ファクト ～真実～

討伐編 後幕 光を信じている鳥

２４．

　リリアを寝かしつけて、ガイアはその部屋を出るとポツリとそう呟く。

　その時だった。


　――――ピンポーン……。


　インターフォンが鳴り、来客が来たことを告げる。

「来たか……」

　ガイアは小さくそう言うと、玄関に向って歩きだし、来客を迎え入れる。

「こんにちは。ガイア＝クリムアークさんで間違いないですか？」

　やって来たのは奏たちだった。そして、ガイアに連絡を取った玲樹がそう口を開く。

「はい。私がガイア＝クリムアークです」

　ガイアがそう答える。

　ガイアは奏たちを家に招き入れて、リビングに通した。そして、ローテーブルを挟んでソファにガイアと対面するような形で奏たちに座ってもらうよう勧める。

「ありがとうございます」

　奏がお辞儀をしてソファに腰掛ける。梓、玲樹も「ありがとう」と言ってソファに腰掛けた。

「お茶を持ってきます」

　ガイアがそう言ってリビングと繋がっているキッチンに行き、人数分のコーヒーをトレーに乗せて運んでくる。

「お手数おかけして申し訳ありません」

　ガイアが運んできたコーヒーを机に並べている姿を見て、奏が恐縮そうに声を出す。

「いえ。お客様ですからね」

　ガイアがそう言って微笑む。

　しかし、その微笑にはどこか暗い影が落とされていた。

（奥さんが殺されたんだから辛くて当然だよね……）

　奏がガイアの表情を見て心でそう呟く。

「早速だが、聞きたいことがあってやって来た。まず確認だが、あなたの殺された妻の母親であるアリス＝クシュナーさんが例のAIの開発者で間違いないか？」

　梓がガイアにそう尋ねる。

「あ、梓さん……。もっときちんとした言葉で言った方が良いのでは……」

　梓の隣に座る玲樹が小声で梓の口調に苦言を呈する。

「私もそう思いますよ……。その話し方ではガイアさんが怖がってしまうのではないですか？」

　玲樹とは反対側の梓の隣に座る奏が玲樹と同じように梓の口調が疑問に感じたらしく、小声で梓に伝える。

「別に談笑しに来たわけではないからな」

　梓は玲樹と奏の言葉の意味がよく分からないらしく、そう答える。

「梓さん、ガイアさんへの質問は僕がしますから黙っていてくださいね」

　玲樹がどこか怒りを発しながら強い口調でそう言葉を綴る。

「あ……あぁ……」

　梓が「しまった！」という感じで答える。

（もしかして玲樹さんって怒らすと怖い奴なのか？）

　その様子を一人だけ奏たちの座っているソファの後ろで立っている槙が心でそう呟く。

「ガイアさん、こちら側がとても失礼な事をして申し訳ありません。実は今日はガイアさんにお尋ねしたいことがありまして、こうしてお伺いいたしました」

　玲樹が優しく柔和な声でガイアにそう言葉を掛ける。

「いえ、大丈夫です。聞きたいことというのは？」

　ガイアは先程の梓の口調を特に気にしている様子はなく、玲樹の言葉にそう言葉を綴る。

「その……、開発者であるアリスさんは万一の時の事を考えて何かそれを制御するような措置は取っていませんでしたでしょうか？」

　玲樹がガイアにそう尋ねる。

　すると、ガイアはその言葉に暗い影を落とした。

「制御方法はあります……。ですが……」