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市川浩平という男4
「ねぇ浩平くん。良かったら俺にこのマシンの使い方、教えてくれないかな? 腹筋を鍛えたいんだけど、これを使うのは初めてで……」
「え、俺でよければ……。でも美鳥さん、鍛える必要あります? ダイエットもいらなそうだし、まさかムキムキ目指してるわけでもないっすよね?」
俺が幸せを噛み締めていると、突然美鳥さんがそんなことを言い出した。今のままで必要なところに程よく肉のついた完璧パーフェクトなむっちりわがままボディなのに、それのどこに鍛えるべきポイントが?俺は本気で意味が分からなくて首を傾げてしまう。
すると、嫣然と微笑んだ美鳥さんは俺の手を取り、一切の迷いなくそれを自らのTシャツの内へと誘(いざな)った。
「ムキムキは目指してないけど、ほら触ってみて。けっこう脂肪付いてない? ビール腹ってやつなのかなぁ。俺なかなか筋肉もつかないんだよね~」
突然のことに固まる俺に構うことなく、美鳥さんは俺の手でその魅惑の腹部を撫でている。ちらちらと隙間から覗く白い肌。きゅっと窪んだお臍がめちゃくちゃエロくて、あのえっちな穴を舐め回したいと変態的思考がむくむくと湧き上がる。
歴代の彼女とのセックスでは必要に駆られて前戯は行っていたけれど、やらなくて良いならそれが一番よかった。人の反応を読むのが得意な俺は、さっさとコトを済ませるために相手が良い反応をした部分に集中して責めていたのだが、なぜだかそれが「前戯が気持ち良くて大好き♡」と高評価をいただいていたので不思議だ。まぁ相手が良いなら、それでいっか?
一瞬別のところに意識を飛ばしていたが、俺はとにかく今の状況を最大限堪能すべく、全神経を手のひらに集中させる。だんだんと余裕が戻ってくると、反対に美鳥さんの表情は甘く蕩けていった。絶対やらしいこと考えているんだろうなっていう、瞳の潤んだえっちな顔。導かれるままに手を上へ上へと滑らせて、ある一点を目指して指先にクッと力を入れる。
「あんっ♡」
つんと尖った乳首に触れた瞬間、美鳥さんの薄く開いた唇から嬌声が飛び出す。散々誘うようなことをしておいて、自分の出した声に顔を真っ赤にさせて慌てている美鳥さんが途方もなくいやらしくて、俺は異常な興奮に襲われる。
「ご、ごめんねっ変な声出して! 俺、擽ったがりで……」
ちらりとこちらを見る美鳥さんを見返している目は、きっと誤魔化しようもなくギラついているだろう。だって好きな人のエロい声を聞いてちんこが反応しない男なんて、インポしかいないだろ?
でも駄目だ。
ここで我慢しないと、俺の目的は果たせない。
「浩平くん……」
誘うように甘えた声を出す美鳥さん。今すぐその身体をかき抱いて、その唇を貪りたい衝動と戦いながら、俺は極力冷静ぶった声を出す。
「……た、体質的な物もあるかもしれないすけど、トレーニング内容に問題がないなら、食事ですかね。普段どんなもの食べてます?」
「えっ? えと、仕事がけっこう不規則だから、コンビニが多いかも……?」
「それだとやっぱりダメかもですね。腹筋を鍛えたいなら……―――」
それからしばらくウンチクを垂れ流す俺に、美鳥さんは目を白黒とさせていたが、構わず淫靡な雰囲気を払拭していくことに専念した。
そのまま俺は、なんとか何事もなくトレーニングを終えて、最後に念願の美鳥さんとの連絡先交換を果たしたのだ。
自分の携帯に登録された『柳瀬美鳥』という文字を見て、喜びに身体が震える。
(頑張れ、俺……。絶対美鳥さんの全てを、俺のモノにする……!)
目の前の相手がそんな事を考えているとも知らず、美鳥さんは朗らかに笑いながら俺に手を振り、元気に帰って行った。
それからというもの、俺にとっては試練の日々が始まった。美鳥さんはとことん俺を誘惑すると決めたらしく、積極的にちょっかいをかけに来ては様々なラッキースケベを仕掛けてくるのだ。
ある日の柔軟では「浩平くん、本当に身体固いんだね~」なんて言いながら、前屈をする俺の背中に密着して己のちんこを擦り付けてきた。するりと背中を撫でる手つきはいやらしいし、他の誰かだったとしたら全力で拒絶していただろう、他人のちんこの感触はふにゅんと柔らかくて気持ちがいい上に「カタいなぁ♡」なんて、勘違いしてしまいそうな台詞を耳元で囁いてくれるサービス付きだ。
「………っ」
このままでは完勃ち間違いなし!というところで、俺は必死になって身体を起こす。俺に押し負けて淫らに足を開いたまま、こちらをじっと見上げる美鳥さんの濡れた瞳に、このまま襲ってしまいたくなる気持ちが膨れ上がるのを、心の中で自分をぶん殴って抑え込む。
またある時は、更衣室で何気なく喋っていると、おもむろに大きく開いたTシャツの襟元を拡げてはチラチラと、ピンクでつんと尖った魅惑の乳首を見せつけてくるのだ。そう、あれは絶対見せつけていたはずだ。あんな上手い具合にチラ見えするなんて、角度やなにやら計算しなければ絶対にありえないし、ちょっとしたり顔に見えたから。
そうは分かってはいても、まぁ好きな人のそんなえっちなところ見せつけられて平静でいられる男なんているわけが無いよな。案の定、俺の愚息も元気に勃ち上がっていたけど、ここで手を出したらそれこそ美鳥さんの思うツボ。もっともっと、逃げられないくらい雁字搦めにしてからじゃないと駄目なんだ。
決死の覚悟で俺を誘惑するいやらしい肢体を大判のタオルで覆い隠すと、俺は勃起したちんこを美鳥さんに見られないように背中を向けて大きく深呼吸をする。
少しだけ気持ちとちんこが落ち着いてきた頃に振り返ってみれば、手を出さない俺に特大のハテナを飛ばした美鳥さんがきょとんとしたまま座っていたので、着替えを促して帰り支度をさせる。そのままバイトを理由にジムの前で別れればいつも人形みたいにニコニコした綺麗すぎる笑顔を浮かべていた顔に、若干の苛立ちが感じられたような気がした。
(あと少し……かな……)
俺はそんな美鳥さんの顔を見て、自分の想像が現実になる日もそう遠くないと確信するのだった。
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