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3章
44-1. 騎士との遭遇 ロイド
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その日の朝、村から俺たちが暮らす洞窟までやって来たのは猟師の少年、いや青年か、ギルバートだった。
俺より年上ということはないと思うのだけど、ギルバートは猟師として立派に生計を立てている。そんな相手を少年と呼ぶのは些か気が引けた。
そのギルバートは、周囲の警戒に当たってくれていた忍者の一人に先導されて、洞窟前で待っていた俺の前までやってくる。
「やあ、ギルバート。朝のうちから来るとは急ぎの用事か? ドラゴンのことで何か聞きたいのか?」
俺は気さくに声をかけた。
ギルバートとは冬の間、一緒に山賊退治をした仲だ。俺はシャーリーとアンの赤毛姉妹が出産してからは山賊退治に同行しなくなってしまったけれど、顔を合わせたら気軽に声を交わす程度には仲良くなったつもりでいる。
「ドラゴンのことってのは半分当たりだ」
ギルバートは肩を竦めると、続けて言った。
「村に騎士団が来た。ドラゴンのことを調べに来たんだと」
「騎士団……おおぉ……!」
その言葉は稲妻のように俺の胸を打った。
騎士団。なんと少年心をくすぐるワードか!
それからギルバートを質問攻めにして、騎士団のことを聞いた。山村の一猟師でしかないギルバートも詳しく知っていたわけではなかったから、以下のことは彼が語ったことを俺なりに解釈してみた結果になる。
騎士団とは、いつだったか村長が言っていた「都」で組織されている、貴族だけで構成された軍隊のことだ。貴族だけという以外で特徴的なのが、戦闘員のほぼ全員が騎士、つまり馬に騎乗して戦うことだという。端的に言うなら、お貴族様にして騎士様たちが集まったエリート軍団ということだ。
騎士団の他にも、常備兵力として街中を警邏する衛兵などがいるそうだけど、そちらは平民で構成されているようだ。ギルバートが詳しい命令系統を知るわけもなかったけれど、どう考えても騎士団のほうが偉いのだろう。
ちなみに、少なくともこの辺り一帯は徴兵制ではないらしい。兵士は平民の男性にとって、なかなか人気の就職先なのだそうだ。
また、戦争や魔物退治を生業にしている傭兵団も、いるとこにはいるようで、いざ戦争という場合の主力は彼らになるらしい。これもまた個々に違うのだろうけど、騎士団というのは「貴族子弟の就職先」という意味が強いのだと思われる。
「というか、貴族がいるんだな」
村から税を取っている相手がいるわけだし、王や貴族というのがいることは察しがついていた。でも、この世界に来てからそろそろ一年だけど、俺たちの暮らしに貴族が関わってくるとは思っていなかったから、なんだか驚きだった。
「……あれ? むしろ関わっていないことのほうがおかしいのか?」
俺たちはゴブリンの集団で、しかも近くには領民だか国民だかの暮らす村があるのだ。そんなところに居座っているゴブリン集団を、一年近く騎士団が放置していたわけだよな――いやいや、それだけではないぞ。
俺たちは一冬の間にびっくりする数の山賊を蹴散らしてきた。しかも何人かに訊問した結果、彼らは内戦状態になっている山向こうの隣国から落ち延びてきた敗残兵や脱走兵だったことが分かっている。隣国の状況は王だか領主だかも知っていて当然なのだから、ここにも騎士団が派遣されていないとおかしい。もし俺たちがいなかったら、村は冬のうちに滅んでいたところだぞ。
「あ……そういうことか?」
またしても自分でそれっぽい答えに気がつく。
たぶん、手数の問題だ。騎士団や他の兵力を合わせても、国境の全てを守るには人員が不足しているのだろう。だから、ここの村は最初から見捨てられていたのだ。
山賊化した兵士から運良く逃げてきた村人がいれば山賊討伐の派兵も考えるけれど、そうでなければ問題になるまで捨てておけ――そういうふうに思われていたのだ。たぶん、おそらくは。
ところが、そんなときに竜に襲来という椿事が起きた。
この世界における竜がどれほどの脅威と見なされているのかを、俺は村人たちの見解でしか知らないけれど、けして放置しておけるものではないのだろう。それこそ、山賊の跋扈などとは比較にならないくらいに。
というわけで、些か動きが鈍いようにも思うけれど、騎士団が――というか、騎士団から選出された調査隊が竜の動向を調べにやって来たのだろう。
だが、ギルバートが教えてくれた騎士の人数はたったの五名だった。それに、自分たちから「我らは竜の襲来について事実確認をするためにやってきた」と言ったという……。
……いやいや、待てよ。
もしかして、この世界の騎士というのは、五名もいれば竜を倒せる実力者集団だったりしないか? それで、竜の塒まで行ったところで「調査に来たとは言ったが、倒してきても構わないと命令されている」みたいなことを言い出したりするんじゃないよな?
「馬鹿か、ロイド。騎士がそんなに強かったら、山賊をほっといたりしないだろ」
「む……確かに」
あ、そうとも限らないか?
一瞬納得しかけたけれど、少数でぱっと来てぱっと山賊退治できる力があっても、敢えて山賊を放置して自分たちに被害を出させるつもりだった可能性もあるよな。そう考えると、山賊を放置してきた理由が直ちに竜を倒せる実力がないことの証明にはならないわけで――
「いや、ねぇから。おまえ、子供どもに混ざって紙芝居を見てただろ。竜退治ってのは軍隊がやるもんだ。んで、全滅させられて、英雄が出てくるのを待つしかないってなもんだ。村に来たのは、貧乏くじを引かされた貴族の坊ちゃんで、英雄でもなんでもねぇよ」
「ふむ……そうか」
ギルバートの言葉に、そりゃそうだよな、と納得する気持ちが三割。妹を無責任に孕ませておいて、いまだに高鼾を継続中の竜が寝首を掻かれるわけではなさそうなのが残念だと思う気持ちが七割だった。
「竜はまだ寝ているんだよな?」
そう訊いてきたギルバートの眉根が寄る。
「たぶんな」
「たぶんって……様子を見に行ってないのか?」
「なんでそんなことしなきゃいけないんだよ」
まるでこちらが職務怠慢しているかのような言い方に、俺も眉を顰めて言い返した。
「なんでって、あの竜はおまえたちが責任を持って監視するって話じゃなかったのか?」
「初耳だよ」
「なんだと!?」
そう言って目を剥くギルバートに、俺は眉間の皺をいっそう深くさせる。
「確かに俺たちは、そっちの村を守ると約束した。けど、竜はどうにもならないだろ。監視したところで対策の取りようなんてないし、下手に刺激してせっかく寝てくれているのを起こしてしまうほうが怖い」
「……けど、いまは寝ているにしたって、いずれ起きるだろ。そんとき、どうすんだよ?」
「そのときは飛び去ってくれることを願うしかないんじゃないか? それか、起き出す前に村を捨てて余所へ逃げるとか」
「どこに逃げるってんだよ。無理に決まってんだろ」
「だよな。ならもう、祈るしかないって」
と言いはしたけれど、俺なりに成算があって言ったことだ。
いくら無責任中出しドラゴンでも、自分の子を孕んだ女の頼みを無下にはするまい。去るときは静かに去ってくれ、と頼めば、きっと大丈夫だ……きっと。
「頼りになんねぇな」
「なら、騎士様に頼るんだな」
「……あっちはもっと頼りになんねぇよ」
鼻で笑ったギルバートに言い返すと、ギルバートはげんなりした表情になって溜め息を吐いた。
村にやってきた五名の騎士は、隊長以外はまったくやる気がない様子だったらしい。
「なんで俺たちが危険を冒して竜に近づかなくちゃなんねぇんだよ――と顔に書いてあったぜ」
「ふぅん……騎士の誇りとか、そういうのは無いんだな」
「誇り?」
「いや、騎士は貴族なんだろ。なら、平民を守る誓いとか使命感とか、そういうのは無いのかな、と」
「……なんで貴族が平民を守るんだ?」
ギルバートは本気で意味が分からない様子で訝しんでいる。俺はその顔を見つめながら考える。
どうやらこの世界の――少なくともこの土地の身分制度と、それに対する観念というのは、本当に江戸時代レベルのもののようだ。人権や民意なんてものは概念すら存在していないのだろう。ひょっとして、法治主義や立憲君主、議会制あたりの概念もなかったりするか? このあたりのことはギルバートを始めとした村人に訊いても、ちゃんとした答えは返ってこない。俺自身が都に行って確かめてみるしかないだろう。
あ、そうでもないか。いま村に来ている騎士とやらに訊いてみたら、もう少し深いところが聞けるかもしれない。
……いや、無理か。
ギルバートの話を聞く限り、貴族としての特権意識が強い連中みたいだから、俺みたいなどこの馬の骨とも知れない男が話しかけても答えてはくれまい。
……あ、男ではなく女ならいいのか?
「有瓜に話を聞いてきてもらえば……あぁ……うん、ないな」
俺だって本気でそんなことを考えたわけじゃない。ただちょっと思いついただけだ。でも、そのちょっとの間に、有瓜と騎士を接触させることで起きうる面倒事が俺の脳内でドミノ倒しのように展開していって、溜め息が出た。
「ロイド? どうした急に」
「いや、なんでもない」
俺は怪訝な顔にギルバートに頭を振ると、思考を目の前のことに戻した。
「で……村に来た騎士たちは、いまどうしているんだ?」
「竜のところへ案内しろと言ってきたから、どこにいるかなんて知らねぇって答えたら、なら山を探すから手伝えと言ってきたんで、猟師が一人付いて森に入っていったところだ」
「竜のところまで案内するのか?」
「するかよ。おまえもさっき言ってただろ、下手に刺激して目を覚まされるのは御免だ、って。それは俺たちだって同じだから、見当違いのところを適当に歩いてもらって、竜は人知れず飛び去ったのかもしれません、ってことで納得してもらうつもりだ。――ああ、もちろん、この辺りにも近づかせるつもりはないけれど、万が一ってこともある。ゴブリンたちに、今日明日は出歩くなと言っておけよ」
「おう、了解」
日に日にその呼び名に相応しい生き物になっていく忍者たちが、やる気のない騎士とやらに見つけられることはないと思うけれど、実際のところ、俺は騎士のことを知らない。この世界には魔術や、おそらく錬金術も存在しているのだから、騎士というのが気配を探知する魔術を使える魔術戦士だったりするかもしれないのだ。
というわけで、君子危うきに近寄らず、だ。
ゴブリンたちには、騎士たちが帰るまで大人しくしていてもらおう。有瓜は最近、「わたし、セックス自重中です」と言っていたけれど、今朝も普通に起き抜けから複数プレイしていたみたいだし、きっとゴブリンたちの暇潰しにも付き合ってくれることだろう。
「――あ、ギルだ」
話しておくべきことはこのくらいかな、と思ったところに、アンがやってきた。その後ろからはシャーリーも来ている。二人は確か、アルカたちと一緒に川で水浴びしていたはずだが……。
「有瓜はどうした?」
「アルカさんは髪を洗うのに手間取っていて、もう少しかかるみたいです」
俺の質問にアンが答えてくれた。
ちなみにアンの髪は、この半年でショートからボブくらいまでの長さになっている。姉のシャーリーはもっと短くて、耳や首筋がはっきり出るくらいに切り揃えられている。二人の髪は、村経由で行商人から手に入れた鋏を使って、有瓜が整えていた。散髪用の鋏ではないから、有瓜がかなり苦労していたのを憶えている。
姉妹どちらの髪も赤いけれど、アンの髪は日差しを浴びてところどこに光って見える朱色で、シャーリーの髪は日差しを吸い込むようなもっと深い褐色だ。
どちらの髪もこの辺りでは有り触れた色だそうだが、有瓜が教えたシャンプーが習慣化しているおかげか、半年前――いや、もうほぼ一年前か。とにかく、最初に会った頃よりもずっと綺麗な髪になっていた。
「綺麗になったのは髪だけじゃないけどな」
内心の由無し事がうっかり声に出てしまった。
「ロイドさん、何か言いました?」
「いや、何も」
何の気なしに尋ねてきたアンに、俺は素早く答えた。その返事が早すぎたせいで、アンは目を瞬かせて驚いたけれど、すぐにくすっと頬笑むと、それ以上の追求はしてこないでギルバートのほうへと近づいていく。
「ギル、久しぶり。元気だった?」
「お、おう」
「冬のうちはちょくちょく顔を見ていたと思ったんだけど、暖かくなってからは本当、久しぶりだよね」
「……そうだな」
ギルバートが微妙に目を逸らして、口元を隠すように撫でたのは、この前のことを思い出したからだな。
大丈夫、俺はばらしていないぞ。安心しろ――俺はこちらに視線を向けてきたギルバートに、目だけでそう告げた。
と、男二人でアイコンタクトをしていると、アンが急に声を上げた。
「あれ?」
「なっ、なんだ!?」
「ギルさ、なんか……背、伸びた?」
「え、そうか?」
「そうだよ――ほら」
「……ッ!?」
ギルバートの鼻息がかかりそうな距離まで無造作に近づいたアンが、背伸びをする。
「ほら、やっぱり。前に比べたときは背伸びしたら並んだもん。うわぁ、なんか悔しいなぁ」
「……」
「今更だけどさ、ギルも男の子なんだね。ギルはこれからもっと大きくなるのかな……いいなぁ」
「い、いや……いいじゃねぇか。おまえはそのまんまでも、よぉ」
「あっ! ギルは、わたしは一生チビのままだって言いたいんだね!?」
「ばっ!? 違ぇよ!」
……ギルバートとアンは、表面だけ見ればとても甘酸っぱい会話をしている。
ギルバートがアンにそういう気持ちを持っていたことは、これまでの態度から察しが付いていたけれど、アンはたぶん、まったく気づいていない。兄同然の幼馴染み、としか思っていないようだった。
もしも、アンが平穏無事に成長していたら、ずっと傍にいたギルバートに対してそういう感情を持つようになっていたのかもしれないと思うと、甘酸っぱいのが酸っぱくなりすぎて、俺は胸が痛くなってしまうのだった。
「あいつらを見てると、変わんないものもあんだなぁって、なんか安心するな」
俺の傍に立ったシャーリーが、ギルバートとアンのほうに目を馳せながら頬笑んでいる。
「里心がつくか?」
「多少はな」
シャーリーはあっさりと肯定した。もっと向きになるかと思っていた俺は、拍子抜けして肩をがくっと落としてしまう。
「んだよ、それ。あたいだってか弱い乙女だぞ。あの頃に戻りたいわ、みてぇな可愛いことを思ったりもするんだ。舐めんなよっ」
「いつも可愛いと思っているよ」
「ばっ……そういうことを真顔で言える奴の言葉は嘘ばっかりだって姐さんが言ってたぞ」
「そうか。じゃあ、俺はシャーリーにはいつも嘘を吐かないといけなくなるな」
「……ロイド、あたいのこと馬鹿にしてんだろ?」
「はっはっ」
「……っんの野郎!」
わざとらしく笑う俺の胸に、シャーリーの結構いい正拳突きが飛んできた。
そんな平和な一時を過ごした後、ギルバートは村に帰っていった。
「他の猟師に案内されて山歩きしている騎士様たちが帰ってくる前に、俺も村に戻っておかないと。勘繰られるかもしれないからな」
「また暇なとき、遊びに来たらいいよ」
「……そうだな」
アンの言葉に、ギルバートは気まずげに頬を掻く。その顔を見れば、またこの前のことを思い出しているのだと一目瞭然だ。
というか……ギルバートは間違いなく、俺とアンが致しているところを見ていたんだよな。俺に対しても色々と思うところがあるだろうに、普通に接してくれていることは本当に助かっている。
俺なんて、その件に敢えて触れないでいるのも気まずさが膨らむばかりだし、かといって謝ったりしても神経を逆撫でするだろうし……と思い悩んだ末に、リア充っぽく冗談めかすようなことしか言えないでいるというのに。
ギルバートはいいやつだ。願わくは、いい相手が見つかりますように。
……って、なんだか上から目線だな。
こういうときの応援の仕方が分からない。
クラスの一角に溜まって毎日楽しく騒いでいたリア充たちを妬んでいる暇があったら、彼らの社交性を学び取っておくべきだった。学校生活で学ぶべきものの中には、ああいう人付き合いの方法も入っていたのだろう。今更にして、そう思う。
「あ……有瓜に相談してみるか」
あいつはセックスを抜きにしても俺より社交性があるし、経験も豊富だろう。よし、あいつが戻ってきたら相談してみよう。
――川から戻ってきた有瓜に相談してみたら、すごく乾いた目で見られた。
「義兄さんは非童貞が童貞より上だとナチュラルに思っているところが素直にウザいですね」
「……すいません。ごめんなさい。反省します。頑張ります……」
なんだかもう、死ぬほど恥ずかしかった。
かくして、俺の黒歴史がまた一ページ増えたのだった。
この翌日、五人の騎士が塒の洞窟にやってきた。
俺より年上ということはないと思うのだけど、ギルバートは猟師として立派に生計を立てている。そんな相手を少年と呼ぶのは些か気が引けた。
そのギルバートは、周囲の警戒に当たってくれていた忍者の一人に先導されて、洞窟前で待っていた俺の前までやってくる。
「やあ、ギルバート。朝のうちから来るとは急ぎの用事か? ドラゴンのことで何か聞きたいのか?」
俺は気さくに声をかけた。
ギルバートとは冬の間、一緒に山賊退治をした仲だ。俺はシャーリーとアンの赤毛姉妹が出産してからは山賊退治に同行しなくなってしまったけれど、顔を合わせたら気軽に声を交わす程度には仲良くなったつもりでいる。
「ドラゴンのことってのは半分当たりだ」
ギルバートは肩を竦めると、続けて言った。
「村に騎士団が来た。ドラゴンのことを調べに来たんだと」
「騎士団……おおぉ……!」
その言葉は稲妻のように俺の胸を打った。
騎士団。なんと少年心をくすぐるワードか!
それからギルバートを質問攻めにして、騎士団のことを聞いた。山村の一猟師でしかないギルバートも詳しく知っていたわけではなかったから、以下のことは彼が語ったことを俺なりに解釈してみた結果になる。
騎士団とは、いつだったか村長が言っていた「都」で組織されている、貴族だけで構成された軍隊のことだ。貴族だけという以外で特徴的なのが、戦闘員のほぼ全員が騎士、つまり馬に騎乗して戦うことだという。端的に言うなら、お貴族様にして騎士様たちが集まったエリート軍団ということだ。
騎士団の他にも、常備兵力として街中を警邏する衛兵などがいるそうだけど、そちらは平民で構成されているようだ。ギルバートが詳しい命令系統を知るわけもなかったけれど、どう考えても騎士団のほうが偉いのだろう。
ちなみに、少なくともこの辺り一帯は徴兵制ではないらしい。兵士は平民の男性にとって、なかなか人気の就職先なのだそうだ。
また、戦争や魔物退治を生業にしている傭兵団も、いるとこにはいるようで、いざ戦争という場合の主力は彼らになるらしい。これもまた個々に違うのだろうけど、騎士団というのは「貴族子弟の就職先」という意味が強いのだと思われる。
「というか、貴族がいるんだな」
村から税を取っている相手がいるわけだし、王や貴族というのがいることは察しがついていた。でも、この世界に来てからそろそろ一年だけど、俺たちの暮らしに貴族が関わってくるとは思っていなかったから、なんだか驚きだった。
「……あれ? むしろ関わっていないことのほうがおかしいのか?」
俺たちはゴブリンの集団で、しかも近くには領民だか国民だかの暮らす村があるのだ。そんなところに居座っているゴブリン集団を、一年近く騎士団が放置していたわけだよな――いやいや、それだけではないぞ。
俺たちは一冬の間にびっくりする数の山賊を蹴散らしてきた。しかも何人かに訊問した結果、彼らは内戦状態になっている山向こうの隣国から落ち延びてきた敗残兵や脱走兵だったことが分かっている。隣国の状況は王だか領主だかも知っていて当然なのだから、ここにも騎士団が派遣されていないとおかしい。もし俺たちがいなかったら、村は冬のうちに滅んでいたところだぞ。
「あ……そういうことか?」
またしても自分でそれっぽい答えに気がつく。
たぶん、手数の問題だ。騎士団や他の兵力を合わせても、国境の全てを守るには人員が不足しているのだろう。だから、ここの村は最初から見捨てられていたのだ。
山賊化した兵士から運良く逃げてきた村人がいれば山賊討伐の派兵も考えるけれど、そうでなければ問題になるまで捨てておけ――そういうふうに思われていたのだ。たぶん、おそらくは。
ところが、そんなときに竜に襲来という椿事が起きた。
この世界における竜がどれほどの脅威と見なされているのかを、俺は村人たちの見解でしか知らないけれど、けして放置しておけるものではないのだろう。それこそ、山賊の跋扈などとは比較にならないくらいに。
というわけで、些か動きが鈍いようにも思うけれど、騎士団が――というか、騎士団から選出された調査隊が竜の動向を調べにやって来たのだろう。
だが、ギルバートが教えてくれた騎士の人数はたったの五名だった。それに、自分たちから「我らは竜の襲来について事実確認をするためにやってきた」と言ったという……。
……いやいや、待てよ。
もしかして、この世界の騎士というのは、五名もいれば竜を倒せる実力者集団だったりしないか? それで、竜の塒まで行ったところで「調査に来たとは言ったが、倒してきても構わないと命令されている」みたいなことを言い出したりするんじゃないよな?
「馬鹿か、ロイド。騎士がそんなに強かったら、山賊をほっといたりしないだろ」
「む……確かに」
あ、そうとも限らないか?
一瞬納得しかけたけれど、少数でぱっと来てぱっと山賊退治できる力があっても、敢えて山賊を放置して自分たちに被害を出させるつもりだった可能性もあるよな。そう考えると、山賊を放置してきた理由が直ちに竜を倒せる実力がないことの証明にはならないわけで――
「いや、ねぇから。おまえ、子供どもに混ざって紙芝居を見てただろ。竜退治ってのは軍隊がやるもんだ。んで、全滅させられて、英雄が出てくるのを待つしかないってなもんだ。村に来たのは、貧乏くじを引かされた貴族の坊ちゃんで、英雄でもなんでもねぇよ」
「ふむ……そうか」
ギルバートの言葉に、そりゃそうだよな、と納得する気持ちが三割。妹を無責任に孕ませておいて、いまだに高鼾を継続中の竜が寝首を掻かれるわけではなさそうなのが残念だと思う気持ちが七割だった。
「竜はまだ寝ているんだよな?」
そう訊いてきたギルバートの眉根が寄る。
「たぶんな」
「たぶんって……様子を見に行ってないのか?」
「なんでそんなことしなきゃいけないんだよ」
まるでこちらが職務怠慢しているかのような言い方に、俺も眉を顰めて言い返した。
「なんでって、あの竜はおまえたちが責任を持って監視するって話じゃなかったのか?」
「初耳だよ」
「なんだと!?」
そう言って目を剥くギルバートに、俺は眉間の皺をいっそう深くさせる。
「確かに俺たちは、そっちの村を守ると約束した。けど、竜はどうにもならないだろ。監視したところで対策の取りようなんてないし、下手に刺激してせっかく寝てくれているのを起こしてしまうほうが怖い」
「……けど、いまは寝ているにしたって、いずれ起きるだろ。そんとき、どうすんだよ?」
「そのときは飛び去ってくれることを願うしかないんじゃないか? それか、起き出す前に村を捨てて余所へ逃げるとか」
「どこに逃げるってんだよ。無理に決まってんだろ」
「だよな。ならもう、祈るしかないって」
と言いはしたけれど、俺なりに成算があって言ったことだ。
いくら無責任中出しドラゴンでも、自分の子を孕んだ女の頼みを無下にはするまい。去るときは静かに去ってくれ、と頼めば、きっと大丈夫だ……きっと。
「頼りになんねぇな」
「なら、騎士様に頼るんだな」
「……あっちはもっと頼りになんねぇよ」
鼻で笑ったギルバートに言い返すと、ギルバートはげんなりした表情になって溜め息を吐いた。
村にやってきた五名の騎士は、隊長以外はまったくやる気がない様子だったらしい。
「なんで俺たちが危険を冒して竜に近づかなくちゃなんねぇんだよ――と顔に書いてあったぜ」
「ふぅん……騎士の誇りとか、そういうのは無いんだな」
「誇り?」
「いや、騎士は貴族なんだろ。なら、平民を守る誓いとか使命感とか、そういうのは無いのかな、と」
「……なんで貴族が平民を守るんだ?」
ギルバートは本気で意味が分からない様子で訝しんでいる。俺はその顔を見つめながら考える。
どうやらこの世界の――少なくともこの土地の身分制度と、それに対する観念というのは、本当に江戸時代レベルのもののようだ。人権や民意なんてものは概念すら存在していないのだろう。ひょっとして、法治主義や立憲君主、議会制あたりの概念もなかったりするか? このあたりのことはギルバートを始めとした村人に訊いても、ちゃんとした答えは返ってこない。俺自身が都に行って確かめてみるしかないだろう。
あ、そうでもないか。いま村に来ている騎士とやらに訊いてみたら、もう少し深いところが聞けるかもしれない。
……いや、無理か。
ギルバートの話を聞く限り、貴族としての特権意識が強い連中みたいだから、俺みたいなどこの馬の骨とも知れない男が話しかけても答えてはくれまい。
……あ、男ではなく女ならいいのか?
「有瓜に話を聞いてきてもらえば……あぁ……うん、ないな」
俺だって本気でそんなことを考えたわけじゃない。ただちょっと思いついただけだ。でも、そのちょっとの間に、有瓜と騎士を接触させることで起きうる面倒事が俺の脳内でドミノ倒しのように展開していって、溜め息が出た。
「ロイド? どうした急に」
「いや、なんでもない」
俺は怪訝な顔にギルバートに頭を振ると、思考を目の前のことに戻した。
「で……村に来た騎士たちは、いまどうしているんだ?」
「竜のところへ案内しろと言ってきたから、どこにいるかなんて知らねぇって答えたら、なら山を探すから手伝えと言ってきたんで、猟師が一人付いて森に入っていったところだ」
「竜のところまで案内するのか?」
「するかよ。おまえもさっき言ってただろ、下手に刺激して目を覚まされるのは御免だ、って。それは俺たちだって同じだから、見当違いのところを適当に歩いてもらって、竜は人知れず飛び去ったのかもしれません、ってことで納得してもらうつもりだ。――ああ、もちろん、この辺りにも近づかせるつもりはないけれど、万が一ってこともある。ゴブリンたちに、今日明日は出歩くなと言っておけよ」
「おう、了解」
日に日にその呼び名に相応しい生き物になっていく忍者たちが、やる気のない騎士とやらに見つけられることはないと思うけれど、実際のところ、俺は騎士のことを知らない。この世界には魔術や、おそらく錬金術も存在しているのだから、騎士というのが気配を探知する魔術を使える魔術戦士だったりするかもしれないのだ。
というわけで、君子危うきに近寄らず、だ。
ゴブリンたちには、騎士たちが帰るまで大人しくしていてもらおう。有瓜は最近、「わたし、セックス自重中です」と言っていたけれど、今朝も普通に起き抜けから複数プレイしていたみたいだし、きっとゴブリンたちの暇潰しにも付き合ってくれることだろう。
「――あ、ギルだ」
話しておくべきことはこのくらいかな、と思ったところに、アンがやってきた。その後ろからはシャーリーも来ている。二人は確か、アルカたちと一緒に川で水浴びしていたはずだが……。
「有瓜はどうした?」
「アルカさんは髪を洗うのに手間取っていて、もう少しかかるみたいです」
俺の質問にアンが答えてくれた。
ちなみにアンの髪は、この半年でショートからボブくらいまでの長さになっている。姉のシャーリーはもっと短くて、耳や首筋がはっきり出るくらいに切り揃えられている。二人の髪は、村経由で行商人から手に入れた鋏を使って、有瓜が整えていた。散髪用の鋏ではないから、有瓜がかなり苦労していたのを憶えている。
姉妹どちらの髪も赤いけれど、アンの髪は日差しを浴びてところどこに光って見える朱色で、シャーリーの髪は日差しを吸い込むようなもっと深い褐色だ。
どちらの髪もこの辺りでは有り触れた色だそうだが、有瓜が教えたシャンプーが習慣化しているおかげか、半年前――いや、もうほぼ一年前か。とにかく、最初に会った頃よりもずっと綺麗な髪になっていた。
「綺麗になったのは髪だけじゃないけどな」
内心の由無し事がうっかり声に出てしまった。
「ロイドさん、何か言いました?」
「いや、何も」
何の気なしに尋ねてきたアンに、俺は素早く答えた。その返事が早すぎたせいで、アンは目を瞬かせて驚いたけれど、すぐにくすっと頬笑むと、それ以上の追求はしてこないでギルバートのほうへと近づいていく。
「ギル、久しぶり。元気だった?」
「お、おう」
「冬のうちはちょくちょく顔を見ていたと思ったんだけど、暖かくなってからは本当、久しぶりだよね」
「……そうだな」
ギルバートが微妙に目を逸らして、口元を隠すように撫でたのは、この前のことを思い出したからだな。
大丈夫、俺はばらしていないぞ。安心しろ――俺はこちらに視線を向けてきたギルバートに、目だけでそう告げた。
と、男二人でアイコンタクトをしていると、アンが急に声を上げた。
「あれ?」
「なっ、なんだ!?」
「ギルさ、なんか……背、伸びた?」
「え、そうか?」
「そうだよ――ほら」
「……ッ!?」
ギルバートの鼻息がかかりそうな距離まで無造作に近づいたアンが、背伸びをする。
「ほら、やっぱり。前に比べたときは背伸びしたら並んだもん。うわぁ、なんか悔しいなぁ」
「……」
「今更だけどさ、ギルも男の子なんだね。ギルはこれからもっと大きくなるのかな……いいなぁ」
「い、いや……いいじゃねぇか。おまえはそのまんまでも、よぉ」
「あっ! ギルは、わたしは一生チビのままだって言いたいんだね!?」
「ばっ!? 違ぇよ!」
……ギルバートとアンは、表面だけ見ればとても甘酸っぱい会話をしている。
ギルバートがアンにそういう気持ちを持っていたことは、これまでの態度から察しが付いていたけれど、アンはたぶん、まったく気づいていない。兄同然の幼馴染み、としか思っていないようだった。
もしも、アンが平穏無事に成長していたら、ずっと傍にいたギルバートに対してそういう感情を持つようになっていたのかもしれないと思うと、甘酸っぱいのが酸っぱくなりすぎて、俺は胸が痛くなってしまうのだった。
「あいつらを見てると、変わんないものもあんだなぁって、なんか安心するな」
俺の傍に立ったシャーリーが、ギルバートとアンのほうに目を馳せながら頬笑んでいる。
「里心がつくか?」
「多少はな」
シャーリーはあっさりと肯定した。もっと向きになるかと思っていた俺は、拍子抜けして肩をがくっと落としてしまう。
「んだよ、それ。あたいだってか弱い乙女だぞ。あの頃に戻りたいわ、みてぇな可愛いことを思ったりもするんだ。舐めんなよっ」
「いつも可愛いと思っているよ」
「ばっ……そういうことを真顔で言える奴の言葉は嘘ばっかりだって姐さんが言ってたぞ」
「そうか。じゃあ、俺はシャーリーにはいつも嘘を吐かないといけなくなるな」
「……ロイド、あたいのこと馬鹿にしてんだろ?」
「はっはっ」
「……っんの野郎!」
わざとらしく笑う俺の胸に、シャーリーの結構いい正拳突きが飛んできた。
そんな平和な一時を過ごした後、ギルバートは村に帰っていった。
「他の猟師に案内されて山歩きしている騎士様たちが帰ってくる前に、俺も村に戻っておかないと。勘繰られるかもしれないからな」
「また暇なとき、遊びに来たらいいよ」
「……そうだな」
アンの言葉に、ギルバートは気まずげに頬を掻く。その顔を見れば、またこの前のことを思い出しているのだと一目瞭然だ。
というか……ギルバートは間違いなく、俺とアンが致しているところを見ていたんだよな。俺に対しても色々と思うところがあるだろうに、普通に接してくれていることは本当に助かっている。
俺なんて、その件に敢えて触れないでいるのも気まずさが膨らむばかりだし、かといって謝ったりしても神経を逆撫でするだろうし……と思い悩んだ末に、リア充っぽく冗談めかすようなことしか言えないでいるというのに。
ギルバートはいいやつだ。願わくは、いい相手が見つかりますように。
……って、なんだか上から目線だな。
こういうときの応援の仕方が分からない。
クラスの一角に溜まって毎日楽しく騒いでいたリア充たちを妬んでいる暇があったら、彼らの社交性を学び取っておくべきだった。学校生活で学ぶべきものの中には、ああいう人付き合いの方法も入っていたのだろう。今更にして、そう思う。
「あ……有瓜に相談してみるか」
あいつはセックスを抜きにしても俺より社交性があるし、経験も豊富だろう。よし、あいつが戻ってきたら相談してみよう。
――川から戻ってきた有瓜に相談してみたら、すごく乾いた目で見られた。
「義兄さんは非童貞が童貞より上だとナチュラルに思っているところが素直にウザいですね」
「……すいません。ごめんなさい。反省します。頑張ります……」
なんだかもう、死ぬほど恥ずかしかった。
かくして、俺の黒歴史がまた一ページ増えたのだった。
この翌日、五人の騎士が塒の洞窟にやってきた。
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