96 / 252
第五章 羽を失った鳥は猛獣をエサにする
第17話
しおりを挟む
「……零士を殺害したのは麗美ではない?」
「あぁ……」
冴子の言葉に本山がそう答える。
「先程の取り調べでな……」
そう言って本山が先程の会話を説明した。
「それは……、その……毒の入ったカプセルを零士のところにこの前のことを謝りに行った時にこっそりとサプリメントケースに忍び込ませたんです……。似たようなカプセルが入っているのを見たことがあったからそれに紛れ込ませました……。それをいつか飲んで死ねばいいって思っていたんです……。でも、その毒を使わずに零士は突き飛ばされて死んだわけですが……」
麗美が静かにそう言葉を語る。
「……しかし、毒のカプセルは一つじゃないだろ?」
「……え?」
本山の言葉に麗美がそう声を出す。
「高血圧の零士に低血圧用の血圧が上がる薬も仕込んだだろ?」
「高血圧……?」
本山の言葉に麗美が「なんの事?」と言うような顔をする。
「あんた、零士が高血圧だってことを知っていてその薬も仕込んだんじゃないのか?」
本山が「どういうことだ?」と、疑問に思いながらそう言葉を綴る。
「……零士が高血圧?……え?どういうこと??私が毒を仕込んだカプセルは一つだけよ?」
「……という事を言っていたんだ。つまり、その低血圧用の薬を仕込んだのは別の人物という事になる……」
本山が話し終わり、ため息を吐く。
「……じゃあ、零士殺しの犯人は別にいるってこと?」
冴子が驚いたようにそう言葉を綴る。
「……じゃあ、それを仕込んだのは……」
紅蓮がそう言ってある人物の名前を出す。
「だが、今のところ、零士とその人の接点は見つかっていない……」
透が神妙な顔でそう言葉を綴る。
「……とりあえず、その二人の接点を探ってみましょう……」
冴子の言葉で今度はその二人の接点を探る事になった。
翌日、奏たちは二人の接点を探るために、零士が勤めていたクラブに向かった。そこである人物の事を聞いてみる。
「あぁ……、知っていますよ。零士はこの子の事気に入っていましたから……」
あるホストにその人物と零士の接点がある事を教えて貰い、奏たちは驚きを隠せない。
「それに、その子って確か……」
そのホストがある話を奏たちに聞かせる。
「……じゃあ、まさか金森さんの言っていた人って……」
話を聞いて奏がそう呟く。
「……だとしたら、その薬を自分で作ったかもしれないな……」
透が神妙な顔でそう言葉を綴る。
そして、話をしてくれたホストにお礼を言って奏たちはその場を後にする。
「……もしかしたら、作った時に使用した道具が捨てられている可能性がないか?」
槙がそう言葉を綴る。
「……確か、眞子ちゃんが言っていたマンションの名前は「アステルジー久保田」だったよな?確かそこのマンションのゴミ捨て場は共有だって言っていたはずだ……」
「……よしっ!そのマンションに行ってみよう!」
紅蓮の言葉に透がそう声を発する。
奏たちは手掛かりを探るために、今度はそのマンションに向った。
「……やっぱ、もう何日も前だからさすがに残ってないか……」
マンションのゴミ置き場を管理人に開けてもらい、ゴミを確認するがそれらしいゴミはない。
「管理人さん!ここのゴミを持っていく集積所は分かりますか?」
奏がゴミ置き場の外で待機してもらっている管理人にそう声を掛ける。
「あぁ、それなら……」
集積所を教えて貰い、奏たちは今度はそちらに向かう。
「……道具のようなゴミ?あぁ……、あれかな?」
集積所で最近、そのマンションからのゴミでおかしなものがなかったかを聞くと、集積所の担当者が何か思い当たるものがあるらしく、ゴミを保管している場所からあるものを持ってくる。
「……ほれ、これだよ」
そう言ってビニール袋に入ったゴミを奏たちに見せる。
「全く……。なんか薬品名が書いてあるような瓶もあったから、何かに引火して爆発でも起こったら大変だと思ってな……。それで、別にしていたんだよ」
担当者の男が「困ったもんだ」と言う表情でそう言葉を綴る。
「良かったらこちらで処分するのでこのゴミを頂いても宜しいですか?」
奏が男にそうお願いをする。
「あぁ、構わんよ。こっちも処分に困っていたしな」
男の言葉に奏たちがお礼を言って道具が入った袋を二つ受け取る。そして、その集積所を後にすると、急いで署に戻っていった。
「……調べたら、やはり道具についていた粉のようなものや、瓶の中の薬品は低血圧に使用する薬品だったわ」
冴子が持ち帰った道具を調べた結果を話す。
「やはりな……」
透が神妙な顔で言葉を綴る。
「……よしっ!任意同行してもらおう!」
その場にいる本山がそう声を張り上げる。そして、杉原と共に部屋を出るとフェリチタに向かった。
「……最近客足が悪いわね……」
開店前のクラブ「フェリチタ」で、ママがため息を吐きながらそう言葉を綴る。
麗美が逮捕されてから、店の客足は悪くなっていた。
「まさか、麗美ちゃんが殺人を犯すなんて……」
ママがため息を吐きながら言う。
「びっくりですよね……。麗美ちゃんがそんな事をするなんて……」
真奈美も息を吐きながら「信じられない」と言う感じでそう言葉を綴る。
「もう嫌になっちゃうわ……。他の女の子にまで迷惑掛けて……。真奈美ちゃんのお客さんも遠のいている人がいるし……」
ママが少し怒り気味でそう言葉を綴る。
「あの……ママ……」
「あぁ……」
冴子の言葉に本山がそう答える。
「先程の取り調べでな……」
そう言って本山が先程の会話を説明した。
「それは……、その……毒の入ったカプセルを零士のところにこの前のことを謝りに行った時にこっそりとサプリメントケースに忍び込ませたんです……。似たようなカプセルが入っているのを見たことがあったからそれに紛れ込ませました……。それをいつか飲んで死ねばいいって思っていたんです……。でも、その毒を使わずに零士は突き飛ばされて死んだわけですが……」
麗美が静かにそう言葉を語る。
「……しかし、毒のカプセルは一つじゃないだろ?」
「……え?」
本山の言葉に麗美がそう声を出す。
「高血圧の零士に低血圧用の血圧が上がる薬も仕込んだだろ?」
「高血圧……?」
本山の言葉に麗美が「なんの事?」と言うような顔をする。
「あんた、零士が高血圧だってことを知っていてその薬も仕込んだんじゃないのか?」
本山が「どういうことだ?」と、疑問に思いながらそう言葉を綴る。
「……零士が高血圧?……え?どういうこと??私が毒を仕込んだカプセルは一つだけよ?」
「……という事を言っていたんだ。つまり、その低血圧用の薬を仕込んだのは別の人物という事になる……」
本山が話し終わり、ため息を吐く。
「……じゃあ、零士殺しの犯人は別にいるってこと?」
冴子が驚いたようにそう言葉を綴る。
「……じゃあ、それを仕込んだのは……」
紅蓮がそう言ってある人物の名前を出す。
「だが、今のところ、零士とその人の接点は見つかっていない……」
透が神妙な顔でそう言葉を綴る。
「……とりあえず、その二人の接点を探ってみましょう……」
冴子の言葉で今度はその二人の接点を探る事になった。
翌日、奏たちは二人の接点を探るために、零士が勤めていたクラブに向かった。そこである人物の事を聞いてみる。
「あぁ……、知っていますよ。零士はこの子の事気に入っていましたから……」
あるホストにその人物と零士の接点がある事を教えて貰い、奏たちは驚きを隠せない。
「それに、その子って確か……」
そのホストがある話を奏たちに聞かせる。
「……じゃあ、まさか金森さんの言っていた人って……」
話を聞いて奏がそう呟く。
「……だとしたら、その薬を自分で作ったかもしれないな……」
透が神妙な顔でそう言葉を綴る。
そして、話をしてくれたホストにお礼を言って奏たちはその場を後にする。
「……もしかしたら、作った時に使用した道具が捨てられている可能性がないか?」
槙がそう言葉を綴る。
「……確か、眞子ちゃんが言っていたマンションの名前は「アステルジー久保田」だったよな?確かそこのマンションのゴミ捨て場は共有だって言っていたはずだ……」
「……よしっ!そのマンションに行ってみよう!」
紅蓮の言葉に透がそう声を発する。
奏たちは手掛かりを探るために、今度はそのマンションに向った。
「……やっぱ、もう何日も前だからさすがに残ってないか……」
マンションのゴミ置き場を管理人に開けてもらい、ゴミを確認するがそれらしいゴミはない。
「管理人さん!ここのゴミを持っていく集積所は分かりますか?」
奏がゴミ置き場の外で待機してもらっている管理人にそう声を掛ける。
「あぁ、それなら……」
集積所を教えて貰い、奏たちは今度はそちらに向かう。
「……道具のようなゴミ?あぁ……、あれかな?」
集積所で最近、そのマンションからのゴミでおかしなものがなかったかを聞くと、集積所の担当者が何か思い当たるものがあるらしく、ゴミを保管している場所からあるものを持ってくる。
「……ほれ、これだよ」
そう言ってビニール袋に入ったゴミを奏たちに見せる。
「全く……。なんか薬品名が書いてあるような瓶もあったから、何かに引火して爆発でも起こったら大変だと思ってな……。それで、別にしていたんだよ」
担当者の男が「困ったもんだ」と言う表情でそう言葉を綴る。
「良かったらこちらで処分するのでこのゴミを頂いても宜しいですか?」
奏が男にそうお願いをする。
「あぁ、構わんよ。こっちも処分に困っていたしな」
男の言葉に奏たちがお礼を言って道具が入った袋を二つ受け取る。そして、その集積所を後にすると、急いで署に戻っていった。
「……調べたら、やはり道具についていた粉のようなものや、瓶の中の薬品は低血圧に使用する薬品だったわ」
冴子が持ち帰った道具を調べた結果を話す。
「やはりな……」
透が神妙な顔で言葉を綴る。
「……よしっ!任意同行してもらおう!」
その場にいる本山がそう声を張り上げる。そして、杉原と共に部屋を出るとフェリチタに向かった。
「……最近客足が悪いわね……」
開店前のクラブ「フェリチタ」で、ママがため息を吐きながらそう言葉を綴る。
麗美が逮捕されてから、店の客足は悪くなっていた。
「まさか、麗美ちゃんが殺人を犯すなんて……」
ママがため息を吐きながら言う。
「びっくりですよね……。麗美ちゃんがそんな事をするなんて……」
真奈美も息を吐きながら「信じられない」と言う感じでそう言葉を綴る。
「もう嫌になっちゃうわ……。他の女の子にまで迷惑掛けて……。真奈美ちゃんのお客さんも遠のいている人がいるし……」
ママが少し怒り気味でそう言葉を綴る。
「あの……ママ……」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる