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限定奴隷の愛撫チャレンジ。あるいは、奴隷で始まる愛物語 4/5
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「……うん、よし。しばらくは訓練と割り切って、失敗を気にせず色々やっていこう」
スリュージはがっくりと崩れ落ちて項垂れているマフィンに、努めて明るい声をかける。けれど、それくらいでは元気が戻ってこないほどマフィンは落ち込んでいた。
「すまない……本当にすまない……自分の身体がこんなにも敏感だったとは、自分でも知らなかったんだ……」
「まあ、常に全身鎧だったら、オークやゴブリンにしがみつかれても、裸にひん剥かれることはないだろうけど……いや、それにしたって無自覚すぎじゃないか? 鎧の隙間から入ってくる触手系や粘液系の魔物だっているだろ」
心底落ち込んでいる様子のマフィンに嫌味を言う気にはなれなかったけれど、彼女はいくらなんでも自分の身体について自覚がなさ過ぎた。スリュージは純粋に、彼女が今日までどんなふうにこのゲームを過ごしてきたのかに興味が湧いていた。
「あいつらは魔術がないと戦いづらいから、狩りの対象外だ」
「なら、普通に他の男と寝たりしたことはないのか? あんた、最初は結構ノリノリだったし、遊び慣れているものだと思っていたんだがな」
「……ナンパされたことは何度かある」
「ほぅ」
俯いたままの恥ずかしげな告白に、スリュージは驚きが半分、納得も半分といった相槌を返す。
この世界で過ごしているなら、ナンパするのもされるのも当たり前だ。だからそこは納得なのだけど、異性経験があるのなら自分の身体が洒落にならない敏感ボディだと自覚できていて当然だ。なのに、そうでないから驚いたのだった。
「――あ、そうか。ナンパされたことはあるけれど、ついていったことはない。それか、ちょっと食事したくらいで済ませていた、か」
「いや、毎回ちゃんと最後まで済ませることは済ませていたぞ」
「だったらどうして自覚ないんだ!?」
「いやぁ……じつは毎回、セックスが始まるとすぐに強制終了していたんだ。てっきり、始める前にお酒を飲み過ぎていたり、相手が高レベルの性技スキル持ちだったのが原因なのだろうなと思っていたのだが……もしかしたら、私の身体に原因があったのかもしれないな」
「いやもう、もしかしたらとかじゃないよな。そこにしか原因なかっただろうな」
「……とにかく、セックスはすぐに気絶してしまって面白くないので、あまりやらなくなったのだ。それもあって、自分の感度について正しい認識を得られないままになっていたのだろうな」
マフィンは真面目くさった顔で自己分析を語る。
なお、この場合の気絶と、状態異常としての気絶は別物になる。状態異常の気絶になったからといって、ゲームが強制終了されることはない。
「今更正しい分析をされても……あ、いや、ひとつ気になるな」
「何がだ?」
「いまの話だと、これまでは絶頂したら気絶してシャットダウンされていたようだが、いまのところ絶頂してもシャットダウンされていないよな。どうしてだ?」
「それは、胸だけでイカされたからだろうな。いきなり強火で消し炭にされたわけではなく、弱火でじっくり炙られる形での絶頂だったからだろう」
「うん……なるほど。閾値を超えない範囲での刺激を蓄積させての絶頂だったから、強制遮断の要件に引っかからなかったというわけか」
うんうんと頷いているスリュージに、マフィンは溜め息混じりの苦笑を零す。
「とはいえ、一気にイこうがじわじわイこうが、絶頂は絶頂だ。十分どころか三分も堪えられないのでは、話しにもならない……はは、どうしよっかな……」
少し元気が戻ってきていたよう見えていたマフィンの顔が、また一気に曇ってしまった。
「ああ、もういちいち落ち込むな。そんな暇があったら色々やるだけやってみるべきだ」
「色々と言われても、どうしたらいいのか……」
「そうだな……まずはどこまでが愛撫の範疇になるのかを探ってみよう」
スリュージの提案により、二人は十分間の耐久愛撫を再開する。だけど今回のは、条件達成が目的ではない。スリュージが色んな触り方をして、どこまでが愛撫として判定されるのかを確認するのが目的だった。
もし、マフィンに触れる、というのだけが愛撫の定義なら、髪に触れていればいいことになる。いくらマフィンでも、そんなところを触られているだけで絶頂することはないだろう。
だが残念なことに、この確認作業で分かったことは、髪に触れるのでは愛撫判定されないし、肌にただ触れているだけでも不可ということだった。
そうした検証の結果で判明したのは、きちんと肌を撫でなければ愛撫とは判定されない、というある意味で当然の事実と……マフィンは髪を撫でられているだけでも下着を湿らせるくらいには感じてしまう、という驚きの事実だった。
前者のはまあ予想通りだったけれど、後者のはさすがに予想を超えていて、二人は真顔で見つめ合ってしまうのだった。
「あんた……本当、よく普通に過ごしてこられたな」
「私もいま少し、慄いているよ……」
「まあ、とにかく……狡はできないというのが判明した分だけ、一歩前進だ」
「お先真っ暗の道程だな、ははっ」
「いやいや、そうでもないさ」
スリュージはマフィンの弱気を吹き払うように笑う。
「この検証方法をもっと推し進めて、ぎりぎり愛撫と認められるラインを探っていくんだ。触る場所、強弱、間隔……確かめるべきことはまだ沢山ある。そして、それらをひとつひとつ突き詰めていけばきっと、あんたでも十分間堪えられる愛撫の方法が見つかるはず――いや、見つかる!」
断言したスリュージに、マフィンは息を呑んだものの、すぐにその顔を拗ねたものへと変えていく。
「慰めようとしてくれているのは分かる。だが、根拠のない慰めは――」
「根拠ならあるぞ」
「えっ」
「あんた、いまの検証も含めて何回イった?」
「え……四回、五回……七回くらい、かな?」
「七回もイったということは、七回も諦めなかったということだ。それだけじゃなく、短時間のうちに七回続けてイけるほどの体力もあるということだ――つまり、あんたは根性と体力がある。それは必ず突破口になる。それが根拠だ!」
スリュージは力強く言い切った。
呆気に取られた顔で聞いていたマフィンは、すぐに堪らなくなって笑い出す。
「は……ははっ、あはは! それが根拠? ただの希望的観測じゃない。しかも根性と体力って、AIが言うこと? あははっ!」
「AIだから言うんだ。俺たちにはいまいちぴんと来ない、定量化しがたい要素こそ、あんたたちの強みだろ。そいつを活かせば、しょせんは設定された定量値でしかないアバターの感度に対処するくらいのことは朝飯前だろ」
「AIが精神論を説く時代って凄いよね、あはっ……朝飯前は無理だろうけど、夕飯までにはなんとかできそうな気がしてきたよ」
マフィンはくすくす笑っていた。
実際問題、具体的な目処は何も立っていないようなものなのだけど、それでもどうやらマフィンを凍えさせていた臆病風は吹き払われたようだった。
スリュージはがっくりと崩れ落ちて項垂れているマフィンに、努めて明るい声をかける。けれど、それくらいでは元気が戻ってこないほどマフィンは落ち込んでいた。
「すまない……本当にすまない……自分の身体がこんなにも敏感だったとは、自分でも知らなかったんだ……」
「まあ、常に全身鎧だったら、オークやゴブリンにしがみつかれても、裸にひん剥かれることはないだろうけど……いや、それにしたって無自覚すぎじゃないか? 鎧の隙間から入ってくる触手系や粘液系の魔物だっているだろ」
心底落ち込んでいる様子のマフィンに嫌味を言う気にはなれなかったけれど、彼女はいくらなんでも自分の身体について自覚がなさ過ぎた。スリュージは純粋に、彼女が今日までどんなふうにこのゲームを過ごしてきたのかに興味が湧いていた。
「あいつらは魔術がないと戦いづらいから、狩りの対象外だ」
「なら、普通に他の男と寝たりしたことはないのか? あんた、最初は結構ノリノリだったし、遊び慣れているものだと思っていたんだがな」
「……ナンパされたことは何度かある」
「ほぅ」
俯いたままの恥ずかしげな告白に、スリュージは驚きが半分、納得も半分といった相槌を返す。
この世界で過ごしているなら、ナンパするのもされるのも当たり前だ。だからそこは納得なのだけど、異性経験があるのなら自分の身体が洒落にならない敏感ボディだと自覚できていて当然だ。なのに、そうでないから驚いたのだった。
「――あ、そうか。ナンパされたことはあるけれど、ついていったことはない。それか、ちょっと食事したくらいで済ませていた、か」
「いや、毎回ちゃんと最後まで済ませることは済ませていたぞ」
「だったらどうして自覚ないんだ!?」
「いやぁ……じつは毎回、セックスが始まるとすぐに強制終了していたんだ。てっきり、始める前にお酒を飲み過ぎていたり、相手が高レベルの性技スキル持ちだったのが原因なのだろうなと思っていたのだが……もしかしたら、私の身体に原因があったのかもしれないな」
「いやもう、もしかしたらとかじゃないよな。そこにしか原因なかっただろうな」
「……とにかく、セックスはすぐに気絶してしまって面白くないので、あまりやらなくなったのだ。それもあって、自分の感度について正しい認識を得られないままになっていたのだろうな」
マフィンは真面目くさった顔で自己分析を語る。
なお、この場合の気絶と、状態異常としての気絶は別物になる。状態異常の気絶になったからといって、ゲームが強制終了されることはない。
「今更正しい分析をされても……あ、いや、ひとつ気になるな」
「何がだ?」
「いまの話だと、これまでは絶頂したら気絶してシャットダウンされていたようだが、いまのところ絶頂してもシャットダウンされていないよな。どうしてだ?」
「それは、胸だけでイカされたからだろうな。いきなり強火で消し炭にされたわけではなく、弱火でじっくり炙られる形での絶頂だったからだろう」
「うん……なるほど。閾値を超えない範囲での刺激を蓄積させての絶頂だったから、強制遮断の要件に引っかからなかったというわけか」
うんうんと頷いているスリュージに、マフィンは溜め息混じりの苦笑を零す。
「とはいえ、一気にイこうがじわじわイこうが、絶頂は絶頂だ。十分どころか三分も堪えられないのでは、話しにもならない……はは、どうしよっかな……」
少し元気が戻ってきていたよう見えていたマフィンの顔が、また一気に曇ってしまった。
「ああ、もういちいち落ち込むな。そんな暇があったら色々やるだけやってみるべきだ」
「色々と言われても、どうしたらいいのか……」
「そうだな……まずはどこまでが愛撫の範疇になるのかを探ってみよう」
スリュージの提案により、二人は十分間の耐久愛撫を再開する。だけど今回のは、条件達成が目的ではない。スリュージが色んな触り方をして、どこまでが愛撫として判定されるのかを確認するのが目的だった。
もし、マフィンに触れる、というのだけが愛撫の定義なら、髪に触れていればいいことになる。いくらマフィンでも、そんなところを触られているだけで絶頂することはないだろう。
だが残念なことに、この確認作業で分かったことは、髪に触れるのでは愛撫判定されないし、肌にただ触れているだけでも不可ということだった。
そうした検証の結果で判明したのは、きちんと肌を撫でなければ愛撫とは判定されない、というある意味で当然の事実と……マフィンは髪を撫でられているだけでも下着を湿らせるくらいには感じてしまう、という驚きの事実だった。
前者のはまあ予想通りだったけれど、後者のはさすがに予想を超えていて、二人は真顔で見つめ合ってしまうのだった。
「あんた……本当、よく普通に過ごしてこられたな」
「私もいま少し、慄いているよ……」
「まあ、とにかく……狡はできないというのが判明した分だけ、一歩前進だ」
「お先真っ暗の道程だな、ははっ」
「いやいや、そうでもないさ」
スリュージはマフィンの弱気を吹き払うように笑う。
「この検証方法をもっと推し進めて、ぎりぎり愛撫と認められるラインを探っていくんだ。触る場所、強弱、間隔……確かめるべきことはまだ沢山ある。そして、それらをひとつひとつ突き詰めていけばきっと、あんたでも十分間堪えられる愛撫の方法が見つかるはず――いや、見つかる!」
断言したスリュージに、マフィンは息を呑んだものの、すぐにその顔を拗ねたものへと変えていく。
「慰めようとしてくれているのは分かる。だが、根拠のない慰めは――」
「根拠ならあるぞ」
「えっ」
「あんた、いまの検証も含めて何回イった?」
「え……四回、五回……七回くらい、かな?」
「七回もイったということは、七回も諦めなかったということだ。それだけじゃなく、短時間のうちに七回続けてイけるほどの体力もあるということだ――つまり、あんたは根性と体力がある。それは必ず突破口になる。それが根拠だ!」
スリュージは力強く言い切った。
呆気に取られた顔で聞いていたマフィンは、すぐに堪らなくなって笑い出す。
「は……ははっ、あはは! それが根拠? ただの希望的観測じゃない。しかも根性と体力って、AIが言うこと? あははっ!」
「AIだから言うんだ。俺たちにはいまいちぴんと来ない、定量化しがたい要素こそ、あんたたちの強みだろ。そいつを活かせば、しょせんは設定された定量値でしかないアバターの感度に対処するくらいのことは朝飯前だろ」
「AIが精神論を説く時代って凄いよね、あはっ……朝飯前は無理だろうけど、夕飯までにはなんとかできそうな気がしてきたよ」
マフィンはくすくす笑っていた。
実際問題、具体的な目処は何も立っていないようなものなのだけど、それでもどうやらマフィンを凍えさせていた臆病風は吹き払われたようだった。
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