、かぶりつきまます。
 奇態な振る舞いと思われるのは承知の上ですが、自らを鼓舞する為にそうせずにはいられませんでした。
 すっかり冷えて固くなった肉を噛みしめると、

(しょっぺー!)

 うん、でも力が湧いてきた気がします。

「ランツ様、エドアルド商会に向かう刻限ですので、失礼ですがお暇させて頂きます。帰りは商会から直接荷馬車を出して頂きますので、ご心配無く」

 突然、何事かと呆気に取られているランツ様を残し、リリアの手を取ってエドアルド商会に向かって、

 走り出します!
 
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