えっ!…ワシだけ??チートが使えるのワシだけ?? 〜ワシだけ特別だったらしい^^;

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59話

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第五十九話:氷獄の女王

氷晶の迷宮の最深部。田中たちが辿り着いた空間は、まるで凍てついた宮殿のようだった。巨大な氷柱が天井まで伸び、青白い光を放ちながら広間全体を照らしている。その中央には、氷に閉ざされた玉座があり、そこに座す者の影が見えた。

氷がひび割れ、鈴のような声が響き渡る。
「ここまで辿り着くとは、なかなかのものだな――異界の来訪者よ」

氷が砕け散り、姿を現したのは一人の女性。白銀の髪が雪のように舞い、瞳は氷晶そのもののように澄んで冷たい。彼女は「氷獄の女王」と呼ばれる存在、迷宮そのものを支配する守護者だった。

リアンナは剣を構えながら低く問う。
「あなたが、この迷宮の主……?」

女王は微笑を浮かべながらも、その瞳には一切の情がなかった。
「我は忘却を司る者。ここに来た者の記憶を封じ、氷に刻む。それが我の宿命だ」

ミアが一歩前に出て叫ぶ。
「記憶を奪うなんて……そんなの、誰も救われない!」

女王の冷たい声が広間に響き渡る。
「救われる必要などない。記憶は苦しみを生み、愛は裏切りを招く。ならば凍りつかせ、永遠の静寂に閉じ込める方が幸福だ」

その瞬間、氷獄の女王が片手を振り上げ、無数の氷刃が天井から降り注いだ。ガルスが大剣を構えて受け止め、氷の破片が四方に散る。

「チッ! 話して分かる相手じゃねぇな!」

田中は前に出て、剣を構える。その剣には星海の試練で得た力が宿っていた。黄金の輝きと蒼白の冷気が刃に共鳴し、広間を照らす。

「記憶を凍らせるなんて……そんなのは間違っている。俺たちは苦しみを背負ってでも、生きる意味を掴むんだ!」

女王は微笑を崩さぬまま、両手を広げた。
「ならば証明してみせよ。記憶の重みを抱えてなお、歩むことができるかどうかを」

広間全体が震え、氷の大地が割れ、無数の幻影が吹き出した。それは田中たちそれぞれの記憶の化身だった。

ガルスの前には、戦場で倒れた戦友たちが。
リアンナの前には、救えなかった村の人々が。
ミアの前には、幼き日の孤独な自分が。

そして田中の前には――かつて地球でただの老人として死を待っていた「無力な自分」が立っていた。

「……俺は、あの頃の自分に戻るのか?」田中は剣を震わせながら呟いた。

だが、仲間たちがそれぞれの幻影に立ち向かう姿を見て、田中は深く息を吸い込んだ。
「違う。俺はもう一人じゃない。仲間と共にある限り、過去は俺を縛れない!」

剣が光を放ち、幻影の「老人の自分」を貫いた瞬間、仲間たちも同じように己の幻影を打ち破っていた。

氷獄の女王の瞳が大きく見開かれる。
「……記憶を受け入れた……だと?」

田中は一歩踏み出し、強く言い放った。
「記憶は俺たちの力だ! 忘却じゃなく、歩んだ証を抱いて進む――それが俺たちの選んだ道だ!」

剣が振り下ろされ、黄金と蒼白の光が交わる。その光は氷獄の女王を包み込み、氷の広間を震わせた。

次の瞬間、彼女は淡い氷の結晶となり、消えゆく前に静かに微笑んだ。
「……ならば進むがいい。氷晶の迷宮の先に、お前たちの運命が待つ……」

広間の氷が崩れ、奥へと続く扉が開かれる。

田中たちは互いに顔を見合わせ、そして頷いた。
「行こう。俺たちの旅は、まだ続く」

こうして一行は、氷獄の女王を超え、新たなる大地へと歩みを進めた。
その先に待つものが希望か、それともさらなる絶望か――彼らはまだ知らなかった。
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