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14-2.
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「クダン様には、こちらもどうぞ」
少しぼんやりしていたクダンの前に、女の一人が白いものの盛られたお椀を差し出した。クダンの頭に蟠っていた自嘲は、その椀を見た瞬間に吹っ飛んだ。
「おぉ、白飯。まだ残ってたのか!」
「これが今年最後になりますが」
「むっ……お代わりも無し、か?」
「はい……」
「そうか……なら、こいつは味わって食わんとな」
クダンはお椀と箸を持つと、白飯をゆっくりと食べ始めた。
味のほうは、けして万人に勧められるものではない。十人に食べさせれば、そのうち七人までは間違いなく「パンのほうが美味いな」と言う味だ。食感はモチッとネチョッの間くらいで、そこはかとなく土や草のような風味を帯びている。黴びているのかと勘違いする者もいるかもしれない。
控え目に言って微妙な味の食材だったけれど、クダンはこれが不思議と好みに合っていた。この村がクダンの庵からだいぶ離れたこの場所に拓かれることになったのも、ここが水田を作るのに適していたからだったりする。
そう――何を隠そう、ここは米を作るために作られた村なのだった。
とはいえ、稲作はまだ始まったばかりで、いまのところは質も量も“微妙”以上の麗句を送れない程度だ。【混沌の森】という切り拓くのが難しい土地柄ではあるが、稲の品種改良や栽培方法の改善をしていくためにも、もう少し農地を広げてたいところである。クダンの毎日は、そのための準備に費やされてきたと言ってもよかった。もっとも、最近はカガチへの指導が一日のうち三割ほどを占めるようになってきているが。
「……」
そのカガチが、クダンを――クダンの口に運ばれていく白飯を見ていた。
目にものを食べる機能が備わっていたら、その白米はクダンに口に入る前に食べ尽くされていたことだろう。すなわち、カガチの視線はまさに食い入るようだった。
「……そういえば、おまえも米が好きだったよな」
クダンはカガチを拾った日のことを思い出す。あのとき、瀕死の重傷から目を覚ましたカガチは、クダンの差し出したおむすびを泣くほど気に入っていた。
「少し食べるか?」
「あっ……う、んん! いっ、いい……!」
クダンが勧めると、カガチは自分が物欲しげな目つきをしていたことに気がついたようで、顔を赤らめながら頭を振った。
「まあ、おまえは目が覚めて最初に食ったものだから記憶が美化されているだけかもしれねぇし、無理に勧めはしねぇが……ただの遠慮なら必要ねぇからな」
「……あ、あのっ……や、ぱし……た、食べっ、たい!」
「あいよ」
クダンがくくっと笑みを漏らしながら差し出した茶碗を受け取ると、カガチはすぐさま手を付けようとする。だが、そこではたと手が止まってしまった。
食器が木串しかないのだ。モーグーを食べるのにはそれでも事足りたけれど、白飯を食べるのには使えない。素直に指を使って食べるしかないのだが、カガチはそこで迷ってしまったのだ。
その迷いを察したクダンが、自分の使っていた箸を差し出す。
「使うか?」
これはさすがに遠慮するというか嫌がるだろうな、と予想していたクダンだったが、カガチはまったく気にしなかった。
「あっ、ありがと……で、ですっ」
「え……」
虚を突かれたカガチの手から、さっと抜き取るようにして箸を受け取ったカガチは、その箸を器用に使って白米を頬張った。
「ん、んぅ……うぅ……」
モーグーのワイン蒸しを最初に食べたときと同じ恍惚の吐息が、ゆっくりと噛み締めるように咀嚼しているカガチの唇から染み出していた。
「……ふぇ?」
クダンが自分を見ていることに気づいたカガチが、何か不味いことをしただろうか、と眉尻を下げる。
「おまえ、いや……気にしてねぇんだったらいいんだ、おう」
クダンは目を逸らすようにして頭を振った。
「へえ、凄いのね」
カガチの横、クダンとは反対側の隣に座って食事していたビアンカが、カガチに賞賛の目を向ける。
「……?」
急に褒められて不思議そうに瞬きをするカガチに、ビアンカは右手を軽く挙げて、箸を使う仕草をしてみせた。
「カガチちゃん、その箸というのを普通に使っているでしょ。わたしたちも練習したことがあるんだけど、全然だったのよね。だから、凄いのね、って」
「あ……あぁ……!」
褒められた理由が分かっても、カガチは安堵するどころか、いっそう慌ててしまう。
「こ、これはっ……れ、練習しっ、し、したからっ」
「そっか。クダン様に手取り足取り教えてもらったんだね。ふふぅん?」
ビアンカはにやにや顔でからかった。カガチの慌てようをそういうふうに解釈したようだった。どんな話も色恋に繋げるのは、どこの女性も変わらぬようだ。
カガチはこれ以上答えると墓穴を掘ると思ったのか、俯くようにして白飯の残りを食べるのに戻った。ぱくぱく食べるカガチの横顔を、ビアンカは楽しげに眺めていた。
クダンもビアンカの反対側から眺めていたわけだが、内心では肩を竦めて苦笑していた。
カガチは最初から当たり前のように箸を使いこなしていたけどな、と。
……そんなことを由なく考えていたせいで、今年最後の白米をカガチがうっかり全部食べてしまったことに、クダンは茶碗が空になるまで気づけなかった。
「あっ」
一口だけのつもりでぱくぱく全部食べてしまったカガチも、米粒ひとつ残さず食べ終えてから気がついて青い顔になる。涙目になったカガチの頭を、クダンの無骨な手がくしゃりと撫でた。
「べつに飯を食われたくらいで、怒りゃしねぇよ。……っつうか、おまえは何かっつうと俺に怒られると思ってんのな」
言葉の後半は冗談めかしたものだったけれど、カガチは如実に反応した。
「ちっ、違う! よっ、よくしてもらってる、のにっ……ちゃ、ちゃんとできっ、できないのがっ……い、ヤで……」
衣食住全てを与えてもらって、魔術の稽古までつけてもらっているのに、こうして迷惑をかけてばかりの自分に涙が出てきてしまう――カガチが語った涙の理由は、概ねそんなところだった。
「気にするこたぁねぇよ……と言っても、慰めの言葉ひとつで絆されてくれるほど楽じゃねぇんだよな、おまえ。まあ、頑張れとしか言えねぇやな」
クダンはカガチの頭をぐりぐりと撫でながら、困ったように言う。でも、いま付けている仮面が口元の大きく開いたものだということを忘れていたのだろう――クダンの唇は柔らかな笑みの形になっていた。
「……ぷふっ」
空気を読んで黙っていたビアンカが、堪らず吹き出したのだった。
少しぼんやりしていたクダンの前に、女の一人が白いものの盛られたお椀を差し出した。クダンの頭に蟠っていた自嘲は、その椀を見た瞬間に吹っ飛んだ。
「おぉ、白飯。まだ残ってたのか!」
「これが今年最後になりますが」
「むっ……お代わりも無し、か?」
「はい……」
「そうか……なら、こいつは味わって食わんとな」
クダンはお椀と箸を持つと、白飯をゆっくりと食べ始めた。
味のほうは、けして万人に勧められるものではない。十人に食べさせれば、そのうち七人までは間違いなく「パンのほうが美味いな」と言う味だ。食感はモチッとネチョッの間くらいで、そこはかとなく土や草のような風味を帯びている。黴びているのかと勘違いする者もいるかもしれない。
控え目に言って微妙な味の食材だったけれど、クダンはこれが不思議と好みに合っていた。この村がクダンの庵からだいぶ離れたこの場所に拓かれることになったのも、ここが水田を作るのに適していたからだったりする。
そう――何を隠そう、ここは米を作るために作られた村なのだった。
とはいえ、稲作はまだ始まったばかりで、いまのところは質も量も“微妙”以上の麗句を送れない程度だ。【混沌の森】という切り拓くのが難しい土地柄ではあるが、稲の品種改良や栽培方法の改善をしていくためにも、もう少し農地を広げてたいところである。クダンの毎日は、そのための準備に費やされてきたと言ってもよかった。もっとも、最近はカガチへの指導が一日のうち三割ほどを占めるようになってきているが。
「……」
そのカガチが、クダンを――クダンの口に運ばれていく白飯を見ていた。
目にものを食べる機能が備わっていたら、その白米はクダンに口に入る前に食べ尽くされていたことだろう。すなわち、カガチの視線はまさに食い入るようだった。
「……そういえば、おまえも米が好きだったよな」
クダンはカガチを拾った日のことを思い出す。あのとき、瀕死の重傷から目を覚ましたカガチは、クダンの差し出したおむすびを泣くほど気に入っていた。
「少し食べるか?」
「あっ……う、んん! いっ、いい……!」
クダンが勧めると、カガチは自分が物欲しげな目つきをしていたことに気がついたようで、顔を赤らめながら頭を振った。
「まあ、おまえは目が覚めて最初に食ったものだから記憶が美化されているだけかもしれねぇし、無理に勧めはしねぇが……ただの遠慮なら必要ねぇからな」
「……あ、あのっ……や、ぱし……た、食べっ、たい!」
「あいよ」
クダンがくくっと笑みを漏らしながら差し出した茶碗を受け取ると、カガチはすぐさま手を付けようとする。だが、そこではたと手が止まってしまった。
食器が木串しかないのだ。モーグーを食べるのにはそれでも事足りたけれど、白飯を食べるのには使えない。素直に指を使って食べるしかないのだが、カガチはそこで迷ってしまったのだ。
その迷いを察したクダンが、自分の使っていた箸を差し出す。
「使うか?」
これはさすがに遠慮するというか嫌がるだろうな、と予想していたクダンだったが、カガチはまったく気にしなかった。
「あっ、ありがと……で、ですっ」
「え……」
虚を突かれたカガチの手から、さっと抜き取るようにして箸を受け取ったカガチは、その箸を器用に使って白米を頬張った。
「ん、んぅ……うぅ……」
モーグーのワイン蒸しを最初に食べたときと同じ恍惚の吐息が、ゆっくりと噛み締めるように咀嚼しているカガチの唇から染み出していた。
「……ふぇ?」
クダンが自分を見ていることに気づいたカガチが、何か不味いことをしただろうか、と眉尻を下げる。
「おまえ、いや……気にしてねぇんだったらいいんだ、おう」
クダンは目を逸らすようにして頭を振った。
「へえ、凄いのね」
カガチの横、クダンとは反対側の隣に座って食事していたビアンカが、カガチに賞賛の目を向ける。
「……?」
急に褒められて不思議そうに瞬きをするカガチに、ビアンカは右手を軽く挙げて、箸を使う仕草をしてみせた。
「カガチちゃん、その箸というのを普通に使っているでしょ。わたしたちも練習したことがあるんだけど、全然だったのよね。だから、凄いのね、って」
「あ……あぁ……!」
褒められた理由が分かっても、カガチは安堵するどころか、いっそう慌ててしまう。
「こ、これはっ……れ、練習しっ、し、したからっ」
「そっか。クダン様に手取り足取り教えてもらったんだね。ふふぅん?」
ビアンカはにやにや顔でからかった。カガチの慌てようをそういうふうに解釈したようだった。どんな話も色恋に繋げるのは、どこの女性も変わらぬようだ。
カガチはこれ以上答えると墓穴を掘ると思ったのか、俯くようにして白飯の残りを食べるのに戻った。ぱくぱく食べるカガチの横顔を、ビアンカは楽しげに眺めていた。
クダンもビアンカの反対側から眺めていたわけだが、内心では肩を竦めて苦笑していた。
カガチは最初から当たり前のように箸を使いこなしていたけどな、と。
……そんなことを由なく考えていたせいで、今年最後の白米をカガチがうっかり全部食べてしまったことに、クダンは茶碗が空になるまで気づけなかった。
「あっ」
一口だけのつもりでぱくぱく全部食べてしまったカガチも、米粒ひとつ残さず食べ終えてから気がついて青い顔になる。涙目になったカガチの頭を、クダンの無骨な手がくしゃりと撫でた。
「べつに飯を食われたくらいで、怒りゃしねぇよ。……っつうか、おまえは何かっつうと俺に怒られると思ってんのな」
言葉の後半は冗談めかしたものだったけれど、カガチは如実に反応した。
「ちっ、違う! よっ、よくしてもらってる、のにっ……ちゃ、ちゃんとできっ、できないのがっ……い、ヤで……」
衣食住全てを与えてもらって、魔術の稽古までつけてもらっているのに、こうして迷惑をかけてばかりの自分に涙が出てきてしまう――カガチが語った涙の理由は、概ねそんなところだった。
「気にするこたぁねぇよ……と言っても、慰めの言葉ひとつで絆されてくれるほど楽じゃねぇんだよな、おまえ。まあ、頑張れとしか言えねぇやな」
クダンはカガチの頭をぐりぐりと撫でながら、困ったように言う。でも、いま付けている仮面が口元の大きく開いたものだということを忘れていたのだろう――クダンの唇は柔らかな笑みの形になっていた。
「……ぷふっ」
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