夜空に見える半分の月は

あきかん

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見られたくない醜態も知られてしまう事はある

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 腐れ縁としか言えない亮との関係はあの日を境に変わってしまうのだろう。
 あたり前だ。あんな事があったのだ。まともに付き合えるはずがない。
 亮は責任は取るとか言っていたが、責任って何だよ。忘れよう。どうしようも無かったのだ。
 床を這う。あの人がやってくる。真白さんがやって来る。覚悟しなければ。準備しなければ。まずは車椅子に乗る。這って這って車いすが置いてある部屋に行く。扉はない。それは入居時に亮が取っ払った。それでもわずかな段差が引き摺る体にぶつかって痛い。
 車椅子に手をかける。固定されたそれにしがみついて乗った。カタカタと移動するたびに鳴る音が煩わしいといつも思う。ティファールのポットに水を入れて沸かす。コップを用意する。お茶のティーパックをそれに入れてお湯を注いだ。それから自分の分のコップにティーパックを入れなおしてお茶を入れた。
 ズズッとお茶を啜っていると、ピンポーンとチャイムが鳴った。
「真白です。開けてください。」
 と、声がした。俺は車椅子を動かし玄関へ。扉を開けると仁王立ちした真白さんが立っていた。
 真白さんは小さい人だった。たぶん、150㎝あるかないか位の身長で子供っぽい白いワンピースを着ていた。一度、ワンピース以外も着てみてはどうですか?と言ったら殴られた。曰く、小柄な人間には背伸びした子供にしか見えないとのことだった。ワンピースだって変わらないですよ、とは思っているが伝えてない。
「いらっしゃい、真白さん」
 と、俺は言って真白さんを家に迎え入れた。真白さんは、遠慮なく入ってきて俺の横を通り後ろに回る。車椅子を掴み、「後ろ向きで進みますよ」と一声かけてきた。
 相変わらずムスッとした雰囲気だ。背中からそれが伝わる。彼女に引っ張られてリビングに戻る。
「いつまであの人と付き合っているんですか」
 と、真白さんは差し出した湯飲みを啜りながら言ってきた。
「僕は、一人では生きていけないよ」
 と、俺は答えた。
 親元から離れたかった。それでも一人で生きていくことなどできなかった。泣き言を呟くようにそのことを亮に言っていた。そうして始まったこの生活も変えなければならないだろう。
「おかわり、いりますか」
 と、俺は真白さんに言った。
「いらない」
 と、真白さんは答えた。そして、少し怒ったような顔をして俺を睨み
「這って」
 と、真白さんは言った。
 始まった。俺はそれに従うしかない。車椅子から降りた。それから後ろに這って行く。それを見た真白さんは満足そうな顔をして立ち上がった。
 真白さんがこちらに近づいてくる。目の前に立つ。見下ろされる。
 それから真白さんはスカートを捲くし上げて
 「舐めて」
 と、不愛想に言った。俺は犬のように四つん這いになって真白さんに近づいた。真白さんの綺麗に生えそろった三角地帯の毛なみが目の前にはある。俺はそれを嗅ぐように顔を近づけて唇で触れる。舌を這わせる。臭いがきついな、と思いながら割れ目に沿って舌を動かす。
 少しもどかしそうに真白さんの太ももがわずかに震え、僕の頭を抱えて押し付けてきた。仕方ない。俺は舌を切れ目に入れながら押し付けた。右手を使い舐めやすい様に開かせ、そこにある小さな豆を舌で触れ唇で吸う。
 真白さんから液体が溢れでてきて顔が汚れた。それを知ってか知らずか、真白さんの両手の力は強くなる。俺はそれに従い一心不乱に真白さんに口を押し付ける。
 真白さんから力が抜けて、少し間が空いた後、衣服を脱いで俺を押し倒してきた。俺はされるがままだ。この体で抵抗できるわけがなく、それは体に染み付いている。
「あいつと別れて」
 と、真白さんは俺を見下ろしながら言う。
「何度も言うけど、亮とは付き合ってないですよ」
 と、俺は真白さんを見上げて言った。名前の通り、真白な真白さんの体が俺にのしかかってきた。
 痛い。単純に下が床だから。そんなんだから俺は準備が出来ていなかった。いつもの事だ。そもそもあんな臭いもん舐めさせられたのだから仕方ないが。
 真白さんは俺のアレを身体で挟むように覆いかぶさって、小さい真白さんの顔は俺の首元にあり、そこで舐めたり吸ったりしながら動いている。されるがままに身を任せる事しか俺にはできない。
「それ、気持ちいいんですか」
 と、俺は真白さんに聞いた。
「気持ちいいよ」
 と言って、真白さんは俺の身体の上を這って俺の口を吸った。
 あの日の亮の事を思い出した。歯を噛み締め真白さんを拒む。
 真白さんは口を離して俺を睨む。少し膨張する。真白さんがそれに気がついて少し微笑む。
「つれない顔して双葉も気持ち良くなりたいんでしょ」
 と、ニタニタした顔で真白さんは言う。もちろんそうだ。あたり前だ。しかし、亮の顔がどうしても思い浮かぶ。あの苦虫を噛み潰したような辛そうな顔が。
「ほら、お願いしてみなさい。そうすれば、気持ち良くしてあげなくもないよ」
 萎えるな、と俺は思った。
「……」
 何か、真白さんは口にしたが聞こえなかった。俺は相変わらずなすがままだ。奥歯を噛み締め真白さんが飽きるまで耐え続けた。

 1時間ぐらいたっただろうか。俺は力尽きて真白さんは俺に抱き着いている。
「相変わらず、惨めだな」
 見上げた目線の先には亮が立っていた。
「インターホンは鳴らしたんだぜ。それでも出てこないし音がしてくるから入ってきたらこれだ」
「そちらも相も変わらず邪魔するのね」
 と、真白さんが言った。
「好きでやってんじゃねえよ」
 と、亮はキッチンに向かいながら言った。そういえば、今日は亮と飯を食べる日だったことを思い出した。
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