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9.正体
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遊び終わると、上の子らが片付けの中心となり、手作りのスゴロクセットを麻の袋に一つにまとめた。
「ねぇ、今からスゴロク、魔王と一緒にやりたい。駄目?」と、初等部のオレンジが目を輝かせて尋ねた。
「今、せっかく片付けたんだし、たぶんもう少しで昼飯の時間だから、今度な?」と、俺は軽く笑いながら答えた。それでも「やりたい!」と、駄々をこねる。俺は苦笑いしながら頭を掻いた。
「全員、昼ご飯をしっかり食べられたら……あっ、そういえば魔王のコマがないな。魔王も一緒に遊ぶなら、コマが必要だよな……」
それに、スゴロクのマスは全部、魔王が寝て一回休みだったり、魔王が走ったからサイコロを二回振れたり、魔王がスープを作ったから全員一マス進んだり……魔王が何かしてるイベントばかりだ。
魔王も一緒にやるとしたらどうしよう、このままで良いのか?と顎に手を当てて考えていると、「勇者、魔王とスゴロクやる時までに、魔王のコマを描いといて~?」と、幼児のイエローが目をキラキラさせて軽い口調で頼んできた。
俺は絵を描くのが昔から苦手だ。しかも本人がそのコマを使う。クオリティの低い魔王のイラストが完成したら、魔王のあの鋭い目で睨まれそうだし、なんか気まずいな。いや、待てよ? 子育てって、よく子供と絵を描いたりするよな? もしかしたら、チートのお陰で今は絵の技術も最強かもしれない。
「分かった。じゃあ、俺が描いておくから、全員ご飯をしっかり食べられたら、魔王と一緒にスゴロクをやろう!」
全員で再び魔王がいるキッチンへ向かう。廊下を進むと、焼き立てのパンやスープの食欲をそそる香ばしい香りが漂ってきた。
「魔王、ご飯食べたらスゴロクやるよ~!」と、小さな子らが魔王の足にまとわりつく。
「スゴロクだと? なんだそれは――」と、魔王は眉をピクつかせ、顔を引きつらせた。
「遊びだ。後で説明する。それよりも魔王に聞きたいことがある。魔王には、隠し子がいたりするのか?」
「なんだ突然。そんなものは、いない」と、魔王はムッとした表情で即答し、眉を寄せて全力で否定した。
「でもな、さっき……」
俺はさっきの幽霊の話や、「魔王パパ」と呼んでいた謎の子のことを、かくかくしかじか説明した。説明を終えたタイミングで、「魔王、お腹空いたー!」と、子らが騒ぎ始める。
「思い当たる節はないが……子供たちにご飯を食べさせたら、確認しておく」と、魔王は考え込むように言った。
「そうだな。みんな、ご飯だ! 誰が一番準備をたくさんできるか、競争だ!」
俺が叫ぶと、みんなは「僕!」「私!」と叫びながら、皿を運んだりスプーンやナプキンを置いたりと、競い合って笑いながら準備の手伝いを始めた。
*
食事を終え、片付けもスムーズに終わった。
「魔王、料理美味しかったぞ」
「……」
魔王にキッチンで感想を伝えると、魔王は無言で俺をチラリと見た。魔王は今、何を思っているのだろうか。
結局、スゴロクよりも魔王の子の方が気になるからという理由で、全員で例の部屋へ行くことになった。ぞろぞろと魔王を先頭に階段を上がっていく。そして魔王が部屋の扉を躊躇せずに開いた。
何かがいる気配は全くしない。
さっき現れた小さなドアもない。
「この部屋は、久しぶりに入ったな……」と魔王は呟きながら中へ入っていく。俺らも後に続いた。
「あの辺でね、ドアが光ったの」
「そうか……」
スカイが俺の後ろに隠れながら指をさすと、いや、指をさす前にその方向に魔王が向かっていた。
「誰か、いるのか?」と魔王が問いかけたが、何も反応がない。魔王は執事に目配せをした。執事は頷くと、さっきドアがあった場所に両手をかざした。すると、青白く光るドアが再び現れた。
「リュオン様、中に誰かが潜んでいる気配はいたしません」と執事が言うと「そうか……」と魔王は顎に手をやり頷いた。
幼児のイエローとピンクが手を繋ぎ、光るドアの前に立つ。そしてイエローがドアに触れると、なんと開いた。
「おい、危ないから触るな」とイエローの手を慌てて掴むと、魔王は「大丈夫だ」と確信を持っているように強く言った。俺は魔王の言葉を信じたため、イエローの手をぱっと離す。するとイエローとピンクが中へ入った。他の子らも中に入ろうとするも、遮断され何故か入ることはできなかった。しばらく俺らは入口を眺める。
「魔王、幼児だけ中に……大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。この中は我が幼き頃に遊んでいた場所なのだから……」
「魔王が遊んでいた場所?」
「はい、こちらは幼い頃のリュオン様がお過ごしになっていた場所でございまして、遊具やおもちゃがたくさんあり……おや?」
執事は話の途中でドアを眺めながら顔をしかめた。
「どうした執事」
「今、イエローとピンク以外の、何かの気配が中に現れております」
「それは、さっきのか……?」
俺が執事に確認しようとしたタイミングで、イエローとピンクが手を繋いで出てきた。そして黒くてふわふわな、ふたりよりも小さい見知らぬ子も一緒に出てきた。その子は出てきた瞬間に「パパ」と言いながら高く跳ね、魔王に飛びついた。
「お前は、あの時の?」
どうやら魔王は黒い子の正体を知っているらしい。魔王は黒い子の頭を撫でると、黒い子は微笑み満足そうな顔をした。
「結局は魔王の子なのか?」
「いや、正式な子ではないが……戻ってくるなと何度も促したのに、どうしてここに戻ってきたんだ?」
「魔王パパに会いたくて」
魔王は黒い子を見つめると、全身をくしゃくしゃと撫でた。
「勇者様、わたくしが説明いたします。こちらの子は、魔界の鳥族の子でして孵化して一番最初に見た者を親と認識するのでございます」
鳥族――確かに毛がモフモフしていて分かりづらいが鳥の姿をしている。
「この子は、一番最初に魔王を見たということか?」
「はい、その通りでございます」
話し込んでいると、「もう一回中で遊ぼう!」とイエローが黒い子を誘い、今度はスカイも加わり再び中に入っていった。子供はすぐに仲良くなれて羨ましいな――。
ちなみに、今ここの中で一番魔力が高いのは、黒い子らしい。幼い子が一番高い魔力を持っている。なんだか少しだけ嫌な予感がした。
*
「ねぇ、今からスゴロク、魔王と一緒にやりたい。駄目?」と、初等部のオレンジが目を輝かせて尋ねた。
「今、せっかく片付けたんだし、たぶんもう少しで昼飯の時間だから、今度な?」と、俺は軽く笑いながら答えた。それでも「やりたい!」と、駄々をこねる。俺は苦笑いしながら頭を掻いた。
「全員、昼ご飯をしっかり食べられたら……あっ、そういえば魔王のコマがないな。魔王も一緒に遊ぶなら、コマが必要だよな……」
それに、スゴロクのマスは全部、魔王が寝て一回休みだったり、魔王が走ったからサイコロを二回振れたり、魔王がスープを作ったから全員一マス進んだり……魔王が何かしてるイベントばかりだ。
魔王も一緒にやるとしたらどうしよう、このままで良いのか?と顎に手を当てて考えていると、「勇者、魔王とスゴロクやる時までに、魔王のコマを描いといて~?」と、幼児のイエローが目をキラキラさせて軽い口調で頼んできた。
俺は絵を描くのが昔から苦手だ。しかも本人がそのコマを使う。クオリティの低い魔王のイラストが完成したら、魔王のあの鋭い目で睨まれそうだし、なんか気まずいな。いや、待てよ? 子育てって、よく子供と絵を描いたりするよな? もしかしたら、チートのお陰で今は絵の技術も最強かもしれない。
「分かった。じゃあ、俺が描いておくから、全員ご飯をしっかり食べられたら、魔王と一緒にスゴロクをやろう!」
全員で再び魔王がいるキッチンへ向かう。廊下を進むと、焼き立てのパンやスープの食欲をそそる香ばしい香りが漂ってきた。
「魔王、ご飯食べたらスゴロクやるよ~!」と、小さな子らが魔王の足にまとわりつく。
「スゴロクだと? なんだそれは――」と、魔王は眉をピクつかせ、顔を引きつらせた。
「遊びだ。後で説明する。それよりも魔王に聞きたいことがある。魔王には、隠し子がいたりするのか?」
「なんだ突然。そんなものは、いない」と、魔王はムッとした表情で即答し、眉を寄せて全力で否定した。
「でもな、さっき……」
俺はさっきの幽霊の話や、「魔王パパ」と呼んでいた謎の子のことを、かくかくしかじか説明した。説明を終えたタイミングで、「魔王、お腹空いたー!」と、子らが騒ぎ始める。
「思い当たる節はないが……子供たちにご飯を食べさせたら、確認しておく」と、魔王は考え込むように言った。
「そうだな。みんな、ご飯だ! 誰が一番準備をたくさんできるか、競争だ!」
俺が叫ぶと、みんなは「僕!」「私!」と叫びながら、皿を運んだりスプーンやナプキンを置いたりと、競い合って笑いながら準備の手伝いを始めた。
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食事を終え、片付けもスムーズに終わった。
「魔王、料理美味しかったぞ」
「……」
魔王にキッチンで感想を伝えると、魔王は無言で俺をチラリと見た。魔王は今、何を思っているのだろうか。
結局、スゴロクよりも魔王の子の方が気になるからという理由で、全員で例の部屋へ行くことになった。ぞろぞろと魔王を先頭に階段を上がっていく。そして魔王が部屋の扉を躊躇せずに開いた。
何かがいる気配は全くしない。
さっき現れた小さなドアもない。
「この部屋は、久しぶりに入ったな……」と魔王は呟きながら中へ入っていく。俺らも後に続いた。
「あの辺でね、ドアが光ったの」
「そうか……」
スカイが俺の後ろに隠れながら指をさすと、いや、指をさす前にその方向に魔王が向かっていた。
「誰か、いるのか?」と魔王が問いかけたが、何も反応がない。魔王は執事に目配せをした。執事は頷くと、さっきドアがあった場所に両手をかざした。すると、青白く光るドアが再び現れた。
「リュオン様、中に誰かが潜んでいる気配はいたしません」と執事が言うと「そうか……」と魔王は顎に手をやり頷いた。
幼児のイエローとピンクが手を繋ぎ、光るドアの前に立つ。そしてイエローがドアに触れると、なんと開いた。
「おい、危ないから触るな」とイエローの手を慌てて掴むと、魔王は「大丈夫だ」と確信を持っているように強く言った。俺は魔王の言葉を信じたため、イエローの手をぱっと離す。するとイエローとピンクが中へ入った。他の子らも中に入ろうとするも、遮断され何故か入ることはできなかった。しばらく俺らは入口を眺める。
「魔王、幼児だけ中に……大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。この中は我が幼き頃に遊んでいた場所なのだから……」
「魔王が遊んでいた場所?」
「はい、こちらは幼い頃のリュオン様がお過ごしになっていた場所でございまして、遊具やおもちゃがたくさんあり……おや?」
執事は話の途中でドアを眺めながら顔をしかめた。
「どうした執事」
「今、イエローとピンク以外の、何かの気配が中に現れております」
「それは、さっきのか……?」
俺が執事に確認しようとしたタイミングで、イエローとピンクが手を繋いで出てきた。そして黒くてふわふわな、ふたりよりも小さい見知らぬ子も一緒に出てきた。その子は出てきた瞬間に「パパ」と言いながら高く跳ね、魔王に飛びついた。
「お前は、あの時の?」
どうやら魔王は黒い子の正体を知っているらしい。魔王は黒い子の頭を撫でると、黒い子は微笑み満足そうな顔をした。
「結局は魔王の子なのか?」
「いや、正式な子ではないが……戻ってくるなと何度も促したのに、どうしてここに戻ってきたんだ?」
「魔王パパに会いたくて」
魔王は黒い子を見つめると、全身をくしゃくしゃと撫でた。
「勇者様、わたくしが説明いたします。こちらの子は、魔界の鳥族の子でして孵化して一番最初に見た者を親と認識するのでございます」
鳥族――確かに毛がモフモフしていて分かりづらいが鳥の姿をしている。
「この子は、一番最初に魔王を見たということか?」
「はい、その通りでございます」
話し込んでいると、「もう一回中で遊ぼう!」とイエローが黒い子を誘い、今度はスカイも加わり再び中に入っていった。子供はすぐに仲良くなれて羨ましいな――。
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