トマトジュースは弟の味

ななな

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11 最終話. トマトジュースは弟の味

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 突然、弟が熱烈なキスをしてきた。不恰好で下手くそな、それでいて俺の心を捕らえて離さないキスを。
 俺は堪らず、弟をベッドへと連れ込んでしまった。なんて…辛抱のない。

 弟の気を引こうと、らしくない俺を演じていたのだ。ものの見事にそれは成功した。
 " 押してダメなら引いてみろ "には、いつもとは反対の状態になることで、興味を惹きつける心理学的効果がある。” 希少性の心理 ”といい、人は手に入れるのが難しいものに価値を感じる。引くことで簡単に手に入らない状態を作り、俺を追わせたのだ。

 トマトジュースはベジタリアンの弟の大好物だった。母さんにそれとなく頼んで、一本、また一本と冷蔵庫に詰めているうちに、いっぱいになってしまった。いつか弟が来てくれた時に飲ませてやろうと考えていたのだ。それを俺が遠くに行くと言ったら落っことすなんて…いくらでも床なんて拭いてやる。どうしてそんなに可愛いんだ。
 
 小さな子供のように泣きじゃくる弟に、「愛してるぞ…チャユ。ずっと、ずっと一緒だ」と誓いの口付けを降り注ぐ。その肌は少しベタついて、汗の匂いがした。小さな足で一生懸命ここまでやって来てくれたのだ。
 ありがとう…チャユ。兄ちゃん、嬉しくて嬉しくて……死にそうだよ。

 弟に喜んで欲しくて、その可愛いモノを舐め上げたら、「にいさん…お、おねがい…もっとぉ…」と。弟は甘え上手なイケナイ子だ。こんなに可愛い子は、目一杯に愛してあげないと。
 弟は俺の愛を喜んでくれた。ただ、ただ幸せだった。

「兄さんだいすき…えへへ。ねぇ、ちゅーしてよぉ…ちゅうぅ?」
 ぎゅっ、と弟は無邪気に抱きついてくる。俺は彼の愛の奴隷だ。愛おしくて堪らない、なんだってしてやりたい。チャユ、チャユ、チャユチャユチャユ……


「チャユ、まだ愛し足りない。もう一回しよう、なぁ?」
「さっ、さっきからそればっかり…っ…もう疲れちゃったよぉ!」
「チャユのことが大好きなんだから、しょうがないだろ。お前はただ、俺に身を任せていたらいいんだ」

 えっちの後のトマトジュースは一段と美味いらしい。俺の膝の上で丸まってグビグビ飲む弟を、そのまま飲み干してしまいたかった。
 この頃は俺も、トマトジュースを飲んでいる。弟の味がするような気がして、密かに興奮している。でも、それは彼には内緒の話……彼の前では、かっこいい兄でありたいからだ。
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