えっ!…ワシだけ??チートが使えるのワシだけ?? 〜ワシだけ特別だったらしい^^;

Ⅶ.a Works

文字の大きさ
1 / 58

1話

しおりを挟む
第一話:異世界転生、そしてチート発覚!

田中一郎は、70歳の誕生日を迎えたばかりだった。定年退職し、ゆったりとした老後を過ごすはずだったが、ある日、信号待ちをしていると突然トラックが暴走してくるのが目に入った。「危ない!」誰かがと叫んだが、間に合わなかった。衝撃と共に彼の意識は途切れた。

次に目を開けたとき、田中は見知らぬ森の中に横たわっていた。体を起こし、周囲を見回すと、現実離れした風景が広がっている。「ここは一体…?」と困惑する田中。しかし、すぐに異変に気づいた。自分の体は老人のままだったが、どこか力がみなぎっている感覚があった。

「こんなことが本当にあるのか…?」と呟きながら、立ち上がる際に腰に手を当てる。若返ってはいないが、長年の痛みが和らいだような感覚だった。周囲を見回すと、見知らぬ動植物が目に入った。「ここは一体…?」と再び疑問を口にする田中。しかし、答えは風に流されるだけだった。

立ち上がり、森を歩き出すと、目の前に突然一冊の古びた書物が現れた。興味本位でそれを手に取ると、中には魔法の呪文が記されていた。「まさか、魔法が使えるのか?」と半信半疑で呪文を唱えてみると、手のひらから小さな火球が現れた。驚愕する田中。しかし、驚きはそれだけでは終わらなかった。

何とその瞬間、頭の中にその魔法の全てがインプットされたかのように、完全に理解できたのだ。「えっ!…ワシだけ??チートが使えるのワシだけ??」田中は信じられない思いで呟いた。普通の人間には到底真似できない、この特別な力に。

その後も森の中を探索する田中は、次々と魔法を試し、その度に完璧に習得していった。「これは一体どういうことなんだ?」困惑しつつも、新たな力に少しの興奮を覚える田中。こうして彼の異世界での冒険が始まったのだった。

しばらく歩いていると、田中は大きな木の下で休息を取ることにした。70年の人生経験からくる慎重さが、無理をしないように促していたのだ。木陰で座り込むと、ふと若い頃の冒険心が蘇ってくる。「まさか、この年になってこんな冒険が待っているとは…」と苦笑いを浮かべる田中。

その時、近くの茂みから少女の声が聞こえてきた。「大丈夫ですか、おじいさん?」と心配そうな顔をした少女が現れた。田中は「心配いらんよ。ちょっと休んでいただけじゃ」と笑顔で答えたが、その目は少女の持つ杖に注目していた。どうやら、この世界の住人のようだ。

少女は田中を見つめ、「この辺りは危険なモンスターが出ることがあります。私が案内します」と優しく言った。田中は少し戸惑いながらも「そうか、それは助かる」と感謝の意を伝えた。彼女に導かれながら、森の中を進む二人。その途中、田中は自分の体力が回復していることに気づいた。「こんなに歩くのは久しぶりだな」と自分に言い聞かせるように呟いた。

しばらく歩いていると、小さな村が見えてきた。村の入口には古びた看板が立っており、「エルム村」と書かれていた。少女は村に着くと、「おじいさん、ここが私の住んでいる村です。どうぞ中へ」と親切に案内してくれた。

村人たちは田中を見て少し驚いた様子だったが、少女の説明を聞いてすぐに受け入れてくれた。村長が出迎え、「ようこそエルム村へ。長旅でお疲れでしょう、まずは休んでください」と温かく迎え入れてくれた。田中はその優しさに胸を打たれ、「ありがとう、本当に助かる」と深々と頭を下げた。

村の宿屋に案内された田中は、広くはないが清潔な部屋に通された。ベッドに腰掛けると、70年の人生が一気に思い返され、ふと涙がこぼれそうになった。「また新しい人生を始めることになるとはな…」と呟き、ベッドに横になった。

夜が更け、村の静寂に包まれながら田中は考えた。「この異世界で何ができるのか?」。彼は自分の新しい力、チート能力をどう活かすかを模索し始めた。老人のままだが、これまでの人生経験と新たな魔法の力を持って、この世界でどのように役立つかを考える夜が続いた。

次の日、村人たちは田中を暖かく迎え入れた。彼らは異世界から来た老人を奇妙に思いながらも、彼の落ち着いた物腰と知識の豊富さに興味を持ち始めた。村長が田中に言った。「あなたのような方が村に来てくれて、本当に心強いです。実は最近、近くの森に魔物が出現して困っているのです。もし、魔法が使えるのであれば、ぜひ力を貸していただけないでしょうか」と頼まれた。

田中は少し考えた後、うなずいた。「もちろん、できる限りのことをしよう」と答えた。その言葉に村人たちは安堵の表情を浮かべた。村長の案内で魔物の巣穴へと向かう途中、田中は自分のチート能力を再確認するためにいくつかの魔法を試した。火球や防御の魔法、治癒の呪文など、一度見ただけで完全に習得するその力は本当に驚異的だった。

現地に到着すると、田中は慎重に周囲を観察した。魔物の動きを把握しながら、「ここで魔法を使うなら、一撃で仕留めなければならない」と心に決め、最も効果的な魔法を選んだ。そして呪文を唱えると、巨大な火球が魔物の巣穴に向かって飛んでいった。

一瞬の閃光と共に、巣穴は炎に包まれ、魔物たちは一掃された。「これで少しは村の平和が保たれるだろう」と、田中はほっと胸を撫で下ろした。村に戻ると、村人たちは彼を英雄のように迎えた。皆が口々に感謝の言葉を述べ、田中は少し照れくさそうに微笑んだ。

その夜、村の宴が開かれ、田中は久しぶりに賑やかな夜を過ごした。村長は「あなたの力がなければ、私たちはどうなっていたか…」と感謝の意を伝えた。田中は「皆さんのおかげで、私も新しい人生を楽しむことができる」と答えた。

宴が終わり、村の静寂が戻った頃、田中は星空を見上げながら考えた。「この世界で何を成し遂げるべきか?」。彼は自分の新しい使命を見つける決意を固めた。老人の姿でありながらも、新たな力を持つ田中一郎の異世界での冒険は、これからも続く。彼がどのようにこの世界で生き抜き、どのように自分の居場所を見つけていくのか、その物語はまだ始まったばかりである。

こうして、田中一郎の異世界での新たな冒険が本格的に始まった。彼のチート能力は、この世界でどのように活かされていくのか。そして彼自身がどのように成長し、新たな絆を築いていくのか。全てはこれからの物語にかかっている。田中の新たな人生が、今まさに幕を開けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

処理中です...