【R18】Under Control〜公安刑事がドSインテリヤクザに調教されるBL〜

MINAMI@白鳥湖

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⑤翌朝

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 朝の光が、カーテンの隙間から差し込んでいた。
 霞がかった曇り空。けれどその淡い光は、昨夜の熱をまるで嘲笑うように、冷たく、優しかった。
 榊原はベッドの上で静かに目を覚ました。
 目の奥が重い。身体は鉛のようにだるく、関節が軋んでいる。
 シーツの下、ナカにまだ“何か”が残っているような、ぬるりとした感覚があった。
 腰の奥が鈍く疼く。
 熟睡したはずなのに、全身が疲労に支配されていた。
────起きたくない。
────彼と顔を合わせたくない。
 それが、最初に浮かんだ感情だった。
「……おはようございます、榊原さん」
 優しい声が響く。
 振り返ると、テーブルの前で黒崎がコーヒーを淹れていた。白シャツにスラックスというラフな格好で、機嫌よくカップを揺らしている。
「勝手にルームサービス頼んじゃいました。朝食、軽めでいいですよね?」
 榊原は応えなかった。
 答える気が、なかった。
 代わりに、シーツをぐっと引き寄せ、身体を隠す。
 けれど、見られているのは身体ではない。
 昨夜、曝け出してしまった「もっと深いもの」だということを、榊原自身が一番わかっていた。
「コーヒー、ブラックですよね。……砂糖は入れてませんよ」
「……君は……その口調、朝からよく保てるね」
 かすれた声で、やっと返す。
 視線はまだ黒崎を見られない。
 顔を上げることができない。
 自分でも、ひどくみっともないと思う。
 けれど──
「ええ、こう見えて、朝は強いんです。……それに、“気分がいい”ので」
 榊原の眉がわずかに動く。
 黒崎が“気分がいい”理由など、わかりきっている。
 昨夜、あれほどまでに自分を蹂躙しておいて、何が「気分がいい」だ。
 けれど、怒る気力も、皮肉を返す余裕もなかった。
「……ふふ。顔、まだ赤いですよ」
 黒崎が榊原のそばに歩み寄り、ベッドの縁に腰かける。
 その指が、額に触れようと伸びた──瞬間、榊原は咄嗟に顔を背けた。
「……触らないで」
 震える声だった。
 黒崎は、その反応を見て一瞬だけ表情を止めた。
 けれどすぐに、穏やかな笑みを取り戻す。
「わかりました。……でも、忘れないでくださいね。あなたが僕を“欲しがった”という事実は、消えませんよ」
 黒崎はさらに続ける。
「なにがあっても、“あれ”は本物だった。……その記録は、ちゃんとここに残ってます」
 スマホを軽く持ち上げる。
 榊原の眉間がぴくりと動いたが、もう怒る気力もない。
「……最低だね、君」
「ありがとうございます」
 さらりと笑って返す黒崎に、榊原はもう何も言えなかった。
 憔悴しきった心に、ぽたぽたと冷たい現実だけが降り積もっていく。
 この男は、きっと何度でも自分を壊しに来る。
 そして────
 自分は、またきっと。
 壊される。
 それを予感した朝だった。
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