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しおりを挟むーーーー私の狙いは的中し、ヴュートリッヒの事業への投資は大成功した。
しばらくしてその鉱山から、魔晄石というエネルギー鉱石が掘り出されたという情報が入った。ヴュートリッヒはすぐにこの魔晄石を加工し、これをエネルギー源にする魔法道具を製品化する流れを作り出した。
魔法製品はすぐに大盛況となり、売れに売れた。
商業組合を結成して、この事業に投資していた私達は、多額の配当金を手に入れることができた。
資金ができたので、私は荘園の立て直しに取りかかることにした。
逃げ出した労働者達を探し出し、戻るように説得して、差配人も呼び戻した。そして、彼らの住居を整えなおして、最先端の農具も買い入れた。
それで何とか、以前のように運用できる目処が立った。
それに加えて私は、前々から考えていた、労働者の働きによってボーナスを出すという案も取り入れてみた。
今のモルゲンレーテの一般的な荘園運用方法では、労働者がどれだけ努力しても、報酬の額が変わらない。そのため労働者は基準内でしか努力せず、生産性が上がらないという問題があった。
でも努力が利益に繋がるようにすれば、労働者はがんばってくれるはず。
努力が認められ、褒賞として返ってくる仕組みにしておかなければ、その分野は発展しないというのは、前世では常識だった。
でもこの世界ではまだ、それは常識じゃない。長年、経営に関わってきた父と弟は、労働者の意欲の重要性を知っていたけれど、二人に代わってアルムガルトの当主になった親戚は、それらを軽視した。
そうして荘園の立て直しに腐心しているうちに、少しずつではあるものの、荘園の収益も持ち直しはじめた。
そうしてアルムガルトの当主としての役目を果たす一方、夜にはホワイトレディを蝶として飛ばして、アリアドナ達の監視をした。
(・・・・疲れる・・・・)
実家を立て直せているという喜びはあるものの、溜まっていく疲労も無視できない。
(でも、投げ出すわけにはいかない)
多忙な中、なんとか時間を見つけて、クリストフとは定期的に会っていた。アリアドナ対策を話しあうためだ。
「投資がうまくいってよかった。・・・・しかし投資するだけでは、ヴュートリッヒを倒すことはできない」
私達も資金を得ることはできたけれど、やはり一番儲かっているのはヴュートリッヒだ。配当金だけでかなりの額だったのだから、ヴュートリッヒが魔晄石で設けた額はかなりのものだろう。
言うまでもなく、このやりかたでは永遠に、権力基盤をひっくり返すことはできない。
「焦って動くと仕損じます。今は辛抱強く、機会を待ちましょう」
「機会か・・・・」
「ヴュートリッヒほど強い権力を握ると、それを外部がどうこうしようとするのは難しいです。でもいずれ、機会が訪れるはず。ーーーー人間は、自分の立場はもう盤石だと思いこんで、油断している時に失敗するものですから。足をすくうなら、その瞬間を狙うべきです」
ヴュートリッヒの権力は盤石で、付け入る隙はないように見える。
ーーーーでもこの世に、変わらないものはないから、ヴュートリッヒの権力にも隙間風が通る瞬間があるはずだ。
「それから、シュリアに大事な話があります。ここに呼んでもらえますか?」
「わかった。それじゃ、私は席を外すよ」
「いいえ、クリストフ、あなたも一緒に聞いてください」
クリストフは目を瞬かせた。
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