20 / 27
俺の気持ちは。
しおりを挟む
翌日、俺はライズと街に出ても心臓がばくばくして止まらなかった。だってなんか、ライズ色気増してるし、昨日あんなことしたばっかだし。手を握られたけどその手でライズのと俺のとを一緒に扱いてってうわあああ!
俺が思わずびくぅっと肩を震わせると、ライズは驚いた顔をした。それからにやりと笑って、耳打ちしてくる。
「意識してくれてるのか?」
俺の憧れの主人公は……男に恋をしてしまった……。しかも悪役令息に……。原作じゃ考えられないよ! 原作じゃラストがあるからずっと犬猿の仲だったのに主人公が中ボスに惚れちゃうとかありえなくない? 俺は確かに美少年になったけど、普通にしてただけなのになんで。
俺がぐるぐる考えて立ち止まってしまうと、する、と指を絡められる。ひー! 原作ではなかったシチュエーションー!
「必要なものは買ってあるから。今はとにかく遊ぶぞ」
「う、うん……」
そう答えたのも半分口から魂が抜けてる状態でだ。それをどう取ったのか、ライズが笑う。
「このまま帰るか?」
「ちょっと……遊ぶ気分じゃないかな……」
「わかった。……夜になったら、な」
だから! その色っぽい声を使うな! ぞくぞくするだろ!
ライズは俺の手を引いて街の入り口に待たせてある馬車のところに戻った。御者は早い帰りに驚いていたが、ライズが声をかけて二人して乗り込むと馬車を発進させた。がたがたと揺られながら、隣にはライズがいて愛おしそうに俺の手を握ったままだ。俺は、ライズのことどう思ってるんだろう。好きなのかな。嫌いではないけど。
客室に戻ってばふっ、と綺麗に整頓されていたベッドにダイブする。ニコルのことを思い出す。ニコルも、俺とそういうことしたいって思ってんのかな。いや、あの天使ニコルのことだ。愛してるといっても半分はまだわかってないに違いない。
問題はライズだった。今から逃げ帰ることはできない。そうすればライズを傷つける。でも好きでもないのに体を重ねてもいいものなのか? 嫌いではないし、むしろ親友としては大好きだけど、恋人としては──。
恋人としては、どうなんだ。実際俺は半分強引に抱かれてもライズを嫌いになることはなかった。むしろ意識なんかしちゃって、出かけるときも顔が熱くて。俺だって前世で女性と付き合ったことはある。でも、こんなに心乱されるのは初めてだった。彼女たちも、こんな気持ちだったのかな。
俺の気持ちは、どこにある。今までのライズの表情とルーイ、と元気に呼ぶ姿を、メディアの魔の手から助けてくれたときのかっこいいライズを思い出して、俺はライズに気持ちが傾きつつあった。
そうだ。ニコルとは長い付き合いだったんだろうけど、それはルーイが体験したもの。俺になってからは、ライズのほうがよく知っている。情けないところも、ありのままも、全部見てきたのはライズのほうだ。
とく、とく、と心臓が音を立てる。俺、今まで二人のことが好きだと思ってて、それは間違ってないけど。恋としては、ライズが好きなんだ。半分強姦まがいのことをされてようやく気付くとか、俺どんだけライズを待たせたんだろう。
そこまで考えて、扉がノックされて召使いの声が聞こえてくる。窓の外を見ると、もう暗くなり始めていた。そんなに考えていたのか、俺は。ライズに伝えなきゃ、お前のことが好きだって。嘘でも遠慮でもなく、お前のことが好きなんだって。
食卓を囲んで、ライズが急いだ様子で立ち上がった。どうしたんだろうと三人で見ていると、先に部屋に戻ります、とそそくさと立ち去っていった。俺とライズの両親とで食後の紅茶をのんびり楽しんで、風呂に入り、客室に戻って違和感に気付く。
なにか入った紙袋に書置き、俺はランプの明かりの中それを読んで、ぐしゃ、と怒りで羊皮紙を握りつぶした。ああ、そうですかい。わかってたけど、一人でやれと。わかったよ、やるよ。俺はお前のことが好きだけどあとで一発殴らせてもらうからな。
紙袋を持って扉を開けて、廊下に誰もいないのを確認してから斜め向かいにある客室用のトイレに駆け込んだ。準備をしてライズの部屋に向かう。ライズはベッドのへりに座って、本を読んでいた。それがまたむかついて、嬉しそうに顔を上げたライズの頭にげんこつを一つ落とす。
「いっつ……!」
「お前、こんな恥ずかしいこと一人でさせるな!」
「いや、書置き……」
「あれではフォローにならない! ……準備してきたから。しよ」
やけに素直な俺に対してライズは驚いた表情をした。もっと怒られると思っていたらしい。愛してるとまではいかないけど、好きだってわかったんだ。素直にもなる。
「やたら素直だな……」
「ライズ、一回しか言わないからよく聞けよ」
「え?」
「ライズ、好きだ。親友としてじゃなくて、恋人として、お前のことが好きだ」
「……もう一回」
「言わない」
「もう一回」
ライズの目の前に立つ俺の手を取って、手の甲に口付けながら上目遣いで待たれる。くそっ。なにしても様になる。俺は深呼吸をして、呟いた。
「好きだよ」
「待ってた。ずっと、その言葉を、待ってた」
言い終えたと同時に優しくベッドに押し倒されて、足もベッドの上に乗せられて改めて組み敷かれる形になる。どくん、どくん、と心臓が跳ねて、綺麗にした後ろの穴がきゅ、と締まる。ライズはサイドチェストからいい香りが漏れてる瓶を取り出して枕に置かれた俺の頭の横に置いた。
「これは?」
「香油。これで滑りよくしないと、挿入らないから」
直球で言われて、思わずかあっと赤くなってしまう。ライズは笑うと、俺のパジャマの上をゆっくり開いた。やっぱり感触を確かめるように手が滑ると、昨日のことを思い出してぴくん、と小さく反応してしまう。思い出しついでに乳首や乳輪もじんじんしてきて、人間の体って面白いな、と思う。
乳輪をくるくると刺激されて、吐息を吐き出すと反応してちょっと尖った乳首を押しつぶされる。昨日よりは性感を感じる気がして息を詰めると、もう片方をライズが吸う。
「んっ……」
乳首はまだ性感帯にはなっていない。それでも雰囲気で感じてるような気持ちになって、俺は乳首に意識を集中させた。そうするとくすぐったいような小さい快楽が生まれて、俺はそれに縋るようにライズの銀の髪に指を絡めながら頭を抱きしめた。
「あっ。……んぅ、う」
熱くてぬるぬるした舌で乳首をこねくり回されるとたまらない。指の刺激も飽きを感じさせないエッセンスになって、俺の口からは自然と声が出ていた。
「はぁ……。あっ、ぁ」
「ルーイ、手、どけて」
乳首を唇に挟みながら喋られるの、感じる。そんなことを思いながら手を離すと、ライズはまた下着ごと俺のズボンを脱がそうとして苦戦している。俺が察して腰を浮かせると、するりと脱がされる。
俺のモノは気持ちを確信したからか半勃ちになっていた。それをライズが優しく握って、上下に強弱をつけてこする。同じ男だ、弱いところは似通っている。手の腹で裏筋を押すように扱かれるとたまらなくて、俺はすぐに出てしまいそうだった。
「あっ♡ ライ、ズ……♡ んっ、ひぁ……?」
ライズが体を起こして膝立ちになると、俺の腕を引っ張って体を起こさせる。ライズのものは今すぐにでも挿入できるんじゃないかと思うほど勃起していて、俺がそうさせたんだと思うとまた顔が赤くなるのを感じた。
「舐めて、濡らしてくれるか?」
おいおいライズさん、男同士が二回目の人間にそれは厳しいんじゃないの。俺はそう思いながらも、惹きつけられるようにライズのズボンと下着を一気に下ろした。ぶるん、とでかいモノが屹立して、ごく、と喉が鳴った。
フェラなんてしたことないから、裏筋を舌で舐める。それだけでもライズはたまらないようで、ライズのモノがびくびくと震えた。頭を撫でられて、それが心地よくて目を細めるともっと撫でられる。
「ん、ちゅぴ。……れる、れろ」
「ルーイ、もういい。出そうだ。どうせ出すなら、ルーイの中がいい」
その発言に、下っ腹がきゅんとした。舐めるのをやめると、もう一度押し倒されて、枕元にあった瓶をライズが取る。蓋を開けると香草のいい香りがふわっと部屋に広がって、とろりとした液体がライズの手のひらに落ちる。
ライズはそれを指先に塗り広げると、俺の足を軽く開かせた。穴の入り口に指があてがわれて、俺はごくりと唾を飲む。香油のぬめりのおかげで、指二本は多少の痛みを伴いながらもあっさり挿入った。
「はっ、はっ……」
「痛いよな、ごめんな。今、ほぐすから」
ライズがそう優しく言って俺にキスをすると、指を出し入れしたり上下左右に広げたりして徐々にほぐしていく。そこに感じるというものはなく、異物感と違和感がすごかった。でも、こうしないとライズと繋がれない。好きの証明ができない。そう思って耐えた。
どれくらい時間が経ったんだろう。俺のケツの穴は、指二本の出し入れと上下左右に広げられても痛みを感じなくなっていた。異物感と違和感はまだあるけど、最初ほどではない。
そこで、ライズは指を引き抜いた。残っていた香油を手に垂らすと、入り口に念入りに塗りたくる。そこまでしなくてもと思ったけど、ライズのサイズを考えたら仕方ないことかもしれない。そこまでして俺を大事にしてくれてるってことだから。
いよいよ、挿入の瞬間がきた。ライズは何回か挿入に失敗して焦っていたが、俺が笑うと恥ずかしそうな顔をしたので、俺は腕を限界まで伸ばして人差し指と中指でライズのモノを挟んで入り口の正確な角度を教えた。
「えろ……」
「誰がさせてると思ってんだよ……」
文句もそこそこに、亀頭がめりめりと肉を割って挿入ってくる。一番太いところが挿入るときは、さすがに少し痛かったが、そこを通りすぎるとあっさりと挿入った。
ライズのモノが、俺の中にある。なんだか感慨深くて腹を撫でると、キスが飛んできた。唇を食み、舐め、最後には舌を少し拙いながらも絡めて。準備が整ったとばかりに、ライズが離れていって前後に律動を始める。
「あ、ぐ……!」
「痛いか?」
「痛くは、ない。異物感は、すごいけど……うっ、ぐ」
ずるずると小さな動きは慣らすためだといえども圧迫感がすごかった。でもここまできたら俺もライズももう止められない。何度も何度も律動を繰り返しているうちに、香油のおかげで滑りがよかったのもあって入り口もライズのモノの形を覚え始めた。
ライズのモノが奥を突く度に、竿の部分がいわゆるいいところってやつを擦り上げて、俺は快感を感じ始めていた。体の相性がいいのかもしれない。俺は声を殺しながら、いいよ、ってことを伝えたくて喘ぐ。
「んっ、あ。……あっ♡ ライズ、ライズ……! く、ひぃ♡」
「ルーイ……!」
「あ、やだ、激しいのやだ……♡ おかしく、なるからぁ……♡ あっ、ああっ、ん」
ライズは腰を押し付けてぐりぐりと中を円を描くように抉りながら俺にキスを迫ってきた。俺は息が苦しいのに、と思いながらも体は正反対でライズの背中に腕を回してぎゅ、と抱きしめて返す。奥、ぐりぐりされるの、気持ちいい……。
「ぷはっ! あっ! ひっ、ぅ。……うー♡ ……はっ、はぁっ」
「もう、限界だ。出すぞ、ルーイ。お前の、中に……」
「や……! あっ……! 出てる……! びゅーっ、て……♡」
俺はさすがに中を犯されるのは初めてだったからイけなかったけど。奥に精液を叩きつけられる感覚は癖になりそうだった。俺がイってないことを悟ったライズが最後扱いてくれて、俺も無事イくことができた。
ずる、と引き抜かれる。奥の奥に出されたからか、出てこない。ライズは力尽きたように俺の横に転がると、狭さをごまかすために俺の頭を腕枕してくれた。鍛えてる筋肉が硬くて、きゅんとしてしまう。
「できたんだ、俺たち……」
「ルーイ、ごめんな。ありがとう」
「俺、変な顔してなかった?」
「かわいすぎて死ぬかと思った」
「なんだよそれ」
照れ隠しにぽかぽかと軽くライズの胸板を叩くと、ライズにキスされた。俺はおとなしくそれを受け入れ、目を閉じる。幸福感で、気持ちいい時間が少なくても俺は満足だった。
次の日二人でこそこそと風呂を沸かして入ると、俺は迎えに来た御者の馬車に乗って学園に向かった。クラスに入って、視線が一気にこっちに向いて、みんなが首を傾げる。どうしたんだろう。
エリーゼとエリックが近寄ってきて、しげしげとつま先から頭の先まで見られる。本当にどうしたんだ。
「……なんか、色気が出たよね」
「そうね。あなた、昨日なにかあった?」
「え」
思い当たることしかない。ライズとセックスしましたなんて言えるわけがない。俺は追及の目を向けてくる二人に対してサラリーマンしてたときの営業スマイルで答えた。
「気のせいじゃないかな」
「そう? おかしいわね……」
エリーゼは訝しみながら、エリックと一緒に席に戻っていく。その後ろから、にゅっとライズに横顔を覗きこまれて俺は小さく悲鳴をあげた。
「お、おはよう」
「おはよう。どうした?」
俺は愕然とした。ライズお前……。元からイケメンだったけどこんな色気満載のイケメンだったっけ? 廊下にいる女子生徒がライズを見てきゃあきゃあ言っている。俺もできるなら言いたい。
「中に入ったらどうだ?」
「ああ、そうだね……」
俺は遠い目をしながら、二人揃って並んで席についた。ひとまず、休憩時間ははぐらかしていたけど。問題は昼休みだった。
俺が思わずびくぅっと肩を震わせると、ライズは驚いた顔をした。それからにやりと笑って、耳打ちしてくる。
「意識してくれてるのか?」
俺の憧れの主人公は……男に恋をしてしまった……。しかも悪役令息に……。原作じゃ考えられないよ! 原作じゃラストがあるからずっと犬猿の仲だったのに主人公が中ボスに惚れちゃうとかありえなくない? 俺は確かに美少年になったけど、普通にしてただけなのになんで。
俺がぐるぐる考えて立ち止まってしまうと、する、と指を絡められる。ひー! 原作ではなかったシチュエーションー!
「必要なものは買ってあるから。今はとにかく遊ぶぞ」
「う、うん……」
そう答えたのも半分口から魂が抜けてる状態でだ。それをどう取ったのか、ライズが笑う。
「このまま帰るか?」
「ちょっと……遊ぶ気分じゃないかな……」
「わかった。……夜になったら、な」
だから! その色っぽい声を使うな! ぞくぞくするだろ!
ライズは俺の手を引いて街の入り口に待たせてある馬車のところに戻った。御者は早い帰りに驚いていたが、ライズが声をかけて二人して乗り込むと馬車を発進させた。がたがたと揺られながら、隣にはライズがいて愛おしそうに俺の手を握ったままだ。俺は、ライズのことどう思ってるんだろう。好きなのかな。嫌いではないけど。
客室に戻ってばふっ、と綺麗に整頓されていたベッドにダイブする。ニコルのことを思い出す。ニコルも、俺とそういうことしたいって思ってんのかな。いや、あの天使ニコルのことだ。愛してるといっても半分はまだわかってないに違いない。
問題はライズだった。今から逃げ帰ることはできない。そうすればライズを傷つける。でも好きでもないのに体を重ねてもいいものなのか? 嫌いではないし、むしろ親友としては大好きだけど、恋人としては──。
恋人としては、どうなんだ。実際俺は半分強引に抱かれてもライズを嫌いになることはなかった。むしろ意識なんかしちゃって、出かけるときも顔が熱くて。俺だって前世で女性と付き合ったことはある。でも、こんなに心乱されるのは初めてだった。彼女たちも、こんな気持ちだったのかな。
俺の気持ちは、どこにある。今までのライズの表情とルーイ、と元気に呼ぶ姿を、メディアの魔の手から助けてくれたときのかっこいいライズを思い出して、俺はライズに気持ちが傾きつつあった。
そうだ。ニコルとは長い付き合いだったんだろうけど、それはルーイが体験したもの。俺になってからは、ライズのほうがよく知っている。情けないところも、ありのままも、全部見てきたのはライズのほうだ。
とく、とく、と心臓が音を立てる。俺、今まで二人のことが好きだと思ってて、それは間違ってないけど。恋としては、ライズが好きなんだ。半分強姦まがいのことをされてようやく気付くとか、俺どんだけライズを待たせたんだろう。
そこまで考えて、扉がノックされて召使いの声が聞こえてくる。窓の外を見ると、もう暗くなり始めていた。そんなに考えていたのか、俺は。ライズに伝えなきゃ、お前のことが好きだって。嘘でも遠慮でもなく、お前のことが好きなんだって。
食卓を囲んで、ライズが急いだ様子で立ち上がった。どうしたんだろうと三人で見ていると、先に部屋に戻ります、とそそくさと立ち去っていった。俺とライズの両親とで食後の紅茶をのんびり楽しんで、風呂に入り、客室に戻って違和感に気付く。
なにか入った紙袋に書置き、俺はランプの明かりの中それを読んで、ぐしゃ、と怒りで羊皮紙を握りつぶした。ああ、そうですかい。わかってたけど、一人でやれと。わかったよ、やるよ。俺はお前のことが好きだけどあとで一発殴らせてもらうからな。
紙袋を持って扉を開けて、廊下に誰もいないのを確認してから斜め向かいにある客室用のトイレに駆け込んだ。準備をしてライズの部屋に向かう。ライズはベッドのへりに座って、本を読んでいた。それがまたむかついて、嬉しそうに顔を上げたライズの頭にげんこつを一つ落とす。
「いっつ……!」
「お前、こんな恥ずかしいこと一人でさせるな!」
「いや、書置き……」
「あれではフォローにならない! ……準備してきたから。しよ」
やけに素直な俺に対してライズは驚いた表情をした。もっと怒られると思っていたらしい。愛してるとまではいかないけど、好きだってわかったんだ。素直にもなる。
「やたら素直だな……」
「ライズ、一回しか言わないからよく聞けよ」
「え?」
「ライズ、好きだ。親友としてじゃなくて、恋人として、お前のことが好きだ」
「……もう一回」
「言わない」
「もう一回」
ライズの目の前に立つ俺の手を取って、手の甲に口付けながら上目遣いで待たれる。くそっ。なにしても様になる。俺は深呼吸をして、呟いた。
「好きだよ」
「待ってた。ずっと、その言葉を、待ってた」
言い終えたと同時に優しくベッドに押し倒されて、足もベッドの上に乗せられて改めて組み敷かれる形になる。どくん、どくん、と心臓が跳ねて、綺麗にした後ろの穴がきゅ、と締まる。ライズはサイドチェストからいい香りが漏れてる瓶を取り出して枕に置かれた俺の頭の横に置いた。
「これは?」
「香油。これで滑りよくしないと、挿入らないから」
直球で言われて、思わずかあっと赤くなってしまう。ライズは笑うと、俺のパジャマの上をゆっくり開いた。やっぱり感触を確かめるように手が滑ると、昨日のことを思い出してぴくん、と小さく反応してしまう。思い出しついでに乳首や乳輪もじんじんしてきて、人間の体って面白いな、と思う。
乳輪をくるくると刺激されて、吐息を吐き出すと反応してちょっと尖った乳首を押しつぶされる。昨日よりは性感を感じる気がして息を詰めると、もう片方をライズが吸う。
「んっ……」
乳首はまだ性感帯にはなっていない。それでも雰囲気で感じてるような気持ちになって、俺は乳首に意識を集中させた。そうするとくすぐったいような小さい快楽が生まれて、俺はそれに縋るようにライズの銀の髪に指を絡めながら頭を抱きしめた。
「あっ。……んぅ、う」
熱くてぬるぬるした舌で乳首をこねくり回されるとたまらない。指の刺激も飽きを感じさせないエッセンスになって、俺の口からは自然と声が出ていた。
「はぁ……。あっ、ぁ」
「ルーイ、手、どけて」
乳首を唇に挟みながら喋られるの、感じる。そんなことを思いながら手を離すと、ライズはまた下着ごと俺のズボンを脱がそうとして苦戦している。俺が察して腰を浮かせると、するりと脱がされる。
俺のモノは気持ちを確信したからか半勃ちになっていた。それをライズが優しく握って、上下に強弱をつけてこする。同じ男だ、弱いところは似通っている。手の腹で裏筋を押すように扱かれるとたまらなくて、俺はすぐに出てしまいそうだった。
「あっ♡ ライ、ズ……♡ んっ、ひぁ……?」
ライズが体を起こして膝立ちになると、俺の腕を引っ張って体を起こさせる。ライズのものは今すぐにでも挿入できるんじゃないかと思うほど勃起していて、俺がそうさせたんだと思うとまた顔が赤くなるのを感じた。
「舐めて、濡らしてくれるか?」
おいおいライズさん、男同士が二回目の人間にそれは厳しいんじゃないの。俺はそう思いながらも、惹きつけられるようにライズのズボンと下着を一気に下ろした。ぶるん、とでかいモノが屹立して、ごく、と喉が鳴った。
フェラなんてしたことないから、裏筋を舌で舐める。それだけでもライズはたまらないようで、ライズのモノがびくびくと震えた。頭を撫でられて、それが心地よくて目を細めるともっと撫でられる。
「ん、ちゅぴ。……れる、れろ」
「ルーイ、もういい。出そうだ。どうせ出すなら、ルーイの中がいい」
その発言に、下っ腹がきゅんとした。舐めるのをやめると、もう一度押し倒されて、枕元にあった瓶をライズが取る。蓋を開けると香草のいい香りがふわっと部屋に広がって、とろりとした液体がライズの手のひらに落ちる。
ライズはそれを指先に塗り広げると、俺の足を軽く開かせた。穴の入り口に指があてがわれて、俺はごくりと唾を飲む。香油のぬめりのおかげで、指二本は多少の痛みを伴いながらもあっさり挿入った。
「はっ、はっ……」
「痛いよな、ごめんな。今、ほぐすから」
ライズがそう優しく言って俺にキスをすると、指を出し入れしたり上下左右に広げたりして徐々にほぐしていく。そこに感じるというものはなく、異物感と違和感がすごかった。でも、こうしないとライズと繋がれない。好きの証明ができない。そう思って耐えた。
どれくらい時間が経ったんだろう。俺のケツの穴は、指二本の出し入れと上下左右に広げられても痛みを感じなくなっていた。異物感と違和感はまだあるけど、最初ほどではない。
そこで、ライズは指を引き抜いた。残っていた香油を手に垂らすと、入り口に念入りに塗りたくる。そこまでしなくてもと思ったけど、ライズのサイズを考えたら仕方ないことかもしれない。そこまでして俺を大事にしてくれてるってことだから。
いよいよ、挿入の瞬間がきた。ライズは何回か挿入に失敗して焦っていたが、俺が笑うと恥ずかしそうな顔をしたので、俺は腕を限界まで伸ばして人差し指と中指でライズのモノを挟んで入り口の正確な角度を教えた。
「えろ……」
「誰がさせてると思ってんだよ……」
文句もそこそこに、亀頭がめりめりと肉を割って挿入ってくる。一番太いところが挿入るときは、さすがに少し痛かったが、そこを通りすぎるとあっさりと挿入った。
ライズのモノが、俺の中にある。なんだか感慨深くて腹を撫でると、キスが飛んできた。唇を食み、舐め、最後には舌を少し拙いながらも絡めて。準備が整ったとばかりに、ライズが離れていって前後に律動を始める。
「あ、ぐ……!」
「痛いか?」
「痛くは、ない。異物感は、すごいけど……うっ、ぐ」
ずるずると小さな動きは慣らすためだといえども圧迫感がすごかった。でもここまできたら俺もライズももう止められない。何度も何度も律動を繰り返しているうちに、香油のおかげで滑りがよかったのもあって入り口もライズのモノの形を覚え始めた。
ライズのモノが奥を突く度に、竿の部分がいわゆるいいところってやつを擦り上げて、俺は快感を感じ始めていた。体の相性がいいのかもしれない。俺は声を殺しながら、いいよ、ってことを伝えたくて喘ぐ。
「んっ、あ。……あっ♡ ライズ、ライズ……! く、ひぃ♡」
「ルーイ……!」
「あ、やだ、激しいのやだ……♡ おかしく、なるからぁ……♡ あっ、ああっ、ん」
ライズは腰を押し付けてぐりぐりと中を円を描くように抉りながら俺にキスを迫ってきた。俺は息が苦しいのに、と思いながらも体は正反対でライズの背中に腕を回してぎゅ、と抱きしめて返す。奥、ぐりぐりされるの、気持ちいい……。
「ぷはっ! あっ! ひっ、ぅ。……うー♡ ……はっ、はぁっ」
「もう、限界だ。出すぞ、ルーイ。お前の、中に……」
「や……! あっ……! 出てる……! びゅーっ、て……♡」
俺はさすがに中を犯されるのは初めてだったからイけなかったけど。奥に精液を叩きつけられる感覚は癖になりそうだった。俺がイってないことを悟ったライズが最後扱いてくれて、俺も無事イくことができた。
ずる、と引き抜かれる。奥の奥に出されたからか、出てこない。ライズは力尽きたように俺の横に転がると、狭さをごまかすために俺の頭を腕枕してくれた。鍛えてる筋肉が硬くて、きゅんとしてしまう。
「できたんだ、俺たち……」
「ルーイ、ごめんな。ありがとう」
「俺、変な顔してなかった?」
「かわいすぎて死ぬかと思った」
「なんだよそれ」
照れ隠しにぽかぽかと軽くライズの胸板を叩くと、ライズにキスされた。俺はおとなしくそれを受け入れ、目を閉じる。幸福感で、気持ちいい時間が少なくても俺は満足だった。
次の日二人でこそこそと風呂を沸かして入ると、俺は迎えに来た御者の馬車に乗って学園に向かった。クラスに入って、視線が一気にこっちに向いて、みんなが首を傾げる。どうしたんだろう。
エリーゼとエリックが近寄ってきて、しげしげとつま先から頭の先まで見られる。本当にどうしたんだ。
「……なんか、色気が出たよね」
「そうね。あなた、昨日なにかあった?」
「え」
思い当たることしかない。ライズとセックスしましたなんて言えるわけがない。俺は追及の目を向けてくる二人に対してサラリーマンしてたときの営業スマイルで答えた。
「気のせいじゃないかな」
「そう? おかしいわね……」
エリーゼは訝しみながら、エリックと一緒に席に戻っていく。その後ろから、にゅっとライズに横顔を覗きこまれて俺は小さく悲鳴をあげた。
「お、おはよう」
「おはよう。どうした?」
俺は愕然とした。ライズお前……。元からイケメンだったけどこんな色気満載のイケメンだったっけ? 廊下にいる女子生徒がライズを見てきゃあきゃあ言っている。俺もできるなら言いたい。
「中に入ったらどうだ?」
「ああ、そうだね……」
俺は遠い目をしながら、二人揃って並んで席についた。ひとまず、休憩時間ははぐらかしていたけど。問題は昼休みだった。
375
あなたにおすすめの小説
【完結済】「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。
時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!?
※表紙のイラストはたかだ。様
※エブリスタ、pixivにも掲載してます
◆4月19日18時から、この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」を1話ずつ公開予定です。そちらも気になったら覗いてみてください。
◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
悪役令息の兄って需要ありますか?
焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。
その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。
これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。
【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。
天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。
成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。
まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。
黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる