ファクト ~真実~

華ノ月

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討伐編 前幕 獣に牙を向ける鳥たち

21.

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 梓が紅蓮に頼みたいことの内容を話していく。

「――――と、いうことなんだが、やって貰えるか?」

 梓が紅蓮にそう尋ねる。

「へぇ~♪面白そうじゃん♪是非、その件をこのとびっきりクールでカッコイイ紅蓮様が引き受けようじゃないですか!」

 紅蓮がまたまた何処から出したのか一輪のバラを掲げてバックにキラキラモードを散りばめるように恍惚な表情でそう言葉を綴る。

「アホか」

 その様子を見て透が紅蓮を馬鹿にしたような目つきでそう声を発する。

「紅蓮さんは愉快ですよね~♪」
「馬鹿なだけじゃないのか?」

 馬鹿をやっている紅蓮に颯希は楽しそうにしており、静也はどこか呆れた目つきでその様子を見ていた。

「奏ちゃん……」

 紅蓮が奏に顔を向けると傍まで近寄ってくる。

「奏ちゃん、見ていてね?俺のチョーカッコよく決める所を……」

 紅蓮が奏の手を取り、キラキラモードを発しながら決め顔でそう言葉を綴る。

「あ……あの……」

 その様子に奏は戸惑っており、どう答えていいか分からなくてタジタジになっている。

「ふむ……」

 その様子を見て梓が何かを考えこむ様子をすると、つかつかと奏の所まで歩み寄って来て、紅蓮を奏から引き剥がし、何故か奏の手を取る。

「奏……。君は私が守ってやろう……」

 梓がバックにバラの花を散りばめながら奏にそう声を掛ける。

 その姿があまりにも様になっていてカッコ良かったせいか、奏が顔を真っ赤にしながらドギマギしている。

「え……えっと……」

 奏があまりの梓のカッコよさに上手く言葉が紡げない。

「奏、どうだ?今日は私と一緒に風呂に入らないか?」


 ――――ドキーン!!!


 梓の不意打ちの言葉に奏が顔を真っ赤にしてしまい、言葉が上手く出てこない。

 そして、梓は奏の手を取ったまま本当にお風呂場にズルズルと連れて行ってしまった。

「静也くん。これはどういう世界になるのですかね??」

 颯希が頭にはてなマークを浮かべながら不思議そうな顔で静也にそう尋ねる。

「俺が知るか」

 静也は特に興味が無いのかそっけなく答える。

「……というか、話はどうなったんだ?」

 透が先程の梓の話が「途中では無いのか?」と感じる。

 しかし、肝心の梓が奏を連れてお風呂場に行ってしまったので、「やれやれ」とため息を吐くと、自分の部屋に戻っていった。

 そして、紅蓮はというと、先程の光景がよっぽどショックだったのか真っ白になり、魂をフヨフヨと浮かせながら「俺の奏ちゃんが……」と、呟いていたのであった。



***

「……あいつがそうだ」



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