ファクト ～真実～

討伐編 前幕 獣に牙を向ける鳥たち

１３．

　そこに、エプロンをした少し年配の女性が入ってくる。髪を綺麗に下の方でお団子にしており、口調も柔らかい。表情からは優しさが滲み出ており、身なりもきちんと整えている。

「紹介しよう。彼女は佐和子さわこさんだ。君たちの世話をしてくれる。各自の部屋はそれぞれで掃除してもらうが、食事の支度やそれ以外の掃除は彼女がしてくれる」

　梓が佐和子の横に立ち、そう紹介する。

「初めまして、皆様のお世話をさせて頂きます、秋本あきもと　佐和子さわこと申します」

　佐和子がそう言って綺麗にお辞儀をする。

「よ……よろしくお願いします！」

　奏が何処か慌てふためきながらお辞儀をする。

　透たちも「よろしくお願いします」と言って一人一人お辞儀をする。

「……なんか致せり尽くせりだな」

　紅蓮がそうぼそりと呟く。

「じゃあ、それぞれの部屋の鍵を渡すから、部屋で片づけをしてくれ。荷物は部屋に運んであるからな」

　梓がそう言って、奏たちに鍵を渡す。

「奏さんの部屋は二階ですよ！私が案内しますね！」

　颯希がそう言って奏を引っ張っていく。

「透さんと槙さんは俺が案内します」

　静也がそう言って透と槙を連れてリビングを出て行く。

「……あの……俺……は……？」

　その場に残された紅蓮がそう声を出す。

「君は私が直接案内しよう。付いて来い」

　梓がそう言ってリビングを出て行くので、紅蓮が慌ててその後を追った。


「ここが奏さんの部屋になるのですよ！」

　颯希が二階のある部屋の前に来てそう声を発する。

「ありがとうございます、颯希さん」

　奏が颯希にお辞儀をしながらそう言葉を紡ぐ。

「か……奏さんは警察官としては先輩になるのですから頭を下げないでください！」

　颯希が何処か慌てふためきながらそう言葉を綴る。

「良かったら何かお手伝いいたしますよ！」

　颯希が笑顔でそう提案する。

　そして、奏の部屋に一緒に入り、部屋の片づけを始めた。


「そこの奥の部屋が透さんの部屋です。その隣が槙さんの部屋になります」

　静也がそれぞれの部屋を指差しながらそう言葉を綴る。

「サンキューな、静也」

　透が静也にお礼の言葉を述べる。

「……仲良いのか？」

　透と静也のやり取りを見て槙がそう声を出す。

「仲が良いというか、静也は中学の頃から颯希と一緒に地域をパトロールしていたんだよ。その関係でよく知っているんだ」

「パトロール？？」