童貞食いのお兄さんが童貞(仮)を誘惑する話

つむぎみか

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恋人になってからの、ある日のこと。

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 薄暗い寝室の中で、セミダブルのベッドの上にひとつの影が妖しく動く。

「っあ、奥……っ♡ ……も、そんなにぐりぐりしたら……っ」

 ヴィン、ヴィィン……ッという微かな機械音と共に、淫らな嬌声が小さくこぼれる。
 白くて丸い、形のいい尻を高く掲げて、その奥に大きなディルドを咥え込んだ美鳥は、恋人の枕を抱き締めながらはぁはぁと熱い息を吐いていた。

「浩平くんもっと……っ♡ もっとしてっ、んっ、浩平くん……っ♡」

 いつも以上に彼の名前を呼んでしまう。甘ったれた声を出しても、それを聞く人はおらず、静かな部屋に響く自分の声に余計に虚しさが募った。

「っ、ぁん……っこんなの……ぉっ♡ だめっだめぇ……っ♡」

 数日前から卒論制作のため、浩平が大学に一週間の泊まり込みをしていた。家を出る前に「一人で大丈夫ですか?」などと問いかける男に、そんなの当たり前でしょうと答えていたはずなのだけれど。
 付き合う前から三日と置かずのセックス三昧。晴れて恋人関係に落ち着いてからは半同棲のような状態で、ほぼ毎日抱かれていた美鳥は、久しぶりのひとり寝が思いのほか堪(こた)えていた。一日目から寝つきが悪く、睡眠不足のまま出社をした。次の日からは年下の恋人を思い出すように、彼の匂いが残った枕を抱きしめて眠りにつく。とうとう禁欲五日目となった日の夜、遠い昔に使っていた愛用のディルドを持ち出して、自らを慰めることにしたのだった。

「ああもうっ、ちんこ、欲しいよぅっ♡ んぅっ、好き、大好きっ♡ もっと、動いて……!」

 浩平が帰ってくるはずの日まであと二日。こんなにも懊悩とする身体を抱えて、自分は我慢することが出来るのだろうか。仕事をしていればまだ気持ちもまぎれていたが、家に帰ってきてからはどこもかしこも浩平を思い出してしまって駄目だった。
 まだ解約していない自分の家に戻ればいいのかも知れないけれど、それも出来ずに悶々とした時間を一人で過ごし続ける。土日に予定を入れる気にもならずに金曜日の夜になってしまい、ちゃんと欲を吐き出さなければ明日には浩平のいる大学へ乗り込んでしまいそうな予感すらした。そうして美鳥は最後にしたセックスを思い出しながら、後孔で咥えたディルドを自らの手で激しく動かすのだった。
 ただ快感を追って動かせば、自然と浩平の動きを模してしまう。それなのに、太さも、熱も、力強さも、何もかもが物足りない。全然満足できるようなモノにならなくて、余計に昂らされただけで発散できない身体に自然と涙が浮かぶ。

「あっ、なんで……っ♡ イキたいのにっ、イけないぃぃ♡♡」

 後ろの刺激だけでは到底達することは出来なさそうだ。ぽたぽたと蜜を溢しながらも、絶頂までは至らないくらいに勃ち上がった性器を抜く。激しくなる行為に反比例するように、頭が異様に冷めていった。
 そんな自分に美鳥が絶望感でいっぱいになっていた時、まだ聞こえるはずのない声が背後から飛んでくる。

「美鳥さん、何してるんですか?」
「ひあ……っ⁉」

 びくんっと全身を揺らして、動きを止める。まさかそんなはずはと思いながらも、壊れたおもちゃのようにギギギギ……と後ろを振り返れば、そこに居たのは悪辣な微笑みを浮かべた浩平だった。

「着替え取りに来て正解でした♡ まさか美鳥さんがオナニーしてるなんて」
「あ、あ……あぅ……」

 慌てて玩具を引き抜こうとするも、想定していなかった事態に手元がおぼつかない。

「そんな玩具持ってたんですね。一人で遊んでる美鳥さん、ずっと見てられそう」
「っ、や、見ないで……!」
「なんで? 可愛かったのに。『浩平くんもっと♡』って、もう一回聞きたいなぁ」
「やだぁ……っ♡♡」

 確かに言っていたけれど!
 そんなに前から黙って見ていたというのか。

(見られた! 見られた!! 恥ずかしい……っ♡)

 普段はツンっと取り澄ましているくせに、泣きながら浩平の枕を抱き締めてオナニーしている姿を見られてしまった。こみ上げる羞恥心で顔を真っ赤にしながら、後孔は抜き損ねたディルドを美味しそうにきゅんきゅんと締めつけている。さっきまで物足りなくて仕方なかった玩具が、浩平に見られているというだけで強い快感を生み出していく。

「美鳥さん、限界まで攻めないと中々素直になってくれないから。前みたいに好きっていっぱい言ってほしいです」
「あっ⁉ ま、待って……! 動かさないでっ、や、あぁっ……♡」

 浩平は愉しそうに笑いながら、自分の恋人を犯す玩具に手を伸ばす。嫌な予感に逃げようとする美鳥を片手で押さえつけながら、奥までぐっぷり挿入されたディルドの抜き差しを始めた。
 なんの技巧もなく、ただ単純に引き抜いて、再び奥に押し込む。それだけの抽送に美鳥は呆気なく精液を吐き出した。

「嘘……全然イけなかったのに、なんでぇ……っ♡」

 散々焦らされた後の、唐突な射精。襲い来る波の激しさに、くらくらと眩暈がしそうだ。

「うわぁ、とろっとろ……。準備万端っすね」
「ばかぁっ♡ 拡げるな……っ!」

 イった後の締め付けが収まると、浩平は美鳥の後孔からゆっくりとディルドを引き抜く。長時間玩具を咥えこんでいたそこは、十分に解れていて太いものを求めて蠕動している。熟れ切った中を確かめるように浩平が蜜口を指で拡げると、耳まで赤くした美鳥が身を捩った。
 舐めたことだってあるというのに、未だに相手に「される」ことに慣れない美鳥が恥ずかしがる度、浩平の中の嗜虐心がむくむくと頭を擡げる。可愛い恋人の思いがけない姿を見ることは出来たが、自分以外のモノが美鳥を乱れさせるのはあまり面白くはない。
 美鳥の手を取り、いやらしい痴態で既に臨戦態勢になっている、自分のペニスまで導いた。

「あんな玩具より、こっちに美鳥さん専用のちんこがありますよ。ほら、触って」
「ぁんっ♡ ほんと……君っ、言うことがさいてー……!」

 口ではそんなことを言いながらも、美鳥の手は浩平の陰茎を掴んで離さない。そのたっぷりとした質量を確かめるように上下に抜きながら、はぁ……っと悩ましげな吐息を漏らした。
 正直すぎるその様子に、玩具に焼いていたことなどすっかり忘れて、残り時間を計算する。欲求不満な恋人を満足させるくらいの時間はあるだろう。なにも我慢していたのは美鳥だけではないのだ。ゆらゆら誘うように揺れる尻たぶに、浩平はいつもより張り詰めている己の剛直を擦り付ける。

「最低上等です。それでも美鳥さんをイかせられるのは、もう俺だけですから」
「っ、……生意気……」

 この数日間ずっと待ち望んでいた熱を感じて美鳥は身体を震わせると、これから訪れるであろう甘い甘いひと時を期待して静かに瞳を閉じた。



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