29歳から始めるイケメンわんこの上手な飼い(飼われ?)方

Merle

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 大きくて柔らかなベッドは、軋む音を立てることもなく、俺たち二人の身体を受け止めた。

「凪さん……抵抗、しないんすね」

 天井を見上げているだろう衛士が、シーツに顔を伏せている俺の耳元でささやく。
 体勢としては衛士のほうが俺に組み敷かれている形なのに、主導権はもうずっと衛士のままだ。

「……してる、抵抗」

 少しだけ顔を背ける。

「口ばっかり」
「う、うっせ……ばか……」

 耳元で笑われると、吐息がくすぐったくて……ますます腰が抜けてしまう。

「凪さんはちょっと、ばかばか言い過ぎっす――」
「――あっ」

 衛士の両手が俺の肩にかかり、俺の顔を簡単に上げさせる。

「あ……」

 見下ろす視線の先に、俺を見上げる衛士の目がある。
 笑顔ではない。怒っているのでも呆れているのでもない。真剣な顔――とも少し違う、熱に浮かされたような濡れる眼差し。
 ああ……こいつ、欲情している。

「衛士、顔がエロいんだが」
「当然っす。いま、好きな人に押し倒されてるんっすから」
「気分的には俺が押し倒されてるんだけどな」

 少し違うけれど、売り言葉に買い言葉という調子で言い返したら、衛士はなぜか嬉しげに口角を緩ませた。

「好きな人っていうのは否定しないでくれるんすね」
「……おまえの気持ちだろ。俺が否定できる話じゃない」
「またそうやって、口先で取り繕おうとして……凪さんはもっと素直になっていいと思うっすよ」
「知ったような口を――」

 子供扱いする衛士に言い返そうとした声は、途中で不自然に途切れた。
 衛士の唇が、俺の唇を塞いだからだった。

「ん、んっ……!?」
「……っは……凪さんもこのくらい、気持ちを真っ直ぐ投げてきてくれていいんすよ」
「い、意味分かんねぇよ……」
「だから、そういうのいいんですって。何がしたいか、っすよ」
「どれだけ自分勝手だよ。おまえ、イケメンなら何しても許されるとでも――んぐッ!?」

 凪が俺の言葉を無視して、またしても俺の唇を奪った。
 両手で俺の頭を抱え込み、首を擡げて下からぐいぐいと――

「……んんぅ!? んっ、っ……んぁ……ふぁ♥」

 ……その、鼻から抜けるような媚びた声は、耳の外からではなく、内側から聞こえてきた。俺の出した声だった。
 衛士は俺の唇を奪っただけでなく、俺の唇を舌でこじ開けてきたのだ。
 頭を抱え込まれて逃げ場をなくした俺は、口内に無断で押し入ってきた衛士の舌が俺の舌を絡め取り、好き勝手に舐ってくるのを止められなかった。そして、抵抗らしい抵抗をすることもできずに、盛りの付いた猫のような媚び声を上げてしまったのだった。
 感覚的には一分以上、衛士のいいように口内を舐られていた気がする。

「んっ、は……想像通りでした。凪さん、舌も敏感で……エロエロっす」
「う、うぅ……ッ」

 ようやく衛士の唇と舌から解放されたけれど、うっせぇ、と一言返すこともできないほどに俺はぐったりさせられていた。
 だが、口内粘膜という鍛えようのない部位をさんざん責められたのだ。俺でなくとも、誰だって同じようにぐったり弛緩させられていたはずだ。俺が殊更エロいわけではない――はずだ。

「……っはぁ……凪さん、もう一回」
「はぁ? ――んっ!」

 何がもう一回なのか、と俺が聞き返すのを待たずに、衛士の唇が再び、俺の唇を塞ぐ。

「ん……ん、んぁ……ッ」

 また舌が入ってくる――そう思った俺は、唇を塞がれたのと同時にしっかりと唇を閉じた……はずなのに、衛士の舌に唇を舐められた途端に閉めていた口元が緩んで、ぬるりと這いずってくる舌を受け入れてしまっていた。

「っ、んぁ……っ、ん、ん……っふうぁ……」

 俺の後頭部を抱え込んでいる衛士の両手は、同時に二の腕で俺の耳を塞いでもいる。そのために、俺の耳は身体の内側から響いてくる音をより鮮明に聞き取ってしまう。

 にちゃり、くちゅり、と粘膜が絡み合う粘ついた水音。
 口を塞がれている分、鼻から抜けていく上擦った呼気。
 唇が閉じきっていないせいで自然と溜まってくる唾液を呑み込むたびに、ごくりと鳴る喉。
 そして――俺の身体とひとつになったみたいに聞こえてくる、衛士の吐息と、鼓動のリズム。

「ん……ん、んぁ……っふ、あぁ……」
「なぎ……んんっ、っ、ぁ……♥」

 いつの間にか、俺たちは唇と舌とだけでなく、身体でも重なり合っていた。
 ただ折り重なっていただけの身体は、どちらからともなく胸板を擦りつけ合い、太ももを絡ませ合うようになっている。お互いの両手は、お互いの髪を梳くように撫で合っている。

 衣服が邪魔だ――素直にそう感じた。
 俺が両手を衛士の顔の両脇について上体を起こそうとすると、衛士は名残惜しそうに舌を差し出しながらも、俺の動きに従う。俺がどうして身体を離したのかが分かっているのだ。

「……」

 だから、おまえも脱げよ、という言葉は要らなかった。
 ただ無言で、俺は服を脱ぐ。シャツもズボンも一息に脱ぎ捨てる。でも、下着に手を掛けたところで羞恥心が頭を擡げた。

 ――俺、いまさらがっつきすぎじゃないか? つい数分前まで、初デートでラブホはないだろ、と言って帰ろうとしていた奴が、ちょっとキスされたくらいで自分から脱ぎだすって、エロエロ言われても否定できなくないか? それこそ、初デートのくせに節操がなさ過ぎじゃないか?

「う……ッ」

 一度意識してしまうと、急速に熱が冷めていく。
 いますぐ服を着直せば、まだぎりぎり冗談にできるんじゃないか? というか、いまを逃したら、後はもう流されるしかなくなってしまうだろう……それでいいのか? 少なくとも、の関係でいるうちにするのは良くないんじゃないか? うん、良くない。衛士がどう言おうと、こういうことは節度を大事にするべきだ――

「――凪さん。最後の一枚、俺に脱がせさせてくれるんすね」
「うわっ!?」

 ベッドに背を向けて自分の思考に集中していた俺は、背後から伸びてきた衛士の両手が下着の両脇にかかるのを防げなかった。

「衛士、ちょっと待て――」

 もちろん、間に合わなかった。
 制止の言葉を投げる暇もあらば、俺の下着は太ももの半ばまでずり下ろされた。

「わっ、とっ……!」

 体勢を崩しかけた俺の腰に、衛士が後ろから抱きついてくる。

「あれ? 凪さん、勃ってない……」

 腰の横から俺の股間を覗き込んできた衛士が、意外そうな声を漏らす。
 その言葉通り、俺の肉棒はになっていなかった。

「……あっ、脱いでいるうちに少し冷静になっちゃったんすね」
「うっ……」

 これ以上なく正確に図星を突かれて、俺は鼻白む。その動揺が、衛士が取った次の行動に対しての反応を遅らせた。

「なら、すぐにまた興奮させてあげるっす♥」

 その言葉の意味を問うより早く、衛士は俺の腰を抱えて後ろに引き寄せた。

「どわっ!?」

 俺は尻餅をつくようにして、ベッドの縁に座らされる。そして、俺の腰を抱えたままだった衛士は、脇腹から覗き込むようにして身を乗り出し――俺の股間の柔らかなものに舌を伸ばすと、むちゅりじゅるるっと器用な舌使いでを掬い取り、口に含んでしまった。

「はんんっ!? んっ……お、おまっ……んっ!」
「ん……ふふっ♥ ……ん、ん、ちゅ……ん♥」

 衛士の口内へと啜り取られたちんぽ、いやまだ小さく縮こまっていて、と呼ぶほうがお似合いなものが、ねっとり絡みついてくる舌に舐め転がされている。
 文字通りの人肌に温まっている口内で、舌と唾液がちんこを上下左右に揉みしだく。股間のそこだけ温めの風呂に入っているような……いや、風呂の残り湯を入れた洗濯機にかけられているような――

「んっ、んんっ、はっ……あっ、ふぁ……、……またおっきくなったっすね……♥」
「あ……」

 衛士が体積を増したちんぽから口を離して、横目に俺を見上げてくる。その顔に浮かぶ蠱惑的な微笑に、ちんぽがドクッと脈打って、先っぽの割れ目から透明な蜜をとろとろと溢れさせる。
 そんなことより、いいから早くもう一度咥えてくれ。もっとしゃぶってくれ――声に出しては言えないその欲求は、彼を見下ろす瞳の色に出るよりもはっきりと、涎を垂らして脈打つちんぽに顕れてしまっていた。

「あはっ♥ 凪さんのちんぽは、凪さんよりもずぅっと素直っすね」

 衛士は俺の腹側に顔を向けて膝枕される体勢で、唾液に湿った肉棒を顔のすぐそこに置いたまま、俺を見上げてにやにや笑う。

「……馬鹿、そういうこと言うな」
「それ、喋る暇があったらしゃぶれよ、って意味っすか?」
「ばっ……」
「違うんなら、しゃぶらないっすよ」
「っ……ち、違く……ない……」
「はい、よく言えました……っはむ♥」

 悪戯っぽく笑った衛士の唇がゆっくり開かれ、勃起した肉棒の竿を横から食んだ。

「っ……!」

 手で竿を扱かれたり、口内で亀頭に舌を絡められるよりも淡い刺激だったけれど、煽られて疼いていた肉棒をビクンッと脈打たせるには十分過ぎる刺激だった。

「んぁ……ははっ♥ 凪さんのちんぽ、ひくひく跳ねてるっすよ。元気っすねぇ」
「い、いちいち言わなくていい……!」
っす♥」
「なんで!?」
「だって、言ってあげると凪さんちんぽ、嬉しそうにヒクヒクするんすもん。これはもう、実況してあげないと悪いじゃないっすか」
「なんだそれ、どんな理由だ。っつか、嬉しそうにヒクヒクなんて……っ、うっ……」

 ……言っている途中で気づいてしまった。
 衛士の明け透けな言葉と、からかいの視線を向けられただけで肉棒の付け根に力が入って、竿がびくっと小さく跳ね、先端の割れ目からさらなる汁が滴ったことに、気づいてしまった。

「うっ……っ……!」

 自分で自分が恥ずかしくなる。なのに、衛士の唾液で艶めくほど濡れている勃起は収まりそうにない。まるで、頭とちんぽが別の生き物になってしまったかのようだ。
 俺は衛士から――というより自分から逃げたくて、身体を丸めようとした。

「わ、わっ……凪さん、ちょっと……!」

 膝枕されている体勢だった衛士が不満げな声を上げるけれど、気にせず足を持ち上げる。まだ膝の上くらいまで脱ぎかけていただけだった下着が邪魔だったから、脱ぎ捨てた。
 そうしてベッドの上で膝を抱えたまま横向きに寝そべった俺だったが、そんなことで衛士からも、衛士がくれる快感を欲している自分自身ちんぽからも逃れられるわけがなかった。

「凪さん……なんすか、その体勢。胎児のポーズ? というか、すっごくエロいんすけど……!」
「え――あっ……うわぁ!?」

 俺は両足を折りたたんで顔を右向きにして丸まっていたのだが、上にしていた右足をいきなり大きく持ち上げられた。
 驚いて顔を上げると、まあ当然だけど、衛士が俺の右足を抱え込んでいた。

「な、な――なっ、この格好はちょっと……お、おい!? 足、放せ!」
「あっ、これアレっす。松葉崩し! あははっ♥」
「わ、笑うな! っつか、放せ……放せよ、おい馬鹿!」
「ヤっすよ♥ っていうか……続き、しちゃうっす」
「え、続き……ああぁ!?」

 思わず聞き返したのと、俺の大きく開かされた股座に衛士が顔を突っ込んできたのとは、ほとんど同時だった。

「おまえ、犬かっ……うぁッ♥」

 熱くて粘っこい衛士の口に肉棒を吸われた瞬間、甲高い声が出てしまった。

「ん、ん、んむぅ♥」
「あっ、っ……衛士、この格好でフェラされるの、恥ずかしさが、やばっ……んんっ……!」

 寝そべっている体勢で股間にむしゃぶりつかれるのは、座っている体勢でされるよりも数倍恥ずかしい。その理由は、臍に向かって勃起した男根を無理やり下方に引っ張られながら咥えられているからだったりするのだろうか?
 理由はともかく、俺は現に感じている恥ずかしさを訴えるのだけど、衛士は取り合ってくれない。いやむしろ、いっそうの熱心さでもって俺の男根を口内で舐め扱き、亀頭の先から染み出る先走り汁を唾液ごとじゅるじゅると啜る。

「んぅ……っは、んむ、む……むふっ♥」
「ぅ……くっ、ぁ……!」

 衛士が立てる水を掻き混ぜるような音に耳を嬲られながら、俺はそれでも衛士を振り払えない。恥ずかしいと思っているのに、快感で震える足がうっかり衛士を蹴ってしまわないように気を遣っているような始末だ。

「っ、うぁ……衛士っ、っ……」
「ん、っふ、ん、んふっ、ん♥」
「あっ、ま、待てっ……ッ! い、イき、そっ……くうぅッ!」

 食い縛っている歯の隙間から押し出した訴えに、衛士の目がきらりと光るのを見た。
 その瞬間、ヤバい、と感じて、慌てて言い募る。

「違う! イかせてくれって意味じゃなく、俺一人でイくの嫌だって意味!」
「……」

 衛士が目をぱちくりと瞬かせて、口淫を止める。そして、カリ首の裏側まで唾液でべっちょりと濡らされた肉棒を口から離すと、

「凪さん、つまりこういうことっすね」
「うおっ……!?」

 衛士は、俺の足下のほうから股間に顔を埋めていた体勢をぐるっと百八十度横回転させて、俺の眼前に股間を突き出してきた。
 いわゆるシックスナインの体勢だった。

「一緒にイきたいって……こういうこと、っすよね……?」

 そう言った衛士の顔は見えない。俺に見えているのは、衛士の股間と、そこに屹立している勃起した肉棒だけだ。

「お……あ、いや……ええと、こういうこと……なのか……?」

 正直、頭が回っていない。眼前で、というか鼻先でひくひく脈打つほどに興奮している衛士の勃起で意識が占められている。
 これがこんなに興奮しているのって、俺のを咥えていたからなのか? いや、俺の咥えながら自分のも扱いていたのかも……いやいや、そうだったとしても、それは俺のをオカズに自慰していたというようなことで、つまり俺のを咥えて勃起させていようが、俺のを咥えながら自慰して勃起したのであろうと、つまりは根本的に同根だということだ。男根だけに。

「って、最後の余計……んんっ!」

 無軌道な思考は、じゅぽっと濁った空気音をさせて亀頭を吸い立てられたことで途切れさせられた。

「ん、んっは……凪さん、余計って?」

 掃除機で吸い上げるようなフェラをした衛士は、息を弾ませながら聞いてくる。

「ああ、なんでもない。すっげぇ、どうでもいいこと」
「そうっすか……なら、そろそろ凪さんも……」

 衛士はその先の言葉を濁したけれど、言いたいことは視覚からはっきり伝わってきた。
 俺の鼻先で衛士の肉棒が、ぐんっと縦揺れする。俺から見て下向きになっている勃起の裏側で俺の鼻をぺしっと叩いて、早く持てなせ、と催促していた。

「凪さん……んっ」
「んぅ……!」

 焦れた声を漏らした衛士が、腰を揺らす。硬くて熱い衛士のちんぽが、俺の鼻先にぐにっと擦りつけられる。
 反射的に息を呑んだとき、ついでに鼻でも息を吸い込んでしまった。

 ――むわっ

「あ……ッ」

 鼻の奥が焼けるかと思った。
 よく、イカ臭い、という言うけれど、炙ったスルメイカの匂いだった。嫌いな匂いではなかった。でも、反射的に唾液が溢れてくるのは自分でもどうかと思った。

「凪さん……」

 何度目かの、催促の声。
 その声と匂いが、俺の意識を素通りして、俺の身体を動かす。

「はっ……ぁ……ん」

 衛士の男根に、俺の伸ばした舌が触れる。
 舌に伝わってくる熱さと脈拍、そして匂いから想像できたとおりの味。それらが脳の中で渾然一体となって、ひとつの回答を提示した。
 あ、これ俺も持ってるやつだ――と。
 だから、どこをどうしたらは気持よくなるのかを考えるまでもなく、舌が動いた。

「っは……んぅ、ぅ……っは……」
「……あっ! 凪さん……んぁ……♥」

 衛士の嬉しげに震える声を足下のほうから聞きながら、俺は湿った吐息と舌とで衛士の肉棒を撫でる。
 竿の裏側に浮き出ている太い管のコリコリした舌触りを味わい、竿と亀頭の付け根の繋ぎ目になっている裏筋の凹凸おうとつを舌先で確かめる。

「ひっ、っ……あぁ……あむっ、んぅ……♥」
「う、く……ッ」

 衛士が俺のを咥える。
 俺がいましているのと同じように、いや俺よりも細かくて執拗な舌使いで裏筋を刮げてくる。それは、俺にもそうしてくれ、と催促されているようで、俺は意思に先立って動く衝動のままに衛士の舌使いを真似た。

「んっ……ん……」

 ちゅ、ちゅぱ、ちゅぷ……とリップ音の混ざった水音が俺の口元から奏でられる。
 そして、そこに重なってくる、衛士のくぐもった歌声。

「ふあぁ、あ……っふうぅ、うっ♥」

 衛士のものを舐って啄めば、衛士は俺のものを咥えたまま喘ぐ。そのときに震える舌や開け閉めされる唇が、俺にも喘ぎを強要してくる。

「っ……むっ、むぅ……ッ」
「ふっ、うぅ……んぅ……♥」

 互いの股間に吸い付き、互いの刺激で喘ぎ、喘がせ合う俺たち。
 どうしてこうなったのかとか、余計な思考はもう消えている。あるのはただ、咥えているちんぽと、咥えられているちんぽのことだけだ。ちんぽの匂いと味と温度と形と弾力と柔らかさと脈打つリズムと滴る先走りの塩味だけだ。

「はむっ……ん、ん、ちゅ……♥ ん、んんっ……♥」

 衛士が俺のちんぽを深く咥えて、わざとらしいほど大きなリップ音をさせて亀頭を吸い立てている……と思ったら、俺も同じことをしていた。

「んっ、んむっ、っ、んぅむ……っんぅ♥」

 二人で音の大きさやエロさを競うように音を立てて、ちんぽを啜る。
 逆さ向きで咥えているちんぽの裏筋やカリを上顎のつるりとした粘膜で擦りながら、亀頭の表側に舌をずいずい宛がい、唇をきつく窄めて、ぶっ、ぶぶっ、と濁った空気音をたっぷりとさせて吸い上げる。口内にものが入ったままのせいで溢れ続ける唾液を、ずずずっと蕎麦を食べるときの音をさせて何度も啜る。
 唾液を啜るたびに溶け込んだちんぽの風味を味わえたのも最初のうちだけで、いまはどれだけ執拗にカリを舐め擦っても、首ごと前後に揺すって竿に染みている汗まで啜り取るように吸いたくっても、ほとんど味がしなくなっている。
 味のなくなったガムをいつまでも噛んでいるかのようで少しだけ空しくなるが……

「ふぅうっ、ううぅ……♥」

 衛士が唇とちんぽの隙間から切ない吐息を漏らすのに合わせて、俺の口内で衛士のちんぽも少し身悶え、先端からじゅわりと塩味の付いた粘液を分泌させる。
 ちんぽが無味無臭になった分、舌はその塩味は鮮明に感じ取る。いまこうして汗を掻く行為をしていることも、塩分摂取を心地好いと感じる一因になっているのだろうか。
 唾液ですぐに薄まるけれど、とろみがあって、少し潮臭いこの味わいにどこか覚えがあるな、と記憶を手繰ったら……ああ、シーフードラーメンの味だこれ。
 ――そんなどうでもいいことを考えていたら、少し緩やかになっていた衛士の口淫が油断を突くようにして急加速した。

「んっ、ん、んんっんんっ!」

 ぐぽっ、じゅぼっ、んぼっぼっ、っ……!
 濁った音を撒き散らして、激しくちんぽを扱かれ、啜られる。
 竿の半ばからカリに当たるまでの距離を唇が何往復もする。一定のペースと刺激を保ったままピッチを上げられると、間断なく流し込まれてくる快感に劣情は否応なく膨らまされていく。ちんぽの付け根に尿意のようなものが込み上げてきて、それを堪えようと筋肉を緊張させれば、勃起ちんぽはぐんっと膨らみ、勃起の角度を上げていく。
 それは俺のちんぽを口に含んでいる衛士にも当然伝わっていて、衛士の口淫はいよいよラストスパートに入る。

「んっ、っ、っ、んんっ、うぅ……ッ!!」

 俺の股間から聞こえてくる激しい息遣いと、ぐぽぐぽと排水口のような音のするフェラ。
 でも俺だって、負けていない。激しく責められる分だけ、衛士のちんぽにもお返しのフェラでやり返す。

「うぅ、んっ、んっ、んうぅ……んむっ、むぅ!」

 頬を窄めて激しく吸い立てようとすると、歯が当たってしまいそうになる。それを防ぐために、自然と鼻の下が伸びて、唇を目一杯に突き出したになる。
 じゅっぽじゅっぽ……と、とにかく激しくすることだけを考えて、自分の股間から込み上げてくる射精欲に際どく堪えながら、衛士のちんぽにも同じような首振りと吸い付き、舌使いで嬲り返す。

「んっ、んううぁ、ふあっ……にゃぎしゃ、ぁ、あっ、っ、っくうぅふ! んんうぅッ♥」
「えぃひ……っ、んむうぅ、うっ……! っ、んうぅ! むうぅッ!!」

 衛士と俺、二人の喘ぎが重なり、混ざり合う。どちらがどちらの声なのか分からない。
 衛士に咥えられている俺のちんぽも、俺が咥えている衛士のちんぽも、どちらもいま同じくらい張り詰めて、はち切れそうになっている。

 あ……イく、もうイく。どっちのちんぽが? どっちもだ。
 俺の口の中でぱんぱんに膨らむちんぽも、衛士の口の中でぱんぱんに膨らむちんぽも――

「――んぐぅ! んっ! むぅっ、んむううぅッ!!」
「んぅんううぅ――ッ♥♥」

 俺の唇をこじ開けるように膨れたちんぽがドクッと大きく脈打ったとき、俺のちんぽも衛士の口内で膨らみ、貼り付いていた舌を押し退けて、ドクドクと射精した。

「おっ……んんっ、んうぅ……」

 温かな口の中でちんぽを思うままに脈打たせて射精する快感。それと同時に、自分の口の中で震えるちんぽが吐き出す熱くて青臭い塊が口いっぱいに広がっていくという、初めての感覚。
 けして美味しいものではないのだから、不快に感じて眉根が寄るのは理解できる。でも不思議と、吐き出すつもりにはならない。舌や喉に絡みついてくるその塊を、喉をごくんごくんと大きく蠢かすことで、少しずつゆっくりと飲み干していく。

「っ……ん、んっ……っは……ぁ……」

 鼻から抜けていく青臭い風味に、眉間の皺がますます寄るのに、なぜだか唇を締めて肉竿をちゅうちゅうと啜り、舌や歯茎にこびり付いている分も唾液に溶かして嚥下していく。

「ん、んぅ……っふあ……♥」

 そちらを見ることはできないけれど、俺のものを包んでいる温かくてぬるりとしている衛士の口腔も、きゅうきゅうと窄まったり、柔らかくて滑らかな肉で肉棒を舐ってきたりして、俺の射精した白濁を最後の一滴まで啜り取って、飲み干していく。

 温かな口腔に射精しながら、口の中いっぱいに広がる精液を嚥下する。口に射精しながら、口に射精される。
 まるで、自分で自分に射精しているようで――自分と相手がひとつに混ざり合ったかのような、どこか夢の中を揺蕩っているような陶酔が俺たちを浸していた。

「はぁ……はっ……」
「ふあぁ……凪さぁん……♥」

 衛士が荒い息遣いをしている……と思ったら、それは俺の息遣いでもあった。
 俺たちは互いのちんぽをにして、精液臭い呼吸を重ね続けた。
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