ばくたん

まめだだ

文字の大きさ
3 / 3

後編

しおりを挟む
「あ?学外の奴等と揉めておまえが怪我したのはオレにも原因があったからな。こいつが躍起になっておまえの仇とったんだ、代替わりの理由には十分だろ。それにトップ張ってたのはおまえのためだったからな。もう必要ないだろ」


…最後のところが本音だな。


オレが不良に因縁つけられたとき、じつはちかくんに散々貪られた後で足腰ガッタガタだった。足一本やられたけど、それでも相手は全員沈めたのだ。

だから、あいつがその不良グループを潰したって聞いたときはびっくりした。普段から調子にのっていたと聞いていたが、まさかオレのためだったとは。初耳。

オレはそのとき動かせない足をいいことに、ちかくんに甲斐甲斐しくお世話されてた。上も下も。


「あまりにもこいつに入れ込みすぎて、そのせいで恋人と別れたんだよな。あーでも当然の結果か。あの女男と付き合ってたのも、はじめて男好きになって悩んでたんだもんな?女みたいな男で練習しようとしたんだろ?」

「ぐ…っ」


にやにや笑うちかくんに、奥歯を噛み締めるあいつ。


「そこの一年だってあれだろ、バカなとこがこいつに似ててかわいく思えちまったんだろ。おまえにはちょうどお似合いだよ」

「うるせえ黙れよ!」

「はは、図星かよ」


うわ、ちかくん性格悪い。

もはやちかくんに遊ばれてるあいつがかわいそうになる。


「うちの頭いじめるのやめてよ、ちかくん」


それにしても…


「そうか、女の子みたいなのが好みだと思ってたけど、ちがったんだ。そうだよね、子犬くんちょっとオレに似てるなって思ってた。性格とか体格とか…」

「う…っ」


…あれ?

男同士に悩んで、女みたいな男の子と付き合って、オレが理由で別れて、オレに似た後輩を可愛がって…?

あれ、もしかして、オレ結構好かれてる?


「好かれてるどころかメロメロだろ」


ちかくんの言葉にあいつを見れば、真っ赤な顔で睨まれた。


「っ、そう言うお前らはなんなんだよ!」


思わずちかくんと顔を見合わせる。


ちかくん?ちかくんは昔馴染みでご近所さんなのだ。いわゆる悪い先輩ってやつで、中学のときからいっしょにやんちゃしてた。

むかしから不良だったけど、頭はいいし、イケメンだからすごいモテる。学園一になるくらいだからもちろんケンカも強い。
いまはアッシュグレーとかいう銀っぽい髪色だけど、染める前はさらつやの黒髪で……あれ?


「やっと気付いたか?おまえはこいつに昔のオレの面影を見ていたに過ぎないんだよ」


ちかくんに指摘されて、改めて二人を見比べてみる。

顔はまったく似てないけれど、言われてみれば近いような気がする。黒髪とか。


「~~っ、似てるならオレでいいだろ!オレに惚れてるんだろ?」


あいつの言葉にはっとする。
気づけばオレはちかくんだけを見つめていた。


「それは無理だろ」


鼻で笑うちかくん。

そうかな。たしかにちかくんは昔からずっと側にいるけど…。


「あいつが他にうつつをぬかしても、なんだかんだ文句言いながら平気でいられたのはオレがいたからだろうが」

「そ、そんなことは…」

「ないって言えるか?想像してみろよ、例えば、そうだな、オレがそこの後輩と付き合っておまえにかまってやらなくなったら…」

「やだ!!!」 


ちかくんが子犬くんを指差してそんなことを言った刹那、ざざざと全身を駆け巡った嫌悪感。

きっ!と子犬くんを睨み付けて、ちかくんを取られないよう強くしがみついた。


「ほらな?だから言っただろう」


唖然とするあいつと子犬くん。


想像できてしまった。
あいつが前の恋人や子犬くんといっしょにいたときは、そりゃ少し淋しかったけどちかくんがいたから平気だった。でもちかくんがいなかったら、かまってほしくて泣いて泣いて、自分の涙で溺れるところまで想像できてしまった。


「昔からそうなんだよ。オレに女ができたりしてすこしでも放っとくと泣いて怒るんだ」


そうだったっけ?と首を傾げるが、ちかくんは満足そうに笑うだけ。


「忘れてるのも無理ねぇな。オレがおまえを放っとくことなんてねえし。そのくせおまえ自身は好き勝手にふらふらしてなぁ?」


言葉は荒いがちかくんは笑っている。


「おまえははじめからオレのものなんだよ」


ちかくんがいないと困るのは自分でも理解したけど、それには素直に頷けない。


「ちがうよ」

「あぁ?」

「ちかくんがオレのなんだもんね!」


にっと笑って宣言してやれば、なんでか興奮したちかくんに押し倒されてベロチューかまされた。そのまま本気で服を脱がされそうになり、みんなが決死の思いで止めてくれた。

結局はちかくんの縄張りに連れ込まれて好き勝手されるのだけど。


「ねえねえ、ちかくんはオレのこと好きなの?」

「愛してるな」



学園一の最恐バカップル爆誕!
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

先輩、可愛がってください

ゆもたに
BL
棒アイスを頬張ってる先輩を見て、「あー……ち◯ぽぶち込みてぇ」とつい言ってしまった天然な後輩の話

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

処理中です...