えっ!…ワシだけ??チートが使えるのワシだけ?? 〜ワシだけ特別だったらしい^^;

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57話

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第五十七話:北風の大渓谷

星海の神殿で新たな約束の剣を授かった田中一郎と仲間たちは、次なる目的地として北の大渓谷へと向かった。そこには古代帝国の遺跡が眠り、遥か昔、闇の勢力に最後の一太刀を浴びせた英雄たちの物語が刻まれていると言われる。

旅立ち

神殿の扉を後にした一行は、銀色の川が切り開く深い谷を目指して馬を進めた。風は冷たく、雪混じりの北風が頬を刺す。田中はマントを羽織りながら、仲間たちに声をかけた。
「油断は禁物だ。ここから先、大渓谷の風は魔を呼び寄せると言われている。」
リアンナは杖をきゅっと握り、「その風……まるで何かが囁いているようです」と眉を寄せた。

ガルスは大剣を肩にかけながら大きく息を吐いた。「寒さは敵じゃねえ。俺たちの前に立つのは、凍える闇ってやつだろうな。」

ミアは小さな祈りの声を漏らす。「私の神も、この試練を越えよと言っています。皆、無事に帰りましょうね。」

大渓谷の入口

やがて彼らは、断崖絶壁にへばりつくように建つ古代帝国の遺跡へとたどり着いた。入口を守るのは、半ば氷に覆われた巨像だ。像の瞳は空洞だが、かすかに魔力が歪むように揺れている。

「これが……あの英雄たちの門か」田中は拳を固めてつぶやいた。

リアンナが近づき、碑文を読み解く。「“ここに眠るは、氷の刃をもって闇を断つ者の霊魂。真の勇者のみ通り得る”……とあります。」

ガルスは鼻を鳴らし、「真の勇者だけか。まあ、俺たちは田中さんという本物の勇者を連れてるから大丈夫だな!」と笑った。

試練の風雪

だが門を通った瞬間、空気が一変した。足元から凍てつく風が吹き上がり、霧のような雪の竜巻が一行を襲う。視界は一瞬で白一色に変わり、風雪の向こうから呻き声が聞こえた。

「魔物か!」アレンが声を張り上げ、剣を抜く。

白い竜巻の中から現れたのは、氷と闇の混交した怪物――“氷影の亡霊”だった。透明な体に氷結した鎧をまとい、無数の剣で襲いかかってくる。

連携の力

田中は仲間たちに合図を送り、陣形を整えた。

ガルスが前方で斬り込み、亡霊の注意を引き付ける。

アレンが横へ回り込み、致命の一撃を狙う。

リアンナは結界魔法で氷影を封じ、間合いを作る。

ミアは後方で治癒の光を放ち、いざという時の盾となる。

「せーの、行くぞ!」田中の声に合わせ、一斉攻撃が炸裂した。

氷影は強力な闇魔法を放ったが、田中は約束の剣から放たれる光で打ち消し、剣先を氷影の胸元へと突き刺した。剣は鎧を溶かすほどの熱を帯び、氷影は悲鳴を上げながら崩れ去った。

英雄たちの試練

戦いが終わると、門の奥からただ一人の老人が現れた。白い長髪に古風な甲冑を纏い、「よくぞここまで来たな」と静かに語りかける。

老人こそ、古代帝国最後の王――氷の英雄〈アルシオネ〉の生き写しであった。彼は幾千年もの間、自らの霊魂で遺跡を守り、真の勇者の到来を待ち続けていた。

「お前こそ、真なる勇者。星海の力を得た者よ。次の試練は、心の闇を断つ勇気だ」

アルシオネは手を掲げると、再び大渓谷を覆っていた風雪が収束し、星海のような輝きを放つ空間へと一行を誘った。

田中は深く息を吸い込み、仲間たちを見渡した。
「俺たちの旅は、まだ終わっちゃいねえ。行こう、次の試練へ!」

仲間たちは力強く頷き、星海の遺跡を後にして、真の勇者だけが越えられる試練の空間へと足を踏み入れた。

*次回:田中一郎、心の闇を断つ!真なる勇者の証を得るための極限試練が始まる。

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