はい!こちら、中学生パトロール隊です!!

華ノ月

文字の大きさ
81 / 128
間章 恐怖の脅迫状?!

第3話

しおりを挟む
「脅迫状が届いた?」

 昼休みになり、颯希たちがいつもの場所でお昼休みを過ごしていると表情の暗い来斗が項垂れるように下駄箱に脅迫状が入っていたことを話す。

「どんな脅迫状なの?」

 亜里沙がそう尋ねたのでその脅迫状を来斗が見せる。


『お前は妃に相応しくない』


 手紙は雑誌の文字を切り取って一文字一文字貼り付けられていた。今でもこんなことをする奴がいるのかとも思うが、いるのだろう。文字の周りにはどこかの雑誌で特集していたのだろうか?血の滴っている絵の切り抜きが散りばめられている。

「はぁ……、一体何のことだよ?」

 来斗がため息を吐きながら暗い表情で言う。

「……妃ってことはこの前の劇の関連かな?だとしたら、来斗くんの妃は美優さんってことになるよね?」

「私?!」

 雄太の言葉に美優が驚きの声を上げる。

「……てことは、犯人は美優が好きな男ってこと?」

 亜里沙がそう推測する。

「まぁ、妥当に考えればそうだろうね……」

 雄太がそう答える。

「でも、劇でってだけだろ?!」

 来斗が半分怒りモードでそう声を荒げる。

「……ただ、場合によっては美優さんも危険かもしれないね……」

 雄太の言葉にみんなが一斉に顔を美優に向ける。

「だってさ、来斗くんにこんな脅迫状を送るってことは、相手は過激な人間かも知れないよ?美優さんにも何かしてくるかもしれない……」

 雄太の言葉にその場がシーンとなる。確かにその可能性は考えられる。美優も場合によっては狙われる可能性があるかもしれない。

「まぁ、しばらくは僕が美優さんを送り迎えするよ」

「え?でも、迷惑になるんじゃあ……」

 雄太の提案に美優が申し訳なさそうに言葉を綴る。

((あれ……?美優が好きなら狙うのは雄太じゃないのか……?))

 二人のやり取りにその場にいる颯希以外が心でそう思う。

「とりあえず、今日から僕が送り迎えするよ。心配だからね」

 雄太が微笑みながら美優に話す。

「あ……ありがとう……。ごめんね……」

「謝る事じゃないよ。だから気にしないでね」

 なんだかいいムードを醸しながら二人が会話する。

((なんでこれで付き合ってないんだろう……))

 颯希以外、全員一致でそう感じる。

「しばらくは様子を見ましょう!」

 颯希がそう締めくくり、脅迫状の話は一旦切り上げられた。そして、落ち込んでいる来斗をみんなで励ましながらお昼休みを過ごす。

 そして、チャイムが鳴り響き、午後の授業が始まった。



「……じゃあ、帰るかぁ~」

 来斗がけだるそうに言う。

 放課後、下駄箱に集まった颯希たちはみんなで帰路に着いた。みんなでワイワイとお喋りしながら道を歩く。

「今日も無事に学校が終わりましたね!」

 颯希がいつもの表情でそう言葉を綴る。

「えぇ、そうね。まぁ、一名だけ、そうではなかったみたいだけど……」

 亜里沙がそう言って来斗に視線を移す。

「……うるせぇ」

 来斗が亜里沙の言葉に睨み返すように言う。

 しばらく、そんなやり取りをしながら道中を歩く。

「……じゃあ、僕たちはここで。美優さん、家まで送っていくね」

 雄太がそう言って、美優と雄太が颯希たちと離れる。

「……あいつら、あれで本当に付き合ってないのかよ」

 美優たちが行ってから、静也がポツリと呟く。

「まぁ、そうなんだろうな……」

 来斗も「不思議だ」という感じで静也に同意する。

「まぁ、人それぞれだしいいんじゃないかしら?」

 亜里沙が特に気に留めることなくさらっと言葉を言う。

「……えっと?どういうことですか??」

 颯希が何の話か分からないという感じで頭にはてなマークが飛び交う。

「「「まぁ、気にするでない」」」

 颯希の言葉に静也たちが声を揃えてそう言葉を綴る。

「じゃあ、俺たちはこっちだから」

 静也がそう言って颯希と共に亜里沙と来斗に「また、明日」と言って離れていく。

「……あいつらも仲いいけど、静也の片思いなんだよな?」

 颯希たちが去ってから来斗が呟く。

「多分、両思いだと思うわよ?」

「えっ?!」

 亜里沙の言葉に来斗が驚きの声を出す。

「ただ、颯希のことだからもやもやしたりドキドキしたりする感情が恋だということには気付いていないでしょうね。おそらく、『何か悪いモノでも食べたのかな?』っていうくらいにしか捉えてないと思うわよ?」

 亜里沙の言葉に来斗があんぐりと口を開く。

「……マジかよ」

「恋の話とかそういうのに興味なかったし……。そういう感情がどっか抜けているのよね……」

 亜里沙が淡々と話す。

「……てことは……」

 来斗が急に真剣な表情になって話始める。

「雄太と美優。静也と颯希。後は俺たちがくっつけば完璧だな……」

「……は?」

 真剣な顔になって何を話し始めるのかと思いきや、訳わからないことを言い出して亜里沙が怪訝な顔をする。

「なに魚ができもしないタコ踊りをしているような事を言っているのよ?」
「なんじゃそりゃ?!」
「世界がひっくり返ってもあんたみたいな運動バカと付き合うことは無いから」
「ひっでー!!」
「あんたの脳みそって幼稚園児だしね」
「そこまで言う?!」

 亜里沙の数々の言葉にノックアウトされた来斗が再起不能の状態に陥る。

「……来斗。私と付き合おうだなんて百億光年早いわ!」

 亜里沙がそう言ってバッと扇子を広げて優雅に微笑む。

「どっから扇子が出てきたんだよ?!」

 来斗が叫びながら突っ込む。

「そうねぇ~、下僕にするのなら考えてあげてもいいわよ?」

 そう言って、扇子で来斗をよしよしする。

「な・る・か・よ……」

 来斗が怒りモードで低い声を出しながら反論する。

「……ま、とっとと帰るわよ♪」

 亜里沙がくるっと回って帰るように来斗を急かす。

「……わーってるよ」

 来斗がため息を吐きながら亜里沙の横に並んで帰り道を歩く。

 その時だった……。


 ゾワッ……。


「――――っ!!」

 来斗が何かを感じたのか、身震いをする。

「来斗?」

 来斗の様子が変なことに気付き亜里沙が声を掛ける。

「……なんか、ヤな視線を感じたような……」

「気のせいじゃないの?」

「……だと思うけど」

 ヤな視線を感じながら帰り道を亜里沙と歩く。

 そして、T字路のところで亜里沙とさよならをして来斗は家に帰っていった。


 しかし、この日を境に来斗の身に奇妙なことが次々と起こりだしたのだった……。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました

ぽこぺん
ファンタジー
転生の間で人間以外の種族も選べることに気付いた主人公 某人気小説のようにスライムに転生して無双しようとするも手違いでゴブリンに転生 さらにスキルボーナスで身に着けた聖魔法は魔物の体には相性が悪くダメージが入ることが判明 これは不遇な生い立ちにめげず強く前向き生きる一匹のゴブリンの物語 (基本的に戦闘はありません、誰かが不幸になることもありません)

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。

星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。 引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。 見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。 つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。 ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。 しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。 その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…? 果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!? ※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

処理中です...