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1章
19-2. 初めて同士 ロイド ★
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それからの経緯はよく覚えていない。気がつけば、俺とシャーリーは洞窟内にいつの間にか張られていた天幕の中にいた。
木材に藁葺きの簾みたいなものを張った三角形のテントだ。広さは六畳くらいで、床には布団が敷いてあった。麻布に藁を詰めた布団で、座っている尻に当たる感触はそんなにふわふわしていない。片隅には油皿と芯だけのアルコールランプみたいなものが置いてあって、そこに灯っている小さな火が薄ぼんやりと天幕内を照らし出している。
このテントも、村から貰ってきたもののひとつだ。それは覚えている。でも、俺にテントを張った覚えはないから、ゴブリンたちがいつの間にか張っていたことになる。一体いつ、張り方を覚えたのか――。
いまはそんなこと、どうでもいい。
いま、俺の目の前には、神妙な顔をして座っているシャーリーがいるのだ。他の何を目に入れて、他の何で頭の中を埋め尽くせというのか。
「え……と……あ、はは……やっ、なんつうのか……あ、はは……」
シャーリーは目を泳がせて、ぎこちなく笑っている。いまになって照れ臭くなったみたいだけど、今更だ。こっちはもう、ずっと前から暴発寸前なのだから。
「シャーリー、脱いで」
短くそれだけ言って、自分でも着ていた服を一気に脱ぎ捨てる。ボタンを飛ばさずにシャツを脱ぐだけでも、理性を総動員させる必要があった。
「あ……あ、そっか。そうだよな。脱がないと、できねぇよな……うん……うん」
シャーリーは自分を勇気づけるようにこくこく頷き、チュニックだかワンピースだか、そんな感じの簡素な服に手をかける。彼女はそこで一瞬だけ躊躇ったものの、次の瞬間には覚悟を決めて、がばっと一気に脱ぎ捨てた。
シャーリーは下着を着けていなかった。村人たちも普通に下着着用の習慣があることは確認済みだ。だからつまり、シャーリーは水浴びの後、敢えて下着を穿かなかったのだ。つまりはそういうことだ。
「ど、どうだ?」
シャーリーは全裸になって座り直すと、俺にそう問いかけてくる。
「……綺麗だ」
俺の口から飛び出た言葉は、かさかさに掠れている。すっかり喉が干涸らびていて、それで自分がずっと口を半開きにしていたのだと気がつかされた。
「っ……シャーリーの身体、すごく綺麗だ」
俺はごくりと大きく唾を飲み込み、もう一度言う。
「う、うぅ……や、やだ……!」
シャーリーは自分自身を掻き抱いて、俺の視線から肌を隠そうとする。俯いた顔は薄明かりでもはっきり分かるほど紅潮している。
――目の前で全裸の女子に恥ずかしがられて滾らない男がどこにいる?
「駄目、隠さないで。もっと見せて」
「や、やだよ――あっ」
俺はずいっと身を乗り出して、シャーリーの腕を掴み、胸元から外させた。シャーリーは嫌がるような素振りをみせたものの、俺にされるまま両手を開いた。
そしてそのまま、ずるずると背後に倒れていく。
「あっ……」
藁の詰まった敷き布団が、がさりと音を立てた。
「……」
言葉が出ない。
仰向けに寝そべったシャーリーと、彼女の顔の横に片手をついて覆い被さっている俺。視線の距離は、肘から手首ほどにも離れていない。突っ張っている腕の力を緩めれば、すぐにでもキスできる距離だ。
でも、その欲求をぐっと我慢して、俺は身体を起こした。そうすると視界いっぱいに広がるのは、布団に寝そべるシャーリーの裸体だ。
山育ちで引き締められた肢体と、洗ったばかりの日焼けした肌。胸の膨らみはけして大きいとは言えないけれど、全身になんとも言えない瑞々しさがあって、俺の視線はさっきから彼女の肌を舐めまわしっぱなしだ。
首筋から肩、二の腕にかけての曲線が好きだ。鎖骨の窪みが好きだ。脇腹から腰にかけての括れも、贅肉がないのに柔らかそうな下腹ももちろん好きだし、臍の窪みや薄ら浮いた肋骨の線も生唾ものだ。
「あ、あ……あんま、見んなぁ……」
シャーリーは苦悶の呻きを上げるけれども、両手で身体を隠すようなことはしない。両手は自分の目元を覆うのに使って、上半身に浴びせられている俺の視線に堪えている。
火照った肌を小刻みに震わせるほど恥ずかしがっているのに、俺を受け入れようと頑張ってくれている――そんな態度を示されて、股間がヤバいことにならないわけがない。というか最初からヤバいわけで、ヤバいのがさらにヤバくなって、ヤバすぎることになっている。
「っ……ごめん、シャーリー。先に謝っておく。きみが嫌がって止めないから」
俺は一方的に宣言すると、両手をシャーリーのしなやかな太ももにやって、左右に大きく開かせながら持ち上げた。
「えっ……ひゃう!?」
赤ん坊がオムツを替えられるときの体勢にされたシャーリーが、いっそうの羞恥に声を裏返させる。
「やっ、この格好……! 恥ずかしい……!」
シャーリーが交差させた両腕で顔を隠して、いやいやと身悶える。だが、そんな抗議の声は耳を素通りしていくだけだ。俺の意識は、目の前すぐそこに差し出された鮮やかな肉色の秘所を見ることに全力集中していたからだ。
「……あれ?」
最初の数秒は中身の粘膜しか目に入らなかったから気がつくのが遅れたけれど、俺は遅ればせながら気がついた。
「シャーリー、きみ……毛は?」
そう――シャーリーの恥丘には陰毛がまったく生えていなかった。
……いや、違う。そこに手を滑らせてみると、ざらりとした手触りが返ってくる。生えていないのではなく、剃ったのだ。
一瞬、こっちの世界では剃毛する風習があるのか、と思ったのだが、そうではなかったようだ。
「あ、うぅ……や、やっぱ変だよな。そこの毛を剃るなんて……うぅ」
シャーリーは顔を隠している両手にますます力を入れて呻く。そのせいで気がついたけれど、左右どちらの腋も剃毛されていた。
「そういえば、剃刀も貰ってきたんだったか」
今日、村から運んできた品々の中には、剃刀も入っていた。有瓜が包丁と並んで切望していた刃物である。
「そうか、有瓜に剃られたんだな」
俺の呟きに、シャーリーは顔を隠したまま小さく頷く。
「こ、このほうが、あんたは喜ぶって、姐さんが言うから……」
「……うん、嫌いじゃない。むしろ、好きか嫌いかで言ったら断然好きだな!」
ボサボサよりはツルツルがいい。これはべつに変態なことじゃないはずだ。堂々と言っていいことのはずだ!
「そ、そうか。好きか……そっか、よかった……」
シャーリーの腕が緩んで、隙間から目元が覗く。俺と目が合ったシャーリーは小さく笑った。
「姐さんが言うから剃ったけど、子供みたいで笑われるんじゃねぇかって……」
安心していた様子のシャーリーだったが、そこで急に言葉を切ったかと思ったら、なぜか不安げな眼差しを俺にぶつけてきた。
「あんた、子供に興奮する病気ってやつだったりするのか……?」
「違うから!!」
全力で否定した。
「パイパンのほうが触り心地いいし、よく見えるし、清潔にしておきやすいし――そういう理由でボサボサよりもパイパンが好きなの!!」
力説してしまった。
「お、おう……」
シャーリーはドン引きしていた。その顔を見てようやく、俺は我に返った。
「あ……いや、べつにパイパンじゃなきゃ嫌だってわけじゃないからな」
「そ、そっか」
「う、うん」
「……」
「……」
気まずい沈黙だった。
お互いに全裸で、シャーリーはいわゆるまんぐり返しで……俺の人生でこの先、これ以上に気まずい沈黙が訪れることはないだろう。
この沈黙を続けるのは不味い。雰囲気が台無しになる。……まだ台無しにはなっていないはずだ。挽回できるはずだ!
「……ん!」
俺は首を俯けて、シャーリーの秘所に唇を押しつけた。
「きゃう!?」
シャーリーの短い悲鳴を無視して、俺は桃色の粘膜をべろりと舐め上げた。
「ひゃあ! お、おい! そんなとこ舐めんな馬鹿!」
「ん……大丈夫、汚くないから」
俺は顔を俯けたまま視線だけを上げて答えた。実際、彼女の秘所はちょっと拍子抜けするくらい綺麗にされていた。きっと有瓜が、ここも念入りに洗わせていたのだろう――正直、感謝しかない。
俺は童貞だけど、その手の知識や経験談はネットでそれなりに触れてきた。その中には、女性器の味はどういうものだとか、酸っぱいブルーチーズみたいだとか――そういう話を目にしていたから、いま実際に舐めたとき、嫌な顔をしてしまわないかが心配だった。そんな顔をしてシャーリーに泣かれたくなかった。
その心配が無駄に終わったのだから、有瓜には感謝するばかりだ。こういうとき、有瓜ほど頼りになる義妹もいるまい。
「ん……んっ……」
心の中で有瓜への感謝を唱えながら、俺は秘所内の形を確かめるように舌を使って、粘膜を味わう。
シャーリーの秘所粘膜は柔らかいのに弾力があって、ぷりぷりしている。よく、秘所のことを赤貝や鮑に例えることがあるけれど、あれは見た目のことだけでなく、舌触りも似ているからだったのか。
なお、花弁の裏側までよく洗ってあったためか、味らしい味はしなかった。
そんなふうに味わいながら秘所を舐める――というか、舌で粘膜を押したり捏ねたり掻いたりしているうちに、シャーリーの反応が変わってきていた。
「あっ……あ、ぁ……っ……」
両手は肘を立てながら投げ出されて、目の粗いシーツを掴んでいる。薄く開いた唇からはか細い喘ぎがちょろちょろ漏れ出していて、とろんとした両目は夢の世界を見ているように揺れている。
緩んでいるのは表情だけではない。俺がいま舐っている秘所の肉も、しっとりと水気を帯びてきていた。舌に感じるようになってきた塩味と酸味は、この水気に含まれているもののようだ。
……いやもう、はっきり言おう。愛液だ。膣の奥から染み出してきた、汗よりも甘酸っぱくてとろりとした愛液で濡れているのだ。シャーリーの秘所は、俺のクンニで濡れているのだ。俺が、濡れさせたのだ。
「――ッ」
俺が濡れさせた――その事実を思った瞬間、腰に電流が弾けた。びくっと背筋が反り返る。
「あ――ッ……!」
咄嗟に尻の穴を締めて堪えようとしたけれど、逆効果だった。それが止めになって、ギンギンに昂ぶっていた肉棒が激しく脈打った。
マヨネーズのチューブを踏みつけてしまったときの勢いで、俺は射精してしまった。
「あっ……あ……ぁ……」
……ものすごく気持よかった。まったく手を触れずに、愛液塗れの秘所から香る味と匂いだけで射精してしまった。
「ひゃう! 背中に、なにか……んんっ……!」
シャーリーがまんぐり返しの窮屈な体勢のまま、ぞわりと身をくねらせる。丸めている背中に射精がぶっかかったからだろう。
「あ……まだ出て……垂れてる……っ……」
溜まりに溜まっていた精子は一度の射精では出きらず、さらに二度、三度と肉棒を脈打たせるたびに、精子はどくどく迸ってシャーリーの背中にぶっかかる。いや、俺からは見えてないのだけど。
「はっ……、……」
肉棒をぱんぱんにさせていた白濁を全て吐き出した俺は、心地好い虚脱感の中で肩を大きく上下に揺らす。
「なあ、これ……射精したのか……?」
シャーリーがおずおず聞いてくる。
「ん……ああ、うん……」
改めて訊かれると恥ずかしさが込み上げてきて、俺は頬が火照るのを感じながら小さく頷く。それを見て、シャーリーの眉が困惑に寄せられる。
「っと……これで終わり……なのか?」
「ちっ、違う! 違うぞ!」
こんな暴発で終われるものか。挿入せずに終われるものか!
「シャーリー、いいよな!?」
俺は叩きつけるように言いながら、答えを待たずに、ずっと抱え上げていたシャーリーの尻をシーツに下ろす。両足は開かせたままだけど、使われたことのない秘所の割れ目はほとんど閉じたままだ。そこに両手の指を添えてそっと広げると、にちゃっと音をさせてピンクの肉が詰まった中身が顔を覗かせる。
「っ……!」
肉棒はその光景だけで、脈動が伝わってくるほど激しく再勃起していた。
「あぅ……あ、あんま、じろじろ見るなぁ……」
頼りない灯火ひとつしかない状況でも、俺がどこを凝視しているのかは分かるようだ。
でも、見るなと言われても目が吸い付いて離れないのだから仕方ない。
食べ頃に色付いた桃色の肉。ほのかな膨らみの内側にぎゅと詰め込まれた小さな花弁と、小刻みに疼く窄まり。たぶん、これが尿道口だ。その上には小粒の豆がちらちらと顔を覗かせている。そして、下のほうには尿道口の窄まりよりも大きくて深い穴が、きゅうきゅうと呼吸するように収縮を繰り返している。いま、その収縮が激しくなっているのは、俺の視線に悶えているからだろうか。
「……って、もう限界だ」
見ているだけで、腰が自然と吸い寄せられる。何かを求めるように収縮している肉穴に、熱々のガチガチに硬く膨れて脈打っている肉棒を押し込んで、この狂おしい熱を吸い取らせたい。
「シャーリー」
名前を呼ぶ。それ以上の言葉が出ない。
「……」
シャーリーからの返事はない。ただ、視線がわずかに頷いた。
それだけで事足りた。これ以上は要らなかった。
俺は背中を丸めて腰を引き、濡れた秘所に肉棒の先をぴたりと宛がう。
「……んっ」
シャーリーが小さく震える。その震えは触れている膣口から亀頭に伝わって、それだけで危うく先走り以上のものが迸りそうになる。
「くっ!」
また暴発するのは嫌だ――と思ったら、腰が勝手に突き出されていた。
「うぁ!」
「あっ!」
どっちがどっちの声だったのか、正直よく分からない。そんなことどっちでもいいと思えるくらい、気持よさで思考が埋め尽くされていたから。
「う、お、おぉ……」
どこかで牛が鳴いている……と思ったら、俺の口から出ている呻き声だった。
女の中に入るのは絶対に気持ちいいと確信していたけれど、間違いだった。気持ちいいなんて生易しいものじゃなかった。
馬鹿になる。
入れた瞬間、馬鹿になった。
「おっ、う、うぅ……! うおぉ……!」
快感が込み上げる。腰が独りでに動く。声が抑えられない。男の喘ぎなんて誰も得しないと分かっているのに――!
「あっ……っ、っ……!」
自分の声に甲高い声が混ざって聞こえると思ったら、シャーリーも俺と同じリズムで喘いでいた。
……って、それも当然か。彼女の膣に挿入して馬鹿になっているんだから、俺が気持ちいいときは彼女も気持ちいいので当然だ。
「うっ、っ……!」
「あ、あっ、ぁ……!」
俺の低い呻きと、彼女の高い喘ぎがスタッカートで合唱している。そこに、下の口から溢れる音が伴奏を添える。
ぷちゅ、ぷちゅ、とコップの水を混ぜるような攪拌音。その水音は腰を振る回数が増えていくにつれ、どんどん泡立ったものになっていく。実際、挿入してすぐは潤滑油のようだった愛液が、何十回と前後させた肉棒で攪拌したいまは乳液のようになっている。滑りをよくするためだけでなく、肉と肉とを吸い付け合わせるための液になっている。
腰を一回振って肉棒を根元まで膣に押し込むと、膣肉はぎゅっ、ぎゅっとうねって、愛液の染み込んだ肉棒に粘り着く。それを無理やり引っ剥がすように腰を引くと、カリに粘り着いた膣肉も一緒にずるりと捲られていく。少しでも長く俺を快感で呻かせようと、吸い付いてくる。
「あっ、ああぁ……ロイドぉ……あ、あたいっ……あ、あぁ!」
「ぁ……痛いのか?」
シャーリーが眉根を寄せているのに、今更気づいた。
本当に今更だけど、シャーリーは初めてだと言っていたのを今更思い出していた。挿入したときは快感で頭が馬鹿になっていたし、処女と非処女の挿入感の違いなんて分かるわけもなく――すっかり意識の外にやっていた。
丸めていた背中を起こして視線を結合部に向けると、その隙間から漏れる泡立った愛液は薄桃色に染まっていた。
「……ごめん! 俺、全然気がつけなくて――」
俺は意思の力を総動員して腰振りを止める。止めるのが精一杯で、抜くことができないのは許してほしい。
けれども、シャーリーはぶるっと首を横に振った。
「あっ、違うんだ。痛いんじゃなくて、気持よくて……へっ、変になりそうだったからで……」
言っているうちに、シャーリーの顔はみるみる紅潮していく。
「変に、って……!」
「うぁ……なっ、なに言わせんだよぉ! 馬鹿、変態……!」
シャーリーは両手で顔を隠してしまったけれど、頭隠して秘所隠さずだ。俺のものをぎっちり咥え込んでいる剃毛済みの結合部は丸見えだ。ちょこんと覗いた真珠のようなクリトリスが生唾ものに愛らしい。
「シャーリー……それ、分かって言ったんだよな?」
「……へ?」
俺の掠れ声に、シャーリーは顔に被せた両腕の隙間から不思議そうな目つきを向けてくる。
「痛くない、気持ちいい、気持よくて変になりそう――そんなこと言われて馬鹿にならない男はいないから!!」
俺は叩きつけるように言うのと同時に、ぐっと引き絞った腰を勢いよく叩きつけた。
「ふあっ!!」
シャーリーの絹を裂くような悲鳴。肉のぶつかる乾いた音に、粘膜の擦れる湿った音。三つの音が同時に弾けて、仰向けの肢体が激しく弾む。
狭い膣を深々と抉った肉棒からは、電流のような官能が走って、背骨を駆け抜け、脳天に突き刺さる。
「シャーリー……ああっ、シャーリー……! ああっ……!」
腰をひと振りするたび、彼女の名前が口を衝く。そして、名前を声にするたび、快感が頭蓋骨の内側で反響する。頭が溶ける。馬鹿になる。こんな気持ちいいこと、他にない。
「うっ、あっ、ぁ……! ロイドぉ……おっ、おぁ! そこっ……うっ、うぁ!」
腰を引いていくとき、カリ首が膣の浅いところを掻いていくのがいいらしい。そこを重点的に掻くように腰を使って……あっ、駄目だ。そんなこと考えている余裕ない!
「あっ、っ……シャーリー、もう……!」
「うあぁ! あぁ、ろいっ……ど、ぉ……おぁ! ああぁ!」
「シャーリー……ああっ、イく……う、ううぁ――ッ!!」
俺は吠えていた。吠えながら射精していた。熱い濁流が肉棒からどくどく迸る快感と解放感に、犬みたいに吠えていた。馬鹿なのに、犬みたいに。
「うっ、うぅ――ッ……うあぁ……」
人生で一番最高の射精だった。
肉棒がどくっ、どくっと脈打ちながら精子を吐き出すたびに、シャーリーの膣は最後の一滴まで搾り出そうとするかのように震えて、締めつけてくる。
「あ……あぁ……シャーリー……」
自分で少し恥ずかしくなるほど甘い声が出た。頬や目元もうっとりと緩んでいるのが自覚できるけれど、きりりと引き締められない。こんな顔をシャーリーに見られたら笑われるかな――。
そう思ったときやっと、俺はシャーリーの顔にちゃんと目の焦点を合わせられた。
シャーリーは泣いていた。
「えっ……あ、あぁ!? ごめん、俺、勝手に中出しって――あぁ!!」
場違いなほどすっきり爽快な思考で自分のしでかしたことを反芻すれば、血の気が引くどころではない。ゴムが無いのは仕方ないにしても、無許可で中出しは言い訳のしようがない背信行為だ。泣かれて当然だ。
でも、シャーリーが泣いた理由は、そうではなかった。まったく別の理由だった。
「わ、悪ぃ。泣くつもりはなかったんだけど、なんか、嬉しすぎて感極まっちまった……は、はは……」
汗と涙に濡れた、なんの衒いもない笑顔だ。その笑顔を目にした瞬間、初めての気持ちで胸がいっぱいになった。
「シャーリー……」
「うん」
ゆるりと頬笑むシャーリーに、俺は――
「あ――……」
……舌の先まで上った言葉を飲み込んだ。
シャーリーはゴブリンたちの嫁不足を解消するために連れてきた女性だ。俺が独占していい女性ではない。
仮に有瓜の威を借りてシャーリーを独占したとして、アンには一人だけで頑張ってもらうのか? 妹思いのシャーリーが自分だけ特別扱いされて平気でいられるか? ではアンも、ゴブリンたちから取り上げるか? そうして、他から別の女性を調達してくるのか? 他の女に嫁を頑張ってもらって、シャーリーたちだけを特別扱いするのか? シャーリーとアンはそれを良しとするのかか――仮に良しとしたなら、俺はそのとき、シャーリーたちをまだ愛せるのか?
……愛せるのか、だって?
「ふ――」
失笑してしまった。
俺はシャーリーのことを最初の出会いからずっと、打算でしか見ていないじゃないか。いまだって、数ヶ月分の煮えたぎった精子をぶちまけるだけぶちまけたところで、こうして無駄に内省している――突き放して考えている。
それは要するに、出すまでの愛だ。溜まっていただけだ。
……って、やることをやった途端にこんなことを考え出すのか、俺は。最低じゃないか。
「……ロイド?」
急に黙り込んだ俺のことを、シャーリーが心配そうに見上げている。
「いや、なんでもないよ」
俺は微笑み返した。
「そっか。怖い顔してたから、あたいの身体、良くなかったのかなぁとか……思っちまったぜ……あ、はは……」
シャーリーは冗談めかしたつもりのようだが、本気で不安がっているのが隠せていない。
――俺は最低野郎だ。でも、そんな最低野郎に傷つけられたのだと、彼女が自覚する必要はない。
「良くなかったなんて、そんなこと言うなよ。俺はくらくらするくらい最高だったのに、きみは良くなかったみたいに聞こえるじゃないか。それとも……本当に良くなかった?」
「ばっ、馬鹿! あ、あたいだって――その……最高に、よ、良かった、ぜ……うぅあ! 恥ずかしいな、くそ!」
シャーリーはまたしても両腕で目元を覆って、くねくねと身悶える。
「ははっ、可愛いよ。シャーリー」
「うぁ……そ、そういうこと言わなくていいっつの……」
「そう? 本当に? 本当に言わなくていいの?」
「……ば、馬鹿……おまえ、馬鹿……ばぁか……」
可愛い“ばか”を連呼する照れ屋さん。俺はその耳元に唇を寄せて、吐息混じりに囁く。
「照れ屋なきみは最高に可愛いよ」
「はぁ――ッ……♥」
今日一番の溜め息が俺の耳朶を擽った。
――歯の浮くような台詞をいきなりさらさら垂れ流せるようになった自分の口が、この上なく気持ち悪かった。
嘘吐きの言葉で身も世もなく喜んでいるシャーリーが可愛らしくて、かわいそうで――せめて最後まで騙しきろうと思った。
「……ロイド、ありがとう」
シャーリーが腕の隙間から、はにかんだ笑顔を見せてくれる。
「俺のほうこそ――初めてがきみで良かった。ありがとう」
微塵も葛藤することなく笑顔を返している自分のことが、得体の知れない他人に思えた。
木材に藁葺きの簾みたいなものを張った三角形のテントだ。広さは六畳くらいで、床には布団が敷いてあった。麻布に藁を詰めた布団で、座っている尻に当たる感触はそんなにふわふわしていない。片隅には油皿と芯だけのアルコールランプみたいなものが置いてあって、そこに灯っている小さな火が薄ぼんやりと天幕内を照らし出している。
このテントも、村から貰ってきたもののひとつだ。それは覚えている。でも、俺にテントを張った覚えはないから、ゴブリンたちがいつの間にか張っていたことになる。一体いつ、張り方を覚えたのか――。
いまはそんなこと、どうでもいい。
いま、俺の目の前には、神妙な顔をして座っているシャーリーがいるのだ。他の何を目に入れて、他の何で頭の中を埋め尽くせというのか。
「え……と……あ、はは……やっ、なんつうのか……あ、はは……」
シャーリーは目を泳がせて、ぎこちなく笑っている。いまになって照れ臭くなったみたいだけど、今更だ。こっちはもう、ずっと前から暴発寸前なのだから。
「シャーリー、脱いで」
短くそれだけ言って、自分でも着ていた服を一気に脱ぎ捨てる。ボタンを飛ばさずにシャツを脱ぐだけでも、理性を総動員させる必要があった。
「あ……あ、そっか。そうだよな。脱がないと、できねぇよな……うん……うん」
シャーリーは自分を勇気づけるようにこくこく頷き、チュニックだかワンピースだか、そんな感じの簡素な服に手をかける。彼女はそこで一瞬だけ躊躇ったものの、次の瞬間には覚悟を決めて、がばっと一気に脱ぎ捨てた。
シャーリーは下着を着けていなかった。村人たちも普通に下着着用の習慣があることは確認済みだ。だからつまり、シャーリーは水浴びの後、敢えて下着を穿かなかったのだ。つまりはそういうことだ。
「ど、どうだ?」
シャーリーは全裸になって座り直すと、俺にそう問いかけてくる。
「……綺麗だ」
俺の口から飛び出た言葉は、かさかさに掠れている。すっかり喉が干涸らびていて、それで自分がずっと口を半開きにしていたのだと気がつかされた。
「っ……シャーリーの身体、すごく綺麗だ」
俺はごくりと大きく唾を飲み込み、もう一度言う。
「う、うぅ……や、やだ……!」
シャーリーは自分自身を掻き抱いて、俺の視線から肌を隠そうとする。俯いた顔は薄明かりでもはっきり分かるほど紅潮している。
――目の前で全裸の女子に恥ずかしがられて滾らない男がどこにいる?
「駄目、隠さないで。もっと見せて」
「や、やだよ――あっ」
俺はずいっと身を乗り出して、シャーリーの腕を掴み、胸元から外させた。シャーリーは嫌がるような素振りをみせたものの、俺にされるまま両手を開いた。
そしてそのまま、ずるずると背後に倒れていく。
「あっ……」
藁の詰まった敷き布団が、がさりと音を立てた。
「……」
言葉が出ない。
仰向けに寝そべったシャーリーと、彼女の顔の横に片手をついて覆い被さっている俺。視線の距離は、肘から手首ほどにも離れていない。突っ張っている腕の力を緩めれば、すぐにでもキスできる距離だ。
でも、その欲求をぐっと我慢して、俺は身体を起こした。そうすると視界いっぱいに広がるのは、布団に寝そべるシャーリーの裸体だ。
山育ちで引き締められた肢体と、洗ったばかりの日焼けした肌。胸の膨らみはけして大きいとは言えないけれど、全身になんとも言えない瑞々しさがあって、俺の視線はさっきから彼女の肌を舐めまわしっぱなしだ。
首筋から肩、二の腕にかけての曲線が好きだ。鎖骨の窪みが好きだ。脇腹から腰にかけての括れも、贅肉がないのに柔らかそうな下腹ももちろん好きだし、臍の窪みや薄ら浮いた肋骨の線も生唾ものだ。
「あ、あ……あんま、見んなぁ……」
シャーリーは苦悶の呻きを上げるけれども、両手で身体を隠すようなことはしない。両手は自分の目元を覆うのに使って、上半身に浴びせられている俺の視線に堪えている。
火照った肌を小刻みに震わせるほど恥ずかしがっているのに、俺を受け入れようと頑張ってくれている――そんな態度を示されて、股間がヤバいことにならないわけがない。というか最初からヤバいわけで、ヤバいのがさらにヤバくなって、ヤバすぎることになっている。
「っ……ごめん、シャーリー。先に謝っておく。きみが嫌がって止めないから」
俺は一方的に宣言すると、両手をシャーリーのしなやかな太ももにやって、左右に大きく開かせながら持ち上げた。
「えっ……ひゃう!?」
赤ん坊がオムツを替えられるときの体勢にされたシャーリーが、いっそうの羞恥に声を裏返させる。
「やっ、この格好……! 恥ずかしい……!」
シャーリーが交差させた両腕で顔を隠して、いやいやと身悶える。だが、そんな抗議の声は耳を素通りしていくだけだ。俺の意識は、目の前すぐそこに差し出された鮮やかな肉色の秘所を見ることに全力集中していたからだ。
「……あれ?」
最初の数秒は中身の粘膜しか目に入らなかったから気がつくのが遅れたけれど、俺は遅ればせながら気がついた。
「シャーリー、きみ……毛は?」
そう――シャーリーの恥丘には陰毛がまったく生えていなかった。
……いや、違う。そこに手を滑らせてみると、ざらりとした手触りが返ってくる。生えていないのではなく、剃ったのだ。
一瞬、こっちの世界では剃毛する風習があるのか、と思ったのだが、そうではなかったようだ。
「あ、うぅ……や、やっぱ変だよな。そこの毛を剃るなんて……うぅ」
シャーリーは顔を隠している両手にますます力を入れて呻く。そのせいで気がついたけれど、左右どちらの腋も剃毛されていた。
「そういえば、剃刀も貰ってきたんだったか」
今日、村から運んできた品々の中には、剃刀も入っていた。有瓜が包丁と並んで切望していた刃物である。
「そうか、有瓜に剃られたんだな」
俺の呟きに、シャーリーは顔を隠したまま小さく頷く。
「こ、このほうが、あんたは喜ぶって、姐さんが言うから……」
「……うん、嫌いじゃない。むしろ、好きか嫌いかで言ったら断然好きだな!」
ボサボサよりはツルツルがいい。これはべつに変態なことじゃないはずだ。堂々と言っていいことのはずだ!
「そ、そうか。好きか……そっか、よかった……」
シャーリーの腕が緩んで、隙間から目元が覗く。俺と目が合ったシャーリーは小さく笑った。
「姐さんが言うから剃ったけど、子供みたいで笑われるんじゃねぇかって……」
安心していた様子のシャーリーだったが、そこで急に言葉を切ったかと思ったら、なぜか不安げな眼差しを俺にぶつけてきた。
「あんた、子供に興奮する病気ってやつだったりするのか……?」
「違うから!!」
全力で否定した。
「パイパンのほうが触り心地いいし、よく見えるし、清潔にしておきやすいし――そういう理由でボサボサよりもパイパンが好きなの!!」
力説してしまった。
「お、おう……」
シャーリーはドン引きしていた。その顔を見てようやく、俺は我に返った。
「あ……いや、べつにパイパンじゃなきゃ嫌だってわけじゃないからな」
「そ、そっか」
「う、うん」
「……」
「……」
気まずい沈黙だった。
お互いに全裸で、シャーリーはいわゆるまんぐり返しで……俺の人生でこの先、これ以上に気まずい沈黙が訪れることはないだろう。
この沈黙を続けるのは不味い。雰囲気が台無しになる。……まだ台無しにはなっていないはずだ。挽回できるはずだ!
「……ん!」
俺は首を俯けて、シャーリーの秘所に唇を押しつけた。
「きゃう!?」
シャーリーの短い悲鳴を無視して、俺は桃色の粘膜をべろりと舐め上げた。
「ひゃあ! お、おい! そんなとこ舐めんな馬鹿!」
「ん……大丈夫、汚くないから」
俺は顔を俯けたまま視線だけを上げて答えた。実際、彼女の秘所はちょっと拍子抜けするくらい綺麗にされていた。きっと有瓜が、ここも念入りに洗わせていたのだろう――正直、感謝しかない。
俺は童貞だけど、その手の知識や経験談はネットでそれなりに触れてきた。その中には、女性器の味はどういうものだとか、酸っぱいブルーチーズみたいだとか――そういう話を目にしていたから、いま実際に舐めたとき、嫌な顔をしてしまわないかが心配だった。そんな顔をしてシャーリーに泣かれたくなかった。
その心配が無駄に終わったのだから、有瓜には感謝するばかりだ。こういうとき、有瓜ほど頼りになる義妹もいるまい。
「ん……んっ……」
心の中で有瓜への感謝を唱えながら、俺は秘所内の形を確かめるように舌を使って、粘膜を味わう。
シャーリーの秘所粘膜は柔らかいのに弾力があって、ぷりぷりしている。よく、秘所のことを赤貝や鮑に例えることがあるけれど、あれは見た目のことだけでなく、舌触りも似ているからだったのか。
なお、花弁の裏側までよく洗ってあったためか、味らしい味はしなかった。
そんなふうに味わいながら秘所を舐める――というか、舌で粘膜を押したり捏ねたり掻いたりしているうちに、シャーリーの反応が変わってきていた。
「あっ……あ、ぁ……っ……」
両手は肘を立てながら投げ出されて、目の粗いシーツを掴んでいる。薄く開いた唇からはか細い喘ぎがちょろちょろ漏れ出していて、とろんとした両目は夢の世界を見ているように揺れている。
緩んでいるのは表情だけではない。俺がいま舐っている秘所の肉も、しっとりと水気を帯びてきていた。舌に感じるようになってきた塩味と酸味は、この水気に含まれているもののようだ。
……いやもう、はっきり言おう。愛液だ。膣の奥から染み出してきた、汗よりも甘酸っぱくてとろりとした愛液で濡れているのだ。シャーリーの秘所は、俺のクンニで濡れているのだ。俺が、濡れさせたのだ。
「――ッ」
俺が濡れさせた――その事実を思った瞬間、腰に電流が弾けた。びくっと背筋が反り返る。
「あ――ッ……!」
咄嗟に尻の穴を締めて堪えようとしたけれど、逆効果だった。それが止めになって、ギンギンに昂ぶっていた肉棒が激しく脈打った。
マヨネーズのチューブを踏みつけてしまったときの勢いで、俺は射精してしまった。
「あっ……あ……ぁ……」
……ものすごく気持よかった。まったく手を触れずに、愛液塗れの秘所から香る味と匂いだけで射精してしまった。
「ひゃう! 背中に、なにか……んんっ……!」
シャーリーがまんぐり返しの窮屈な体勢のまま、ぞわりと身をくねらせる。丸めている背中に射精がぶっかかったからだろう。
「あ……まだ出て……垂れてる……っ……」
溜まりに溜まっていた精子は一度の射精では出きらず、さらに二度、三度と肉棒を脈打たせるたびに、精子はどくどく迸ってシャーリーの背中にぶっかかる。いや、俺からは見えてないのだけど。
「はっ……、……」
肉棒をぱんぱんにさせていた白濁を全て吐き出した俺は、心地好い虚脱感の中で肩を大きく上下に揺らす。
「なあ、これ……射精したのか……?」
シャーリーがおずおず聞いてくる。
「ん……ああ、うん……」
改めて訊かれると恥ずかしさが込み上げてきて、俺は頬が火照るのを感じながら小さく頷く。それを見て、シャーリーの眉が困惑に寄せられる。
「っと……これで終わり……なのか?」
「ちっ、違う! 違うぞ!」
こんな暴発で終われるものか。挿入せずに終われるものか!
「シャーリー、いいよな!?」
俺は叩きつけるように言いながら、答えを待たずに、ずっと抱え上げていたシャーリーの尻をシーツに下ろす。両足は開かせたままだけど、使われたことのない秘所の割れ目はほとんど閉じたままだ。そこに両手の指を添えてそっと広げると、にちゃっと音をさせてピンクの肉が詰まった中身が顔を覗かせる。
「っ……!」
肉棒はその光景だけで、脈動が伝わってくるほど激しく再勃起していた。
「あぅ……あ、あんま、じろじろ見るなぁ……」
頼りない灯火ひとつしかない状況でも、俺がどこを凝視しているのかは分かるようだ。
でも、見るなと言われても目が吸い付いて離れないのだから仕方ない。
食べ頃に色付いた桃色の肉。ほのかな膨らみの内側にぎゅと詰め込まれた小さな花弁と、小刻みに疼く窄まり。たぶん、これが尿道口だ。その上には小粒の豆がちらちらと顔を覗かせている。そして、下のほうには尿道口の窄まりよりも大きくて深い穴が、きゅうきゅうと呼吸するように収縮を繰り返している。いま、その収縮が激しくなっているのは、俺の視線に悶えているからだろうか。
「……って、もう限界だ」
見ているだけで、腰が自然と吸い寄せられる。何かを求めるように収縮している肉穴に、熱々のガチガチに硬く膨れて脈打っている肉棒を押し込んで、この狂おしい熱を吸い取らせたい。
「シャーリー」
名前を呼ぶ。それ以上の言葉が出ない。
「……」
シャーリーからの返事はない。ただ、視線がわずかに頷いた。
それだけで事足りた。これ以上は要らなかった。
俺は背中を丸めて腰を引き、濡れた秘所に肉棒の先をぴたりと宛がう。
「……んっ」
シャーリーが小さく震える。その震えは触れている膣口から亀頭に伝わって、それだけで危うく先走り以上のものが迸りそうになる。
「くっ!」
また暴発するのは嫌だ――と思ったら、腰が勝手に突き出されていた。
「うぁ!」
「あっ!」
どっちがどっちの声だったのか、正直よく分からない。そんなことどっちでもいいと思えるくらい、気持よさで思考が埋め尽くされていたから。
「う、お、おぉ……」
どこかで牛が鳴いている……と思ったら、俺の口から出ている呻き声だった。
女の中に入るのは絶対に気持ちいいと確信していたけれど、間違いだった。気持ちいいなんて生易しいものじゃなかった。
馬鹿になる。
入れた瞬間、馬鹿になった。
「おっ、う、うぅ……! うおぉ……!」
快感が込み上げる。腰が独りでに動く。声が抑えられない。男の喘ぎなんて誰も得しないと分かっているのに――!
「あっ……っ、っ……!」
自分の声に甲高い声が混ざって聞こえると思ったら、シャーリーも俺と同じリズムで喘いでいた。
……って、それも当然か。彼女の膣に挿入して馬鹿になっているんだから、俺が気持ちいいときは彼女も気持ちいいので当然だ。
「うっ、っ……!」
「あ、あっ、ぁ……!」
俺の低い呻きと、彼女の高い喘ぎがスタッカートで合唱している。そこに、下の口から溢れる音が伴奏を添える。
ぷちゅ、ぷちゅ、とコップの水を混ぜるような攪拌音。その水音は腰を振る回数が増えていくにつれ、どんどん泡立ったものになっていく。実際、挿入してすぐは潤滑油のようだった愛液が、何十回と前後させた肉棒で攪拌したいまは乳液のようになっている。滑りをよくするためだけでなく、肉と肉とを吸い付け合わせるための液になっている。
腰を一回振って肉棒を根元まで膣に押し込むと、膣肉はぎゅっ、ぎゅっとうねって、愛液の染み込んだ肉棒に粘り着く。それを無理やり引っ剥がすように腰を引くと、カリに粘り着いた膣肉も一緒にずるりと捲られていく。少しでも長く俺を快感で呻かせようと、吸い付いてくる。
「あっ、ああぁ……ロイドぉ……あ、あたいっ……あ、あぁ!」
「ぁ……痛いのか?」
シャーリーが眉根を寄せているのに、今更気づいた。
本当に今更だけど、シャーリーは初めてだと言っていたのを今更思い出していた。挿入したときは快感で頭が馬鹿になっていたし、処女と非処女の挿入感の違いなんて分かるわけもなく――すっかり意識の外にやっていた。
丸めていた背中を起こして視線を結合部に向けると、その隙間から漏れる泡立った愛液は薄桃色に染まっていた。
「……ごめん! 俺、全然気がつけなくて――」
俺は意思の力を総動員して腰振りを止める。止めるのが精一杯で、抜くことができないのは許してほしい。
けれども、シャーリーはぶるっと首を横に振った。
「あっ、違うんだ。痛いんじゃなくて、気持よくて……へっ、変になりそうだったからで……」
言っているうちに、シャーリーの顔はみるみる紅潮していく。
「変に、って……!」
「うぁ……なっ、なに言わせんだよぉ! 馬鹿、変態……!」
シャーリーは両手で顔を隠してしまったけれど、頭隠して秘所隠さずだ。俺のものをぎっちり咥え込んでいる剃毛済みの結合部は丸見えだ。ちょこんと覗いた真珠のようなクリトリスが生唾ものに愛らしい。
「シャーリー……それ、分かって言ったんだよな?」
「……へ?」
俺の掠れ声に、シャーリーは顔に被せた両腕の隙間から不思議そうな目つきを向けてくる。
「痛くない、気持ちいい、気持よくて変になりそう――そんなこと言われて馬鹿にならない男はいないから!!」
俺は叩きつけるように言うのと同時に、ぐっと引き絞った腰を勢いよく叩きつけた。
「ふあっ!!」
シャーリーの絹を裂くような悲鳴。肉のぶつかる乾いた音に、粘膜の擦れる湿った音。三つの音が同時に弾けて、仰向けの肢体が激しく弾む。
狭い膣を深々と抉った肉棒からは、電流のような官能が走って、背骨を駆け抜け、脳天に突き刺さる。
「シャーリー……ああっ、シャーリー……! ああっ……!」
腰をひと振りするたび、彼女の名前が口を衝く。そして、名前を声にするたび、快感が頭蓋骨の内側で反響する。頭が溶ける。馬鹿になる。こんな気持ちいいこと、他にない。
「うっ、あっ、ぁ……! ロイドぉ……おっ、おぁ! そこっ……うっ、うぁ!」
腰を引いていくとき、カリ首が膣の浅いところを掻いていくのがいいらしい。そこを重点的に掻くように腰を使って……あっ、駄目だ。そんなこと考えている余裕ない!
「あっ、っ……シャーリー、もう……!」
「うあぁ! あぁ、ろいっ……ど、ぉ……おぁ! ああぁ!」
「シャーリー……ああっ、イく……う、ううぁ――ッ!!」
俺は吠えていた。吠えながら射精していた。熱い濁流が肉棒からどくどく迸る快感と解放感に、犬みたいに吠えていた。馬鹿なのに、犬みたいに。
「うっ、うぅ――ッ……うあぁ……」
人生で一番最高の射精だった。
肉棒がどくっ、どくっと脈打ちながら精子を吐き出すたびに、シャーリーの膣は最後の一滴まで搾り出そうとするかのように震えて、締めつけてくる。
「あ……あぁ……シャーリー……」
自分で少し恥ずかしくなるほど甘い声が出た。頬や目元もうっとりと緩んでいるのが自覚できるけれど、きりりと引き締められない。こんな顔をシャーリーに見られたら笑われるかな――。
そう思ったときやっと、俺はシャーリーの顔にちゃんと目の焦点を合わせられた。
シャーリーは泣いていた。
「えっ……あ、あぁ!? ごめん、俺、勝手に中出しって――あぁ!!」
場違いなほどすっきり爽快な思考で自分のしでかしたことを反芻すれば、血の気が引くどころではない。ゴムが無いのは仕方ないにしても、無許可で中出しは言い訳のしようがない背信行為だ。泣かれて当然だ。
でも、シャーリーが泣いた理由は、そうではなかった。まったく別の理由だった。
「わ、悪ぃ。泣くつもりはなかったんだけど、なんか、嬉しすぎて感極まっちまった……は、はは……」
汗と涙に濡れた、なんの衒いもない笑顔だ。その笑顔を目にした瞬間、初めての気持ちで胸がいっぱいになった。
「シャーリー……」
「うん」
ゆるりと頬笑むシャーリーに、俺は――
「あ――……」
……舌の先まで上った言葉を飲み込んだ。
シャーリーはゴブリンたちの嫁不足を解消するために連れてきた女性だ。俺が独占していい女性ではない。
仮に有瓜の威を借りてシャーリーを独占したとして、アンには一人だけで頑張ってもらうのか? 妹思いのシャーリーが自分だけ特別扱いされて平気でいられるか? ではアンも、ゴブリンたちから取り上げるか? そうして、他から別の女性を調達してくるのか? 他の女に嫁を頑張ってもらって、シャーリーたちだけを特別扱いするのか? シャーリーとアンはそれを良しとするのかか――仮に良しとしたなら、俺はそのとき、シャーリーたちをまだ愛せるのか?
……愛せるのか、だって?
「ふ――」
失笑してしまった。
俺はシャーリーのことを最初の出会いからずっと、打算でしか見ていないじゃないか。いまだって、数ヶ月分の煮えたぎった精子をぶちまけるだけぶちまけたところで、こうして無駄に内省している――突き放して考えている。
それは要するに、出すまでの愛だ。溜まっていただけだ。
……って、やることをやった途端にこんなことを考え出すのか、俺は。最低じゃないか。
「……ロイド?」
急に黙り込んだ俺のことを、シャーリーが心配そうに見上げている。
「いや、なんでもないよ」
俺は微笑み返した。
「そっか。怖い顔してたから、あたいの身体、良くなかったのかなぁとか……思っちまったぜ……あ、はは……」
シャーリーは冗談めかしたつもりのようだが、本気で不安がっているのが隠せていない。
――俺は最低野郎だ。でも、そんな最低野郎に傷つけられたのだと、彼女が自覚する必要はない。
「良くなかったなんて、そんなこと言うなよ。俺はくらくらするくらい最高だったのに、きみは良くなかったみたいに聞こえるじゃないか。それとも……本当に良くなかった?」
「ばっ、馬鹿! あ、あたいだって――その……最高に、よ、良かった、ぜ……うぅあ! 恥ずかしいな、くそ!」
シャーリーはまたしても両腕で目元を覆って、くねくねと身悶える。
「ははっ、可愛いよ。シャーリー」
「うぁ……そ、そういうこと言わなくていいっつの……」
「そう? 本当に? 本当に言わなくていいの?」
「……ば、馬鹿……おまえ、馬鹿……ばぁか……」
可愛い“ばか”を連呼する照れ屋さん。俺はその耳元に唇を寄せて、吐息混じりに囁く。
「照れ屋なきみは最高に可愛いよ」
「はぁ――ッ……♥」
今日一番の溜め息が俺の耳朶を擽った。
――歯の浮くような台詞をいきなりさらさら垂れ流せるようになった自分の口が、この上なく気持ち悪かった。
嘘吐きの言葉で身も世もなく喜んでいるシャーリーが可愛らしくて、かわいそうで――せめて最後まで騙しきろうと思った。
「……ロイド、ありがとう」
シャーリーが腕の隙間から、はにかんだ笑顔を見せてくれる。
「俺のほうこそ――初めてがきみで良かった。ありがとう」
微塵も葛藤することなく笑顔を返している自分のことが、得体の知れない他人に思えた。
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