【完結】悪役令息に生まれて断罪される上に嫌われてるらしいので罪を償おうとしたら主人公の様子がおかしい

神崎ロクス

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俺の気持ちは。

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 翌日、俺はライズと街に出ても心臓がばくばくして止まらなかった。だってなんか、ライズ色気増してるし、昨日あんなことしたばっかだし。手を握られたけどその手でライズのと俺のとを一緒に扱いてってうわあああ!
 俺が思わずびくぅっと肩を震わせると、ライズは驚いた顔をした。それからにやりと笑って、耳打ちしてくる。

「意識してくれてるのか?」

 俺の憧れの主人公は……男に恋をしてしまった……。しかも悪役令息に……。原作じゃ考えられないよ! 原作じゃラストがあるからずっと犬猿の仲だったのに主人公が中ボスに惚れちゃうとかありえなくない? 俺は確かに美少年になったけど、普通にしてただけなのになんで。
 俺がぐるぐる考えて立ち止まってしまうと、する、と指を絡められる。ひー! 原作ではなかったシチュエーションー!

「必要なものは買ってあるから。今はとにかく遊ぶぞ」
「う、うん……」

 そう答えたのも半分口から魂が抜けてる状態でだ。それをどう取ったのか、ライズが笑う。

「このまま帰るか?」
「ちょっと……遊ぶ気分じゃないかな……」
「わかった。……夜になったら、な」

 だから! その色っぽい声を使うな! ぞくぞくするだろ! 
 ライズは俺の手を引いて街の入り口に待たせてある馬車のところに戻った。御者は早い帰りに驚いていたが、ライズが声をかけて二人して乗り込むと馬車を発進させた。がたがたと揺られながら、隣にはライズがいて愛おしそうに俺の手を握ったままだ。俺は、ライズのことどう思ってるんだろう。好きなのかな。嫌いではないけど。

 客室に戻ってばふっ、と綺麗に整頓されていたベッドにダイブする。ニコルのことを思い出す。ニコルも、俺とそういうことしたいって思ってんのかな。いや、あの天使ニコルのことだ。愛してるといっても半分はまだわかってないに違いない。
 問題はライズだった。今から逃げ帰ることはできない。そうすればライズを傷つける。でも好きでもないのに体を重ねてもいいものなのか? 嫌いではないし、むしろ親友としては大好きだけど、恋人としては──。

 恋人としては、どうなんだ。実際俺は半分強引に抱かれてもライズを嫌いになることはなかった。むしろ意識なんかしちゃって、出かけるときも顔が熱くて。俺だって前世で女性と付き合ったことはある。でも、こんなに心乱されるのは初めてだった。彼女たちも、こんな気持ちだったのかな。
 俺の気持ちは、どこにある。今までのライズの表情とルーイ、と元気に呼ぶ姿を、メディアの魔の手から助けてくれたときのかっこいいライズを思い出して、俺はライズに気持ちが傾きつつあった。

 そうだ。ニコルとは長い付き合いだったんだろうけど、それはルーイが体験したもの。俺になってからは、ライズのほうがよく知っている。情けないところも、ありのままも、全部見てきたのはライズのほうだ。
 とく、とく、と心臓が音を立てる。俺、今まで二人のことが好きだと思ってて、それは間違ってないけど。恋としては、ライズが好きなんだ。半分強姦まがいのことをされてようやく気付くとか、俺どんだけライズを待たせたんだろう。

 そこまで考えて、扉がノックされて召使いの声が聞こえてくる。窓の外を見ると、もう暗くなり始めていた。そんなに考えていたのか、俺は。ライズに伝えなきゃ、お前のことが好きだって。嘘でも遠慮でもなく、お前のことが好きなんだって。
 食卓を囲んで、ライズが急いだ様子で立ち上がった。どうしたんだろうと三人で見ていると、先に部屋に戻ります、とそそくさと立ち去っていった。俺とライズの両親とで食後の紅茶をのんびり楽しんで、風呂に入り、客室に戻って違和感に気付く。

 なにか入った紙袋に書置き、俺はランプの明かりの中それを読んで、ぐしゃ、と怒りで羊皮紙を握りつぶした。ああ、そうですかい。わかってたけど、一人でやれと。わかったよ、やるよ。俺はお前のことが好きだけどあとで一発殴らせてもらうからな。
 紙袋を持って扉を開けて、廊下に誰もいないのを確認してから斜め向かいにある客室用のトイレに駆け込んだ。準備をしてライズの部屋に向かう。ライズはベッドのへりに座って、本を読んでいた。それがまたむかついて、嬉しそうに顔を上げたライズの頭にげんこつを一つ落とす。

「いっつ……!」
「お前、こんな恥ずかしいこと一人でさせるな!」
「いや、書置き……」
「あれではフォローにならない! ……準備してきたから。しよ」

 やけに素直な俺に対してライズは驚いた表情をした。もっと怒られると思っていたらしい。愛してるとまではいかないけど、好きだってわかったんだ。素直にもなる。

「やたら素直だな……」
「ライズ、一回しか言わないからよく聞けよ」
「え?」
「ライズ、好きだ。親友としてじゃなくて、恋人として、お前のことが好きだ」
「……もう一回」
「言わない」
「もう一回」

 ライズの目の前に立つ俺の手を取って、手の甲に口付けながら上目遣いで待たれる。くそっ。なにしても様になる。俺は深呼吸をして、呟いた。

「好きだよ」
「待ってた。ずっと、その言葉を、待ってた」

 言い終えたと同時に優しくベッドに押し倒されて、足もベッドの上に乗せられて改めて組み敷かれる形になる。どくん、どくん、と心臓が跳ねて、綺麗にした後ろの穴がきゅ、と締まる。ライズはサイドチェストからいい香りが漏れてる瓶を取り出して枕に置かれた俺の頭の横に置いた。

「これは?」
「香油。これで滑りよくしないと、挿入らないから」

 直球で言われて、思わずかあっと赤くなってしまう。ライズは笑うと、俺のパジャマの上をゆっくり開いた。やっぱり感触を確かめるように手が滑ると、昨日のことを思い出してぴくん、と小さく反応してしまう。思い出しついでに乳首や乳輪もじんじんしてきて、人間の体って面白いな、と思う。
 乳輪をくるくると刺激されて、吐息を吐き出すと反応してちょっと尖った乳首を押しつぶされる。昨日よりは性感を感じる気がして息を詰めると、もう片方をライズが吸う。

「んっ……」

 乳首はまだ性感帯にはなっていない。それでも雰囲気で感じてるような気持ちになって、俺は乳首に意識を集中させた。そうするとくすぐったいような小さい快楽が生まれて、俺はそれに縋るようにライズの銀の髪に指を絡めながら頭を抱きしめた。

「あっ。……んぅ、う」

 熱くてぬるぬるした舌で乳首をこねくり回されるとたまらない。指の刺激も飽きを感じさせないエッセンスになって、俺の口からは自然と声が出ていた。

「はぁ……。あっ、ぁ」
「ルーイ、手、どけて」

 乳首を唇に挟みながら喋られるの、感じる。そんなことを思いながら手を離すと、ライズはまた下着ごと俺のズボンを脱がそうとして苦戦している。俺が察して腰を浮かせると、するりと脱がされる。
 俺のモノは気持ちを確信したからか半勃ちになっていた。それをライズが優しく握って、上下に強弱をつけてこする。同じ男だ、弱いところは似通っている。手の腹で裏筋を押すように扱かれるとたまらなくて、俺はすぐに出てしまいそうだった。

「あっ♡ ライ、ズ……♡ んっ、ひぁ……?」

 ライズが体を起こして膝立ちになると、俺の腕を引っ張って体を起こさせる。ライズのものは今すぐにでも挿入できるんじゃないかと思うほど勃起していて、俺がそうさせたんだと思うとまた顔が赤くなるのを感じた。

「舐めて、濡らしてくれるか?」

 おいおいライズさん、男同士が二回目の人間にそれは厳しいんじゃないの。俺はそう思いながらも、惹きつけられるようにライズのズボンと下着を一気に下ろした。ぶるん、とでかいモノが屹立して、ごく、と喉が鳴った。
 フェラなんてしたことないから、裏筋を舌で舐める。それだけでもライズはたまらないようで、ライズのモノがびくびくと震えた。頭を撫でられて、それが心地よくて目を細めるともっと撫でられる。

「ん、ちゅぴ。……れる、れろ」
「ルーイ、もういい。出そうだ。どうせ出すなら、ルーイの中がいい」

 その発言に、下っ腹がきゅんとした。舐めるのをやめると、もう一度押し倒されて、枕元にあった瓶をライズが取る。蓋を開けると香草のいい香りがふわっと部屋に広がって、とろりとした液体がライズの手のひらに落ちる。
 ライズはそれを指先に塗り広げると、俺の足を軽く開かせた。穴の入り口に指があてがわれて、俺はごくりと唾を飲む。香油のぬめりのおかげで、指二本は多少の痛みを伴いながらもあっさり挿入った。

「はっ、はっ……」
「痛いよな、ごめんな。今、ほぐすから」

 ライズがそう優しく言って俺にキスをすると、指を出し入れしたり上下左右に広げたりして徐々にほぐしていく。そこに感じるというものはなく、異物感と違和感がすごかった。でも、こうしないとライズと繋がれない。好きの証明ができない。そう思って耐えた。
 どれくらい時間が経ったんだろう。俺のケツの穴は、指二本の出し入れと上下左右に広げられても痛みを感じなくなっていた。異物感と違和感はまだあるけど、最初ほどではない。

 そこで、ライズは指を引き抜いた。残っていた香油を手に垂らすと、入り口に念入りに塗りたくる。そこまでしなくてもと思ったけど、ライズのサイズを考えたら仕方ないことかもしれない。そこまでして俺を大事にしてくれてるってことだから。
 いよいよ、挿入の瞬間がきた。ライズは何回か挿入に失敗して焦っていたが、俺が笑うと恥ずかしそうな顔をしたので、俺は腕を限界まで伸ばして人差し指と中指でライズのモノを挟んで入り口の正確な角度を教えた。

「えろ……」
「誰がさせてると思ってんだよ……」

 文句もそこそこに、亀頭がめりめりと肉を割って挿入ってくる。一番太いところが挿入るときは、さすがに少し痛かったが、そこを通りすぎるとあっさりと挿入った。
 ライズのモノが、俺の中にある。なんだか感慨深くて腹を撫でると、キスが飛んできた。唇を食み、舐め、最後には舌を少し拙いながらも絡めて。準備が整ったとばかりに、ライズが離れていって前後に律動を始める。

「あ、ぐ……!」
「痛いか?」
「痛くは、ない。異物感は、すごいけど……うっ、ぐ」

 ずるずると小さな動きは慣らすためだといえども圧迫感がすごかった。でもここまできたら俺もライズももう止められない。何度も何度も律動を繰り返しているうちに、香油のおかげで滑りがよかったのもあって入り口もライズのモノの形を覚え始めた。
 ライズのモノが奥を突く度に、竿の部分がいわゆるいいところってやつを擦り上げて、俺は快感を感じ始めていた。体の相性がいいのかもしれない。俺は声を殺しながら、いいよ、ってことを伝えたくて喘ぐ。

「んっ、あ。……あっ♡ ライズ、ライズ……! く、ひぃ♡」
「ルーイ……!」
「あ、やだ、激しいのやだ……♡ おかしく、なるからぁ……♡ あっ、ああっ、ん」

 ライズは腰を押し付けてぐりぐりと中を円を描くように抉りながら俺にキスを迫ってきた。俺は息が苦しいのに、と思いながらも体は正反対でライズの背中に腕を回してぎゅ、と抱きしめて返す。奥、ぐりぐりされるの、気持ちいい……。

「ぷはっ! あっ! ひっ、ぅ。……うー♡ ……はっ、はぁっ」
「もう、限界だ。出すぞ、ルーイ。お前の、中に……」
「や……! あっ……! 出てる……! びゅーっ、て……♡」

 俺はさすがに中を犯されるのは初めてだったからイけなかったけど。奥に精液を叩きつけられる感覚は癖になりそうだった。俺がイってないことを悟ったライズが最後扱いてくれて、俺も無事イくことができた。
 ずる、と引き抜かれる。奥の奥に出されたからか、出てこない。ライズは力尽きたように俺の横に転がると、狭さをごまかすために俺の頭を腕枕してくれた。鍛えてる筋肉が硬くて、きゅんとしてしまう。

「できたんだ、俺たち……」
「ルーイ、ごめんな。ありがとう」
「俺、変な顔してなかった?」
「かわいすぎて死ぬかと思った」
「なんだよそれ」

 照れ隠しにぽかぽかと軽くライズの胸板を叩くと、ライズにキスされた。俺はおとなしくそれを受け入れ、目を閉じる。幸福感で、気持ちいい時間が少なくても俺は満足だった。
 次の日二人でこそこそと風呂を沸かして入ると、俺は迎えに来た御者の馬車に乗って学園に向かった。クラスに入って、視線が一気にこっちに向いて、みんなが首を傾げる。どうしたんだろう。
 エリーゼとエリックが近寄ってきて、しげしげとつま先から頭の先まで見られる。本当にどうしたんだ。

「……なんか、色気が出たよね」
「そうね。あなた、昨日なにかあった?」
「え」

 思い当たることしかない。ライズとセックスしましたなんて言えるわけがない。俺は追及の目を向けてくる二人に対してサラリーマンしてたときの営業スマイルで答えた。

「気のせいじゃないかな」
「そう? おかしいわね……」

 エリーゼは訝しみながら、エリックと一緒に席に戻っていく。その後ろから、にゅっとライズに横顔を覗きこまれて俺は小さく悲鳴をあげた。

「お、おはよう」
「おはよう。どうした?」

 俺は愕然とした。ライズお前……。元からイケメンだったけどこんな色気満載のイケメンだったっけ? 廊下にいる女子生徒がライズを見てきゃあきゃあ言っている。俺もできるなら言いたい。

「中に入ったらどうだ?」
「ああ、そうだね……」

 俺は遠い目をしながら、二人揃って並んで席についた。ひとまず、休憩時間ははぐらかしていたけど。問題は昼休みだった。
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