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第二章 籠の中の鳥は優しい光を浴びる
第12話
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「あの子、あの時の子ですよね……」
「……だったな」
帰り道、途中で美優と別れて颯希と静也が歩きながらこの前の公園のことを思い出す。あの時、颯希のことを睨みつけて突き飛ばした子がまさか凛花と同じ学年の子とは思わなかった。それに、ただ同じ学年というわけではなく、凛花が心配して話しかけていた子だったことを聞き、颯希の中である話を思い出す。
「……逆恨みって本当にあるのですかね?」
颯希がポツリと呟く。
「どういうことだ?」
静也に聞かれて、颯希は透に聞いたもう一つの話をする。
「――――もう一つのケースは、明るく元気な子って親からきちんと愛情を受け取ってる子が多いんだ。逆にいじめを受けている子の中には親から愛情を貰ってなくて、虐待を受けている子もいる。そういった子は家族にも愛されていて周りの子にも愛されている子を憎んだり恨んだりする場合もあるんだ。「なんであの子ばっかり」って感じでな。だから、もしかしたら、そうやって愛されてる子を逆恨みするっていうのがもう一つのケースだよ」
これが、透の考察したもう一つの話だった。
もし、凛花を襲ったのが理恵だった場合、逆恨みして襲った可能性も否定できなくなる。理恵から見たら凛花は恨みの対象だったことも考えられるのだ。
そして、そういった子を憎んでいるのだとしたら、次のターゲットを颯希にしてもおかしくはない。もし、あの視線が本当に颯希に向けられているのだとしたら、何らかの方法で颯希を襲う可能性もある。
颯希が神妙な顔で何かを考える。静也がその様子に声を掛けた。
「無謀なこと考えるなよ……」
「うん……」
颯希はそう答えるが、頭の中である事を考える。危険かもしれないが、もしかしたらもしかするかもしれない……。
そんなことを考えながら帰り道を歩いていく……。
理恵が薄暗い部屋でブツブツと呟いている。
「なんであの子、全く一人にならないのよ……。チャンスが全然ないじゃない……」
そう呟きながら、バラバラになったぬいぐるみとは別のぬいぐるみにカッターナイフを刺していく。
「殺してやる……。あんなような子は殺して、私はヒーローになるのよ……」
そんな言葉を呟きながら、闇を孕んでいる瞳で何度も……何度も……ぬいぐるみにカッターナイフを刺していく……。
歪な考えが理恵の脳を支配する……。
何が正しくて何が間違いなのか、その判断は狂っていた……。
学校が終わり、颯希は静也に家まで送ってもらうために道路を歩いていた。
「今日も無事に学校が終わったのです!」
「明日は土曜日かぁ~。なんか、あっという間の一週間だったなぁ~」
「いつも家まで送ってもらってごめんなさいなのです。でも、静也くんと一緒だとちょっと心強いのですよ!」
「お……おぅ……」
颯希の言葉に静也が少し顔を赤らめる。その様子に颯希がはてなのマークを頭に浮かべる。静也の気持ちを知ってか知らずか、颯希はそういう言葉を口にする。年齢的に多感な時期なので、恋愛とかに興味を持ってもおかしくないのだが、颯希はそういった色恋沙汰にはあまり興味を示さない。静也が心の中で疑問を自分に問いかける。
(変な意味じゃないよな……多分……)
「日曜日はまたパトロール、よろしくお願いしますね!次は北桜地区をパトロールしましょう!」
颯希が笑顔で次のパトロール場所を伝える。
その時、颯希がある視線を背中で感じた。でも、振り向かずになるべく普通に静也に声を掛ける。
「静也くん、お願いがあるのですが、いいですか?」
颯希がある事を話す。
静也はその言葉に驚きを隠せない。
そして、颯希が静也に一つのメモを渡す。
「じゃあ、よろしくお願いしますね……」
そう颯希が言うと、二人で他愛無い会話で帰り道を歩く。
「……じゃあ、私はこっちだからまた明日なのです!」
「おう!気を付けて帰れよ!」
そう言いながら、十字路のところで二人がさよならをする。
颯希はその後、一人で道を歩いて行く。
その後ろ姿を見失わないように理恵がこっそりと後を付ける……。
住宅街を抜けて、海が見渡せる港のところに颯希はやってきた。鞄を置いて、風を浴びる。
「気持ちいいのです~」
大きく伸びをして、海を眺めている。
その時だった……。
「やめろぉぉぉぉーーーー!」
颯希の背後に忍び寄り、ナイフを振り翳した理恵に静也が声を上げた。
「……だったな」
帰り道、途中で美優と別れて颯希と静也が歩きながらこの前の公園のことを思い出す。あの時、颯希のことを睨みつけて突き飛ばした子がまさか凛花と同じ学年の子とは思わなかった。それに、ただ同じ学年というわけではなく、凛花が心配して話しかけていた子だったことを聞き、颯希の中である話を思い出す。
「……逆恨みって本当にあるのですかね?」
颯希がポツリと呟く。
「どういうことだ?」
静也に聞かれて、颯希は透に聞いたもう一つの話をする。
「――――もう一つのケースは、明るく元気な子って親からきちんと愛情を受け取ってる子が多いんだ。逆にいじめを受けている子の中には親から愛情を貰ってなくて、虐待を受けている子もいる。そういった子は家族にも愛されていて周りの子にも愛されている子を憎んだり恨んだりする場合もあるんだ。「なんであの子ばっかり」って感じでな。だから、もしかしたら、そうやって愛されてる子を逆恨みするっていうのがもう一つのケースだよ」
これが、透の考察したもう一つの話だった。
もし、凛花を襲ったのが理恵だった場合、逆恨みして襲った可能性も否定できなくなる。理恵から見たら凛花は恨みの対象だったことも考えられるのだ。
そして、そういった子を憎んでいるのだとしたら、次のターゲットを颯希にしてもおかしくはない。もし、あの視線が本当に颯希に向けられているのだとしたら、何らかの方法で颯希を襲う可能性もある。
颯希が神妙な顔で何かを考える。静也がその様子に声を掛けた。
「無謀なこと考えるなよ……」
「うん……」
颯希はそう答えるが、頭の中である事を考える。危険かもしれないが、もしかしたらもしかするかもしれない……。
そんなことを考えながら帰り道を歩いていく……。
理恵が薄暗い部屋でブツブツと呟いている。
「なんであの子、全く一人にならないのよ……。チャンスが全然ないじゃない……」
そう呟きながら、バラバラになったぬいぐるみとは別のぬいぐるみにカッターナイフを刺していく。
「殺してやる……。あんなような子は殺して、私はヒーローになるのよ……」
そんな言葉を呟きながら、闇を孕んでいる瞳で何度も……何度も……ぬいぐるみにカッターナイフを刺していく……。
歪な考えが理恵の脳を支配する……。
何が正しくて何が間違いなのか、その判断は狂っていた……。
学校が終わり、颯希は静也に家まで送ってもらうために道路を歩いていた。
「今日も無事に学校が終わったのです!」
「明日は土曜日かぁ~。なんか、あっという間の一週間だったなぁ~」
「いつも家まで送ってもらってごめんなさいなのです。でも、静也くんと一緒だとちょっと心強いのですよ!」
「お……おぅ……」
颯希の言葉に静也が少し顔を赤らめる。その様子に颯希がはてなのマークを頭に浮かべる。静也の気持ちを知ってか知らずか、颯希はそういう言葉を口にする。年齢的に多感な時期なので、恋愛とかに興味を持ってもおかしくないのだが、颯希はそういった色恋沙汰にはあまり興味を示さない。静也が心の中で疑問を自分に問いかける。
(変な意味じゃないよな……多分……)
「日曜日はまたパトロール、よろしくお願いしますね!次は北桜地区をパトロールしましょう!」
颯希が笑顔で次のパトロール場所を伝える。
その時、颯希がある視線を背中で感じた。でも、振り向かずになるべく普通に静也に声を掛ける。
「静也くん、お願いがあるのですが、いいですか?」
颯希がある事を話す。
静也はその言葉に驚きを隠せない。
そして、颯希が静也に一つのメモを渡す。
「じゃあ、よろしくお願いしますね……」
そう颯希が言うと、二人で他愛無い会話で帰り道を歩く。
「……じゃあ、私はこっちだからまた明日なのです!」
「おう!気を付けて帰れよ!」
そう言いながら、十字路のところで二人がさよならをする。
颯希はその後、一人で道を歩いて行く。
その後ろ姿を見失わないように理恵がこっそりと後を付ける……。
住宅街を抜けて、海が見渡せる港のところに颯希はやってきた。鞄を置いて、風を浴びる。
「気持ちいいのです~」
大きく伸びをして、海を眺めている。
その時だった……。
「やめろぉぉぉぉーーーー!」
颯希の背後に忍び寄り、ナイフを振り翳した理恵に静也が声を上げた。
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